リビング+:ニュース 2003/10/08 23:59:59 更新


KDDIが放つFTTH放送サービス、その全貌

KDDIは10月10日から、FTTHとSTBを組み合わせた新サービス「KDDI光プラス」を開始すると発表した。FTTHベースのIP電話、ネット接続、テレビ向け映像配信など、総合通信サービスを提供する。

 KDDIは10月10日から、FTTHとSTBを組み合わせた新サービス「KDDI光プラス」を開始すると発表した。独自に構築したCDN(Contents Delivery Network)を利用し、FTTHベースのIP電話、ネット接続、テレビ向け映像配信など、総合通信サービスを提供する。

 当初はIP電話とネット接続サービスを提供し、12月から映像配信サービスを追加する。価格は、3サービスセット料金が月額6950円。まずは、全国主要都市の大型マンション向けに事業展開を図る考えで、順次提供対象を拡大する予定だ。

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KDDIのブロードバンド本部、ブロードバンド企画部長の片岡浩一氏

集合住宅でも1人あたり「70Mbps」を実現

 同サービスの特徴の1つが、潤沢なFTTHインフラを活用して新たに構築した、全国規模のCDN。各地の通信拠点からGC局までを10Gbpsで接続し、さらにGC局間を2.4Gbpsのリング型ネットワークでつなぐ。これにより、クローズドなIP網を構築した。

 優先パケット付与や負荷分散などの制御を行えるほか、IPマルチキャストにも対応する。ネットワークが閉じていることもあって、品質面での管理は万全だという。

 さらに本サービスでは、1棟あたり16戸以上の契約が見込める集合住宅に対して、最大1Gbpsの光ファイバを直接引き込む。「集合住宅向けFTTHサービスでは、100Mbpsを共有して、1人のスループットが10〜15Mbpsというものもある。KDDI光プラスでは、アクセスラインに1Gbpsを使い、構内はVDSL技術を利用することで、1人あたり70Mbpsを実現する」(同社ブロードバンド本部、ブロードバンド企画部長の片岡浩一氏)。

 この回線に、宅内で接続されるのが新開発のIP電話端末、およびSTBだ。会場では、機器の写真も公開された(下写真参照)。STB端末は著作権保護機能や、ペアレンタルロック機能などを備える。2カ国語放送に対応するほか、簡易に設定を行えるよう工夫されているという。

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左から、NECアクセステクニカ製のIP電話モジュール搭載ホームゲートウェイ、松下電器産業製のSTB(開発中)。クリックで拡大

サービスは“アラカルト方式”で提供

 サービスでもう1つ特徴的な点は、FTTHを利用した各サービスを“個別に”提供すること。それぞれのサービスは独立しており、ユーザーは「IP電話のみ」で契約してもいいし、「IP電話+ネット接続」で契約してもいい。順に見ていこう。

 IP電話サービスは、「光プラス電話」という名称で提供される。月額料金が1980円で、通話料は対一般加入電話が8円/3分。加入者同士では、無料となる。ここでの“加入者”とは、ADSLも含めKDDIが提供するIP電話サービス利用者を指す。

 携帯電話にも23秒/10円でかけられるほか、110番や119番へも通報可能(後述)。月額数百円を追加すれば、発信番号表示や、割込通話といった付加機能も追加できる。ほかのISPが提供するIP電話サービスに対しては、現在相互接続を交渉中だ。

 ネット接続サービスは、「光プラスネット」として提供される。月額3900円で、FTTHの高速通信が利用できる。IP電話とのセット価格も設定されており、その場合は月額4550円。これは、STBなどの端末利用料を含む。

 12月から開始の映像配信サービスは、「光プラスTV」だ。前述のIPマルチキャストを利用し、MPEG-2で4Mbpsの高クオリティな映像を配信する。月額2400円で、28チャンネルの多チャンネル放送、および約2000のVoD(ビデオオンデマンド)コンテンツが視聴可能。

 多チャンネル放送では、コンテンツプロバイダとの提携によりハリウッド映画、アニメ、ニュース、ショッピングなどさまざま番組が配信される。毎月3コンテンツを無料で視聴できるが、後は番組ごとに月額料金を支払う方式だ。もちろん、VoDは作品ごとにさまざまな料金設定がなされている。地上波放送の同時再放送などは、行われない。

