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» 2018年08月20日 10時00分 公開

来店客の情報をマーケティングに生かす:小売店のデータ活用に革命!? 来店客の数や年齢、性別分析で店舗はどう変わるのか?

POSデータや会員カードの購買履歴データなどの分析・収集が一般的になっているが、来店客の数・年齢・性別を瞬時に判別するシステムがある。大手家具チェーンの東京インテリア家具ではこのシステムを導入し、さまざまな成果をあげているという。どのような仕組みなのだろうか。

[PR/ITmedia]
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 ビッグデータの活用が叫ばれる現在、大手小売りチェーン各社はさまざまな観点で来店客の情報を収集・分析し、戦略を立案している。よく知られているのは、レジのPOSデータ分析やポイントカードによる購買履歴の分析だが、店舗に立ち寄っただけで購入に至らなかった顧客のデータを入手することは難しいのが現状だ。

 栃木県鹿沼市に本部を置く東京インテリア家具(東京都荒川区)は、NECが提供している独自の映像解析によるマーケティングシステムを使い、来店客の数だけでなく年齢や性別を分析し、販売施策の立案や売場づくりに生かそうとしている。いったい、どのような運用をしているのだろうか。

ゆっくりと買い物ができる店内

 東京インテリア家具は東日本を中心に42店舗を展開している大手家具チェーンである。低価格帯でもなく、高級路線でもなく、中価格帯を中心とした家具の品ぞろえに強みを持つ。

 顧客に店舗でゆっくりと買い物を楽しんでもらいたいという考えから、子どもの遊び場を整備したり、店内にカフェを併設したりするなど、独自の戦略を打ち出している。今回取材で訪れた神戸店にもその思想は反映されており、MOA cafe(モアカフェ)や、KIDS LAND(キッズランド)といった施設が店内にある。商品数は約2万5000点で、家具やカーテン、寝具から日用雑貨まで幅広くそろえている。敷地面積2.6万m2、店舗面積1.2万m2、駐車台数423台と大規模な店舗で、商品を落ち着いて見て回れるように店内の通路は広く設計されている。

photo 神戸店の外観
photo 神戸店の店内の様子
photo MOA cafe(モアカフェ)

経験や勘に頼った分析からの脱却

 「来店客数が可視化されたことで、店舗運営が円滑になり、新しい販売施策を打ち出せる可能性が見えてきました」

 こう語るのは東京インテリア家具神戸店で店長を務める鈴木康修氏だ。この店舗では17年6月のオープン時からインテル(R) Xeon(R) プロセッサー搭載「NEC ビデオマネジメントシステム導入セット+FieldAnalyst(以下、FA)」を利用している。これは、店舗の入り口にカメラを設置し、来客分析を実施するシステムだ。

 具体的には、店舗を訪れた顧客の数、性別、年齢を独自の顔認証システムで瞬時に分析・集計できるもので、神戸店にはFAとつながったカメラが店舗の出入口に1台設置されている。また、プライバシーに配慮し、カメラ撮影によるデータ収集の目的・利用用途が出入口に掲示されている。

 鈴木氏はこのシステムで得られたデータをさまざまな施策の立案に役立てているのだ。

 鈴木氏によると、これまでは「平日より休日のほうがお客さまが多い」「1日のなかで、特に混むのはこの時間帯だ」といったように感覚的に来店客数を把握していたが、FAを導入したことで、リアルタイムの数字を把握できるようになり、店舗運営にさまざまなメリットが生じているという。

photo 吹き抜けの天井にカメラが設置されている
photo 設置されたカメラ(拡大)

 例えば、1日のなかでピークの時間帯により多くの従業員を配置し、そうでない時間帯に休憩する従業員を増やすといったことができるようになった。さらに、来店客数が多い日とそうでない日にあわせて従業員のシフトも柔軟に組めるようになった。店舗が混雑してくるとどうしても顧客一人一人へのサービスの質が低下してしまいがちだが、それを未然に防ぐことができるというわけだ。

データ分析の作業に負担感はない

 一般的に小売店の店長というのは非常に多忙なのだが、鈴木氏はどのようにして日々のデータをチェックしているのだろうか。神戸店内にあるスタッフルームを見せてもらった。

 モニターには、来店客数や顧客の属性が分かりやすいグラフでまとまっていた。

photo 来店客数や属性がモニターにリアルタイム表示される
photo 店内の様子もひと目でわかる

 「FAを導入すると聞いた当初、『操作が複雑なのではないか』『日々の業務量が増えるのではないか』と不安を感じていました。しかし、FAは直感的に操作しやすいですし、過去のデータもすぐに参照できるので、大きな負担とは感じていません」

 FAの導入作業は神戸店のオープンと並行して進められたが、大きな負担はなかったのだろうか。鈴木氏によると、NECの担当者から数時間のレクチャーを受けただけで、すぐに使いこなせるようになったという。

