ニュース 2002年10月4日 05:30 AM 更新

ソニー製品だけのAVネットワーク? それはちょっと……

ソニーの「VAIO」シリーズ秋モデルに搭載された「VAIO Media」は、優れた機能と操作性を持ち、完成の域に達したようにみえる。しかし、UPnPベースのオープンスタンダードと、今後どのような関係になっていくのかはエンドユーザーとして気がかりな部分だ

記事掲載後、「VAIO Media」に関して、ソニーから訂正の依頼が届いた。それによると、「VAIO MediaはUPnP(Universal Plug&Play)に対応しない独自プロトコル」ではなく、「すべての情報は公開できない」が正しいという。詳細は別記事を参照してほしい

 今年のPC業界、年末に向けた秋の新製品は、例年に比べて静かなスタートを切っているという印象が強い。特にデスクトップPCに関しては、TV録画機能の対応が定着したこともあり、全体的に大きくジャンプアップした印象が持てない(実際には画質が大きく向上し、並のテレビよりもずっときれいな画質を持つものもあるのだが……)。

 しかし、ハードウェアに注目が集まりやすい業界の中にあって、ソニーの「VAIO」シリーズ新製品にインストールされたソフトウェアは、今年大きくジャンプアップした機能性と操作性を備えている。


VAIO MediaのWindows用クライアントの画面。マイクロソフトのFreestyleとも似た家電ライクな操作性の全画面UIを持つ

完成した「VAIO Media」

 これまでのVAIOにインストールされていたソフトウェアは、録画ソフトの「GigaPocket」や画像編集ソフト「Picture Gear」「Digital Print」をはじめ、単体製品としても通用しそうなものがある反面、不要と思われるものが多く感じられた。

 機能の方向性こそ異なるものの、ジャンル分けでは同一のソフトが複数混在し、しかもそれらのユーザーインタフェースがバラバラだったことも「邪魔くさい」と感じさせる原因だったかもしれない。インターネットのユーザーWebサイトなどでは、購入後のVAIO専用ソフトのアンインストール方法を紹介するものまで見かけたことがある。

 しかし、秋のVAIOシリーズにプリインストールされたソフトウェア群は、似たソフトウェアを統合し、簡単に機能を呼び出せるようにメニュー機能を強化したりと、個性的なソフトウェアをバラバラに提供するのではなく、それらを統合して使いやすくしようという意図が強く見られるようになっている。中でもデジタル写真関連のアプリケーションをひとつに統合した「Picture Gear Studio」は、オススメのアプリケーションだ(外販されることを望みたいが、単体発売は未定という)。

 もっとも、これらソフトウェアのレビューをここで行おうというのではない。この連載のテーマにピッタリとマッチしているソフトウェア。「VAIO Media」について、ここでは取り上げることにしたい。

VAIO Mediaとは何か?

 VAIO Mediaは、VAIOをサーバとして各種メディアを家庭内ネットワークで活用するためのソフトウェアプラットフォームである。現在のところサポートされているメディアは、ビデオ、音楽、写真の3つだ。


ネットワーク内のサーバは自動的にディスカバリされてリストアップ、デフォルト接続サーバを決めておくことも可能

 VAIO Mediaの元になるメディアサーバとしての機能は、「VAIO MX」のミュージックサーバコンセプトと「SonicStage」の関係や、GigaPocketの映像をネットワーク経由で視聴できる「GigaPocket Server」 &「Pico Player」などにも見ることができたが、今年春のモデルからはVAIO Mediaとしてそれらのメディアサーバを統合する試みが行われていた。

 しかし、もともとサーバの自動検索機能などネットワークでの優れた使い勝手を備えていたSonicStageや、UPnP(Universal Plag&Play)ベースで作られていたフォトサーバとは異なり、GigaPocket ServerとPico Playerの組み合わせはサーバ名を手動で入力しなければならないなど、一歩遅れた感があった。

 VAIOシリーズの秋モデルに搭載されたVAIO Mediaは、これらの点を改善し、GigaPocketを含めたすべてのメディアサーバ機能を1つに統合している。


ミュージックサーバにアクセスすると、SonicStageで管理するプレイリストを表示


音楽データの再生画面。本来はジャケット写真も表示されるのだが、手持ちのCDの中にジャケット写真がダウンロードされるものが無かった。近年のJ-POP系CDならば大丈夫とのこと

独自に実装(?)されたVAIO Mediaのプロトコル

 VAIO Mediaは、3つのサーバ(映像、音楽、写真)が自動的に起動するため「重くなる」と不評を買う可能性がある。しかし、そこには家庭内ネットワークの将来を垣間見ることができる。

 今回ソニーは、この新しいVAIO Mediaと同時に「RoomLink」と名付けられたVAIO Mediaの再生専用アプライアンスを発表している(VAIO MXの最上位機種にはRoomLinkが標準で添付される)。これをテレビやオーディオ機器に接続すれば、PCのない場所でAV家電と同様の操作性を持つ赤外線リモコンを使い、VAIO Mediaサーバのコンテンツを再生できる。

