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» 2020年04月20日 10時00分 公開

中小企業が直面するテレワークの課題 約3000社の実績を持つ浅間商事に聞いた「導入のポイント」は?

労働人口の減少による人材不足や残業の抑制、多様なワークライフバランスの実現など、向き合うべき経営課題は多い。それらを解決する糸口としてテレワークの導入を検討する中小企業は、具体的にどのような取り組みから始めればよいのか。

[PR/ITmedia]
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 働き方改革の一環でテレワークに大きな注目が集まっている。在宅勤務やモバイルワークなど、場所を問わずに作業ができる環境は、生産性の向上はもちろん、企業にとって人材採用の面でも有利に働く。

 また、震災や台風、昨今の新型コロナウイルス(COVID-19)の影響で明らかになったように、BCP対策(事業継続計画)としても効果を期待できる。とはいえ、本格的にテレワークの導入に踏み切っているのは、一部の先進的な企業だけ、というイメージがまだまだ強い。

 2020年4月から「時間外労働の上限規制」が国内企業の大部分を占める中小企業にも適用されるなど、段階的ながら働き方改革の波は確実に押し寄せている。労働人口の減少による人材不足や残業の抑制、多様なワークライフバランスの実現など、向き合うべき経営課題は多い。

 それらを解決する糸口としてテレワークの導入を検討する中小企業は、具体的にどのような取り組みから始めればよいのか。東京都、埼玉県、栃木県を中心に中小企業約3000社を顧客に持つIT商社、浅間商事(東京・上野)の柳沢太一代表にテレワーク導入のポイントを聞いた。

浅間商事代表取締役社長の柳沢太一氏

中小企業の情報システム部門のような存在に

 浅間商事は主に従業員5〜100名以下の中小企業に向けて、「ITアドバイザー」として働き方改革の支援を行っている。3000社の顧客は全て中小企業で、浅間商事自体も社員60名ほどの企業だ。

 「私たちは『次の10年を共に創る』をコンセプトにビジネスを展開しています。企業の理想の姿はあっても、中小企業は予算の制約も多く、一気に変革するのは難しい場合が多い。だからこそ、毎年できるところから少しずつ変えていくような、お客さまによりそうサポートを強みにしています」(柳沢代表)

 中小企業のIT化には課題が多い。本業がITでない場合、経営者のITに対する知識は不足しており、そもそもITをどう活用すればいいのか分からないことが多い。現場から「やりたい」という声が上がっていても、就業規則の問題などにも関わってくるため、興味があってもなかなか導入しづらいという背景もある。

 また、中小企業では専任のIT担当者がいないことがほとんどだ。「パソコンが使えるから」という理由で、総務や経理といった管理部門がIT部門を兼任している現場も少なくない。

 「中小企業は業務のIT化に割けるリソースが圧倒的に不足していると感じます。そもそも自社のネットワーク環境を把握できていない企業も数多くあります。例えば、客先を訪問すると、オフィスの入口にファイアウォール(UTM)が単独で置いてあったり、なぜかLANケーブルがささっていなかったり……。だからこそ、そういう現場を助けたいと思っています。『このままではダメだが、どうしたらいいか分からない』と悩んでいる企業を助けたいのです」(柳沢代表)

中小企業の課題の1つはリソース不足。「企業の中の1部門のように、よりそうサービスで助けになりたい」と語る柳沢氏

 ちなみに、中小企業が抱えるITに関連した悩みは「ある程度パターン化されている」という。よくある問題の1つはデータのバックアップ環境だ。パソコンが壊れたら重要なデータが消えてしまう、という状態で運用しているケースは少なくない。また、サイバーセキュリティ対策も優先順位が高い課題の1つ。ある企業では、PCのデスクトップにアンチウイルスソフトが置いてあるだけでインストールされていなかった……といった笑い話のようなことが実際にあったという。

 このようにある程度パターン化された課題を解決するソリューションとして、浅間商事では設置・設定、導入後フォロー、保守サポートを1つにまとめた標準パッケージ「あさまパック」を用意し、リモートで監視することにより、エラーが出た場合に担当者がすぐに駆け付けられるようにしている。

