建設・リフォーム現場に慣れ親しんだ「紙とペンのままデジタル化」で業務改善

» 2020年07月16日 10時00分 公開
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 働き方改革の急速な浸透によって、これまで紙で行っていた業務をペーパーレス化し、業務を効率化する動きが進んでいます。しかし、アナログにはアナログのメリットがあるのも事実。紙は一覧性が高く、文字や図をスムーズに描ける上、そのまますぐに受け渡すこともできます。

 また、業態によっては紙の業務を完全にデジタル化するのが難しいケースもあります。例えば建設業法内では、契約書だけでなくお客さまとの打ち合わせ記録などの営業に関する書類も10年間の保管が義務付けられています。法令順守はもとより、有事の際に適正に業務を行っていたという証明のためにも、書類管理は重要な業務の1つであり、そのためにコストと時間を費やしているのが現状です。しかし、昨今の働き方改革を受けて、書類管理に関しても法令を順守しつつ、業務の効率化が求められています。

 そんな「紙の業務が当たり前」の建設・リフォーム業界で、東急Re・デザインはアナログとデジタルの融合によって上記の課題に対応しているといいます。課題解決のために導入したツールは、紙にペンで書いた書類をそのままデジタル化できるワコムの「Bamboo Slate(バンブースレート)法人モデル(以下、Bamboo Slate)」。

 Bamboo Slateでは、普段使用している帳票に専用ペンで手書きをすると、アプリケーションと連携して情報が電子化され、手書き文字も自動でテキストデータ化されてシステムに取り込めるため、既存のワークフローを変えずに紙の業務を効率化できるのが特徴です。

東急不動産ホールディングスグループで住宅のリフォーム・新築、施設リノベーションを行う東急Re・デザイン。アナログとデジタルの融合で紙業務の課題に取り組む現場を取材しました

 Bamboo Slateでどのような取り組みを行っているのか。紙の利便性を生かしつつデジタル化を推進している事例について、東急Re・デザイン経営企画部イノベーション推進チームのマネージャーである蓮沼一貴氏と、同チームの黒木奈津子氏に話を聞きました。

紙のワークフローを変えずにデジタル化を実現

 東急Re・デザイン(https://www.tokyu-re-design.co.jp/)は東急不動産ホールディングスのリフォーム専門会社として2017年に創業。オフィス、マンション、戸建てリフォームに新築事業も加わり、個人から法人まで幅広い顧客のニーズに応える企業です。同社のイノベーション推進チームは「生産性向上」「新規事業開拓」「他社との差別化」の3つをミッションに、社内の業務改革に取り組んでいます。

 特にITの活用による「生産性向上」が大きく進展したのは、蓮沼氏がBamboo Slateを目にし、ワコムに問い合わせたのがきっかけでした。Bamboo Slateは一見すると一般的なボールペンとメモパッドですが、本体のボタンを押すことで手書きのメモや図表を電子化できる、デジタルの利便性とアナログの手軽さを融合させた製品です。

 「新しいものを導入しようとすると、現場からは『面倒くさい』という声が挙がりがちです。しかし、Bamboo Slateなら従来の紙を使用したワークフローを残しつつ、デジタル化のメリットを実現できます。『帳票やワークフローはそのままで電子化したい』という自社のやりたい形を実現できるツールだと感じました」(蓮沼氏)

経営企画部イノベーション推進チームのマネージャー
蓮沼一貴氏

 一方、業務で使用する帳票の電子化およびテキストデータ化には、ハードウェアであるBamboo Slateとは別に、アプリケーションやシステムとの連携が不可欠です。その部分を担うのが株式会社ALCONTA(アルコンタ)が開発している「onboard」というBamboo Slate対応アプリです。

 このonboardは「紙帳票のデータ入力を自動化したい」「既存のワークフローを変えずデジタル化をしたい」「タブレットPCでペーパーレスシステムを導入したが現場の反発が大きくデジタル化が進まない」といった企業や自治体のニーズから生まれました。いつも業務で使用している紙帳票をデジタル化できるのが最大の特徴で、Bamboo Slateと非常に親和性が高く、上記のような課題を解決するツールとして注目されています。

Bamboo Slateとonboardの特徴

  • 専用紙が不要で既存の帳票を活用でき、ワークフローを変更する必要がない
  • ⼿書きデータの変換もOCRやAI-OCRと違って、紙をスキャニングする必要がない
  • 手書き情報をテキストデータ化できるので、RPAやCRMなどさまざまなシステムと連携が可能

 このBamboo Slateとonboardの組み合わせが東急Re・デザインのニーズに見事に合致し、3社でプロジェクトが進められました。まず対象となったのは、お客さまとの打ち合わせ記録の電子化からです。

