“届けたいターゲット”を指定できる屋外広告とは? LIVE BOARDが挑む、デジタル看板の革新

看板やデジタルサイネージなどを活用した屋外広告「OOH」の分野で、インプレッション販売型のサービスを始めたのがLIVE BOARDだ。「プログラマティックOOH」によって、ターゲットを絞り込んだ、高い費用対効果が見込める広告出稿が可能になる。海外と比べて遅れている日本のOOHはどう変わっていくのか。

» 2020年03月25日 10時00分 公開
[PR/ITmedia]
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 家から一歩外に出ると、さまざまな屋外広告が目に入ってくる。看板やデジタルサイネージなどを活用した「OOH(Out of Home)」と呼ばれる広告だ。OOHを使って、消費者に向けてメッセージを発信したことがある企業は多いだろう。

 一方、そういった広告媒体の活用方法は、実は昔からあまり変わっていない。動画を流すなど、新しい技術を使ったコンテンツを制作する企業は増えてきたが、いずれにしても、掲載した時点で完結していて、掲載後の「効果」を計測する方法はほとんどないのが現状だ。

 しかし、海外に目を向けると、OOHをデジタル化した「デジタルOOH(DOOH)」が急速に普及している。日本の屋外広告も“革新”の必要に迫られているのだ。

 日本のOOHの課題を解決しようと、新たなDOOHの取り組みを始めたのが、NTTドコモと電通が設立した「LIVE BOARD」だ。同社は、デジタルサイネージをネットワーク化し、インプレッションベースでの広告配信を可能にする「プログラマティックOOH」を広めようとしている。これまでのOOHの常識を変える、LIVE BOARDの先進性とは何なのか。同社インサイト部ディレクターの山田典弘氏と、テック部ディレクターの宮川聡氏に話を聞いた。

屋外広告の常識を変えるLIVE BOARDの先進性とは?(画像はLIVE BOARDの配信イメージ)

「太古の壁画」から変わっていない日本のOOH

 まず、日本と世界のOOH市場の状況を見てみよう。世界的には、OOH市場は年平均で5%の成長をしている。さらに、デジタルサイネージなどのDOOHに限ると、成長率は13%に跳ね上がる。今まさに市場拡大している分野だといえる。

 一方、日本のOOH市場は、2010〜18年の平均成長率が0.5%と、ほぼ横ばいだ。DOOHについては、増えてはいるものの、OOH全体に占める割合は20%にとどまる。世界と比較すると、シンガポールは60%、香港は55%、米国は43%、中国は41%。世界の平均は約40%だ。「日本は、海外と比べて半分程度しかOOHをデジタル化していないのです」と宮川氏は話す。

日本のOOH市場予測。他国と比べてDOOH比率が小さい

 なぜ日本のOOH市場の成長は鈍く、先進的な技術を取り入れる動きも少ないのか。その理由の一つは、海外と比べてOOHの「オーディエンスデータ」が整備されていないからだ。海外では、各広告媒体について「どのような層の人たちが見ているか」を計測する方法が共通化されていることが多く、どこに広告を出せばいいか比較しやすい。OOHの媒体がたくさんあっても、比較・検討する要素が少なければ、戦略的な出稿にはつながりにくいだろう。

 また、日本のOOH市場が“細分化”されていることも市場成長のハードルになっている。例えば、英国のOOH媒体の市場規模をみると、上位3社で87%を占める寡占市場となっている。一方、日本はロングテール型。最も大きなシェアでも10%程度で、それ以外はかなり細かく分かれている。ビルなどの所有者がそれぞれ媒体の権利を持っていることが多いからだ。そうなると、広告を出す際には、「空き枠」の状況について個別に確認する必要が出てくる。大手広告代理店の事例によると、空き枠確認のために、1カ月で1942回ものやりとりが発生しているという。さらに、広告のフォーマットも多様になっており、媒体によって個別の対応が求められる。

英国と日本のOOH市場の違い

 宮川氏は「日本のOOHのビジネスモデルは“太古の壁画”時代からほとんど変化していません」と、危機感をにじませる。出稿のベースになっているのは通行量と掲出期間のみであり、それがずっと変わっていないということだ。

インプレッション販売型のOOHとは

 日本のOOH市場のさまざまな課題を解決するために開発したのが、LIVE BOARDのビジネスモデルだ。LIVE BOARDではインプレッション販売型のDOOHを展開する。つまり、広告がどんな人にどのくらい見られたかという“成果”が分かるということだ。

 どのようにしてインプレッション販売を可能にしたのか。その大きな要素が、ドコモの「モバイル空間統計」などのデータ活用だ。

 インプレッションの予測は次のような手順で行う。まずは、サイネージなどの媒体ごとに、通行する人から広告が見える「視認可能エリア」を定義する。この視認可能エリア内をさらに小さなエリアに区切って、ドコモの交通量推計モデルをもとにそのエリアの視認可能人数を算出。そして、アンケート調査で視認率を出して、視認可能人数のデータと掛け合わせて、インプレッション数を推計する。ドコモのデータによって、人数だけでなく、オーディエンスの属性(個人を特定しないデータ)なども分かるという。

 上記は屋外広告の計測方法だが、現在実証実験を進めている屋内広告の場合は方法が異なる。屋内では、カメラによって広告を見ている人を計測。属性などのデータと掛け合わせて予測する。屋内では、埼玉高速鉄道の車内やドコモショップなどで実験を進めている。

