世界規模の不動産プラットフォームを構築し、ボーダーレスな取引を実現する――LIFULL社長が語る、今後のビジョン海外M&Aの狙いとは?

不動産・住宅情報サイトを運営するLIFULLが、世界トップのアグリゲーションサイト「Trovit」「Mitula」を傘下に収めた。その理由と目的、今後のビジョンを井上高志社長に聞いた。

» 2018年07月31日 10時00分 公開
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 「世界規模の不動産プラットフォームを構築し、世界中の人々の生活を便利にしたい。世界トップクラスのアグリゲーションサイトを手中に収める今回のM&Aは、当社の海外事業を大きく飛躍させる一手となる」――不動産・住宅情報サイト「LIFULL HOME’S」を中心にビジネス展開するLIFULL(東京都千代田区)の井上高志社長はこう強調する。

photo LIFULL代表取締役社長 井上高志

世界トップのアグリゲーションサイトを手中に

 国内向け不動産・住宅情報サイト「LIFULL HOME'S」などの運営元として高い知名度を獲得し、成長を続けるLIFULLは、2014年に世界最大手の不動産・中古車・求人のアグリゲーションサイト「Trovit」を運営するスペインのTrovit Search S.L.を約110億円で買収。海外事業に本格進出した。17年度には、売上高のうち10%超を海外事業が占めるまでに成長している。

 そんなLIFULLは18年5月、世界2位の不動産アグリゲーションサイト「Mitula」を運営する、スペインのMitula Group Limitedを買収すると発表。正式なグループ入りは18年9月~10月の予定だが、世界3位のサイトはすでにMitulaの傘下に入っているため、同領域における世界1〜3位の企業を全て手中に収めることになる。これにより、サービスの展開エリアは世界の63カ国に広がる。

 Mitula社は業績も好調で、17年度の売上収益は約28億円、当期利益は約4億円に上る。「これほどの企業を子会社化し、海外事業を大きくスケールすることができる。まさに“グッドディール”だ」と井上社長は自信を見せる。

photo 世界トップのアグリゲーションサイトを手中に収めた

アグリゲーションサイトとは何か?

 井上社長がこれほどまでに注力するアグリゲーションサイトとは、さまざまな企業が提供する情報を集約し、1つのサービスとして提供するWebサイトを指す。各サイトを横断的に検索できるため、ユーザーが求める情報を高確率で提供できる点が特徴だ。

 例えば、日本語対応済みの「Trovit」で買いたい物件を探す際、「千代田区 1LDK ペット可」などと検索すると、「LIFULL HOME’S」のほか、他社が運営する「マンションレビュー」「マピオン住まい探し」「goo住宅・不動産」など多岐にわたるサービスに登録されている物件の中から、条件に合うものを表示してくれるのだ。

photo アグリゲーションサイト「Trovit」

 「検索エンジンを使用した場合とは異なり、膨大な情報を整理整頓し、多くのユーザーに効率よく提供できる点が何よりの強み」と井上社長は解説する。

 基本的には、トラフィックを集めた上でクリック課金型広告を展開して収益を得るが、「ユーザーの行動履歴を解析して新サービスにつなげたい。物件の購入や賃貸を決めた人を保険会社や引っ越し会社に送客し、フィーを得るビジネスモデルなども考えられる」(井上社長、以下同)という。

「Trovit」「Mitula」をどう運営していく?

 Mitulaの買収が成功すれば、LIFULLグループが持つアグリゲーションサイトの情報は約4億件に、UV(ユニークビジター)数は約1億7000万人に拡大する。だが井上社長は、運営元の経営基盤を統合する一方で、Webサイトは統合せず、別々に存続させる方針だ。

 その理由は「SEOの上位サイトを複数抑えることで、ユーザーを抜け漏れなく獲得していくため」。

photo アグリゲーションサイト「Mitula」

 「世界各国で高いシェアを誇る両サイトだが、従来は時として広告出稿の面で競合し、価格競争に陥ることがあった。今後はクライアントから適正なフィーをいただきつつ、それに見合った対価を提供することで業界のプライスリーダーになっていく」と意気込む。

 経営面においては、「お互いの資本を有効活用するほか、共通している業務を統合して無駄なコストを削減し、利益率を高めていく。Trovitは社員の7割をエンジニアが占めており、開発力・技術力に強みを持つ。一方、Mitulaは営業を得意とするため、両社のシナジーにも期待したい」という。

photo 今後展開するビジネススキーム

今後はどんな会社を目指すのか?

 井上社長は今後、アグリゲーションサイトを駆使したビジネスを足掛かりに、「世界規模の不動産プラットフォームを構築する」というビジョンを持っている。

 具体的には、アグリゲーションサイトが対応する国家を人口の上位100カ国に拡大し、異なる国家間での物件の住み替えや不動産投資等を誰もがボーダーレスに行えるようにする計画だ。上位100カ国を押さえると、全世界の人口の95%をカバーできることを踏まえた施策で、検索結果をユーザーの母国語に翻訳し、分かりやすい形で表示できるよう工夫する予定だ。

 「アジア、アフリカ、欧州など、あらゆる地域の物件を同じプラットフォーム上で簡単に検索し、物件の契約等を申し込めるようにしたい。現状では、転勤などで海外に住むことになった人は、その国のWebサイトで物件を調べるしかない。だが、誰もが外国語に精通しているわけではなく、例えば『インドネシア語で書かれた間取り図が読めない』などの課題は必ず出てくる。当社はこれを解決したい」

photo 今後も多岐にわたるビジネスを手掛けていく方針だ

 アグリゲーションサイト上で世界各国の投資物件を検索し、気に入った物件に100ドル単位等の少額で投資できる小口不動産投資サービスの構築も視野に入れている。世界各国の株式やETF(上場投資信託)をWeb上で購入できるのと同様の仕組みを不動産業界に取り入れる方針だ。

 「不動産はこれまで、基本的には国の中で閉じられている産業だった。当社は他社に先駆けて世界各国の物件を網羅するだけでなく、出資者が実需を入手できる体制を整えることで確固たるポジションを確立していく」

「あらゆるLIFEを、FULLに。」

 そんなビジョンを持つ井上社長が率いるLIFULLは、17年3月に社名を「ネクスト」から改名した際、「あらゆるLIFEを、FULLに。」とのビジョンを設定している。

 井上社長は「ビジョンに掲げた『あらゆるLIFE』は、世界中の人々の暮らしや人生を指す。年齢・性別・言語・国籍を問わず、全てのユーザーの生活を豊かにできるサービスを構築したい。このビジョンを実現するべく、今後もイノベーションを生み出していきたい」と力を込めた。

photo 「世界中のユーザーを豊かにしていきたい」という

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提供:株式会社LIFULL
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia ビジネスオンライン編集部/掲載内容有効期限:2018年8月30日

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