 「ITにリソースを割けない中小企業向けに、浅間商事がいわば“外部の情報システム部員”として活動するイメージです。私たちは『次の10年を共に創る』ため、売り切りではなく、その後のサポートも大切にしています」(柳沢代表)

中小企業でも高まるモバイルワークへの要望

 中小企業からの問い合わせで最近特に増えているのがモバイルワークソリューションだ。出先や現場でもオフィスと同じような環境が実現できれば、作業効率はアップし、生産性は向上する。

 例えば、クラウドで資料を管理するなどしてモバイルワーク環境を実現していれば、ローカルにない資料でも客先ですぐに提示できる。これまでのように、いったん持ち帰って再度訪問する、といった無駄を省けるようになる。また、モバイルワークが実現すれば、従業員に在宅勤務という選択肢を用意することにもつながる。とはいえ、中小企業はまだその手前の段階だ。

 「多くの中小企業はまだ在宅勤務までいっていません。まずは経営者がモバイルワークをやってみて、現場の従業員においてもモバイルワークが実現すれば、その次にテレワークや在宅勤務へ、という話になります。新型コロナウイルスの影響により、在宅勤務に注目が集まっていますが、それを実現するにはいくつか段階があります。中小企業はもっと手前の段階です」(柳沢代表)

浅間商事の6階フロア(ASAMA Cafe)はカフェテリア席やキャンピング家具を置いた開放感のあるレイアウトになっている。仕事の内容にあわせて働く場所を最適化するABW(Activity Based Working)の考え方を取り入れている

 ただ、新型コロナウイルスとは関係なく、生産性の向上を目指すために働き方改革の要望は増えてきているという。その場合、成功のポイントは「経営者から始めること」と柳沢代表は提言する。

 「ITを活用した働き方改革がうまくいっている会社は、いずれも経営者から取り組んでいます。仮に要望が現場から出て、従業員から始めたとしても、トップがボトルネックになってしまうと根本的な解決にならないからです」(柳沢代表)

 また、テレワークを推進するときには、従業員全員ができるようになることを「期待しない」という割り切りも必要だ。目的は生産性を上げるためであり、テレワーク自体はあくまで手段にすぎない。

 テレワークの実現に必要なペーパーレス化も同様だ。浅間商事ではペーパーレス化のサポートも行っているが、まずはテレワークから先に着手する。そうするとさまざまな不便が出てくるため、それをペーパーレス化によって解決する、という手順にしている。

 「先にペーパーレス化を目指すと、実現に10年はかかってしまいます。実際にそういう企業もたくさん見てきました。“完全ペーパーレス”は今でも難しいので、まずはテレワークをやってみて、そのために必要な部分から徐々にペーパーレス化していく。中小企業の場合は、最初から理想を目指すよりも浮かび上がってくる課題をつぶしていくほうが、自分たちのペースでIT化を進めやすいのです。それに、必ずしもペーパーレス化の必要がない業務もあります。そこはそのままでいいと思っています」(柳沢代表)

IT化にリソースを割けない中小企業は、初めから理想を目指すのではなく「まずはやってみることが重要」(柳沢氏)

 「テレワーク」や「ペーパーレス」という言葉にとらわれすぎると、制度の導入自体が目的化しかねない。生産性が向上するのであれば、従業員の2割が使い始めるだけでも目的は達成したと言っていい。

 また、2割が使い始めれば、6割の従業員もテレワークやペーパーレスを活用する土壌が作られ始める。たとえ残りの2割が全く利用しなかったとしても、全体として生産性が向上するのであれば成功と捉える――そんな「2-6-2の法則」を頭の片隅に入れておけば、手段の目的化で悩まされる心配はなくなるはずだ。

1日がかりだったマネジャー会議が1.5時間に

 浅間商事も5年前からテレワークやペーパーレス化による働き方改革を自ら進め、大きな成果を得たという。まずは柳沢代表が先陣を切り、ノートPCやiPhone、Office 365を導入した。

