RPAは現場でどのように働くのだろうか。まだあまりイメージできていないかもしれない。導入するだけではなく、新入社員と同じように育てていくことが必要だ。RPAによって月360時間分の業務を削減した西濃運輸の事例から、その成果と課題を探る。
バックオフィス業務をRPA(Robotic Process Automation)に置き換えて、生産性を高めたい――。そんな課題を持っている企業は多い。一方、「何をどこまでやってくれるの?」「本当に業務を効率化できるの?」という疑問を持つ人はまだまだ多いのではないだろうか。
自社の現場でRPAはどうやって働くのか。それをイメージするためには、先行企業の取り組みが参考になるだろう。
物流大手、セイノーホールディングス傘下の西濃運輸は2017年9月、手作業でやっていた集計作業などを自動化するため、RPAを導入した。18年3月末までの実績では、月360時間分の間接業務を削減したという。
しかし、RPAを担当する経営戦略部 経営戦略課 課長の溝田勝也氏は「RPAを導入さえすれば良いわけではありません。育てていく“覚悟”も必要なのです」と強調する。どういうことなのか。導入から約1年で見えたRPAの成果と課題について、溝田氏と同課の足立知彌氏に話を聞いた。
西濃運輸がRPA導入に向けて動き始めたのは、16年12月。若手管理職を中心としたプロジェクトが立ち上がったことがきっかけだった。
プロジェクトのテーマは「30年後の会社のあるべき姿を考える」。就業人口が減っていく日本社会の状況を踏まえ、これからの社内業務やサービスの在り方を議論した。その中で出てきたのが、「間接業務の効率化」だ。
運送業の基本業務は、手から手へと荷物を届けること。この部分は簡単には自動化できない。しかも、同社が取り扱うのはほとんどが商業物流。企業間取引では、特殊な配送や複雑な配送も多くなる。そのため、これからも重視しなければいけないのは「顧客と接すること」だ。それ以外の間接業務を効率化して、客先に出向く時間を増やしていくことが、将来に向けた課題だと考えた。
そのためのツールとして導入を決めたのがRPAだ。目先のコストや人手不足などではなく、「会社の長期的な戦略に基づいた取り組みなのです」(溝田氏)
バックオフィス業務の自動化に向けて、西濃運輸はどのようにRPA導入を進めたのか。
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