カレー専門チェーンの壱番屋が働き方改革に本腰 人不足解消の秘策とは?

長らくパートやアルバイトが不足している外食産業。その中で少ないながらもスタッフが安定して勤めているのが、カレー専門店チェーン「カレーハウスCoCo壱番屋」を運営する壱番屋だ。その働き方改革に迫った。

» 2018年05月17日 10時00分 公開
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 以前から従業員の労働環境に関してさまざまな指摘がなされている外食産業。しかし今、日本政府が国を挙げて推進する「働き方改革」の影響によって、この業界にも変化の兆しが見えつつある。

 ただし、その一方で外食産業は慢性的な人材不足に悩まされている。パートタイマーやアルバイトの賃金アップなどでアピールするが、それでも思うように人が集まらない店が数多くあるのは事実だろう。

 そうした中、長らくパートやアルバイトが充足しているという状況にはない中で、少ないながらもスタッフが安定して勤めているのが、カレー専門店チェーン「カレーハウスCoCo壱番屋」を運営する壱番屋だ。

愛知県一宮市にある壱番屋本社 愛知県一宮市にある壱番屋本社

 「当社では、元々当社で働いてくれているパートやアルバイトからの紹介により、新たに入社してくれるスタッフが少なくありません。そうして入社してくれた人たちの多くは定着率が高くて、長く勤めてくれます」と、壱番屋で人事総務部 労務課長を務める安藤有里氏は話す。

 この背景にあるのは、「働きやすい職場環境作り」である。

 「友人や知人を『一緒に働こう』と誘ってくれるということは、職場の環境が良いということが大前提にあるはずです。実際、当社の中でも良い店作りをしているところは人材に困ることが少ない傾向にあります」(安藤氏)

 この働きやすい職場の追求、これこそが壱番屋が今積極的に推し進めている働き方改革の大目標なのである。

サービス残業を撲滅

 では、具体的にどのような改革に取り組んでいるのだろうか。実は壱番屋の職場改善の歴史は古く、10年以上前にさかのぼる。

 同社は2005年、「サービス残業撲滅宣言」を打ち出した。当時、多くの店舗で社員のサービス残業が日常的に発生しており、経営側の問題意識も高まっていたところ、浜島俊哉社長が自ら「あってはならぬこと。働いた分だけ時間申告して給料をもらうように」と、問題解決に乗り出した。

 加えて、当時の外食産業全体で社会問題になっていた「名ばかり管理職」についてもメスを入れ、店長を管理職から外すなどして社員の労働環境の改善を試みた。

 ただし、規則を作ったからといってすぐに好転するわけではない。現場が忙しい状況は変わらないので、結局、本部には申告せずにサービス残業してしまう社員が一定数いたのである。

 では、どうやってサービス残業の件数を減らしていったのだろうか。安藤氏は「スーパーバイザーの定期巡回はもちろんのこと、人事を含めた本部スタッフも店舗に出向き店舗スタッフとコミュニケーションをとり続けたことが良かった」と振り返る。例えば、店のスタッフと無駄話をしながらさりげなく業務状況を聞いたり、場合によっては正々堂々とハラスメントや長時間労働の実態を調査したりした。

 「自分の上司には言いにくいことも、他部署の人になら話してみようかなと思ってくれる場合もあり、『これっていいのかな?』と疑問に思っていたことを話してくれることもありました。また、本部スタッフが実際に店に行くことが彼らにとってけん制になり、意識が変わるというケースもありました」(安藤氏)

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