リビング+:ニュース 2003/12/04 23:59:59 更新


Winnyに参加しただけで摘発も? 〜ACCS (2/2)


 坂田氏は、47氏の家宅捜索は京都府警の独自捜査によるもので、ACCSとしては連絡を受けていないと話す。従って、あくまでも推測だと断った上で、「おそらく、ソフトウェアの内容を解明するためではないか。開発者本人を摘発するためではないだろう」という。

 一般に、単純にP2Pソフトウェアを製造、販売しただけでは、罪に問われることはない。だが、自らの管理する中央サーバを用意し、またサービスを受ける人間を会員として組織化した上で、流通するファイルのほとんどが著作権侵害物で占められているようなら、民事ではP2Pサービス提供者の著作権侵害を認める判決も出ている(記事参照)。

 Winnyの場合、47氏はあくまでソフトウェアを開発、頒布したにすぎない。ただし、そこで流通するファイルの多くは違法性の高いもので占められている事実を、坂田氏は問題視する。

 「技術としてのP2Pを、否定するつもりはない。ただ、セキュアな仕組みを提供しないことは、サービス供給側として無責任。開発者が責任を問われる可能性は、ゼロではない」。

今後、逮捕者は増えるのか

 坂田氏は、2001年にWinMXで逮捕者が出て以来(記事参照)、Winnyが開発され、そこに悪質なユーザーが流れ込んだという図式を指摘した上で、何とかして歯止めをかける必要があったと話す。それでは、今回の逮捕をきっかけに、今後大規模な摘発が続くのだろうか。

 坂田氏は、「その可能性は否定しない」と前置きしてから、「ただ、やみくもに捕まえればいいわけでもない」と続ける。

 今でこそ、著作権侵害者たちから目の敵にされるACCSだが、本来の活動目的は、ユーザーに著作権意識を高めてもらえるよう広報、啓蒙活動を行うこと(記事参照)。こうした活動により、違法ユーザーに自発的に著作権侵害行為をやめてもらうことが本筋だという。

 「(前述のとおり)Winnyは、参加するだけでリスキーだと説明しているが、よく知らずに違法ファイルを中継してしまったユーザーまで、摘発の対象にしようとは思っていない」。

 今後は、これまで以上に告知活動を行い、著作権について考えてもらう機会を作るとともに、10代のユーザーなど若年層に、総合的な情報の扱い方を教えていきたいとした。

 「それも無視して、壁を乗り越えてくるユーザーには、対応せざるをえない」。

広報・啓蒙活動の“秘策”とは?

 ACCSでは、違法の疑いがあるソフトを公開しているユーザーに、まず通告書を送付している。WinMXでは、ソフトに付属するIM機能を利用して、通告書の文面を送信する記事参照)。

 しかし、Winnyではファイルの送信元に対し、連絡をとる手段がない。このため、今回の摘発でも事前の通告なしの逮捕に踏み切っている。だが坂田氏は、Winnyでもユーザーに、ダイレクトに語りかける手段がほしいと話す。

 同氏は一つのアイデアとして、ACCSの専務理事である久保田裕氏あたりに、2〜3分程しゃべってもらって、この映像ファイルをWinnyで流通させてはどうかと話す。「本人は、意外と話に乗りそうな気もするが……(笑)。近日中に提案したい」


ACCSの久保田氏(7月のケーブルテレビ2003にて撮影)
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関連リンク
▼コンピュータソフトウェア著作権協会

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[杉浦正武,ITmedia]



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