楽天だからこそ活かせるスタートアップマインドとは? 「ラクマ」に聞く

楽天の「ラクマ」は、年率で2ケタ以上の成長を続けているフリマサービスだ。ラクマは3年前に楽天が買収したフリルと統合したことで、その存在感をより強く示してきた。ラクマの開発チームは、スタートアップのカルチャーと、楽天の社風をどう組み合わせて、最適なパフォーマンスを生み出す組織を作り上げたのか。優秀な人材が活躍できる風土とはどんなものなのか。

» 2019年12月11日 10時00分 公開
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 楽天の「ラクマ」は、年率で2ケタ以上の成長を続けているフリマサービスだ。業界2位の利用者数を誇り、日々進化を続けている。変化が早いIT業界では、先行投資が容易なスタートアップの活躍も目立つが、ラクマは3年前に楽天が買収したフリルと統合したことで、その存在感をより強く示してきた。

 ラクマの開発チームは、スタートアップのカルチャーと、楽天の社風をどう組み合わせて、最適なパフォーマンスを生み出す組織を作り上げたのか。優秀な人材が活躍できる風土とはどんなものなのか。ラクマ開発チームの、ECインキュベーション開発部 ジェネラルマネージャーの絹川達也氏、同ラクマ開発グループマネージャー岸洋希氏、黒田祐生氏に聞いた。

ラクマ開発チームの、ECインキュベーション開発部ジェネラルマネージャーの絹川達也氏(中央)、同ラクマ開発グループマネージャー黒田祐生氏(左)、岸洋希氏(右)

楽天経済圏の中で加速するラクマ

――楽天ラクマの特徴を教えて下さい。

絹川氏 2012年に日本初のフリマアプリサービスとして誕生した、フリルが原点です。楽天による買収を経て18年に旧ラクマと統合し、新ラクマとなり、サービス開始から今年で7年が経過しました。競合に比べて手数料が3.5%(税抜)なので、手軽に取引できるのが特徴です。

 楽天は、楽天会員を中心としたメンバーシップを軸に、70以上もの多様なサービスを有機的に結びつけることで形成する「楽天エコシステム(経済圏)」を強みとしていますが、ラクマもエコシステムの一翼を担っています。ラクマでは楽天IDを使って、手軽に登録でき、商品の購入時には「楽天スーパーポイント」も利用可能です。

 また、出品した商品が売れた場合、その売上金をオンライン上の電子マネー「楽天キャッシュ」にチャージして、「楽天市場」や「楽天Kobo」など楽天グループでのショッピングで使うこともできます。ラクマの年齢層は、楽天グループ全体の顧客層と比較すると若年層が多いため、楽天エコシステムへの、若いユーザーの獲得という面でも貢献しているのです。

「手数料3.5%(税抜)と手軽なのがラクマの強み」と絹川氏

――機能面では、どのような特徴を持っていますか。

岸氏 ユーザーが安心してサービスを使っていただくための基盤を整えています。サービスの規模が大きくなるにつれて、想定される懸念事項も増えますので、本人確認の強化を継続的に行い、安心できるユーザー体験をお届けできるよう努めています。

黒田氏 セキュリティ対策については、ラクマで実施していることに加えて、楽天グループ内の関係部署と協力して取り組めていることが強みの1つですね。専門チームと不正アクセスなどの情報共有や、対策の強化について連携しています。また偽造品対策も、グループ内でこれまで蓄積された知見を活用しています。

スタートアップマインドと、豊富なリソースを持つ楽天の融合

――岸さんは、もともとフリルの出身だとか。当時の開発チームのカルチャーはどのようなものだったのですか。

岸氏 フリルのときは、エンジニアとディレクターを合わせると30人前後の体制でした。その中で、四半期ごとにやりたいことをみんなでブレストして、各人が必要だと判断し、やりたいと思ったことを自由に開発してリリースするなど、スピード感が魅力でしたね。ユーザーに見えるものや見えないものを含めると、サービスや機能などの拡充は1日に10回ほどサーバ上でリリースしていました。

「統合前のフリルの頃のスピード感はそのままに、楽天の良さが加わった」と話す岸氏

――楽天にジョイン後、開発体制はどう変わったのでしょう?

