ニュース 2002年9月30日 03:04 AM 更新

スペクトル管理 〜これまでの経緯


 国内の“スペクトル管理”のあり方について、議論が続いている(別記事参照)。議論の意味を理解するためにも、これまでの経緯を一度確認しよう。

 そもそもスペクトル管理とは、加入者線を用いた複数の伝送システムが相互に漏話干渉を起こして、利用者に不利益になる状況を防ぐことを指す。方法としては、たとえばADSLやISDNといった伝送システムをそれぞれ標準グループ/標準外グループに分類して、「標準外グループは、標準グループと同一カッド内に収容しない」などのルールを策定する。

 米国では2001年2月に、アメリカ規格協会(ANSI)から“スペクトラム管理標準”が発行されている。国内でも、総務省の研究会でその必要性が訴えられたことをきっかけに、TTCのサブワーキンググループで、スペクトル管理標準の策定が開始された。

 2001年5月30日には、標準グループの分類を決めた「TTC標準 JJ-100.01」(TTC標準)の草案がまとめられる。この草案では、「収容にあたって制限なし」とされる標準グループにG.992.1 Annex A/CG.992.2 Annex A/Cなどが入った。

 こうした内容は、当時TTC非加入であったBBT(*)にも提示されており、BBTはその内容を問題なしとしている。

*BBTがTTCに加入したのは、今年に入ってから。2002年1月30日に、TTC加理事会がビー・ビー・テクノロジーの加入を承認している

 TTC標準の第一版が、正式に策定されたのは2001年の11月27日。この分類表でも、G.992.1 Annex A/C、G.992.2 Annex A/Cが標準グループに含まれていた。ただしBBTによると、G.992.1 Annex Aの技術条件となるPSDマスク(特定の周波数帯での送信電力を制限するもの)が、草案と異なるものになっていたという。

 BBTの主張に従えば、草案に記載されたAnnex AのPSDマスクは、ITU-Tが勧告する“Annex A”で規定されるPSDマスクと全く同一のものだった。しかし、その後正式に策定されたTTC標準が“Annex A”として扱う規格のPSDマスクは、ITU-Tの勧告するものと異なり、4〜138KHz帯において、より制限の厳しいものに置き換わっていたという。

 なお、BBTがこれに気付いたのは、TTC標準が発表された後。この時点では、すぐに不満を訴える行動はとっていない。

 その後、各通信事業者とも相次いで、8Mbpsを超える通信速度を実現するADSLサービスを発表してきた。BBTも発表こそしなかったものの、3月中旬から愛知県大口町で、高速版サービスの実証実験を秘密裏に実施していた(記事参照)。こうした状況を踏まえて、TTC標準をより現状に沿った内容にすべく、TTC標準“改版”の議論が継続的に進められた。

 2002年7月31日には、イー・アクセスが「システムの分類および再定義について」提案をしている。この提案を基に、各伝送システムが3つのグループに分類されたが、BBTが提供する12Mbps ADSLサービス(社内コード名「Annex A.ex」は、標準外グループとして分類された。

 これにBBT側は猛反発。今回の混乱を引き起こす直接の原因となった。

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関連リンク
▼ 情報通信技術委員会(TTC)

[杉浦正武, ITmedia]

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