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2003/11/04 23:26:00 更新 |
PDAをカーナビに変身させる開発キット
業務用途でカーナビを利用しようとした場合、既製品の転用は困難だが、専用ソフトを開発すると費用がかかりすぎるという問題があった。この悩みを解決するのが、ナビタイムジャパンが販売するナビゲーション開発キット、「NaviSDK」だ。
業務用途でカーナビを利用しようとした場合、既製品の転用は困難だが、専用ソフトを開発すると費用がかかりすぎるという問題があった。しかし、こうした悩みを解決するソリューションが登場した。
ナビタイムジャパンは10月から、Windows 2000/CE環境でのナビゲーション開発キット「NaviSDK」を発売している。これはPCやPDA、組み込み機器向けのナビゲーションソフトを、より容易に開発できるもの。データベースと連携させることも可能で、「1000台ロットなどの小規模な業務用ソフトを開発する際にも有用」(ナビタイムジャパン)という。
NaviSDKを用いて開発した、PDAカーナビ。開発側はGUIやアイコン、音声データなどをカスタマイズできる
NaviSDKでは、地図描画、経路探索、音声案内、マップマッチング(=地図と自車位置を合わせる)などの機能を、APIとして提供する。サンプルプログラムも用意されており、開発側は500〜2000行程度のプログラムでナビソフトを作ることができる。「これを一から作るとなると、5万〜10万行は書かなければならないはず」(ナビタイムジャパンの大西啓介社長)。
同社は、KDDIのナビゲーションサービス「EZ@NAVI」(記事参照)向けにシステム提供を行う企業。モバイル端末上でも、ソフトウェアを軽快に動作させる手法は、織り込み済みだ。また、開発側が特に意識せずとも「経路探索中にどのタイミングで音声を入れるか」といった制御が可能。地図データをコンパクトにまとめる構造をとっており、「日本全国の50メートルスケールの地図を、400Mバイトにまとめることができる」(大西氏)のも特徴の一つ。このため、例えば地図データをCFカードに入れ、PDA機器に挿してカーナビゲーションを行うこともできる。
地図描画では、自車位置を中心に表示させることが可能。進行方向を上にする“ヘディングアップ”、北を上に表示する“ノースアップ”などの機能も容易に実現可能だ
マルチOS対応も
ナビタイムジャパンのナビゲーション事業部事業部長、松永高幸氏は、開発ソフトがWindows OS上で稼動することで、各種ソフトと連携させることも容易だと話す。
例えば地図上の店舗を検索、その情報を閲覧した上で、その場所へのルート検索を行うといった一連の作業も、IEのブラウザとActive Xを活用してプログラムを組むことができる。また、NaviSDKではデータベースとの連携が可能だが、ExcelやAccessで作成されたファイルからデータを取得することもできる。
またNaviSDKでは、OSとAPIとの中間層に、OSの違いを吸収できるレイヤーを設けている。このため、Windows以外のプラットフォームに対応させることも可能。同社は実際に、LinuxやBREW(用語参照)対応版も開発を行っている。
大西氏は今後、多様なプラットフォームでナビゲーションサービスが登場すると予測する。「車はもちろん、徒歩や自転車でのナビといった、従来にない分野での利用が期待できる」。具体例として、観光地でPDAカーナビと情報サイトで連携を行い、観光地の“巡回経路探索”を行うサービスなどを挙げた。
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ナビタイムジャパン
[杉浦正武,ITmedia]