ニュース 2002年7月17日 01:58 AM 更新

電子自治体で失敗しない秘訣

情報技術の進歩は“ドッグ・イヤー”だが、人間はそう簡単に変われない〜「e-JAPAN」のかけ声とともに動き出した電子行政だが、かつてない変化に戸惑いをみせる自治体も少なくない。e-JAPAN推進には、まず公務員の意識改革が必要のようだ

 情報技術の進歩は“ドッグ・イヤー”だが、人間はそう簡単に変われない〜「e-JAPAN」のかけ声とともに動き出した電子行政だが、かつてない変化に戸惑いをみせる自治体も少なくない。7月16日に行われたハイパーメディアコンソーシアムのシンポジウムでは、総務省情報通信政策課の吉崎正弘課長が電子行政をの現状と課題を語った。e-JAPAN推進には、まず公務員の意識改革が必要のようだ。


総務省情報通信政策課の吉崎正弘課長。著書に「電子自治体の総合戦略」(ニューメディア刊)がある

 行政の電子化は、2001年1月に施行された「IT基本法」のテーマの1つであり、IT基本法を具現化する「e-JAPAN戦略」の重点政策分野にも挙げられている。内容は多岐に渡るが、一般市民に馴染みの深い部分でいえば、インターネットによる情報公開や各種申請書類のオンライン化があるだろう。

 場所を選ばず、また24時間対応とすることで、行政サービスの向上と効率化が期待できる。「目標は、2005年度に電子情報を紙(の書類)と同等に扱うこと。自動車のナンバープレートのように実物が必要なものなどを除き、すべて電子化される予定だ」(吉崎氏)。


電子自治体のスケジュール。住基ネット整備には反対する声も多いが、「さまざまな問題があるのは事実だが、いつまでもぐずぐずしていられないのも事実」(吉崎氏)

 しかし、申請や届出のオンライン化には、いくつかの前提条件がある。1つは市町村と中央を結ぶネットワーク、もう1つは庁舎内のペーパーレス化だ。ネットワークインフラの部分は徐々に進み、霞ヶ関WANや都道府県レベルのLGWAN(Local Government WAN)が次第に出来上がってきている。

 一方、庁舎の中はまだ動きが鈍い。「1人1台の端末、ネットワーク化、そしてメディアリテラシーの向上といった課題がある。この動きは、国より都道府県、都道府県より市町村と、地方自治体ほど遅れている」という。

 中でも問題なのは、ハードウェアよりもソフトウェアの面。「ドッグイヤーといわれる技術の進歩に比べ、人間の変化は遅い。それだけに人材の育成は計画的かつ時間をかけて進めなければならない」(吉崎氏)。これは、技術者の不足にくわえ、実務に携わる公務員の意識の問題をも含んでいるようだ。

ポイント1「物真似はダメ」

 吉崎氏は、自治体における電子化を進めるにあたり、「失敗しない秘訣」として4つのポイントを挙げた。1つめは、地域情報化を進めるにあたり、先例を手本とする慣習をなくすこと。

 「先行事例を見学にいき、“直輸入”してしまうケースがあるが、地域性はそれぞれ異なるためにうまくいかない。あくまで参考にとどめ、自分で考えなければダメだ」。

 事実、民間のシンクタンクに計画を丸投げして「自分は思考停止」してしまう自治体もあるという。事実、ITへの取り組みは、自治体ごとにかなりの温度差がある。

ポイント2「手段の目的化はダメ」

 目的のために講じたはずの手段が、いつしか目的にすり替わってしまう。よくある話だが、ITの場合も同様だ。

 「ITはツールとして使ってはじめて威力を発揮する。しかし、早く導入しないと“遅れている”という強迫観念から、道具(PC)を買うことだけが目的化してしまう」。

 こうした自治体の場合、導入が終わった時点で安心してしまい、うまく利用できない。これでは単なる税金の無駄遣いだ。

ポイント3「常識に囚われない」

 不可能だと考えていたことが、技術の進歩で可能になっている。「最初から不可能だと考えず、一度“非常識”になることも必要」。

 もちろん、この場合の「非常識」は、常識に囚われず、柔軟な思考を持つことを意味している。

ポイント4「自ら使ってみること」

 また、固くなった頭は極端な方向に走りがちだ。吉崎氏によると、PCを使ったことのない人に限って、極端に美化したり、逆に頭から否定する傾向があるという。

 「よくあるのが、セキュリティの不安を“言い訳”にして情報化を否定するケース。自ら使う〜とくに、自分の財布からお金を出してPCを購入することをお勧めしたい」。

 自治体の予算を使うと、金銭感覚が麻痺して、無用なほどハイスペックなPCを購入することがあるようだ。

 しかし、ここまでに挙げたポイントは、民間企業であればごく当たり前のことに思える。公務員ならではの「甘い」考えを浮き彫りにしているようだ。直接は語らなかったものの、吉崎氏が指摘したい部分も同じに思える。

 「さまざまな議論はあるが、もう(IT化以前には)戻れないのは確かだ。これまでのような“護送船団型”の地方自治は止めなければならない」(吉崎氏)

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関連リンク
▼ ハイパーメディアコンソーシアム
▼ 総務省

[芹澤隆徳, ITmedia]

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