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» 2020年01月20日 10時00分 公開

ペーパーレス化で年間1億円ものコスト削減 職員数4300人の北陸銀行は、どうやって迅速なワークスタイル変革を成し遂げたのか

長引く低金利、人口減少と、現在の地方銀行を取り巻く環境は厳しい。多くの地銀が、ITの活用を進めているが、積極的にITを導入し、コストの大幅な削減だけでなく業務の効率化を成功させた地銀の一つが、北陸三県と北海道を地盤とする北陸銀行だ。職員数約4300人という大規模な組織で、どのようにペーパーレス化など業務のIT化を進めてきたのか。成功のポイントを聞いた。

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 長引く低金利、人口減少と、現在の地方銀行を取り巻く環境は厳しい。多くの地銀が赤字に転落する中、各行ともビジネスモデルの転換と共に、効率改善によるコスト削減に取り組んでいる。

 多くの地銀が、ITの活用を進めているが、その進み具合には温度差もある。単にシステムを導入しただけではなく、特性を理解し、風土を変え、PDCAをうまく回すことが不可欠だからだ。そんな中、積極的にITを導入し、コストの大幅な削減だけでなく業務の効率化を成功させた地銀の一つが、北陸三県と北海道を地盤とする北陸銀行だ。

 職員数約4300人という大規模な組織で、どのようにペーパーレス化など業務のIT化を進めてきたのか。グループウェアの全行導入などで、北陸銀行のワークスタイルを推進してきたシステム統括部システム戦略グループの富永英司副部長、そして、システム統括部 ITコンサルティンググループ長の島田宗晴部長代理に、成功のポイントを聞いた。

北陸銀行のワークスタイルを推進してきたシステム統括部システム戦略グループの富永英司副部長(右)、そして、システム統括部 ITコンサルティンググループ長の島田宗晴部長代理(左)

中期計画でのワークスタイル変革への取り組み

 北陸銀行は2016年に中期経営計画を打ち出した。「BEST for the Region」と名付けられたその計画は、ビジネスモデルの転換と共に、ワークスタイルの変革を目指すものだった。

 当時の状況を、富永氏は「ラッキーだった」と振り返る。中期計画策定の2〜3年前から、行内の業務改革に携わるチームが存在していた。その規模が徐々に大きくなり、「各部横断に進めよう」という機運が盛り上がっていたときに、中期経営計画で推進のお墨付きをもらった形だ。

 ワークスタイル変革は、中期経営計画が出てから取り組んだものではなかった。「もともと仮想化やシンクライアント化などやりたいことがあった。数々の失敗も経験してここまで来ている。うまく業務改革とマッチした」と富永氏は話す。

 地銀に限らず、ペーパーレスやテレワークなどに取り組む企業は数多いが、成功させるためのポイントは3つあると富永氏は強調する。業務改革と人事改革、そしてシステム改革の3つだ。「3つが有機的に連動しないとうまくいかない。三位一体だ」

システム統括部システム戦略グループの富永英司副部長

 ワークスタイル変革自体が目的ではなく、生産性向上によるコスト削減や顧客サービス向上による収益の拡大、そして従業員の満足度向上に資するものではなくてはならない。そんな方針を当初から掲げていたことが、複数の部署にまたがって有機的に機能する取り組みにつながった。

 実際の取り組みは、行内で完結するところから始めた。「他業界に比べて金融機関のワークスタイル変革は遅れている。まずは行内で徹底的にやれることをやって、そのあとお客さま向けの業務も変えていく」(富永氏)方針だ。

進むペーパーレス KPIとKGI、それぞれの重要性

 大きく成果を上げたものの1つがペーパーレス化だ。紙での処理が中心だった行内での事務を、ネオジャパンのグループウェア「desknet's NEO」を導入し、ペーパーレス化した。

 効果は劇的だ。当初月間2400万枚もあった印刷枚数が約1年で30%削減。印刷コストだけで年間1億円のコスト削減を実現した。

 単に仕組みを導入しただけではこれだけの効果は出ない。そこには、取り組みを改善し続けるPDCAの推進があった。ペーパーレス化のKPIには印刷枚数を置き、KGIには印刷コストを置いて、それぞれの進捗をチェックしていったという。

 当初、KPIである印刷枚数は順調に減っていったのに、なぜかコストが減らない。実はプリンタドライバの印刷設定に不備があり、モノクロの印刷をカラー扱いで印刷していた。「KPIとKGI、それぞれのモニタリングの重要性を再確認した」と富永氏は振り返る。

現場を巻き込んだ電子稟議

 ペーパーレス化の取り組みが、コスト削減だけでなく生産性の向上に大きく貢献したのが行内稟議(りんぎ)の電子化だ。desknet's NEOのワークフロー機能を使い、行員に配布しているタブレット端末を使って、出先での承認も可能にした。

 「出張に出かけて、帰ってくると机の上に大量の稟議の書面が山積みになっていた。今では外出先でも承認することができ、ストレスが減った」と、行員からの高評価に、富永氏は笑みを浮かべる。