 「それまで仕事環境はデスクトップPCだけでしたが、モバイル環境を整えました。Office 365もクラウド機能を重視して使い始めました」(柳沢代表)

 その後、4支店のマネジャーを集めて月に1度実施していた会議もWeb会議に切り替え、各支店から本社へ移動する時間を省いた。しかし、それ以上に短縮できたのがデータ集計や報告の時間だった。

 それまでマネジャー会議の前には、支店ごとに売上などのデータを経理が集計して報告書を作成していた。しかし、提出されるデータのフォーマットはバラバラ、使われている用語も違う。その結果、会議に使う資料づくりに丸1日以上かけることもざらだった。

 現在は、クラウド経由で各拠点の担当者がデータを入力すると、それらが共通のフォーマットで自動的に集計されるようになっている。そのため、会議のための報告書づくりに追われていたマネジャーたちも、顧客に会う時間を増やすことができたという。経理担当者が集計する負担もほぼゼロになった。「今まで報告書づくりにかけていた時間の9割は不要でした」と柳沢代表は笑う。

遠隔会議に切り替えて、会議の質が大幅に上がったと語る柳沢氏

 マネジャー会議の時間も大幅に短縮できた。報告に使う「過去の数字」はあらかじめクラウド上に全てそろっているので、当日の会議で報告に時間を割く必要はない。会議の議題も「Microsoft Teams」で事前に共有されており、会議を待たずにTeams経由で担当者に確認して問題が解決することもある。会議はただの報告会から、今後の戦略について深く話し合う有意義な時間に生まれ変わったという。

 「以前は報告を理解するのがせいぜい。マネジャーたちも、未達成の理由を経営者に納得してもらうために話しているような状態でした。それが今では、事前に共有してある過去の数字を前提として、未来を話す場になっています」(柳沢代表)

人材採用の量と質が向上

 浅間商事は、自社で取り組んできたさまざまな働き方改革によって、1人当たりの利益が124%増え、1人当たりの年収も平均で118%上がったという。その一方で、残業時間は11%減り、固定残業分を超えて残業する従業員はほぼゼロになった。労働時間を減らしつつ、業績は向上。それが給与に還元され、労働環境が改善されたことで、採用面でも好影響が出始めた。

 「残業ゼロや時短勤務で採用しやすくなったことで、子育て中の優秀な人材を採用できるようになりました。女性はこの5年間で10人ほど増え、東京本店では3割が女性従業員になっています。求人への応募数は10倍に増え、一度の採用に100〜200人が集まることもあります。今まで採用できなかったような高いスキルを持った人材も採用できるようになりました。採用する人材の量と質、両方が向上したのです」(柳沢代表)

 IT化は男性の育児参加にも貢献している。柳沢氏自身も7歳と5歳の子どもがおり、妻とは共働きという環境だ。そこで、週に1〜2日在宅勤務しながら、仕事と育児を両立しているという。昭和では考えられなかった、新時代の「中小企業の社長」の姿だ。

 「働き方が変われば人生も変わります。昔は社長が誰よりも早く出社し、誰よりも遅く帰って、休日は接待ゴルフというのが当たり前でした。在宅勤務しながら社長業をやるなんて考えられなかったと思います」(柳沢代表)

 中小企業の社長と従業員ほど、ITの恩恵をもっと受けるべき、と柳沢代表は熱弁する。ITを活用すれば、生産性が上がるだけでなく、社長や従業員がライフ・シフトを起こすことができる。柳沢代表の根底にあるのは、「日本の中小企業の働き方をもっとかっこよく、効率的で安心なものとしたい」という願いだ。

 「日本では、人口の7割が中小企業の従業員です。その人たちがかっこよく効率的になれば、日本が世界から憧れられる国になると信じています。だからこそ、中小企業の働き方改革やIT活用を自ら体現して、イメージしてもらい、その実現をサポートしていきたいですね」(柳沢代表)

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提供:浅間商事株式会社
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia ビジネスオンライン編集部/掲載内容有効期限:2020年5月26日

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