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2003/11/14 23:59:00 更新 |
DICON2003
「日本アニメは、このままでは韓国に負ける」の声
韓国と日本のコンテンツを比較した時、日本の優位性が目立つのがアニメだ。しかし、いずれそれが逆転される日がくるかもしれない。
韓国と日本のコンテンツを比較した時、日本の優位性が目立つのがアニメだ。しかし、いずれそれが逆転される日がくるかもしれない。
韓国・ソウルで開催されているデジタルコンテンツの総合展示会「DICON2003」会場では、日韓のアニメ関係者が交流をはかっている。両国の現状について、関係者の話に耳を傾けてみよう。
「どうしたら、日本のようになれるのか」
まず確認しておくと、現状では韓国のアニメ市場はそれほど成長していない。韓国文化コンテンツ振興院の産業企画副本部長、李政(イ・ジョンヒョン)氏は、「アニメや、ビデオコンソールゲームでは、日本は韓国の20〜30年先を行っている」と話しており、自国産業がいまだ日本と比較できないこと認めている。また会場でも、日本の映画関係者に報道陣が「どうやったら、日本のようにアニメ産業を発展させられるのか」と質問する一幕もあった。
しかし、今後に目を向けると、韓国の潜在能力は高い。そう主張するのは、東京都産業労働局観光部の、佐藤賢氏だ。
同氏は、2004年に東京で開催される「東京国際アニメフェア」の実行委員会事務局員として、DICON2003に出展。会場内で、告知活動および現地コンテンツプロバイダとの交流を行っている。
会場に設けられた、東京国際アニメフェアを紹介するブース
同氏が指摘するのは、2003年の東京国際アニメフェアで、韓国の3作品が入賞したこと。学生部門で「Say my name」が最優秀作品賞を受賞したほか、パイロット部門で「Doggy Poo」が最優秀作品賞を獲得。また特別部門でも、「Starlight Cabin」が企業賞を受賞している。
「韓国からの応募総数は、公表できないものの、3作品が入賞したことで、レベルの高さは証明された」(同氏)。
企業賞を受賞したStarlight Cabin。古いキャビンに破棄されたおもちゃのロボットが、誰にも相手にされなくなった後を描いた作品だ
東京国際アニメフェアは、選考基準として「芸術性の高さ」に重きをおいていない。むしろ、商業的価値、もっといえば「売れるもの」を選び、産業を担う人材を発掘するという考えに基づいている。
韓国以外の受賞作を見ると、「千年女優」(劇場映画部門)「モンスターズ・インク」(海外劇場部門)「犬夜叉」(テレビ部門)など、ビッグネームが目立つ。韓国アニメも、純粋にその“おもしろさ”を評価されたと見るべきだろう。
佐藤氏は、韓国のアニメを「3Dアニメーションの技術では、既に日本より上」と話す。
「絵を描くのは、日本の方が上手だが、粘土とか、人形といった素材を使っていいアニメーションを作ることができる」。こうした分野では、日本でもそれほど作品の数が出ていない。
そして何より、韓国アニメは「やりたいことに素直」というのが、先のアニメーションフェアでの審査員の評価だった。
日本のアニメは、どこか“描かされている”という印象があり、また特定の有名アニメの影響を受けて、型にはまっているところがある。しかし韓国の作品は、一つ一つに個性と、しっかりした目的意識が感じられるというのだ。
日本のアニメは、世界に輸出される有力な産業だ。人気のある原作マンガがテレビアニメ化され、さらに映画化、キャラクターグッズ販売につながるという、商業的な成功パターンも確立している。
しかし、現状にあぐらをかいていては、足元をすくわれる可能性があると佐藤氏は警鐘を鳴らす。「たとえば映画では、日本は韓国に完全に負けた。アニメも、さらに振興させる努力を怠れば、間違いなく負けますよ」。会場で見ることができる作品のクオリティを見る限り、これは全くの杞憂ともとれなかった。
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[杉浦正武,ITmedia]