Bamboo Slateとonboardを組み合わせたシステムイメージ。さまざまなクラウドサービス、RPA、CRMなどと連携が可能

 東急Re・デザインでは、リフォームを進める際、営業の訪問時にヒアリングした内容を3枚複写の「打ち合わせ記録」に記録しています。そして1枚は顧客に渡し、1枚は自社で保管、場合によっては残りの1枚を施工業者に渡すようになっています。そして打ち合わせ終了後、営業はその記録をスキャンしてPDFファイルにし、ファイル名を付けてしかるべき社内フォルダに保存しなければなりません。

 「営業は1日最低2〜3件は訪問し、月に10〜15件の契約を受注します。受注のためには1件あたり2〜5回の打ち合わせが必要なので、月平均で50〜70回前後の打ち合わせがあります。直行直帰が多い職種のため、このスキャンのためにオフィスに出社する必要が生じており、非常に非効率でした」(蓮沼氏)

 Bamboo Slate導入後はデジタル化のフローは非常にシンプルになっています。営業はお客さまとの打ち合わせが終わり次第、Bamboo Slate本体のボタンを押し、Bluetooth経由でスマートフォンにデータを送ります。その後、スマートフォン上のonboardアプリ側のボタンを押せば、打ち合わせを記録したファイルがonboardと連携するクラウドサービスのBoxに送られます。その際、より現場の負荷を削減するため、大きく2つの工夫がなされていました。

経営企画部イノベーション推進チームの黒木奈津子氏

 まず1つは検索性の向上。打ち合わせを記録する際、日付や物件名を紙帳票に手書きしますが、それを自動的にテキストデータに変換してファイル名にすることで、後から記録を探しやすくしています。もう1つは社内データ共有の迅速化です。クラウド上のBoxと連携し、所属組織ごとのフォルダにデータが自動で格納(自動仕分け)されるようにしたことで、従来よりもデータ共有がスムーズになりました。

 結果、「以前は営業が顧客ごとにフォルダを管理していたため、階層が深く上長も確認しづらい状態でしたが、今は部署ごとにBoxのフォルダに全て保存することで、いつ誰が打ち合わせしたのかを管理しやすい状態になりました。また、これまでの管理体制は属人的だったため、不測のトラブルが発生したときも担当者が打ち合わせ記録簿を手動で探し出すしかありませんでした。しかし、onboardに検索機能を付加したことで、目的の記録も取り出しやすくなりました」(黒木氏)

「onbord(打ち合わせ記録電子化)」のフロー比較

 上記のフロー比較から分かるように、1帳票ごとに3工程削減できています。また、出社の自粛が求められる状況のなかでも、お客さまとの打ち合わせが終了してすぐに打ち合わせ記録データが指定フォルダへ送付されるので、わざわざ打ち合わせ記録を保存するために帰社する必要がなく、働き方改革にもつながります。

 「Bamboo Slateとonbordを活用したデジタル化の取り組みは、現在打ち合わせ記録の1帳票だけですが、次のステップでは竣工の立会検査など、対象の帳票を6帳票まで拡大する予定です。部署によって使うテンプレートが異なるため、会社としては最終的に40〜50帳票まで電子データ化を目指しています。

 あわせて、現在60台導入しているBamboo Slateも、デジタルツールの利用に抵抗の少ない一部の住宅系営業担当者に使ってもらっていますが、20年度中には200名の住宅系営業を中心に導入を予定しており、より一層デジタル化を推進していきます」(蓮沼氏)

アナログとデジタルの融合で紙業務を効率化するBamboo Slate

これからの業務改革に期待されるBamboo Slate

 今回は東急Re・デザインをモデルに、建築・リフォーム業界のデジタル化事例・働き方改革を紹介しましたが、業種問わず、紙ならではの利便性やワークフローの変更に伴う現場の抵抗といった背景から、紙とペンを使った業務からのデジタル化に課題を持っている企業は多いと推察されます。また、図らずも新型コロナウイルスの影響で働き方改革が加速し、多種多様な業種でデジタル化の波は広まっていくでしょう。

 一見矛盾しているように聞こえるかもしれませんが、ペーパーレス化を推進するあまり、無理に紙の業務をなくして現場に負担を強いるのではなく、誰もが慣れ親しんでいる「紙とペン」を最大限活用しながら少しずつデジタル化を推進していくのも働き方改革の手法の1つです。Bamboo Slateは、そんな「新しい働き方」のための道具であると期待されています。

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アイティメディア営業企画/制作:ITmedia ビジネスオンライン編集部/掲載内容有効期限:2020年8月15日