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» 2020年03月13日 10時00分 公開

大規模DX動向調査で判明した成功のカギは「顧客の声」 NPSを活用してBtoB分野でも「顧客をファン化」せよ

(提供:Dell Technologies)

[PR/ITmedia]
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 IT業界のみならず、日本の多くの業界で注目され、推進が叫ばれているデジタルトランスフォーメーション(DX)。しかしながら、DX実現の「目的」は企業によりさまざまなのが現状だ。DXの定義が各社で異なることから、新しいテクノロジーを用いて破壊的なビジネスモデルを志向する会社もあれば、「モダナイゼーション」という名の下に、社内システムをクラウドや最新鋭のサーバへ移設するだけの企業もある。

 日進月歩のIT業界では、「革新」や「変革」というバズワードを中心に、どんどんと新しいキーワードが出てくる。しかし、キーワードこそ新しくなれど、その本質は大きく変わっていないことも多い。DXと聞いても、2000年前後に巻き起こった「IT革命」と同じような認識を持っている人も多いのではないだろうか。当時、IT革命は「多くの新しいビジネスを創出し、さまざまな情報に関わるサービスを始め広範囲な領域をカバーする。これまでにないテクノロジーをベースに新しい事業が誕生する」などとも語られていた。一瞬DXの定義かと見間違えるほどだ。

 システム担当者や経営者たちは、単なる「デジタル化」とDXとの違いが見えづらく、なかなか改革が進まないというケースも散見する。実際、PowerEdgeに代表されるサーバ製品を担当するDell Technologies(デル)インフラストラクチャ・ソリューションズ統括本部データセンターコンピューティング部門が、19年12月に日本企業を対象に実施した「DX動向調査」でも、DXの効果を具体的に実感している企業はわずか14%にとどまっている。

 では、00年前後のIT革命と今回のDXとで、違いはどこにあるのだろうか。明らかに異なる点が1つあると指摘するのが、高見俊介氏だ。高見氏は、顧客ロイヤルティ、顧客の継続利用意向を知るための指標である「NPS(=Net Promoter Score)」に早期から着目し、日本で初期にNPSに関する書籍「ロイヤルティリーダーに学ぶ ソーシャルメディア戦略」を出版した「NPS第一人者」ともいうべき存在だ。高見氏は、IT革命とDXの違いについて、「本質的には大差ないが、大きく違う点が1点だけあり、それは顧客の視点」と話す。

 先の「DX動向調査」でも、高見氏の提言を裏付ける結果が出ている。DXにおいて重要だと考える項目として約半数の企業が「CX(=Customer Experience、顧客体験という意味)」と回答した。さらに結果を読み解くと、いわゆる「デジタル後進企業」と、反対にDXのリーダー的な存在である「デジタルリーダー層」では、「顧客の声の分析強化」に関する意識に大きく差が出ている。つまり、具体的に顧客の声をどう分析し、満足度を高められているかが、企業の「デジタル化進捗レベル」に対応しているということだ。

「顧客の声の分析」がDX進捗と関係あり(出所:Dell Technologies「DX動向調査」)

 今まで、「顧客満足度」や「顧客の声」というと、どちらかといえばBtoC業界で重要とされている指標であった。しかし、最近ではBtoB業界でもこうした機運が広がり、DXでCX向上を実現する、というトレンドができ始めている。「『モノ』消費から『コト』消費へ」という言葉もあるが、こうした意識変化や、少子化などで市場の競争が激化しつつある中で、顧客との関係性がこれからの時代を生き抜くカギであることは明らかだ。そして、CXを高く保ち、顧客との関係性を良好に維持する企業こそがDXに成功している――。こうした流れを受けて、最近はBtoBでもNPSを導入する企業が多くなってきた。そこで今回、「DX動向調査」を指揮したデル執行役員の清水博氏が、NPSへの知見が深い高見氏にインタビューを実施。企業が生き抜くために必要不可欠な知識であるDXとCXの関係性や、NPSの重要性を読み解く。

