「電子署名の導入」だけでは、契約業務プロセスはうまくいかない 解決策は?契約書のライフサイクルを意識せよ

» 2020年09月01日 10時00分 公開
[ITmedia]
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 新型コロナウイルスの感染拡大を受け、在宅勤務制度を導入する企業が増える一方、多くの従業員が出社を余儀なくされている企業も決して少なくない。理由は各社さまざまだが、要因の1つは日本特有のハンコ文化だ。紙の契約書や社内文書に押印しなければ業務が進まないために、わざわざ“ハンコ出社”を強いられるケースも多い。

 政府は6月に「契約書への押印は特別の決まりがない限り不要」という内容のガイドラインを発表し、多くの企業が「紙の契約書と押印」の慣習を改めようとしている。紙の契約書や各種帳票を電子化し、従来の押印を電子署名などの手法に置き換え、業務のペーパーレス化や電子化に乗り出すところが増えてきた。

 しかし電子署名を導入して契約書の押印を廃止してみたものの、実際には思うようにテレワーク化が進まないケースもあると聞く。契約書の管理業務に詳しいオープンテキストの市野郷学氏(EIMエバンジェリスト)は次のように分析する。

 「国のガイドラインでも明示されていますが、契約行為の有効性を証明するには、契約書の押印は必ずしも必須ではなく、むしろ契約の合意に至った『プロセス』を証明できることが重要です。具体的には、契約内容の交渉過程や最終合意に至った経緯を証明できるメールや文書の記録が必要になります。そのため契約書そのものだけでなく、交渉過程の記録文書の管理も含めた『契約書のライフサイクル管理』が求められています」

photo 契約書のライフサイクル管理=オープンテキスト提供

 契約書を電子化し、電子署名を導入したはいいものの、契約交渉の過程でやりとりされたメールは当事者のメールボックスの中にしか残されておらず、最悪の場合は本人の判断で削除されてしまうケースもあり得る。社内での契約内容のレビューや承認のプロセスも、当事者同士がメール添付のドキュメントを直接やりとりして行っている場合がある。そのためプロセスを外部から検証することが難しく、コンプライアンス上の問題を引き起こす危険性とも常に隣り合わせだ。

電子署名を導入すれば終わりではない

photo オープンテキストの市野郷学氏

 市野郷氏によれば、コロナ禍以前から多くの企業が契約書管理業務に課題を抱えており、デジタル化に寄せる期待はもともと大きかったという。

 「近年では企業合併や海外市場進出などにより、国内外に多くの拠点やグループ企業を抱える企業が増えてきました。その場合、拠点やグループ会社ごとに契約業務をばらばらに行っていると、コンプライアンス上の問題を引き起こす危険性があります。そこで何らかのシステムを導入して契約書管理業務を全社で標準化したいというニーズが多く寄せられていました」

 契約書管理業務をデジタル化し、既存の業務システムと連携させ、業務効率を向上させたいというニーズも多く見られたという。

 こうした課題を解決するには、単に契約書を電子化して電子署名を導入するだけでは、明らかに不十分だ。全社規模でプロセスを標準化した上で、契約の交渉記録をはじめ、各種周辺情報も併せて一元管理できる仕組みが必要だ。

 これらの要望に応えるべく、オープンテキストは「OpenText Extended ECM プラットフォーム」(以下、Extended ECM)を提供している。

 オープンテキストは1991年にカナダで創業されたソフトウェア&クラウドサービスベンダー。独自開発の全文検索技術を武器にECM(エンタープライズコンテンツ管理)の分野で頭角を表し、現在はB2B/EDIデータ連携や、内部不正を検知するデジタルフォレンジックなど、ビジネスに必要不可欠な情報やプロセスを効率的に処理・自動化し、情報のハブとして活用管理できるソフトウェア&クラウドサービスを提供している。

 中でも主力製品のExtended ECMは、契約書管理業務に適用すれば、ペーパーレス化やデジタル化、ひいてはテレワークの導入が一気に進む可能性が高まるという。

 「Extended ECMは、契約書のひな型の作成・管理、それらを基にした契約書の作成、契約内容の調整や交渉の履歴管理、社内でのレビュー、承認のワークフロー管理、契約時の電子署名や紙の契約書の電子化、作成済の契約の管理と検索、さらには有効期限の管理や廃棄など、契約書のライフサイクルを一貫して管理できます」(市野郷氏)

photo 契約書のライフサイクルを一貫して管理できる=オープンテキスト提供

 テレワークの促進だけでなく、契約書にまつわる業務全体のスピードアップも図れる。紙の契約書の作成から締結までには、通常は2週間以上かかるが、Extended ECMによるペーパーレス化とワークフロー化が実現すれば3日に短縮できるという。紙の契約書には欠かせない収入印紙も電子契約では不要になり、その分のコストも節約できる。

契約書情報を全社横断で共有、素早く検索

 Extended ECMを導入すると、これまで担当者同士が個別にメールで行っていたやりとりが全社標準のワークフローに統一されるため、契約書管理業務のプロセスの可視化や透明化が進み、ガバナンスの強化も期待できる。