 RoomLinkに関しては来週、詳細にその使い勝手などを報告する予定だが、コンテンツがどの場所にあるのか、ロケーションを感じさせない再生環境は、同社が目指すユビキタスバリューネットワークの一端を感じさせるものだ。もちろん複数台のVAIOがある環境ならば、プレーヤーをインストールすることでVAIO Mediaをネットワーク経由で再生できる(特殊なアプリケーションというわけではないが、VAIO以外のWindows機での動作保証はされていない)。

 特に今年のVAIOシリーズはGigaPocketのTVチューナー兼ハードウェアエンコーダが大幅に改良され、三次元YC分離回路やゴーストリデューサーを内蔵(9月の記事を参照。36インチのプログレッシブテレビにRoomLinkを接続してGigaPocketの映像を出力してみたが、内蔵チューナーと遜色ない映像で見ることができた(8Mbpsエンコード時。6Mbpsでもノイズはそれほど目立たない)。

 さて、ここで少し気になるのはVAIO Mediaがどのような仕組みで動作しているのかだ。イーサネットを使って簡単に高品質なAVネットワークを構築できるのはいいが、ソニーだけの閉じた世界になるのか、それとも他ベンダーのネットワーク対応AV家電とも接続できる可能性があるのか。

 ソニーの回答は「UPnPではなく独自プロトコルですが、詳しいことは申し上げられません」というものだった。


VAIO Mediaの設定コンソール画面。各サーバの起動、停止に加え、コンテンツセキュリティのポリシー設定を行える。登録したコンピュータ以外はアクセスできない設定にすることも可能

UPnP? それとも?

 しかし、今年夏モデルにインストールされていたVAIO Mediaは、確かにフォトサーバ部がUPnPで作られていたのだ。UPnP機能をインストールしたVAIO以外のPCがLAN内にあると、自動的にフォトサーバが発見され、そのアイコンをダブルクリックするとWebブラウザが立ち上がり公開中の写真を閲覧できる。Webベースだから、もちろん機種を選ぶことはない。

 ところが、新しいVAIO Mediaでフォトサーバを有効にしていても、UPnPクライアントからフォトサーバを発見しない(上記の夏モデルも同一のネットワークで試している)。どうやら、VAIO Mediaは独自のデバイスディスカバリとネゴシエーション、デバイスコントロールなどの仕組みを持つ、UPnPとは異なるプロトコルに統一されたようだ。


新しいVAIO Mediaのフォトサーバ機能にアクセスしたところ。機能的な変化はほとんどないが、他のUPnP対応Webクライアントからフォトサーバにアクセスできなくなった

 UPnPは、コネクティビティの面では仕様がフィックスしてからの時間が経過し、大きな問題もない。しかし、その上で扱うアプリケーションのプロトコルに関しては、いくつかのスタンダードが決まってきてはいるものの、まだ製品化できる段階ではない。

 たとえば、AVサーバとクライアントの仕様と再生/録画コントロールコマンドなどを規定するUPnP A/Vや、デバイス機能メニューをリモコン側に伝達することで双方向ユニバーサルリモコンを実現するUPnP Remote I/Oなどがある。また、包括的なデバイスコントロールコマンドのやりとりを標準化するSCP(別記事を参照)もマイクロソフトを中心に仕様作成が進められているが、今すぐに製品へと実装できるレベルになっているわけではない。

 VAIO Mediaのコンセプトはすばらしいものだが、UPnPベースのオープンスタンダードと、今後どのような関係になっていくのかはエンドユーザーとして気がかりな部分だ。ソニーは、ネットワーク対応WEGAの開発表明を昨年行ったが、これがVAIO Mediaベースのプロトコルを用いるものだとして、VAIO Mediaの世界に飛び込むかどうかは相互運用性に関するポリシーがハッキリしてからにしたい、と僕ならば考えるだろう。

 それは、家庭内のネットワークに参加させるネットワーク対応のAVデバイスが、ソニー製品しか選べないという状況を作り出したくないからだ。アプリケーションプロトコルについて標準がまだ定まっていないというのが理由ならば、たとえばUPnPによるコネクティビティやファイル交換などの手法をベースに、コントロールコマンドやAVサーバとクライアントのネゴシエーションなどのアプリケーションプロトコルだけを独自にするという手法も選択できるハズである。

 好意的に捕らえれば、ソニーの「詳しいことは申し上げられません」の中には、オープンスタンダードへの準拠や相互運用への取り組みが含まれていて、その上で何も言えないということなのかもしれない。何も言えない理由の真相は推測するほかないが、あるいはコンテンツ保護技術との絡みがあるのかもしれない。著作権管理システムとも連携したコンテンツ保護技術に、独自のものを採用しようとソニーが考えているなら、AVネットワークをプロプライエタリに構築する方が手っ取り早い。

 しかし、AVネットワーク機能を期待して購入するユーザー層に対して、ソニーは業界内で進行中のUPnPアプリケーションプロトコルとの関係がどうなるのかだけでもコメントを出すべきだろう。

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[本田雅一, ITmedia]

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