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区分 | 被干渉に対する保護あり | 被干渉に対する保護なし |
与干渉に対する利用制限なし | クラスA | クラスB |
与干渉に対する利用制限あり | クラスA' | クラスC |
各伝送方式のクラス分けにあたっては、第9回の会合終了時で「一定の計算モデルに基づく“保護判定基準値”に沿って判断される」、と規定されていた。ただし、単純な計算式で標準外とされては困るソフトバンクBBは、フィールドにおける実測データを判定に利用することを要求。「実測データは、当該回線のケーブル内における状況についての情報が不十分」とするNTT東日本などと、真っ向から対立した。
結局、この保護判定基準は事業者間の個別協議も含めて、総合的に判断されることに落ち着いた。報告書案には、既存方式の保護判定基準値を設定するにあたり、「サービスの実態を考慮し、必要に応じて……現実的な範囲で緩和を行うこともできる」という文面も盛り込まれる見込み。120万回線のユーザーを抱える、Yahoo! BB 12Mが不利な分類を受けないよう、一応の道筋はついたものといえる。
なお、第10回の会合にあたりソフトバンクBBとイー・アクセスが、それぞれ自社サービスである「Annex. A OL」(オーバーラップ)と「Annex C FBM」を、クラスAに分類すべきと主張した。しかし前述のとおり、事業者間の調整をへてクラス分けが行われることから、4月22日の時点ではまだ、どの技術がどのクラスに分類されるかは明文化されていない。
会合でもう一点、議論が白熱したトピックが「遠距離向け伝送方式の扱い」だった。
報告書案では、電話局の局舎から遠距離のユーザーに対してサービス提供が容易になるよう、遠距離向け伝送方式はできる限りの配慮をするとされている。具体的には、遠距離伝送方式は“利用制限を受けない方式”に分類するということだ。これには、参加した各事業者が合意している。
それでは、具体的に伝送損失がどの程度以上の場合を遠距離として認めるのか。これを巡って、出席者の意見は鋭く対立した。
ソフトバンクBBが提案したのは、NTT線路情報(記事参照)上で「伝送損失40dB」となる場合。根拠としては、同社が提供する遠距離向けサービス、Reach DSLの利用者が現れるのが、40dBからであることを挙げた。
しかし、イー・アクセスは線路長対伝送損失の図から、「伝送損失62dB」までは通常のサービスでサービス可能と判断。これより遠距離向けの場合にのみ、初めて遠距離通信と定義されるべきとした。
この件に関する結論は、ほぼ出なかった。折衷案として、伝送損失が60dBを超える距離を対象にするサービスは全くの“無制限”にして、40−60dBの距離を対象にするサービスには、ある程度の優先を認めるが無制限にはしない、とすることも検討されたが、これではあいまいに過ぎるため、合意に至らなかった。今回の報告書案では、この件もやはり明文化されていない。
一連のDSL作業班の会合では、当事者間の意見の対立が特に目立ち、しかもお互いが歩み寄りの姿勢を見せない点ばかりが目に付いた。
各事業者は、彼我の意見の差を知り、それを埋めようとはせず、相手のあげ足をとったり、「は?」と悪意を持って聞き返したりするシーンがしばしば見られ、一部の出席者が「議論をまとめるつもりがあるのか疑いたくなる」と発言するなど、険悪な雰囲気になることもしばしばだった。
前回の合意事項が報告書案に正しく反映されていない、として事務局を批判する声もあり、事務局の人間が「それなら、各人が自分で考えたとおりの文書を作成して、これを“両論併記”のかたちで掲載するほかない」と、怒気を含んだ声で反論するシーンも。また、前述の“40dBか60dBか”の議論では、ある事業者が「私は正直、どちらかに決まるとは思えないんですよ……」と発言。傍聴席も含めた会場全体が苦笑に包まれるといったシーンもあった。
今回で、報告書の体裁だけはまとまった。確かにまだ議論が残る部分はあるが、事業者間の協調により解決できるはず。こうした争いで、エンドユーザーに不利益が生じないようにしてもらいたいものだ。
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