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» 2018年09月03日 10時00分 公開

「IFRS16」対応のシステム要件 “処理”と“運用”両面の機能拡張がカギ!

適用期日まで残すところ数カ月にまで迫った「IFRS16」。本基準の対応には、業務プロセスだけでなく、システム面の対応も欠かせない。では、具体的にどんな機能を準備しておくべきなのか。「処理」と「運用」の両面から、その詳細を解説する。

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 国際財務報告基準「IFRS」の最新基準であるIFRS16号(IFRS16)が、2019年1月以降に始まる事業年度から強制適用となる。その対応に残された期間は、早い企業では数カ月に迫っている。

 前回の記事でも触れた通り、IFRS16は適用企業に対して原則、あらゆるリース契約のオンバランス化を求める。その会計業務に与えるインパクトは大きい。合わせて、全社的な業務の見直しと並んで欠かせないのがシステム側の改修作業である。プロシップのIFRS推進室で室長を務める巽俊介氏は、「日本基準と比べて仕訳起票は約3倍、決算開示項目は約2倍に増えると見込まれます」と、現場業務に与える影響を説明。その上で、次のように警鐘を鳴らす。

 「これにより現場の業務負荷が急増することは明白です。結果、システム側の準備がおろそかだった場合には、会計処理のみならず情報管理、ひいては内部統制にも問題が生じ、企業経営自体に大きな影響を及ぼす可能性も否定できないのです」

 こうしたトラブルを避けるためにも、システム対応には万全を期すべきである。だが、IFRS16で変更が加わる業務は幅広く、システム側の対応作業も広範にわたる。巽氏によると、そこで新たに必要となる機能は最低でも9つに上るという。このうち、まずはIFRS16による「会計処理」への対応で特に重要なものを取り上げ、対応のポイントを紹介する。

photo (画像提供:ゲッティイメージズ)

IFRS16対応に向けたシステムの機能要件

不動産リースの管理

photo プロシップ IFRS推進室 室長の巽俊介氏

 「IFRS16が会計処理に与える最も大きな影響」(巽氏)が、あらゆるリース資産のオンバランス化に伴い、不動産リースの管理が新たに必要となることだ。一般的な経理/会計パッケージは固定資産管理の一環として動産リースの管理機能を備えるが、不動産まではカバーしていないのが実情だ。

 件数が少なければ便宜上、動産システム内で合わせて管理する手もある。ただし、不動産は動産と違い、契約期間中に月割りや日割りなどの支払いが混在することも多く、それだけ計算も煩雑となり、間違いが生じやすい。また、1契約に複数科目での支払いや、敷金に代表される保証金など、動産にはない管理項目が存在するため、不動産リース契約を数多く所有する企業ほど、必然的に管理の煩雑さが増してしまう。

 これらが原因のミスを未然に食い止めるためにも、不動産を一元的かつ確実に管理するための機能実装が不可欠となる。

「複数基準対応」と「仕訳起票」

 IFRS基準では借手リース契約に関して単一の会計処理を要求しているが、日本基準では原則、300万円以下のファイナンス・リースや、不動産リースを含めたオペレーティングリースなどはオフバランスでの処理が今後も継続される。

 対応にあたっては、同一契約に対する両基準での並行処理が不可欠だが、手作業の処理ではその手間から間違いも生じやすい。そこで、一度の入力を基に両基準の処理を実施する「複数基準対応」を実現しておく必要がある。

photo 日本基準とIFRSにおけるリース契約の会計処理方法の違い

 また、IFRS16ではリース契約のオンバランス化のため、契約時に資産と負債を同時に認識するとともに、支払いの都度、減価償却などの処理が求められ、利率や契約期間を基にした支払利息の計算作業などが必要となる。

 必要となる具体的な機能は、「両基準ごとのリース料や割引率、リース期間などの情報の保持」「帳簿ごとの勘定科目の設定と仕訳作成」「リース契約書に記載のないIFRS16で必要な項目の登録」などだ。なお、不動産リースは1件当たりの金額が大きくなりがちだ。そこで、契約件数が多い企業ほど、属人的な業務の排除や、万一のデータバックアップ環境の整備なども内部統制面から併せて求められる。

photo IFRS16の新リース会計で仕訳はこう変わる

「自動判定」と「仕訳連携」

 「日本基準では、フルペイアウトかノンキャンセラブルによってファイナンス・リースかオペレーティング・リースかを判断する必要があります。これに対してIFRSでは、短期リースや少額リースといった免除規定の対象となるか否かをチェックした上で、それ以外のものをオンバランスとします。判定プロセスが大きく異なるため、これを人手で行っているようでは、人的負担が大きくなり、ミスも発生しやすくなります」(巽氏)。そこで、作業効率化とミス防止の観点から、判定処理を自動化する「自動判定」の仕組みもシステムに組み込むべきだ。

 また、各基準を管理する帳簿ごとに勘定科目を設定のうえ、仕訳を作成する機能も必要となる。

 連結財務諸表の作成には、IFRSと日本基準の両帳簿の仕訳を連携させるために、日本基準の仕訳を打ち消す、「赤黒仕訳」の生成も必要となる。その実施のためには、「複数帳簿対応」で管理する帳簿の仕訳を自動的に連携させる「自動仕訳」も併せて必要となる。

