リビング＋：特集

2003/01/29 23:59:00 更新

特集：で、ブロードバンドで何ができるの？(3)
情報を世界に発信しよう！

ブロードバンドでおもしろいものを見るのもいいけど、逆に「自分がおもしろいものを発信して楽しむ」というのはどうか？ ということで、今回は「発信」に焦点を当ててみたい

　「ブロードバンドで動画を楽しむ」といえば、普通は「コンテンツを鑑賞する」ことを指す。そこで、おもしろそうなコンテンツをいろいろ探すわけだが、人によっては「これぐらいなら、テレビだけでいいワ……」となってしまう……。そんな時は、逆に「自分がおもしろいものを発信して楽しむ」というのはどうか？ これだったら、PCにしかできない芸当である。ということで、今回は「発信」に焦点を当てた、動画配信サービスについて見ていきたい。

受信よりメリットが分かりやすい動画「配信」

　今回は、個人による動画配信の話である。実は、ストリーミングという技術のメリットについて述べようとすると、配信側の立場から説明したほうが、はるかにラクなのである。「低コストで配信システムが組める。放送免許が要らない。世界中のどこにいる人に対しても配信できる」……

　実にシンプルで分かりやすいでしょ？ ほかにこのようなメディアは存在しない、という点も考慮すると、ブロードバンドは実に素晴らしい配信インフラなのである。ある意味、「ストリーミングは、実は配信する人のためにある技術なのだ」といえなくもないのだ。

　では、何を配信しろというのか？ いや、別に構える必要はない。人に伝えたいものを、伝えるだけである。例えば、以下のようなものが考えられる。

• 結婚式
• 子供の運動会
• ペット自慢
• バンド自慢
• 動画日記
• メッセージビデオ
• ショートフィルム

　あまりに個人的な映像は、実は私が最も苦手とするジャンルなのだが……。せっかくビデオ撮影したのだから、配信すればよろしい。以下に紹介するサービスを使って、まずストリーミング配信し、それを自分のWebページからリンクする。もしくは、どこかの掲示板で紹介して、より多くの人に自慢の映像を伝えるのもいい。

　これを「世界中の人に見せる」と考えると照れるかもしれないが、多くの人間は、こちらから知らせない限りネット上にコンテンツが置いてあると気付かない。「どこそこに、こういうコンテンツをアップロードしました」と、知り合いにだけ知らせればいいだろう（パスワードをかけて、知り合いにだけパスワードを教えることもできる）。

　実際、結婚式のビデオテープを送りつけられるよりも、ずいぶんと気はラクだ……。

配信サービスとは、何をしてくれるものか？

　ところで、以上のような配信を行う際、自分で一からシステム構築するというのはなかなか面倒な話である。そこで役立つのが、これから紹介する各種のサービスというワケである。たいていの場合、動画ファイルをアップロードするだけでストリーミング配信（もしくはダウンロード配信）してくれるという仕組みになっている。

　逆にいうと、最低限「映像を取込み、指定フォーマットにエンコードする」ことくらいは行わなければならない（できればカット編集もしたいが）。フォーマットとしては、Windows MediaかReal Mediaが使われることが多いため、Windows Media エンコーダ、Helix Producer Plusといったソフトウェアが必要になる。ちょっとだけ面倒だが、それでも、これだけの作業で配信できてしまうというのは素晴らしいことである。

　では、どんなサービスがあるか見てみよう。

myVideo

　NTTコムウェアが行っている動画配信のデモサイト。会員登録すれば誰でも活用できる。Windows Media、Real Mediaのいずれかでエンコードしたものを、Webブラウザ上からアップロードできる。配信はダウンロード形式となる。公開／非公開を選択できるようになっている。

　このサイトの特徴は、サイト全体がコミュニティとしてデザインされている点。サイト全体でキーワード検索、カテゴリー検索ができるようになっているほか、「人がアップロードしたビデオをメールで知らせる」といったユニークな使い方もできるようになっている。

BIGLOBEハピショット

　ハピショットは、ユーザーが自分の「動画のアルバム」のページを作り、公開するというサービスだ。アップロードできるフォーマットは、QuickTime、MPEG、Windows Media、Real Media。エンコードしたファイルをWebブラウザからアップロードし、それらを公開するか、パスワードをかけるかといった設定が行える。

