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2003/05/28 23:43:00 更新 |
ADSLの高速化、注目は6月末〜7月?
いくつかのADSL事業者やISPは“20Mbps超”あるいは“最大24Mbps”といった表現で、より高速なADSLサービスの計画を明らかにしている。しかし、提供時期の話になると各社とも歯切れが悪いようだ。より高速なADSLサービスはいつ始まるのか?
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ADSLユーザーにとって、今最大の関心事は高速化のタイミングだろう。既に、いくつかのADSL事業者やISPは“20Mbps超”あるいは“最大24Mbps”といった表現で、より高速なADSLサービスの計画を明らかにしているものの、提供時期の話になると各社とも歯切れが悪い。より高速なADSLサービスはいつ始まるのか。センティリアム・コミュニケーションズプロダクト・プランニング担当ディレクターの郷右近一彦氏に見通しを聞いた。
新しいADSLサービスを始めるにあたり、まず考慮しなければならないのがスペクトル管理標準への適合性。ただし現在の「JJ-100.01」は、1.1MHzまでの周波数を使うG.dmtが前提であり、2.2MHzあるいは3.7MHzを上限とするダブル/クアッドスペクトラムADSL+を想定していない。このため、まずは管理標準のアップデートが必要になるという。
現在、総務省はDSL作業班の協議を踏まえ、「DSLスペクトル管理の基本的要件」(案)に対するパブリックコメントを募集中だ。この受け付けが終了するのが6月2日。その後、情報通信技術委員会(TTC)によって改訂版の作成が進められる。
TTCで“改訂版”スペクトラム管理標準に関する合意が成立すると、これを受けてNTT東西地域会社が接続約款の変更を申請することになる。この認可が下りるタイミングが、新サービス開始の好機となるだろう。
問題は、TTCの協議にかかる期間だが、郷右近氏は「一回の会合で合意に至るものではない。24Mbpsサービスの開始は、早くても6月末から7月になるだろう」と予測している。
ニフティは、5月上旬に行われた記者懇親会の場で「1〜2カ月のうちに20Mbpsのサービスを提供したい」という意志を表明しているが、仮にTTCの協議が順調に進めば、同社の計画に沿った展開も期待できそうだ。
50Mbpsサービスは年末?
ただし、この予測は24Mbpsサービスに限ったもの。ダブル・スペクトラムADSL+の日本仕様は、既にITU-Tで「Annex I」として合意が成立しているが、一方でクアッド・スペクトラムに関する日本向けの標準仕様はまだ存在していないからだ。
ITU-Tの会合は半年に一度。次は10月に開催される予定だ。もちろん、10月に合意に至ったとしても、そのあとに24Mbpsサービスと同様の手順を踏むことを考慮すると、実際のサービスが開始されるまでにはもう少し時間が必要となる。50Mbps ADSLのサービス開始は、順当にいっても年末もしくは2004年初めになりそうだ。
なお、これらの予測は標準化のスケジュールをベースにしたものであり、「より早い時期にサービスを開始する事業者が現れる可能性もある」と同氏は指摘する。「サービスの提供時期は、あくまでADSL事業者の戦略次第だ」。
乱暴な言い方をすれば、“標準はなくてもいい”という事業者が出てくる可能性も否定できない。12Mbps ADSLサービス開始時の状況を考えれば、十分にあり得ることだろう。
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米Centillium Communications
[芹澤隆徳,ITmedia]