今日は電車か自動車か? 渋滞情報も使う“携帯ナビ”〜ナビタイム徒歩と電車を組み合わせた総合ナビゲーションサービスに、渋滞情報も加味した自動車ルート検索機能が追加された。どの移動手段が最も早いのかを的確に検索できる、まさに“トータルナビ”を実現した
いまや、携帯電話はカーナビ代わりに、いや一部の機能についてはカーナビを超えるものになろうとしている。 電車の乗り換えに徒歩のルート案内も加えた総合的なナビゲーションサービス、ナビタイムジャパンの「トータルナビ」に(3月15日の記事参照)、渋滞情報を加味した自動車のルート案内サービスが追加された。 新サービスの「トータルナビPro」は、同社の大西啓介社長によると「ネット上のサービスでVICSの渋滞情報まで利用している初めてのサービス」だという。 9月17日からiモード向けに、11月1日からはauのEZweb向けにサービスを開始。12月2日からはJ-フォン向けにもサービスを提供する。
一般的な電車の乗り換え案内では、駅間の乗り換えルートは示されても“現在位置からどの駅を使ったら最も早く移動できるか”は分からなかった。トータルナビでは、電車/飛行機の乗り換えに徒歩のルート案内も組み合わせることで、より現実に即したサービスを実現した。今回の「トータルナビPro」では、さらに自動車でのルート案内も提供することで、ユーザーは最も高速な移動手段を選べるようになった。 「ユーザーに移動手段を考えさせないように。『今日は道が混んでいるから電車で行こう』といった選び方ができるようにする」と大西氏は、トータルナビ全体のコンセプトを説明する。 トータルナビProを使った実際の検索の流れは次のようになる。出発地点と目的地点を決め(このとき住所で入力すれば徒歩のルートも表示される)、「おまかせ検索ボタン」を押す。すると、乗物+徒歩、自動車、徒歩のみから目的地までの時間が表示される。電車のほうが早ければ電車のルートが先頭に、自動車のほうが早ければそれが先頭に表示されるという具合だ。
自動車でのルートは時間だけでなく、タクシーを使った場合の料金の概算も表示される。また、ルートは「湯島 左方向 国道17号 1.0Km進む」というふうに要所、要所が表示されるほか、地図を表示することも可能。VICSセンターからの情報に基づいて渋滞情報も表示される。
トータルナビProの技術面での最大の特徴は、VICSを利用した渋滞情報の提供だ。VICSは(財)道路交通情報通信システムセンター(VICSセンター)が提供する道路交通情報。これまでFM波や光ビーコンによってカーナビゲーション向けに情報を提供してきたが、2001年6月28日から各種情報提供事業者にオンラインでも提供を開始した。 VICSセンターによると、現在オンラインで交通情報の提供を受けているのは、パイオニア、本田技研、ATIS、ナビタイムの4社。パイオニア(9月17日の記事参照)と本田は車載用の通信カーナビで情報を利用している。 いわゆるカーナビの場合、近くにあるFM/光ビーコンからの情報を処理して表示すればいい。ところがユーザーがどこを表示するか分からないオンライン地図の場合、「全国26カ所のVICSセンターからデータが次々とやってくる。しかも同期していない。これをリアルタイムに処理する」(大西氏)という難しさがあった。 しかし「スピードが重要」というポリシーの元、VICSからのデータを5分おきに処理し、道路地図上に描画することに成功。 その甲斐あって、カーナビに勝る情報を提供することもできた。「カーナビでは、山中湖から東名高速で帰ったらいいのか中央高速のほうがいいのか、渋滞の具合は分からない。遠くからは首都高の混み具合も分からない」と大西氏。日本全国の道路状況が把握できるトータルナビProならばさまざまな情報を考慮してルートが選択できる。 しかも、「霞ヶ関まで40分」といった文字情報も活用した。一般のカーナビでは、「光ビーコンからの情報を元に渋滞を迂回したルートを作成する」(パイオニア広報部)が、トータルナビProでは迂回ルートを引くだけでなく、VICSの文字情報も考慮して目的地までの時間を計測する。大西氏が「携帯ならでは」と言うゆえんだ。
ナビタイムが目指すサービスは理想型に近づいてきた。自動車向けのサービスも実現し、「探索系の信頼性は高い」と大西氏。 “徒歩ナビゲーション”実現のための次の一歩は自律型のGPSの搭載だと大西氏は見る。トータルナビProが最も威力を発揮するのはGPS機能付きau端末と組み合わせた場合。しかし現在、auの「GPSケータイ」はサーバと連携した測位方式を使っており、1回の測位ごとに時間とコストがかかる。携帯電話だけで測位が行える自律型になれば、よりナビゲーションとしての有効性は増す。GPSケータイに測位技術「gpsOne」を提供している米Qualcommは次のステップとして自立型測位を準備しており、国内でもKDDIが採用を検討している(8月6日の記事参照)。 また課題の1つは、地図ビューワのスピードだ。トータルナビProではWeb上の画像として地図を見るほかに、地図アプリケーションも利用できる。独自のベクタデータを使っており、データ量が少なく回転や縮小・拡大、スクロールが可能だ。ただし地図アプリケーションは、現在auのBREWとドコモのiアプリ向けに提供されているのみ。そのほかのプラットフォームに「多角形ポリゴンを描く機能がない」(ナビタイムジャパンWebサービス事業部リーダーの篠原雄大氏)ため速度が低下するのが理由の1つだ。 速度の向上に向けて大西氏が期待するのが、KDDIによるBREWの本格展開だ。KDDIでは「2002年度中にダウンロード型のBREW対応端末を投入する」(広報部)予定になっており、BREW2.0による高パフォーマンスなアプリケーションが利用できる見通し(7月17日の記事参照)。 液晶の高精細化も進む中、“GPSケータイのキラーアプリ”はさらなる進化を遂げようとしている。
関連記事 “GPSケータイ”にキラーアプリ登場──ナビタイム 「人はふつう、地図を持ち歩かないモンネ。」とは、KDDIのGPSケータイのキャッチコピー。しかし、単にGPS機能が付いたからといって、携帯が地図代わりになるわけではない。ナビタイムジャパンのトータルナビは、GPSケータイを地図代わり、いや地図以上のものに変えてくれる。 姿を見せたダウンロード型BREW Javaの対抗馬として、Qualcommが着々と準備を進めるアプリケーション実行環境「BREW」。国内ではKDDIが採用を予定しているが、BREW本来の力を発揮するダウンロード対応端末はまだ登場していない。クアルコムはWIRELESS JAPANでダウンロード可能なBREWアプリケーションのデモンストレーションを行った パイオニア、CDMA2000 1xモジュール内蔵カーナビを発表 パイオニアは9月17日、KDDIのCDMA2000 1x対応通信モジュールを内蔵したカーナビゲーションシステム「Air Navi AVIC-T1」を11月中旬に発売すると発表した 自律測位でさらに進化する、gpsOne 「GPSケータイ」に使われているgpsOne技術が2003年の年初には次のステップに進もうとしている。自律測位機能を備えると共に、安価なデータ通信専用通信方式「1x EV-DO」との組み合わせで、携帯電話以外への展開を積極的に進める構えだ 関連リンク ナビタイムジャパン VICSホームページ [斎藤健二, ITmedia] Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved. モバイルショップ
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