 契約の交渉過程をシステム上で一元管理してきちんと履歴データとして残せるよう、契約担当者が相手方とやりとりしたメールをMicrosoft Outlookの画面から取り込んだり、Outlook上の設定で自動的にExtended ECMに保管したりできる。これらのメールを契約書のレビューや承認依頼の際に添付すれば、その契約が正しい経緯のもとになされたことを担保できる。

 「メールは裁判における証拠と見なされますから、万が一係争に巻き込まれた際に備え、契約行為に関連するメールを証跡としてきちんと管理したいというニーズが高まっています。また、いったん締結した契約書を単に保管しておくだけでなく、後々社内で広く共有・活用できれば、全社の業務効率は大幅に向上します。そのためにExtended ECMでは、契約書を電子データとして一元管理するとともに、全文検索や絞り込み検索によって素早く検索できる機能を提供しています」(市野郷氏)

 もともと同社が強みとしてきた全文検索機能を駆使して、大量の契約書の中からキーワード検索によって必要なものを素早く見つけ出せるとともに、紙の契約書もデータ化して検索対象にできるという。具体的には、紙の契約書をスキャンして生成したPDFファイルにOCR処理を施し、中身の文字データを抜き出して検索対象にできる。

 こうして、社内で作成した全ての契約書(および関連コンテンツ)を一元管理し、自由に検索できるようにすることで、組織の壁を越えた契約情報の共有を促す。

 「例えば購買部門が作成した契約書を製造部門が参照したり、営業部門が作成した保守契約書を保守部門の担当者が参照したりといったように、部門を横断して契約情報が広く共有されることで、ビジネスの意思決定スピードを高められます」

 契約書を管理する上では、「期限」を厳守することも重要だ。契約書それぞれの契約期間をきちんと把握し、予期せぬ契約切れや更新を避けなければならない。また、期限が切れて不要になったドキュメント類はきちんと破棄しなくてはならない。Extended ECMは、こうした適切な対応を担当者に促す機能も備えている。

DocuSignやSAP ERPなどと連携

 同製品のもう1つの大きな特徴は、電子署名クラウドサービス「DocuSign」をはじめ外部のサービスと連携できる点だ。Extended ECMのワークフロー上でレビュー・承認を完了した契約書のファイルを、自動的にDocuSignのクラウドサービスへ送信し電子署名を行える。簡単な設定を行うだけですぐにDocuSignとの連携を実現できる。

 同様に、SAP ERPやSAP SuccessFactors、Salesforce.com、Microsoft Dynamicsといった業務アプリケーション製品とも容易に連携が可能だ。市野郷氏は「この連携機能こそが、Extended ECMと他のECM製品との違いを決定付ける最大の特徴だ」と力説する。

 「契約書をはじめとするビジネス文書は、単にECMの中に閉じて管理するだけでなく、各種の業務アプリケーションがつかさどる業務プロセスの中で活用されてこそメリットを発揮します。その点Extended ECMは、業界を代表する各種業務アプリケーションと連携することで、普段の業務プロセスの中で契約書をはじめ各種文書に手軽にアクセスできるようにします」

 例えばSAP ERPの画面から仕入先ごとの契約書を検索したり、Salesforce.comの画面から顧客ごとの契約情報を参照したりといったことが可能になる。逆に、Extended ECMの画面からこれら業務アプリケーションが管理するデータを活用することも可能だ。

photo Extended ECMの画面例。いつでもどこでも契約情報へアクセスできる=オープンテキスト提供

 こうしたシステム連携の裏では、SAP ERPやSalesforce.comなどのアプリケーションが管理する「顧客マスタ」「仕入れマスタ」といった各種マスタデータベースと、Extended ECMが管理する各種文書の情報とが、自動的にデータ連携されるようになっている。

 これによって、例えば「顧客情報ごとに契約書を検索」「仕入れ先情報をキーワードに過去の購買契約を検索」といったように、業務アプリケーションが管理するマスタ情報を切り口に、さまざまな角度からExtended ECMが管理する文書情報を活用できるようになる。

 「こうしたデータ連携機能がなければ、Extended ECM内に別途マスタデータベースを用意する必要があり、その構築や運用のコストが発生します。そうした方法をとっているお客さまもいらっしゃいますが、連携機能を活用すればアプリケーション側で管理しているマスタデータをExtended ECM側から直接参照して、契約書をさまざまな切り口から活用できるようになります」

 これまで本稿では、契約書管理業務を中心にExtended ECMの機能を紹介してきたが、同製品は決して契約書管理に特化した製品ではない。あらゆる種類の文書の管理に役立つ機能を網羅したプラットフォーム製品であり、その応用範囲は広い。

 「どんな業務であっても、ファイルサーバやクラウドストレージで手軽に管理できる一般的なビジネス文書だけでなく、より厳格に管理する必要がある重要文書や機密文書、法廷保存文書などが存在します。そうした文書のライフサイクル全般を管理するプラットフォーム製品として、契約管理以外の業務でもExtended ECMを広範に活用いただければと思います」(市野郷氏)

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