　Windows MediaとReal Mediaのみがストリーミング配信されるとのことだが、説明を読んだ限りでは、これは厳密な意味での「ストリーミング」ではなく、「疑似ストリーミング」、もしくは「プログレッシブダウンロード」と呼ばれる、ダウンロードしながらの再生ではないかと思われる。

（＊編集部注：当記事掲載後、BIGLOBE側から「拡張子「.wmv」「.asf」「.rm」のファイルをアップロードすればストリーミング配信され、それ以外のファイル形式の場合はプログレッシブダウンロードになる」との指摘をえました。ここに併記します）

　会費は月額300円で100Mバイトまで使え、最大500Mバイトまで増設できる。基本的にはBIGLOBE会員向けのサービスだが、他のISPユーザーでも利用できる。どちらかというとコミュニティというよりは、「個人のページ作成支援」の色が強い。

@フューチャー映像配信サービス

　無料で個人の映像のストリーミング配信をしてくれるサイト。フォーマットはWindows Mediaのみで、やはりWebブラウザを使ってファイルのアップロードができるようになっている。ユーザーのWebページにリンクさせて、自分のサイト上で映像を配信しているように見せる仕組みも用意されている。

　また、エンコードがうまくできないユーザーのために変換サービスも行われている。さすがに投稿が多いだけあって「インディーズ」的な雰囲気を醸し出している。

BROBAキャスティング

　最近、「脱コンテンツ、コミュニティ指向」を打ち出している感のあるBROBAは、会員向けのストリーミングサービス「BROBAキャスティング」を提供している。ユーザーはWebブラウザを使って、Real MediaもしくはWindows Mediaのファイルをアップロードして登録するだけで、動画を配信できる。

　さらに、専用のアップロードツールを使うと、AVIやMPEGファイルをRealやWMTにエンコードし直すことができる。ビデオの紹介メールを作れる点などは、myVideoに近いといえるかもしれない。

spotlife

　米SpotLifeによるライブ配信支援サイト。PCをカメラに接続し、専用のフリーウェアを使ってリアルタイムでカメラからの映像を配信するという仕組みとなっている。オンデマンド型もあるにはあるが、基本はライブストリーミングとライブWebカム（静止画の連続送り）のようだ。

　30日間の無料トライアルがあるが、会費は月額2.99ドルからで、さまざまなプランが用意されている。コンテンツはジャンル別に分類されており、「LIVE NOW」のコーナーでは、今現在行われている放送をチェックできる。

メールサービス、携帯配信でよりパーソナルに

　このほかにも、@nifty、BIGLOBEなどはメールに動画を添付して配信するサービスを展開している（関連記事1、2参照）。本当に限られた人にだけコンテンツを見て欲しい場合には、こういうサービスでも十分かもしれない。

　また、「どこでもVネット」の「Vちゃんねる」のように（記事参照）、「FOMA機から指定の電話番号に電話するだけで、リアルタイムにWebサイトでストリーミング配信が展開される」というサービスもある。

　これらのコンテンツ制作において、少し気の利いたものを簡単に作ってみたいと考えている人には、ビジュアルコミュニケーターPLUSを紹介したい。2万円を切る価格帯で、ブルーバックやら、驚くようなエフェクトやらを扱うことができる。キャスター気分を扱える一本だ（残念ながらWindows版のみ）。

動画配信はどう「化ける」か？

　と、いくつか挙げてみたが、まだまだ発展途上であり、それだけに可能性を秘めた分野でもある。こうやってサービスが立ち上がっていく一方で、percasTVのようにサービスを終了してしまうところもある（記事参照）。このことをもって、「うーむ、個人発信はダメか……」と見る向きも多いようだが、それはちょっと違うのではないか？ 私が思うに、このサービスの時期がちょっとばかり早過ぎたのだ。

　今後、もっとユーザーが積極的になり、さらに、このような個人のコンテンツがパソコンだけでなく、テレビや携帯電話でも見られるようになれば、状況はかなり変わってくるハズだ。今年の後半から来年の頭くらいにどう化けているか、見たいものだ。

　だが、「化ける」ことがいいか悪いかという話は、今の段階では置いておこう。個人の配信するアダルト系、オカルト系コンテンツが氾濫し、様々な混乱がもたらされるという可能性もある。新しいメディアには、必ずいい面と悪い面があるものなのだ……。

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特集：で、ブロードバンドで何ができるの？(2)ファイルを上手に受け渡ししよう
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[姉歯康，ITmedia]

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