リビング+:特集 2003/09/09 23:59:00 更新

特集:何が違う? 1クラス上のブロードバンドルータ
高速&機能充実の「WebCaster 7000」だが、ソフトウェアの熟成に期待 (2/2)


スペック、機能は十分だが?

 スペックや機能などの面では間違いなくクラスナンバーワン。価格に見合うだけの高機能製品であることは間違いない。しかし、機能の多さ、ハードウェアプラットフォームの新しさは、ハードウェアとしての魅力を高める反面で、安定性などに不安を感じる面もある。ルータはハードウェアとして販売されているが、その機能的な本質はファームウェア、つまりソフトウェアの品質に依存しているからだ。では、実際の製品を見てみよう。

 最近のルータらしく、インターネットへのゲートウェイとして設定する際の手間は最小限。PPPoE、固定IPアドレス、DHCPによるIPアドレス自動取得、いずれの方法でインターネットへと接続するかが把握できていれば、画面の指示通りに情報を入力すれば、問題なく利用できる。

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設定メニュー画面(クリックで拡大)

 このほか、動的/静的なパケットフィルタリングをはじめ、近年のルータに求められるほとんどの機能が実装され、いずれもWebブラウザから簡単に設定することが可能だ。オンラインヘルプ機能が弱く、画面上のガイダンス以外の情報がオンラインで参照できない点はマイナス点だが、豊富な機能を活かす設定の容易さに関しては心配無用だ。

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セキュリティ設定は3段階。「最大」に設定すると、Web、メール、FTPなど一部のアプリケーションを除いて、発着信をすべて拒否する。通常は「標準」でいいだろう

 VPNサーバ機能に関しても、ウィザードを用い、設定の流れも親切。接続を許可するユーザー/パスワードの管理も簡単で、特に迷うことはないはずだ。内蔵の代理DNSサーバ機能は、LAN内に存在するDHCPクライアントの名前が自動登録されるほか、手動で名前を登録しておくことも可能。ダイナミックDNSサービスにグローバルIPアドレスを自動登録する機能もあるが、「dp-21.net」しか利用できない(なお、dp-21.netは有料サービス)。

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簡単設定ウィザード。接続とVPNの設定が用意されている

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VPNの設定画面。項目が分かりやすく並んでいる

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リモートクライアントに配布するプライベートIPアドレスの範囲を設定する

 速度面でも特に高速というわけではないが、別途掲載予定の速度テストではダウンロードはもちろん、アップロードでも大きな問題はない。くわえてVPN接続時の速度は、取り上げた3機種中もっとも高速だった。基本的な機能を一通り使った中では特に大きな問題もなく、その機能の高さの方が印象的である。

 しかし、ファームウェアの練度の面では、まだこなれていない面もあるようだ。短期間の試用で原因の特定には至らなかったが、ごく希に、すべてのオブジェクトが正常に表示されない、あるいはページが取得できないという現象があった。どうやら、ダウンロードのリクエストが(非常に短時間に)タイムアウトしセッションが閉じているようだが、具体的な原因はわからない。本体からはルータとしては多めの熱が出ており、あるいは熱暴走などの可能性もある。

 ただし、編集者が購入した個体では、熱暴走に類する現象はとくに見られないとのことなので、もしかすると試用した個体特有、あるいは設置環境に依存する問題かもしれない。

 また一部のブロードバンドスピードテストでエラーが出るという現象も体験した。どうやら、ステートフルパケットインスペクションで相手からの接続要求を受け付ける時間設定が短いようで、ログにはファイアウォールが外部からのアタックを遮断した旨、伝えるメッセージが残る。現象はステートフルパケットインスペクションをオフにすることで回避できるが、ステートフルパケットインスペクションの設定や内部処理が、まだ“こなれていないのでは?”と思わせる。

 ただし、この手の問題はファームウェアアップデートで解決できるものだ。機能やVPNサーバとして動作させたときの速度は、この価格帯ではトップクラス。ファームウェアアップなどによる熟成さえ進めば、お勧めできる機種になるだろう。本機と同じプラネックスの開発による製品で、NTT-MEが販売している「BA8000 Pro」は、初期のファームウェアに決して無視できない大きな問題をかかえていた「BA5000 Pro」からは想像できないほど、機能面でも性能面でも、そして安定性でも前進した実績がある(関連記事)。販売会社は異なるものの、本機の今後にも期待したいところだ。

 なお、ルーティング速度、VPN接続時の速度に関しては、本文中でも述べたように、別途3台をまとめて評価している。

製品名WebCaser 7000
インタフェースWAN側:100BASE-TX×1、LAN側:100BASE-TX×4、USB 2.0×2、IrDA、PCMCIA(PCカード Type II)×2、専用拡張スロット
PPPoE関連機能PPPoEクライアント、マルチセッション、固定IPアドレス付与、自動接続、無通信監視タイマー、Unnumbered接続
ルーティングスタティック、RIPv1/v2、ポートフォワード、NAT/IPマスカレード
セキュリティ関連機能ステートフルパケットインスペクション対応パケットフィルタリング、不正アクセス検出(通知可)、VPN(PPTP/IPSec)、DMZ
そのほかカメラサーバ機能、FTPサーバ機能、Webサーバ機能など
価格3万2800円(本体のみ)、各種セットモデルあり
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▼NTT東西、PCカードスロットやUSB2.0を搭載したルータ
▼プラネックス、NAS機能を備えたブロードバンドルータを発売
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▼最強を謳うNTT-MEのブロードバンドルータ「BA5000 Pro」を試す

関連リンク
▼NTT東日本の製品情報
▼NTT東日本
▼NTT西日本
▼プラネックスコミュニケーションズ

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[本田雅一,ITmedia]



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