保険金支払い満足度は96.8%! メットライフ生命の「サイエンス」アプローチとは?満足度向上

国内の生命保険業界は世帯加入率の高さや少子高齢化などを背景に成熟した状況にある。こうした状況で生命保険会社が生き残るためには、顧客満足度をどれだけ高められるかがカギになるだろう。この課題に対して、メットライフ生命が面白い取り組みをしている。それは……。

» 2016年07月06日 10時00分 公開
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 世帯加入率が約9割となり、保有契約高もほぼ横ばいを続ける日本の生命保険業界。この成熟した市場にあって、売上高を維持、さらに拡大するためにも、生命保険会社には提案から保険金などの支払いまでの一連のタッチポイントで、顧客満足度を高く維持し続けることが必須となっている。万一、対応が疎かになった場合には、競合他社に顧客が流れる可能性も小さくない。

 こうした点を踏まえ、「カスタマーセントリシティ(お客さま中心主義)」を経営理念に掲げることで顧客満足度の向上に取り組んでいるのが、世界最大級の生命保険会社グループであるメットライフの日本法人、メットライフ生命である。その成果の一端は、国内市場における96.8%もの保険金・給付金の請求手続きに関する満足度からも容易に理解できるだろう。

お客さま満足度は96.8%と非常に高い

 ただし、お客さま中心主義の実践は一筋縄ではいかないのが実情だ。そうした中での、顧客満足度の向上に向けた同社の原動力――。それが、「カスタマーセントリシティ部」の主導による「NPS(ネット・プロモーター・スコア)」を活用した改善活動である。

 あまり聞きなれない言葉が並んだが、NPSとはどういった意味なのだろうか。

 「NPSとは、お客さまが企業を知人・友人に勧めたいかという推奨度を数値化したもので、従来数値化が困難とされた顧客ロイヤルティの評価指標を指します」と説明するのはメットライフ生命のカスタマーセントリシティ部で部長を務める瀧信彦氏である。その一番の特徴は、お客さまの推奨度の数値と、お客さまがその企業を知人に勧めたい/勧めたくない理由を明確に把握することができ、それに仮説に基づく質問を加えることにより、サービスの良し悪しのみならず、企業イメージや潜在的な不満までも、お客さまの、どのような企業との体験が顧客ロイヤルティに影響を与えられていて、企業として優先的に取り組むべき課題が浮き彫りになる点だ。メットライフがグローバル規模でNPSに着目した一番の狙いも、カスタマーセントリシティ(お客さま中心主義)を具現化する上で、既存のお客さまの声をより深堀りし、迅速に対応していくための環境整備にある。

 カスタマーセントリシティ部は、これらの調査の設計や実施、結果分析に加え、結果に基づく改善策の立案やコールセンターなどに寄せられた顧客の声の分析などを一手に担う。瀧氏は「NPSは単なるツールです。重要なのは、どのようにそれを活用して、お客さまの体験をよりよくする仕組みを構築できるかです。これまで培った感覚的なノウハウと、NPSによる「サイエンス」アプローチから得られる情報を融合させることで、より明確にお客さまの求めていることを把握し、それに迅速に対応することが可能。つまり、当部門は、お客さま中心主義をデータでさらに深化させ、具現化させる役割を担っているのです」と同部門のミッションを解説する。

「サイエンス」アプローチでサービス品質の改善を加速

カスタマーセントリシティ部の瀧信彦部長

 メットライフ生命のNPS調査の基本的なアプローチは、すでに述べた通り、過去の結果から顧客満足度を左右すると推測される要因を炙り出すとともに、対応した質問を調査に組み込み、結果からその正否を科学的に確認するサイクルを回し続けるものだ。NPSは顧客があらゆる企業とのやり取りを体験した上で、その企業に対する推奨度を測る「リレーションシップNPS」や、個々の営業活動など、特定の企業との接点での経験を踏まえた上で、企業に対する推奨度を聞く「トランザクショナルNPS」など種類はいくつかあり、実施手法もさまざまだが、いずれについても基本方針は一貫している。

 「結果指標のモニタリングでは、いわば後追いの対策しかできません。これに対して、仮説と検証によるアプローチで炙り出された結果指標に影響を与えうる要因の指標も同時にモニタリングすることにより、お客さまの内なる声も把握しながら、問題が表面化する前での事前対応が可能です。ひいては、改善サイクルを加速でき、万一の問題発生時にもデータに基づく迅速な対処につなげられるのです」(瀧氏)