左:高見俊介(たかみ・しゅんすけ) 株式会社エンパスリンク(Empathlink Inc.)代表取締役。同志社大学法学部卒業。東京三菱銀行、ライブドア(戦略コンサルタント)、ライブドア証券(株式公開引受)、CCC(事業開発)を経て、IMJとインテグレートとの合弁会社「3i」の立上げを主導。その後、IMJでロイヤルティマネジメントコンサルティングに従事。2012年4月、エンパスリンク設立、代表取締役。多岐にわたる業種のクライアント企業に対し、顧客ロイヤルティ戦略のコンサルティングを幅広く手掛けている。執筆、講演多数。著書に「ロイヤルティリーダーに学ぶソーシャルメディア戦略」(ファーストプレス)                                                   右:清水博(しみず・ひろし) 横河ヒューレット・パッカード入社後、日本ヒューレット・パッカードに約20年間在籍し、国内と海外(シンガポール、タイ、フランス、本社出向)においてセールス&マーケティング業務に携わり、アジア太平洋本部のダイレクターを歴任する。2015年、デルに入社。パートナーの立ち上げに関わるマーケティングを手掛けた後、日本法人として全社のマーケティングを統括。中堅企業をターゲットにしたビジネス統括し、グローバルナンバーワン部門として表彰される。アジア太平洋地区管理職でトップ1%のエクセレンスリーダーに選出される。産学連携活動としてリカレント教育を実施し、近畿大学とCIO養成講座、関西学院とミニMBAコースを主宰する。著書に「ひとり情シス」(東洋経済新報社)。AmazonのIT・情報社会のカテゴリーでベストセラー。ZDNet「ひとり情シスの本当のところ」で記事連載、ハフポストでブログ連載中。早稲田大学、オクラホマ市大学でMBA(経営学修士)修了

「偶然」に頼るのではなく、しっかりとしたロードマップを

清水:昨今、DXとして、既存のビジネスから脱却し、新しいデジタル技術を活用することによって新たな価値を生み出すことを、多くのエンタープライズ企業では検討しています。DXによって実現するテーマとして、顧客との関係強化や顧客の声を深く分析したいという結果がわれわれの調査でも出ています。DXとNPSの関係はどのように感じられていますか?

高見:DXについては、苦労している企業が多いように思います。特に難しいのが、デジタルトランスフォーメーションの中の「トランスフォーメーション」の部分です。つまり、どのように組織を変革するかということです。

 00年前後のIT革命と今回のDXとの大きな違いは、「顧客をより認識する」というのが重要であるという点です。しかし、そのイメージが強く、デジタルを活用してCXを向上させることを意識できている一方、肝心のトランスフォーメーションについては、具体的なイメージを描けていない企業が多いのが現状ではないでしょうか。デジタルを活用し、CXやNPSを向上させる一連の取り組みの中で、組織としてどういう変革をするかも考えてみると良いでしょう。体質転換のイメージを持って計画的に取り組まないと、なかなかDXの実現は難しいはずです。

高見俊介『ロイヤルティリーダーに学ぶソーシャルメディア戦略』(ファーストプレス、2011年)

清水:DX先進企業としてデジタル化の戦略が社内に組み込まれていると自認している企業の多くは、さまざまな人事施策を強化しています。1on1ミーティングをしてお互いの考えを十分に尊重し、「目立たないけど普段から頑張っている従業員」の表彰制度を実施するなど、組織変革の前にまず、個人がモチベーションを高く保ち、イノベーションを産み出す風土に近づけようとしている状況であることが、最近のわれわれの調査から分かってきました。

高見:DXに関する取り組みとして、しっかり練り上げたロードマップが重要です。洗練された取り組みを行っている企業は、偶発的や結果的に洗練されたのではなく、その裏に洗練されたロードマップがあるはずです。粛々と実行を積み重ねる姿勢が重要だと考えられます。

NPSはBtoBでも重要な指標に

清水:NPSというとこれまでBtoCで使われがちでしたが、ここ数年ではBtoB分野でもNPSを適用する企業が多くなってきたと思われます。現に、Dellでも多くのお客さまからお問い合わせを受けるようになりました。BtoB分野でのNPSに関する注目度の動きをどのように見ていますか?

高見:非常に活発になってきていると感じています。現在は、ビジネスモデルサイドのイノベーションが起きています。例えば、テック系企業でも注目されている「サブスクリプションビジネス」はその1つです。サブスクリプションビジネスはSaaS(Software as a Service)の形でBtoBでも広がっています。これに連動する形で、「カスタマーサクセス」というキーワードも出てきました。サブスクリプションは、必要な初期投資が高く、損益分岐点を超えるまで継続的にユーザーを離さないことが重要です。つまり、BtoBでも、顧客満足度を高く維持する必要が高まってきているんです。こうした背景が、BtoB分野でもNPSへ注目が集まっている理由だと思います。