 現在、神戸店では、FAにつながっているPCを操作するのは、鈴木氏、副店長、女性従業員の3人である。システムは外のネット環境とはつながっていないので、情報漏えいのリスクが少ない。通常、顧客関連のデータを扱うとなるとセキュリティ対策などが負担となるが、その点の心配も少ないという。

 また、設定変更などの作業は、女性従業員がマニュアルを読みながら対応できるため、店長と副店長は日々のデータのチェックをするだけで済んでいる。

 鈴木氏はFAの分析作業を負担に感じているどころか、新しい販売施策に生かすための便利なツールとして捉えているようだ。今後、どのような使い方を考えているのか教えてもらった。

 「導入から1年間経過したので、そのデータをもとにチラシの効果測定ができると考えています。また、来店するお客さまの年代や性別をさらに分析することで、売り場づくりや商品構成にも生かしていきたいです」

 これまで東日本中心に出店していた東京インテリア家具にとって、関西は未知のエリアだ。神戸店は大阪店に次ぐ関西2店目となるが、他店と比べ客単価が高く、数十万円の高額な家具が多く売れる傾向にあるという。地域に根差した店舗運営や販促施策をするために、NECのFAは強力な武器となっているようだった。

photo 東京インテリア家具神戸店で店長を務める鈴木康修氏

FAに期待する経営陣

 なぜ東京インテリア家具はFAの設置を決めたのだろうか。それは、競争が激しくなる家具業界で生き抜くための戦略の一環なのだが、そこに触れる前に、同社の歴史を簡単に振り返ってみよう。

 東京インテリア家具の前身は桐たんすの製造・卸を手掛ける利根川家具だ。現社長の利根川弘衞氏は時代の変化にあわせて顧客に幅広い家具を提供したいと考え、ソファーや家具などを販売するようになった。

 しかし、今後、さらなる成長を遂げるには新しい戦略を打ち出す必要性があると同社は判断した。その背景について利根川隆弘常務が解説する。

 「競争がますます激しくなる中で、顧客のニーズをよりきめ細かく把握する必要が出てきました。当社ではこれまで商品をお買い上げいただいていたお客さまの情報は把握していましたが、ご来店いただいたお客さまの情報も収集することで商品開発や店舗開発に役立てたいと考えています」

photo 東京インテリア家具の利根川隆弘常務

FA導入の決め手とは?

 それではなぜ、NECのFA導入を決めたのだろうか。

 同社は東日本を中心に出店していたが、さらなる成長のため、大阪、神戸、福岡と相次いで新規エリアに出店している。地域別の顧客動向を把握するためにはFAが有効な武器になると判断した。

 また、利根川常務は現場への負担が少ないことを理由の1つとして挙げた。前述の通り、NECのFAは導入・運営にあたって店長や副店長にかかる負荷が少ないというメリットがある。

 さらに、費用面でも魅力があった。同社はかつて実際に買い物をした顧客の年代や性別を把握するためにコンビニのような「年代・性別」を入力できるレジや、来店者数を数えるシステムの導入を検討しようとしたことがある。しかし、店舗のオペレーションの負担が増えることや性能面で不安があったので、導入を見送った経緯がある。しかし、FAはコスト、店舗への負担、性能の面でいずれも問題ないと判断した。

今後のデータ活用に期待

 神戸店のデータは利根川常務のもとに定期的に報告されているが、どのような感触を抱いているのだろうか。

 「神戸店がオープンした際の来店者数を見ると、『お客さまがこんなに来店されたのか』と驚きました。新規出店時は来店されるお客さまの数が増える傾向がありますが、それ以降は“平常運転”の状態になります。FAを導入してから1年が経過していますが、今後は蓄積したデータを活用していきたいです。例えば、特に多く来店されるお客さまの属性にあわせた商品開発や、来店されるお客さまを増やすための施策を考える材料としたいです」

 神戸店店長の鈴木氏も語ったように、データは一定期間蓄積し、比較することでより有効な情報を得ることができるようになる。FAは店舗や業態によって、さまざまな用途に使うことが期待できる。

 東京インテリア家具がさらなる成長を遂げるために、どのようにFAを活用していくか、要注目である。

※記事中の肩書は取材当時のものです。

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編集後記

東京インテリア家具は従業員の働き方改革に熱心である。例えば、神戸店では従業員が無料で利用できる職場内託児所を完備しており、約20人の従業員が子どもを預けているという。店長の鈴木氏によるとこれほどの好待遇は近隣の店舗や企業にはなく、同店の離職率は非常に低いという。従業員の休憩室も広々としており、冷房や照明をたやさないのも鈴木氏ならではの心遣いだ。有給取得をしやすい環境づくりにも取り組んでいるが、「従業員の抱える事情は一人一人違います。じっくり向き合って話を聞くのが働き方改革にとって最も大事だと思います」と話していたのが印象的だった。


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