リビング+:特集 2003/03/13 23:59:00 更新

特集:そろそろ気になる? “ワイヤレス液晶TV”(レビュー編)
ワイヤレスもバリエーションの1つ〜そこが特別な“FACE”ワイヤレス

東芝の「液晶“FACE”ワイヤレス」は、今回取り上げた3製品の中でもっとも“普通”のTVだ。ワイヤレスTVだからといって特別な部分がない、それこそが本製品の特徴ともいえる

 東芝の「液晶“FACE”ワイヤレス」は、MEPG-2にリアルタイム圧縮したTV映像をIEEE 802.11b伝送するワイヤレスTVだ。現在、20インチ/14インチがラインナップされているが、今回は20インチの製品を試用した。

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モニター部のデザインは一般的な液晶TVとなんら変わらない。チューナー部(本製品ではベースステーションと呼ぶ)はコンパクトで非常に軽量、縦置きで設置スペースを取らない
製品名20LF1014LF10
液晶パネル20V型(VGA)14V型(VGA)
モニターサイズ493×198×523mm(スタンド含む)358×177×417mm(スタンド含む)
重量(モニター)6.3kg(スタンド含む)4.1kg(スタンド含む)
入出力端子ワイヤレスステーション部:アンテナ、ビデオ入力×2、S入力×2、モニター出力×1、ビデオスルー×1
モニター部:ビデオ入力×1、S入力×1、ヘッドホン出力
価格オープン(実売230,000円前後)オープン(実売160,000円前後)

 “FACE”は、東芝のTVに共通したブランド名であり、ワイヤレスという特別な機能を持っていながら、液晶“FACE”ワイヤレスには特別なブランドが与えられなかった。しかし逆にいえば、まずTVであることを大事にした製品ともいえるだろう。

 今回は、特集としてワイヤレスTV3製品を取り上げているが、本製品は一番“普通”のTVだ。20インチという、液晶としては大画面だが、リビングで使うTVとしてはスタンダードなサイズも準備され、デザインも突飛なものではない。ワイヤレスTVだからといって特別な部分がない、それこそが本製品の特徴だろう。

画質にこだわったシンプルなワイヤレスTV

 製品としても、ワイヤレスであるという点を除けば、極めてシンプルなTVだ。チューナー分離型で、モニターとチューナー間がケーブルではなく、802.11b仕様の無線で接続されていると思えばいい。使い勝手の面も、モニターとチューナーにそれぞれACアダプタが必要という点、外部ビデオ機器などははチューナー部に接続するという点を除けば、特別なことはなにもない。

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液晶パネル部分は上方だけではなく、わずかに下方にもティルトする。机の上において床に寝そべってTVを見る、といったスタイルにも対応できるだろう
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背面には持ち運ぶための“取っ手”があり、6.3kgの20インチモデルの移動もさほど苦にならない。チューナー部には、AV入出力がそれぞれ2系統。Sビデオは入力のみ対応。無線の通信チャンネルはここで設定する(クリックで拡大)

 この製品に特別な点があるとすれば、それは画質だ。液晶パネルは未使用時でも黒がぐっと沈み込んだ印象を受け、これは使用時の画質にもそのまま反映されている。輝度は極めて高いが、黒の締まりも良い。

 家電製品の宿命として、標準設定では派手気味の画質になりがちだが(明るい店頭でのアピールが必要なため)、多少調整を行えば、照明を落として映画を楽しむのに適した画質を得ることもできる。ノングレアコートも施され、今回取り上げた3製品中、写り込みはもっとも少ない。

 今回、試用したのは20インチの製品だが、液晶パネルの解像度は640×480ピクセル。PC用モニターと比較すると、ピクセルサイズは格段に大きい。しかし実際に映し出されている映像を適切な距離から見る限り、ピクセルサイズはまったく気にならない。気になるとすれば、DVDビデオなどで極端なワイドスクリーンとなったとき。画面をフルに利用できないため、字幕などで多少解像度不足を感じた程度だ。もちろん字幕が読めないということはない。

 筆者宅の16.5インチ、SXGA(1280×1024ドット表示)のPC用液晶ディスプレイと同じDVDビデオソフトを再生して比較してみたが、確かにPC用液晶ディスプレイ方が解像感は高く字幕などはくっきりしている。これは無線接続を利用せず、本製品のモニター部に直接DVDプレイヤーを接続しても変わらなかった(FACEは、今回取り上げた3製品の中で、唯一モニター部にAV入力端子を持っている)。それでも、映像としては本製品の方がずっと自然な印象を受ける。これは反応速度の速い(残像の少ない)液晶パネルの採用など、TVとしてきっちり作り込まれた結果だろう。

