リビング+:特集 2003/05/06 23:28:00 更新

特集:いま、固定→携帯通信が変わる
見えた「携帯マイライン化」への道のり

携帯事業者が料金設定権を握る――という慣例が、いままさに崩れようとしている。固定→携帯通信がどうなるのか、総務省の研究会がまとめた報告書から読み解いてみよう

 固定電話発信、携帯電話着信(固定→携帯)の通信については、昨年から多くの議論が繰り返されてきた。参議院では総務省への質問も行われるなど(記事参照)、世間の注目も集まった問題が、いままさに決着へ向けて動こうとしている。

 総務省は、「料金設定の在り方に関する研究会」を開催し、このたび報告書案をまとめた(PDF資料参照)。報告書案ではどのような結論が出ていたのか、本日から4回にわたって特集する。

5月6日:見えた「携帯マイライン化」への道のり
5月7日:“中継接続”が望ましい理由(仮)
5月8日:得をするのはどの事業者か?(仮)
5月9日:どうなる、IP電話→携帯の料金設定(仮)

 この問題を考える前に、これまでの経緯を簡単に整理しつつ、タイトルにもなっている「携帯のマイライン化」とはどういう意味なのか、説明しよう。

 そもそも固定→携帯通信が話題になったのは、2002年7月のことだった。携帯事業者が料金設定権を握る現状を、「料金の高止まりにつながる」と主張する平成電電が総務省に裁定申請を行ったことから(記事参照)、業界を巻き込んだ議論が始まった。平成電電側には、料金設定権を握り、コスト競争力のあるサービスを提供することで、加入者の囲い込みにつなげる意図がある。

 問題が、いったん収まったかに見えたのが、実際に総務省が裁定を下した2002年の11月22日。「平成電電直収の設備から、NTTドコモの設備に着信する通話サービスは、平成電電に料金設定権を認める」として、平成電電の言い分が一応は通った。

 しかし、ここで注意しなければならないのが“平成電電直収の設備から”という表現だろう。実は、このような接続形態をとるのは、主に企業の場合。エンドユーザーは知ってのとおり、一般にNTT東西地域会社の設備を介して、発信する。つまり、平成電電としては直収の場合よりむしろ、NTT東西地域会社の設備から発信――平成電電(もしくはそのほかの中継事業者)が中継して――NTTドコモの設備に着信する、という接続形態で、料金設定権を得たかったわけだ。

 しかし、この場合に料金設定権がいずれの事業者に帰属するかは、裁定が見送られてしまった(記事参照)。エンドユーザーとしても、まさに興味ある部分が、未解決のまま残ったわけだ。

 その後、2002年12月から料金設定の在り方に関する研究会が開催され、上述の積み残した問題の決着方法が話し合われた。研究会ではまた、IP電話発信→携帯電話着信というケースの料金設定も、議論の対象となった。

「中継接続」という考え方

 報告書案からは、固定→携帯の現状を変えようと、平成電電などの中継事業者が積極的な主張を行ったことが読み取れる。彼らが提唱したのは、料金設定権を一部、ないし全部中継事業者にまかせる方式だ。報告書案ではこれを「中継接続」と呼んでいる(下図の2と3がそれ)。

方法料金設定権電話のかけ方
1.現状維持携帯事業者090……をダイヤル
2.選択中継中継/携帯事業者00XY-090……をダイヤル→中継事業者が設定 / 090……をダイヤル→携帯事業者が設定
3.優先接続中継事業者事前にマイライン登録を行い、00XYを省略した状態で090……をダイヤル

 2の選択中継とは、たとえばユーザーが頭に“0038”といった事業者識別番号を入力することで、中継事業者が設定した料金で通話ができる、というサービス。もちろん、“0038”を入力しなければ、従来のように携帯事業者が決めた料金体系で課金される。

 3の優先接続は、固定→固定通信でおなじみの“マイライン”を思い浮かべれば分かりやすいだろう。マイラインでは、KDDIや日本テレコムといった特定の事業者にマイライン登録することで、事業者識別番号を入力することなく、その事業者の料金体系で通話できる。

 「携帯のマイライン化」とは、つまりは3の優先接続を採用するということ。現在、マイラインは「市内通話」「同一県内の市外通話」「県外への通話」「国際通話」の4区分で、それぞれ事業者を選択可能だが、ここに新しく「携帯電話への通話」という区分を加えてはどうか、というわけだ(記事参照)。

意見の衝突と、報告書案の出した答え

 もちろん、2や3のような中継接続のあり方に、反対する意見もある。反対論者のよりどころとなるのは、中継接続導入に費用がかかること。

 IP電話などが今後、いっそう普及してくることを考えると、既存のインフラに追加的な費用・期間をかけてまでシステム改修をする必要はないという。また、中継接続導入によって料金体系が複雑化し、エンドユーザーに分かりにくくなる、との主張もある。

 一方、中継接続推進派が掲げるのは、利用者料金の低廉化。中継事業者が新しい料金体系を提案して、市場に参入することで、価格競争が促進される。結果、利用者料金の多様化、低廉化が進むという考え方だ。これは、諸外国の料金設定のあり方とも整合するという。

 いわば、意見が真っ向から対立しているわけだが、報告書案ではどう結論を出したのか? その答えは、報告書案から抜粋した以下の文章に明言されている。

 「……(略)……固定電話発携帯電話着について中継接続を導入し、中継事業者も料金設定を行うことが適当である」。

 なお、2と3のいずれが適切かについては、「まずは選択中継から行うべき」としている。ただし、「必要があれば、別途優先接続導入について検討することを否定するものではない」とも。……何故このような結論に至ったのだろうか? その詳しい説明は、明日の特集第2回で、引き続き行うこととしたい。

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関連リンク
▼料金設定の在り方に関する研究会報告書(案)
特集:いま、固定→携帯通信が変わる 1/4 次
5月7日掲載分

[杉浦正武,ITmedia]



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