 ペーパーレスの導入で、誰まで承認が終わっているのかを容易に確認できるようになったのもメリットだ。これまでは、なかなか終わらない稟議に対して、合議先や秘書に電話をかけて「決裁は終わっていますか?」と聞くことも日常茶飯事だったという。こうしたプロセスがなくなったことで、決裁にかかる時間は従来の半分以下まで短縮された。

 とはいえ、導入当初はITリテラシーが十分でない行員もおり、一筋縄ではいかなかった。3カ月の移行期間中、工夫したのはいかに現場の全員に使ってもらい、慣れてもらうかだ。稟議書や通達だけでなく、休暇届を意図的にペーパーレス化した。休暇届は誰もが使う。休みたければ試さざるを得ない。

 こうした取り組みの結果、今では現場から稟議フォーマットの改善提案まで多く届くようになったという。富永氏は、うまく現場を巻き込んだ状況を次のように話す。「A4縦のフォーマットだったものを、タブレットで使いやすいA4横のフォーマットにしてほしい、と現場から要望が出てきた。便利だと思ってもらえると、推進側が何もしなくても現場が主導して推進してくれる」

 電子稟議のシステムの中には、承認者の設定やフォーマットなどを事前にガチガチに決めなくてはいけないものも多い。現場からの要望にスピーディに応えられたのも、desknet's NEOの仕組みが柔軟になっているからだった。「稟議途中の添付ファイルの追加や、経路の変更機能など、臨機応変に対応できたことが重要だ」(富永氏)

自らをショーケースとして顧客にIT導入

 ペーパーレス化など行内のワークスタイル変革が軌道に乗ったことを受けて、現在は銀行の顧客のIT化支援をする部署も設置。行内で使ってきた体験を元に、顧客へのIT提案業務も行っている。

 「地方の中小企業のIT導入はまだ遅れている。導入支援のニーズは昔からあったが、対応しきれていなかった。でも、自分たちが使い出すと、ITを活用しなければいけないことを実感して取り組める」と島田氏は話す。

システム統括部 ITコンサルティンググループ長の島田宗晴部長代理

 たまたま顧客向けに別のセミナーをやっていたとき、資料をdesknet's NEO経由でチェックしていたら、顧客から「それ、desknet's NEOっていうやつでしょ? どう?」と聞かれたという。顧客のIT化のニーズを実感するとともに、自分たちが使った経験を元に、活用法について解説した。自分たち自身が導入のショーケースとなることで、提案先への納得感も高めている。

 顧客にdesknet's NEOを勧められる背景には、導入にあたりカスタマイズをできるだけ避けたことも功を奏している。大規模な組織がシステムを導入するにあたっては、現在の業務プロセスに合わせて細かなカスタマイズを行うことが多々ある。しかし、それによってソフトウェア自体のバージョンアップの恩恵を受けにくくなったり、対応環境に制限が出てきたりすることもしばしばだ。変化の早いITシステムの「ベストプラクティス」のメリットを生かすには、できる限りそのままで導入することが望ましい。

 「desknet's NEOも標準パッケージをメインにした。北陸銀行スペシャルにしてはダメだ」と、富永氏は導入方針を話す。カスタマイズを依頼する場合も、それがdesknet's NEOの標準機能に組み込まれるような依頼にすることを念頭に置く。実際、最近のdesknet's NEOの機能追加は、北陸銀行からの要望で、ほかのユーザーにとっても便利だろうという判断から行われたものも存在する。

顧客とのやりとりもペーパーレスへ

 北陸銀行のオフィスを特別に見せてもらうと、管理職の席が紙一つないきれいな状況なのに驚いた。机の上には、持ち歩くタブレットと接続するディスプレイと、文房具立てがあるくらいだ。

 行内のペーパーレス化は順調に進展している。しかし富永氏は、「ペーパーレス化で印刷コストを1億円削減しても、まだ70%が残っている」と次の課題を話す。顧客とのやり取りに紙を使っている部分だ。

 行内の事務のペーパーレス化は自分たちで変えられるが、顧客とのやり取りのプロセスを変えるのが、次のチャレンジとなる。「顧客との事務を変えるのは本当に大変だ。これまで培ってきた歴史もあれば、法律の対応もある。特にスマホへの対応が難しい」と富永氏。

 北陸銀行は19年4月に、新たな3カ年の中期経営計画「ALL for the Region」を策定した。引き続き、IT活用による業務の効率化を推進するとともに、印鑑レス、カードレスなど、顧客向けデジタルバンキングの強化を打ち出している。また、顧客法人のデジタル化ニーズなどを捉え、地域のキャッシュレス化の推進やビジネスコンサルティングにも力を入れていく構えだ。

 職員約4300人という大規模な組織で、自行内の業務効率化をITの活用で成し遂げた北陸銀行。顧客を含めたデジタル化をいかにスピーディに実現できるか。北陸銀行の次のチャレンジが注目される。

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アイティメディア営業企画/制作:ITmedia ビジネスオンライン編集部/掲載内容有効期限:2020年2月2日