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光プラスTVのトップメニューも公開された。カラオケコンテンツも用意されている

 各サービスを、どう組み合わせるかに応じて、複数の料金プランが設定されている(下表参照)。なお、このほかに初期費用3000円と、登録料1万7000円が必要となる。

月額料
電話のみ1980円
ネットのみ3900円
電話+ネット4550円
電話+TV4880円
ネット+TV6300円
電話+ネット+TV6950円
※マンションの種類によっては、VDSLでなくイーサネット配線を行うこともある。この場合は、いく分割安な料金となる

 サービスは、2003年度は各地の大都市圏で、大型マンションを対象として開始される。2004年には中型マンションにも対象を拡大するほか、2005年には全国にエリア拡大し、一戸建てへの提供も行う見込み。現状でも一戸建て向けサービスは提供可能だが、光ファイバを個人で占有するため、料金が割高になるという(月額料が上表+5800円程度)。

カギを握るのは「IP電話」

 今回発表されたFTTH放送の内容を見ると、映像配信サービスとしては、実はさほど新鮮味はない。むしろ、真に注目すべきはIP電話サービスだろう。これは、従来ADSLで提供されてきたIP電話とは一味違う、ワンランク上のサービスだ。

 “光プラス電話”では、安価な通話料、PSTNとの相互接続などの利点を備えることはもちろん、従来課題とされていた「110番通話」も行える。

 一般に緊急通報では、通話を切っても警察側で回線を保持する「回線保留機能」や、切断したユーザーを再び呼び出せる「再呼び出し機能」などが要求される(詳細は解説記事その1その2参照)。しかしKDDIは、これらの課題をひとつひとつクリアしたという。

 「こうした要素は、作り込みが難しく、ハードルが高いためこれまで手をつけてこなかった。しかし我々には、モバイルで(110番通報を実現させた)経験がある。どんな(特殊な)システムを構築したのか、と言われるかもしれないが、汗をかいて実現させただけだ」(片岡氏)。

 さらに、電話事業者としてのノウハウを活かし、IP電話でも加入者電話と同じ番号で着信できるようにした。ソフトスイッチに中継接続機能を加えるだけでなく、加入者交換機の機能を具備させることで、宅内に設置する端末が「加入者交換機のように働き」(ブロードバンド企画部商品企画グループリーダー、圓谷道成氏)、データベースを参照して、従来の番号で着信するのだという。

 これにより、「NTTの電話契約を解除しても問題ない」(片岡氏)というほどの、高クオリティのIP電話サービスが完成した。仮にNTTの電話契約を解除したとすると、電話基本料の月額1750円が浮くことになる。先の料金体系にしても、NTTの解約を込みで考えたならば、がぜん魅力を増してくる。「ADSLやBフレッツと比較して、画期的な低料金」と同社が胸をはる理由も、そこにある。

 ここで、ひとつ補足しておこう。仮にNTTの電話番号をFTTHベースのIP電話に割り当て、その後NTTを解約したとする。すると、その番号をほかのユーザーが利用するようになったとき、番号が重複することはないのだろうか?

 結論からいうと、この心配はない。忘れられがちな点だが、電話番号はもともとNTTが権利を持つものではない。総務省の「番号ポータビリティ」の考え方でいうと、番号がメタルの電話回線からFTTHへ移行したことになるわけだ。

 もう1つ付け足すと、光プラス電話でも「050〜」番号を利用することはできる。KDDIは、希望者に対して050番号の発行を行う。「050〜」番号の利点は、着信時に「相手の通話料を割安にしてあげられること」だ。このため、ユーザーによっては、従来の電話番号と050番号の両方を持つケースもあるだろうという。

 今回のサービスは、NTTが電話回線のアクセスインフラを独占し、その上で事業者がADSLのデータ通信を提供する――という現状を、根底からくつがえそうとするものだ。通信に必要な線は、1本の光ファイバ。そこで電話やデータ通信を総合的に行えるため、古いメタルの電話回線は“お払い箱”となる可能性がある。

 当初はサービスの提供対象が多少限られるのが難点だが、潜在的な爆発力を秘めたサービスといえる。同社の描くブロードバンドの未来が、どこまで実現するのか、注目したい。

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関連リンク
▼「KDDI光プラス」申し込みページ

[杉浦正武,ITmedia]



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