 ワイヤレス化による映像への影響はあるのだろうか。ワイヤレスではもっとも高ビットレートな6Mbpsとワイヤードの比較を中心に行ったが、極端に近い距離で見ると、確かにワイヤレスではMPEG-2独特のノイズを感じるし、動きの激しいシーンでは違和感を感じることが無いわけではない。しかし、普段TVを見る距離をおくと、それほど違和感を感じなくなる。

 また、地上波TVを視聴する限りは、最も低い4Mbpspのワイヤレス接続でも画質が大きく破綻することはない。ワイヤレス化が画質という点でマイナス材料であることは事実だが、利便性のメリットの方が大きいというのが正直な印象だ。

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ワイヤレス接続時のMPEG-2ビットレートはチューナー部の前面で設定可能。通常はもっとも高画質な1(6Mbps)に設定しておけば、無線状態に応じて4.5/4Mbpsまでビットレートを自動で下げてくれる

便利なリモコン中継機能と利用幅を広げる直接入力

 今回取り上げた3製品は、全てチューナー部の近くにおいた機器を無線を通じてリモコン操作できる機能を持つ。本製品の場合は、リモコン信号そのものをパススルーする仕組みで、面倒な設定作業がいらないうえ、操作の制限も、操作できる機器の台数も制限がない。その代わり、操作したい機器のリモコンが手元にある必要がある。

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この赤外線送信部をリモコン操作したい機器に向けて設置する。距離(赤外線の到達範囲)を調整すれば1つで複数台のAV機器を操作することもできるため、2つあれば、家庭のAV機器は概ねカバーできるだろう

 モニター部にもAV入力があるのは大きなメリットだ。場所を問わず、DVカメラなどをつないで利用したり、プライベートルームでは自分専用のビデオデッキとワイヤード接続し、リビングにあるCS/BSチューナーとワイヤレスで接続といった使い方ができる。

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モニター部のAV入力であるAV3への切り替えはモニター部上部でのみ行え、リモコンでは行えない。それほど利用頻度は高くないという想定なのだろうが、ちょっと不便だ

 逆転の発想をすれば、MPEG-2キャプチャーボードなどを内蔵したPCのそばにチューナー部を置いて接続しておき、モニター部をリビングルームにおけば、PCで録画した番組を手軽にリビングで楽しむこともできる。リビングのAV機器とはワイヤード接続してしまえば良いわけだ。条件として、PC側にビデオ出力がある、PCのビデオデッキ機能がリモコン操作できる必要があるものの、現在のAVパソコンであれば問題は少ない。実は、FACEが届いたとき、筆者が真っ先に使いたいと思った方法だ。

トランスポータブルにマッチしたさらなる改良を

 本製品は、屋内で持ち運ぶことを前提としているが、モニター部、チューナー部共に電源はACアダプタ仕様だ。チューナー部はともかく、モニター部はACユニットを内蔵すべきではないだろうか? モニター部単体のサイズと重量が大きくなる点を嫌ったのだろうが、両端にケーブルがあるACアダプタをモニター部と一緒に持ち運ぶのは決してスマートではない。手軽に持ち運んで使って欲しいのならば、ACユニットを内蔵し、かつモニター部に電源ケーブルを巻きつける仕組みなども加えるべきだろう。

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左がモニター部、右がチューナー部のACアダプタ。逆ならいくらかいいのだが……。モニター部用は、持ち運び時に内蔵できるか、一時的にでもモニター部の背面に固定できるような工夫が欲しい

 モニター部のAV入力も、ひと工夫欲しいところ。ビデオ、音声ケーブルはアダプタに接続し、このアダプタをワンタッチで着脱可能な形式にしてくれると、さらに便利なのではないかと思う。デザインを阻害するかもしれないが、前面にコネクタを配置してくれてもいい。背面を覗き込まないと接続できないのでは、移動が自由なだけに不便なのではないだろうか。

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これがモニター部のAV入力。コネクタが後ろ側に出っ張らないように下向きになっている反面、抜き差しはちょっと面倒。デザイン優先なのはなんとなくわかるのだが……

 液晶“FACE”ワイヤレスは、20インチという多人数で楽しめるサイズが準備されている点も含め、純粋に家庭内で持ち運びできるTVとしての出来はもっとも良いと思う。シンプルな機能の中にも、総合家電メーカーである東芝らしいコダワリが、ひしひしと感じられる製品だ。

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[坪山博貴,ITmedia]



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