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2003/10/29 23:59:00 更新

スカパー、FTTH放送のSTBを披露

スカイパーフェクト・コミュニケーションズは、10月29日の事業説明会の場で“FTTH放送”向けのセットトップボックスを初めて披露した。12月下旬には、東京都中央区にサービス提供第1号となるマンションが登場する予定だ。

　スカイパーフェクト・コミュニケーションズは10月29日、事業説明会の席上で、光ファイバーを使った多チャンネル放送向けのセットトップボックス（STB）を披露した。説明会の内容は、2003年度の中間期決算がメインだったが、同社の重村一社長はFTTH放送の進捗状況にも触れ、「ほぼ考えていた通り」と順調さをアピールした。

　今年度の第1四半期に黒字転換を果たしたスカパー！は、同日発表した2003年度の中間決算でも、連結ベースで41億5200万円の経常利益を計上、純利益も38億200万円と好調に推移した。通期の連結経常損益も、昨年度の4億4900万円のマイナスから、今年度は30億円のプラスに転じる見込み。スカパー！の重村一社長は、「累計個人契約者数は307万4000件。損益分岐点としていた300万件を超え、収益構造が安定してきた」と話している。

スカパー！の重村一社長とプレゼント用の“特製ぬいぐるみ”

　下半期のカギを握る年末商戦では、ターゲットを“ファミリー層”に拡大し、コンテンツの強化と連動した各種のキャンペーンを実施するという。たとえば、11月の「ディズニーチャンネル」開局にあわせ、加入者全員にミッキーマウスの特製ぬいぐるみをプレゼント。また、12月1日からは「スカパー！映画祭り」を実施し、年末商戦に向けたコンテンツとプロモーションの強化を図る。映画祭りの期間中は、1800本もの映画が放送される予定だ。

　「映画の放送本数は従来も圧倒的に多かったが、それを活かしきれていない。年末商戦では、テレビも“薄型・大画面”が主流になるため、販売店は相乗効果を狙えるだろう」（重村氏）。

　さらに、アンテナの取り付け工事が加入のハードルになっていることから、お店で取り付け工事を依頼した新規加入者に限って5000円分の工事費を同社が負担する「スカパー！取り付けサポートキャンペーン」を実施中。加入ペースが伸び悩んでいる110度CSデジタル放送では、工事費5000円分にくわえて、コンテンツ視聴料も5000円分プレゼントするキャンペーンを11月から開始するという。

FTTH放送は中央区から

地域別の世帯普及率。静岡や島根では12％を超えているが、東京や大阪といった大都市圏が不調だ

　CS放送では、当初の目標であった300万契約を突破した同社だが、地域別の世帯普及率をみると、東京都や大阪府など大都市圏が低調であることがわかる。この「大都市の集合住宅に弱い」という状況を打破するため、進めているのが光波長多重技術を使ったFTTH放送だ。

　同社は、2003年6月に電気通信役務利用放送事業者（有線）として100％子会社のオプティキャストを設立。NTTグループおよび有線ブロードネットワークスとの提携により、両社の光ファイバー網を使った多チャンネル放送を提供する。

FTTH放送用のSTBを公開したオプティキャストの仁藤雅夫社長。ただし、STBはモックアップだった

　オプティキャストの仁藤雅夫社長によると、年内にサービスを開始するのは都内2カ所（2電話局）に限られるが、12月下旬には中央区の既築マンションで最初のサービスを開始することが決定したという。同社では、2004年度中に東京23区と横浜市にまでサービスを拡大する予定だ。

　FTTH放送用のSTBは、CS放送で使われているソニー製チューナーを一部変更したもの。色などの細かい部分を除き、デザインや機能は基本的に共通だ。もちろん、リモコンやEPG（電子番組表）の使い勝手も変わらないという。

　「FTTH放送はスカパー！にとって、大都市部における集合住宅対策であり、また従来の“手数料ベース”のビジネスモデルを“視聴料ベース”に転換するものだ。将来的には、放送系とIP系の連動による新サービスも開発していく」（仁藤氏）。新サービスの内容は未定だが、「FTTHをリターン回線に使う双方向サービス」や「IP伝送のVoD」なども視野に入れて検討を進めると話している。

形状は現在のスカパー！チューナーと同じだが、色などを若干変更する可能性があるという

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[芹澤隆徳，ITmedia]

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