 これらの機能は、設定の自由度が高いほど、変更にあたってのシステム側の対応度も高まり、対応コストの削減も見込むことができる。IFRSとのコンバージェンスを目的とした数年内の日本基準の見直しがほぼ確実であることからも、この点には特に留意したい。

photo 自動判定と複数帳簿対応。日本基準とIFRSの各基準に合わせた会計処理ができる

「リース債務見積もり変更」と「シミュレーション」

 日本基準の場合、オンバランスの対象はファイナンス・リースであるため、契約内容の変更を想定した会計処理の規定はない。しかし、不動産リースでは、当初は2年契約だったものをさらに2年延長する、長期契約によって次第に賃料が下がる、といった変更が発生するのが一般的だ。このようなことは、不動産リースをオフバランスで処理している時には問題にはならなかったが、オンバランス化した場合には、変更があった時点でリース債務と使用権資産を再計算しなければならない。

 再評価のプロセスは複雑だ。変更があった時点の未経過リース料を把握し、延長期間を基に金利などを加味して債務総額を再測定する。同時に、契約満了までの償却計算なども実施する必要がある。

 一方で、IFRS16ではリース資産のオンバランス化により、経営判断の指針として一般的な「ROA(Return On Asset:総資産利益率)」や「ROE(Return On Equity:総資本利益率)」が低下する。その影響を経営層に事前に説明するためにも、同様の手法による事前シミュレーションが不可欠だ。

 流通業や飲食業などでは、不動産契約も多く出退店も多い。財務部門が経営層に対して 、ROAやROEに与える影響について十分な事前説明を怠った場合、責任を強く問われかねない。それだけに、「リース債務見積もり変更」や「シミュレーション」で、どれほど条件を細かく設定できるかといったことも見落としてはならない。

photo 見積もりに変更があった場合は、リース債務を再測定する必要がある

現場展開を見据えた機能も不可欠に

 IFRS16の会計処理の対応に向けて、以上のような機能の実装がシステム対応で不可欠となる。ただし、「それだけではまだ十分とは言えません」(巽氏)。IFRS16でオンバランス化が求められるリース契約は、ユーザーが経理部門ではなく現場部門であるケースがほとんどだ。そのため、「リースの“管理”で、現場に協力を仰がなくてはならないケースがほとんどと推察されるためです」(巽氏)

 そこで、以下のような機能も併せて必要となるという。

部門を問わない資産計上への対応

 IFRS16ではリース資産とリース債務の継続的な残高管理が求められる。そこで問題となるのが、管理をどこが行うかだ。

 まず候補となるのが経理部門だが、リース契約は現場の判断で行われることが多く、情報を収集するだけでも一苦労である。しかも、その数も膨大で、限られたスタッフでの網羅的な管理は困難と言わざるを得ない。現場に任せる手もあるが、その場合には現場がIFRSで必要な会計データを適切に判断して登録することは難しく、ミスも予見される。

 この対応に向けた現実的な策が、登録自体は現場でも行えるようにし、不足や誤登録などの情報を経理部門が修正して管理する方法である。

 そのためには、現場での入力効率化につながる「自動判定」や、リース会社から提供されるデータのシステムへの取り込み機能、さらに、現場部門が登録した情報を経理部門が確認、修正するための機能が必須となる。

photo 「ProPlus」のリース契約の登録の流れ。現場展開を想定した業務フローで活用できる

増加する開示情報への対応

 IFRS16では、建物賃借契約などの不動産に関するリース取引も含めた、全てのリース契約の開示が必要となる。そこには、短期リース、少額資産リースなどの免除規定によるオフバランスのリースも当然含まれる。加えて、リース債務の返済スケジュールの開示も併せて求められる。

 そこで、免除規定を適用したリースも含めた管理機能とともに、それらから開示資料に用いるデータを抽出するための機能も求められる。

 これらの機能要件の全てを標準で満たす製品が現時点では皆無な中、いち早く高いレベルで対応し、IFRS対応を目指す企業の大きな支持を集めているのがプロシップの「ProPlus IFRS16新リース対応版」だ。IFRSを任意適用している、またはそれを表明している50社以上に導入している。

 同社が支持を集めるのはProPlusの機能面の高さだけではない。システム対応は一般に最短でも半年を要し、現時点から見直しに着手しても期日までに間に合わない企業も想定される。だが、同社はそのような企業の対応支援に向けて、Excelベースの「影響額試算ツール」も提供。同ツールは本来、「導入前にIFRSによるインパクトを分析すること」を目的に開発されたツールだが、「適用期日までにシステム対応が完了しなくても、初年度中に仕組みが完成するのであれば、それまでの処理をツールで肩代わりしてデータをシステムに引き継ぐことで、IFRS16への対応を完了できます」(巽氏)

 こうしたユーザー側に立ったアイデアや配慮も、同社の支持獲得の原動力となっている。

 次回は対応を終えた企業の取り組みを基に、適切な対応の在り方について解説する。

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アイティメディア営業企画/制作:ITmedia ビジネスオンライン編集部/掲載内容有効期限:2018年9月25日