岸氏 何かが失われたというよりも、楽天の良さが加わりました。自由に個人が機能をリリースするのは危険でもあります。現在は機能やサービス等を開発してから小さく公開して、ユーザーによい体験が生まれたかどうかをチェックしていく体制になっています。もちろん、現在でもスピード感は保っています。現場から上がったアイデアがベースとなっている機能なら、早ければ一週間以内にすべての開発工程を経て、世に出るということもあります。

黒田氏 スマホアプリの開発は、1カ月に1回くらいを目安にサービスリリースできる体制を組んでいます。直近でリリースした「バーコード出品機能」などは、楽天の社内で商品情報を管理している部署と連携することでスピーディーに実装することができました。

ラクマ開発チームが大事にしている価値観

――ラクマ開発チームではどんな価値観を大事にしているのでしょう。

岸氏 1つは「オーナーシップ」です。自らが責任を持って良くしていこうという価値観です。最低限の承認はマネージャーが行いますが、承認のステップは少なく、改善が必要な変更をお互いにレビューして進めるなど、できる限り現場に委任しています。

黒田氏 職責を超えるというのが大事な価値観です。必要なことであれば、エンジニアでも自発的にほかのチームと調整を行います。「自分の仕事はこれだから」と限定せず、ほかのメンバーの行動を見て、ここまでやっていいんだ、という気づきを得ながらみんなチャレンジしています。

「職責を超える」ことの重要性を強調する黒田氏

岸氏 2つ目は「ユーザーファースト」です。自分自身がユーザーとして使った時に、ほしいと思う機能を作っています。例えば、私が発案から実装まで行ったサービスに、出品した商品がどのくらい閲覧されているのかを確認できる機能がありますし、「ラクマ」Android版のメニュー位置を、下部に置くボトムナビゲーションにしよう、と提案して実装までこぎつけたメンバーもいました。

絹川氏 ユーザーインタビューの仕組みを楽天グループ内で持っていて、ユーザーファーストの実現に活用しています。サービスのヘビーユーザーから、ほとんど使っていない人までヒアリングして、開発者にフィードバックする仕組みです。

岸氏 3つ目は「フェイルスマート」です。新機能は、限定的に数パーセントのユーザーにだけ見えるようにして、反応を計測します。失敗するならスマートに賢く、広範囲に影響が及ばないよう早期に改善できるようにしています。

 社内で「QA(クオリティアシュアランス)」と呼んでいるデバッグ部隊がいるのも楽天の強みです。「ラクマ」は非常に複雑なサービスで、機能テストの際に一人の担当だけで動作を保証するのは難しいため、楽天のデバッグ部隊に協力してもらい全機能をテストします。これは「フリル」をやっていたときには想像もできなかったことですね。

自律的に動ける人材が活躍できる

――ラクマ開発チームが理想とするメンバー像はどんな人ですか?

岸氏 プロジェクトを推進する際に自走し、ユーザーの利便性向上を念頭に置いて開発することができる人が理想ですね。その上でデザイナー、プロデューサー、マーケティングや事業企画などのメンバーとも、積極的にコミュニケーションを取ってくれるメンバーを強く求めています。

黒田氏 お互いをリスペクトする人がいいですね。

絹川氏 ラクマ開発チームの特徴は、こちらから何か指示をしなくても、自発的にプロダクトのことを考えてくれるところです。逆に、受け身の人は動きにくいかもしれません。現場の裁量が大きいので、お互いの強みを認識しながら、一つのチームとして動いていけるかが重要なポイントです。

――職責の垣根を超えて行動する人を評価するのは大変そうですね。

絹川氏 パフォーマンスとコンピテンシーの2軸で評価しています。パフォーマンスは、プロジェクトに対して自己目標を設定して、それができたかどうか。コンピテンシーは、5つのミッションと11のコンピテンシーをもとに、四半期ごとにどこまで成長したかを見ています。

黒田氏 私は先日メンバー評価を初めてやったのですが、正直とても大変でした。何十人もの開発メンバーそれぞれに対しマネージャー全員で議論し、偏りのない、極力フェアな評価を目指しました。とても時間がかかったのでやり方は改善していかなければと思うものの、これほど真剣にメンバーの評価に向き合う組織はなかなかないのではないか、と思うくらい真剣に取り組んでいます。

――今後のラクマ開発のビジョンを教えて下さい。

絹川氏 モノの価値を再定義することですね。従来までは「楽天エコシステム」とのつなぎ込みの基礎部分を主に開発してきました。今後はより一層、ラクマの機能拡充に貢献していきます。一次流通と二次流通の両方を持っているのは、楽天ならではの強みです。

岸氏 まだまだ磨いていける部分があります。例えば、「求」というキーワードを付けて出品している人がいるんです。これは、「求む、こんなものを探している」という意味なんですね。これはユーザーの要求の1つではないか、これを実現したらユーザー満足度が向上するのではないかと。そういったことを深く追求したいと思っています。

黒田氏 個人的には、ユーザー同士がSNSのようにコミュニティーを築ける、そんなカルチャーが育ちやすいサービスにしたいなと思っています。フリマサービスは、基本的には相手が見えない中での取引なので、不安がつきものです。プラットフォームとしてさまざまな角度から安心感をもってお使い頂けるサービスに成長していきたいです。

――今後のラクマ開発に期待しています。本日はありがとうございました。

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提供:楽天株式会社
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia ビジネスオンライン編集部/掲載内容有効期限:2019年12月25日

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