リビング+:特集 2003/05/07 23:59:00 更新

特集:いま、固定→携帯通信が変わる
“中継接続”が望ましい理由

総務省の研究会がまとめた報告書案では、固定→携帯通信のあり方について、中継事業者が料金設定権を持つ“選択中継”が望ましいと明言されている。なぜ、このようにはっきりとした結論が出たのだろうか?

 固定電話発信、携帯電話着信(固定→携帯)の通信のゆくえを探る特集、第2回は、報告書案で明確に“現状維持”より“中継接続導入”が望ましい、と結論づけられた過程を追いかける。

 なお、中継接続とは下図(再掲)における2と3のように、中継事業者が料金設定権を持つ方式を指す(「見えた「携帯マイライン化」への道のり」参照)。

方法料金設定権電話のかけ方
1.現状維持携帯事業者090……をダイヤル
2.選択中継中継/携帯事業者00XY-090……をダイヤル→中継事業者が設定 / 090……をダイヤル→携帯事業者が設定
3.優先接続中継事業者事前にマイライン登録を行い、00XYを省略した状態で090……をダイヤル

「料金の低廉化」という側面

 報告書案をまとめた「料金設定の在り方に関する研究会では、まずどちらを採用した場合に利用者料金が低廉化するか、という点から検討を行っている。

 平成電電などの中継事業者が主張するのは、携帯事業者が料金設定権を握る現状では、料金が高止まりするということ。中継接続により、新しい料金体系がユーザーに提示されることで、価格競争が促進され料金の低廉化につながるという。

 一方、携帯事業者の主張によると、固定→携帯通信で主要な機能を持つ事業者(=携帯事業者)には、常にコストを削減しなければならないというインセンティブ(誘引、動機)がある。そのため、中継接続を導入するまでもなく、継続的かつ均衡のとれた料金低廉化が可能だという。

 研究会はこの対立を、どう結論づけたのか? まず、ここ10年間で、固定→携帯通信、および携帯→固定通信の料金がどう変化したのかを見てみよう。

固定→携帯通信(平日昼間3分、同一県内の場合)
キャリア1993年3月2003年3月
NTTドコモ260円80円
au260円120円(→90円に値下げ)
J-フォン260円120円
ツーカー260円120円

携帯→固定通信(平日昼間3分、同一県内の場合)
キャリア1993年3月2003年3月
NTTドコモ260円70円
au230円100円
J-フォン200円80円
ツーカー200円80円

 これを見ると、“高い”と非難されがちな固定→携帯通信料金も、意外に携帯→固定通信の料金とそう変わらないことに気付く。報告書案でも、「(携帯→固定と)遜色ない程度の引き下げが図られてきていると認められる」と記述されている。

 しかし……、と報告書案では文面が続く。

 中継事業者も料金設定を行う方法なら、携帯事業者のコスト削減努力は、“自身の利用者料金低廉化”と“接続料の低廉化”の2つの側面で反映されることになる。このため、中継接続を導入しても、携帯事業者の「コスト削減インセンティブ」を減殺させることにはならない、としている。

 さらに報告書案では、携帯事業者が料金設定権を握る現状では、「着信利用者の加入状況に応じて、発信利用者の料金が決定される」ことになる点を問題視。

 中継接続なら、発信利用者の要望がより反映されるとして、競争促進につながるとしている。これにより、「一層の料金の低廉化が期待できる」(報告書案より抜粋)。つまり、携帯事業者のいう「コスト削減インセンティブ」の効果を認めつつも、結局は中継事業者の主張を全面的に受け入れたわけだ。

利用者に分かりにくいか?

 もう1つ争点となったは、中継接続を行うと料金体系 が複雑化し、利用者に分かりにくくなるのではないかという問題。

 これに対して中継事業者は、現状でも利用者に分かりやすい料金体系とはいえない、と反論する。たとえば、前述の「着信利用者の加入状況に応じて、発信利用者の料金が決定される」という現状を、どれだけのユーザーが把握しているか? というわけだ。

 研究会は報告書案の中で、総務省の電気通信消費者モニターに対するアンケート結果から、「固定→携帯通信は、携帯事業者が設定していることを知っている」ユーザーが全体の53%に留まっていることを引用。電気通信消費者モニターが“電話などに関心がある消費者”であると考えられるにも関わらず、このような状況であるのは、周知活動が徹底していない、と指摘する。

 一方、もし中継接続を導入すればどうなるか。確かに、直接的に分かりやすくなるわけではないが、中継事業者は顧客獲得のため自らの料金体系について積極的にPRを行うことが想定されるため、ユーザーの理解度も増すと予測している。

 また、発信利用者は自ら事業者識別番号の入力(もしくはマイライン登録)により、特定の事業者の料金体系で通話していることが明らかになる。この部分の明快さは、中継接続の方が上だ。このため、利用者にとっての分かりやすさという点でも、中継接続が望ましいことになる。

 このように、料金低廉化と分かりやすさ、いずれの側面からも、中継接続が望ましいという結論が出た。こうした議論の結果、前回も触れたように報告書案に「固定電話発携帯電話着について中継接続を導入し、中継事業者も料金設定を行うことが適当である」という文面が登場した。

「選択中継」か「優先接続」か?

 ところで、ここで思い出してほしいのが中継接続にも2種類あること。冒頭の図で、2と3にあたる「選択中継」と「優先接続」だ。

 報告書案では、このうち選択中継がより望ましいとしている。理由は、導入時のコストなども絡んでくるのだが、これについては次回、より詳しく見ていくことにしたい。

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関連リンク
▼料金設定の在り方に関する研究会報告書(案)
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[杉浦正武,ITmedia]



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