埼玉高速鉄道と一緒に実証実験を始めた

「ターゲット層が多い場所と時間帯」を指定して出稿できる

LIVE BOARD テック部 ディレクターの宮川聡氏

 インプレッションが分かることで広告出稿はどう変わるのか。宮川氏は「今までのOOHだと、例えば『20代女性に広告を出したい』ということができませんでした。LIVE BOARDの仕組みを使えば、ターゲットが多い時間帯や場所など、ターゲットが広告を見る確率が高い状況が分かります」と説明する。

 従来は、場所や掲出期間を指定して広告枠を購入することが一般的だった。一方、インプレッション型だと、ターゲットを指定すれば、自動的に出稿する媒体や時間帯が決まってくる。例えば、「20代以下の含有率が30%以上」という時間帯とエリアを指定することも可能だ。ターゲットを指定して広告を出すことができるため、広告効果が高い部分に投資することができて、高い費用対効果を見込める。山田氏は「ある程度の期間とターゲットを設定すれば、タイムリー、コンパクトに配信できます」と話す。

 ターゲットとして設定できるのは、年齢や性別などの基本的な属性だけに限らない。将来的には、ドコモのデータによって、例えば「アニメコンテンツに興味・関心がある人」が集まる時間と場所を予測することもできる。「インターネット広告に近い形でターゲット設定ができる」(宮川氏)という。

 「これまでクライアント企業は“街の雰囲気”でOOHへの出稿を決めることが一般的でした。例えば『若者は渋谷に多く、巣鴨には少ない』とか……。ですが、データを見てみると、時間帯と場所によっては、イメージと異なる実態があることも見えてきます。我々のDOOHは“勘と経験”を覆すことができるのです」(山田氏)

勘と経験ではなく、ターゲットのデータに基づいて出稿できる(画像はLIVE BOARDの配信イメージ)

スマホと連動した「リターゲティング」も可能に

LIVE BOARD インサイト部 ディレクターの山田典弘氏

 現在、LIVE BOARDのネットワークでは、都心部を中心に84面の屋外看板(2020年3月末時点)で広告配信が可能だ。広告枠数を増やすために自社保有メディアの開発も進めており、今後は、全国主要都市で自社媒体・他社媒体合わせて100面以上をネットワークでつなげる計画だという。

 これらの各媒体に広告を配信する際のプランニング、広告枠の取引、配信までを自動化するために構築したのが、プログラマティックOOHである「LIVE BOARD マーケットプレイス」だ。広告主に対して効果的な広告出稿を支援するDSP(Demand Side Platform)を担う4社と提携してサービス提供を始めている。DSPでは、ニーズやターゲットに合わせた広告枠の買い付けが手軽にできるほか、管理画面でインプレッション数などを確認することもできる。

 今後は、さらに商品開発を進めてその機能を高めていく。そういった挑戦の一つが、スマートフォンと連携した「リターゲティング」だ。

 インターネット広告では、Webサイト訪問者などに限定して広告を表示することが行われているが、それをOOHでも実現できるようにするという。「DOOHを見た人にスマホの通知を送ることを想定しています。例えば、会社帰りにある商品のDOOHを見た人が、自宅近くでその商品の広告をスマホで受け取れば、購買意欲を高めることにつながるかもしれません」(宮川氏)

 山田氏は「OOHが持つ特徴の一つに、購買直前の接触によってリーセンシー効果があるといわれています。スマホなど他のメディアと組み合わせれば、OOHの効果を購買により近いところにまでつなげることができます」と説明する。

 また、スマホなどとの連携によって、OOHでは限られていた効果測定の方法も広がる。例えば、これまでのOOHは広告を見た人への大規模な調査は難しかったが、ドコモのアンケートプラットフォームを使えば、実際にDOOHの視聴可能範囲で広告に接触した可能性が高い人を対象としたアスキング調査をすることも可能になり、広告の効果をより正確に把握することにつながる。そうなれば、従来のOOH出稿の「予算が余ったときに」というイメージも変わってくる。

LIVE BOARDのDOOHのサービスロードマップ

「新しいOOH」を提案、市場活性化へ

 今後、プログラマティックOOHの先進性や効果をさらに広く伝え、伸び悩むOOH市場の活性化に貢献することを目指す。「OOH市場が横ばいになっている原因は、テレビの次に考える広告がインターネットになっているからです。費用対効果を明確にすることで、インターネット広告の利用が中心となっている企業を取り込みたい。DOOHと組み合わせた方が効果的だと伝えていきたいですね」と宮川氏は意気込む。

 山田氏も「メディア開発できる領域が限られている中で、DOOHは最後の大きなポテンシャル媒体だと考えています。広告にはまだまだできることがある。もっともっとパワーをつけて影響力を持つ媒体にしたいですね」と展望を語る。

 将来的には、米ニューヨークのタイムズスクエアのような、多彩なOOHの展開を思い描いている。「DOOHの可能性は、効果的な広告を出せることにとどまりません。クリエイターにとってはさまざまな表現の舞台にもなる。そういった人たちにもLIVE BOARDを活用してもらって、新しい媒体の使い方を提案していきたいですね」(山田氏)

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提供:株式会社LIVE BOARD
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia ビジネスオンライン編集部/掲載内容有効期限:2020年4月1日

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