顧客体験と従業員体験は相互に高めあうもの

従業員数1000人以上の国内企業のうち、約1割に当たる479社が対象。回答者のうち4割以上が「IT部門担当者」で、DXと大きくかかわるサーバやインフラ担当者も多く回答した(Dell Technologies「DX動向調査」)

清水:DX動向調査で、さまざまな人事施策とDX進捗についての相関関係を調べました。中でも、「顧客満足度調査」を実施している会社は、DX進捗も大きい傾向にあることが分かりました。顧客満足度自体の高さや低さよりも、DXへの影響が強かったのです。

高見:最近では、CX向上の前段として、EX(=Employee Experience、従業員体験)が重要だと認識されています。しかし、このEX向上のために必要なのが、CXなのです。CX向上の前にEXの向上が欠かせないなのですが、実はそのEX向上のためにCXが……というように、考え始めると、無限に循環してしまいます(笑)。

 整理すると、自分が顧客にしっかりと価値提供できている。あるいは、自社や自ブランドが顧客に価値提供できている。その価値提供ができていることに対して、顧客からのフィードバックが実際にそれを裏付ける。これがEXの最大の加速要因になると考えています。

清水:お客さまの声を聞けることでモチベーションが高まるという効果は、社内でも感じているところです。

高見:顧客全体での総合評価も重要ですが、まずは特定の1人でもいいので、ポジティブなフィードバックをしっかりと大切にして、従業員側にポジティブな声を届けていくことが優先事項です。それによって、自分達がやっていることの正しさを実感して、自信をつけていくことができます。そして、顧客の範囲を徐々に広げていき、EX向上からCX向上のループが生まれてくるのです。EX向上のために、一部でもいいのでポジティブなCXを拾っていき、活動の質を高めていくことが重要だと思います。

企業のDXインフラを支えるDellのサーバもNPSを積極活用中

清水:Dellはグローバルレベルで積極的にNPSを活用しています。当初はコンシューマー分野から導入しましたが、BtoB分野でのサーバ製品でもお客さまからの有益な声を聞くことができるようになりました。

高見:NPSは、もともとカスタマーサーベイに対するイノベーションの要素があります。一般的に、市場調査などは質問もボリュームがありますが、その分回答者にも負荷がかかります。NPSは設問が少なく、回答者の負担も減らしつつ、究極的には顧客との対話のツールに変えていくというところを実現しています。ある意味で、調査やサーベイの概念を変えたとも言えます。顧客からの「生の声」というフィードバックを得られるのが強みでしょう。

清水:また、Dellのサーバをお使いのお客さまには追跡調査を実施して、NPSの評価のみならず、スコアの背景にある理由を探っていくことも実施しています。

DellではNPSのスコアだけでなく、背景も深堀りして顧客満足度の向上につなげている(提供:Dell Technologies)

高見:BtoB分野、特にカスタマーサクセスの要素がある場合では、時間的な尺度を加味して考える必要があります。つまり、顧客が製品へ最初に触れて、トライアルをして、ある程度初期段階でそこに対して価値を見いだして、「これは素晴らしい製品・サービスだ!」と認識に至るプロセスの中で「プル・プッシュ」ともに「プロセス」としてアプローチしていくことです。そのためには、単にタッチポイントの総和ではなく、価値を育む時間軸の要素を掛け合わせて、3D的発想を心掛ける必要があります。

清水:NPSを深堀りすることにより、お客さまの声をより多く聞くことができるようになりました。Dellは、米Dellが米EMCと統合して、米Dell Technologiesが誕生して以降、幅広い製品をワンストップでお客さまへお届けできるようになっています。国内サポートの拠点もどんどんと充実してきています。今後は本日の高見さんの話をさらに活用していきたいと考えています。ありがとうございました!


 最近は中堅・中小企業や大企業子会社の“ひとり情シス”の人でも、業務の守備範囲が広がってきている。こうしたセグメントに属する人は、ITのみならず「経営参謀」としての役割も期待されている時代になりつつある。そこで、Dellでは、NPSで取得した「お客さまの声」において「有用な情報発信」の要望が多いことから、社会人の「学び直しの場」としてのリカレント教育を実施している。その他、興味のある共通のテーマでのコミュニティー活動も実施している。

 今後Dellでは、高見氏を招聘し、企業のDX担当者やIT部門担当者を対象として、DXを推進するために必要なリカレント教育の講座としてセミナー・ワークショップを開催していく。受講希望の方は下記のアンケートに回答することで、申し込みができる。

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提供:Dell Technologies
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia ビジネスオンライン編集部/掲載内容有効期限:2020年3月26日

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