 得られた“気付き”の多くは極秘だが、「分かりやすい例として、新規のお客さま、また既存のお客さまに対して、当社の格付けや財務状況、歴史といった企業情報をしっかりお伝えしているか否かによって、NPSに大きな影響を与えることが分かっています。営業担当者としては、当然会社概要よりも、自分を信頼してもらえれば問題ないと考えがちですが、NPSや消費者調査から、お客さまが保険会社を選択する際に企業の信頼性を最も重視していることがわかっています。また、当社のNPSが低いお客さまは、当社が外資系であるので、いつ撤退するか不安で信頼できるかわからないと言っているお客さまが一定数います。お客さま視点で考えれば、毎月保険料を支払って、万が一の際にはそばに寄り添ってくれて、確実に支払いをしてくれる信頼できる保険会社と契約したいと考えているのは当然です。このようなニーズは表面に出ない場合もありますが、このような潜在的ニーズを確実に満たした上で、営業担当者が自身に対する信頼を勝ち得た場合、お客さまのNPSは非常に高くなります」(瀧氏)。契約率を高めたり、既存顧客から見込み客を紹介してもらう上で、これは極めて有益な情報であり、まさに「サイエンス」アプローチの代表例と言えるだろう。

 一方で、改善点を探り当てても、現場に落とし込めなければ意味はない。そこで、カスタマーセントリシティ部では関連部署との連携により具体的な改善策の立案にも取り組み、NPSに基づくお客さま中心主義の徹底に向けた従業員の心理変革に力を入れてきた。

 ただ、例えば営業活動は、職人的な側面が残る業務である。そのため、優秀なスタッフほど仕事の仕方を変えることに抵抗感を示しがちだ。

 だが、ここでもNPSは大いに力を発揮した。例えば、既存顧客からの紹介経由での保険契約件数や、顧客一人当たりの支払保険料・加入保険契約数・継続率とNPSとの相関関係だ。「生命保険業界では、既存のお客さまからのご紹介は営業の“王道”です。実は、NPSはまったく難しい指標ではなく、お客さまが紹介したいかどうかを示す推奨意向度です。我々の分析では、NPSが高いお客さまは、低いお客さまと比較した場合、明らかに多くのご紹介をしていただいて、より多くの保険商品をご購入いただき、より長くお付き合いいただいていることがわかっています。このようなデータで提示することで、営業面でのモチベーションからNPSを重視する機運が現場に醸成されることになったのです」と瀧氏は振り返る。

NPSへの注目を促す組織的なフォロー活動

 過去の調査結果から、NPSは既存顧客へのフォローアップと密な関係にあることが明らかになっている。

 既存顧客へのフォローアップをすることにより、営業活動に大きなメリットがあるような好循環を加速させるために、メットライフ生命では約4200人のコンサルタント社員から毎年約100人を認定する「カスタマーセントリシティマイスター制度」も開始した。名刺に印刷されたマークが商談の良いきっかけになることもあり、現場の評価も上々だ。制度認定者の行動や考え方などをまとめた冊子の配布も、営業に参考になると極めて好評だ。

「カスタマーセントリシティマイスター制度」がスタートし、全コンサルタント社員の中から毎年約100人を認定している

 一方で、メットライフ生命ではコールセンターやコンサルタント社員、ビジネスパートナーである保険募集代理店などを介して寄せられるクレーム分析にも余念がない。これにより、社内的に把握しにくい業務課題が見つかることもあるという。

 例えば、保険資料を請求した顧客から「資料が届いていない」というクレームがある。原因を調べたものの、資料はすでに発送済み。では、なぜ届かないのか。ここでも「サイエンス」アプローチを取り、消費者調査で使用していた封筒についての印象を確認したところ、封筒の色が一般的なダイレクトメールと類似しており、勘違いにより破棄された可能性が高いことが判明した。そこで同社は、封筒を専用色に変更、文字の記載も重要な書類であることがより明確に分かるようにした。以後、類似のクレームは大幅に削減されたという。

 一連の分析活動を基にした改善活動は成果を上げている。冒頭の保険金支払い満足度もそうだが、2015年におけるリレーションシップNPSのスコアは2013年比で10ポイント改善。また、トランザクショナルNPSでの新契約時と給付金支払い後のスコアも、前者で同27ポイント、後者では実に48ポイントも上昇しているのだ。

お客さまの声を聴き、改善を行い、新しいサービスを提供する仕組みが構築されている

顧客の声を反映したきめ細かなサービス開発も

 NPSからの改善活動に加え、現在、ターゲットとなるセグメントの人物像やニーズの見極めも進めている。今後はそれらのデータを活用して、特定のセグメントに対する新しい価値の導入につなげる計画だ。

 「医療を取り巻く環境は日進月歩で進化しています。また、テクノロジーの進化に伴い、お客さまも多くの情報を簡単に入手することができるようになり、ニーズ・不安も多様化しています。今後はお客さまをいかに深く理解できるかがカギとなっています。そこで、当部門のデータを活用し、商品、サービス、体験を含めた、新たな価値の提供をするための活動を始めています」(瀧氏)

 顧客本位の実現を出発点に始まったメットライフ生命のNPS活用。取り組みは新たなステージに入りつつある。

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提供:メットライフ生命保険株式会社
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia ビジネスオンライン編集部/掲載内容有効期限:2016年8月5日