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» 2020年09月10日 10時00分 公開

改革を推進してきたリーダーたちが語るIT変革の波と“仲間”の重要性

[PR/ITmedia]
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 新型コロナウイルス(COVID-19)感染拡大の影響で社会環境が大きく変わる中、企業はウィズコロナ/アフターコロナを見据えた新しい働き方への対応を迫られている。これまで長期的な労働人口の減少を背景に、生産性の向上や業務の効率化、多様なワークライフバランスの実現による人材確保といった文脈で語られてきた「働き方改革」が、単なる“先進企業の先進的な取り組み”ではなく、あらゆる企業を巻き込んだ喫緊の課題として浮き彫りになった形だ。

 急激に変化するビジネス環境に私たちはどう対応すべきか――。7月7日、クラウド・コンテンツ管理サービスを展開するBoxが「Box Virtual Summit Japan Summer」を開催した。全セッションライブ配信で行われた同オンラインイベントは、「Work Unleashed 変わりゆく働き方 〜場所、時間、働き方を解き放とう」をテーマに、ニューノーマル (新常態)においていかに事業を継続し、成長させていくか、その経営戦略のヒントがさまざまな角度、人物から語られている。その中から、改革の旗手たちが登壇した注目のセッションをピックアップしてレポートする。

IT部門が主役の時代がやってきている

 最初に紹介するセッションは、企業でIT戦略の意思決定を担うCIO(最高情報責任者)が登壇し、日本企業がDXを推進するために既存のITシステムをいかに変革していくか、そのポイントを語り合う「CIOトーク」だ。

 ゲストスピーカーは、荏原製作所 執行役 情報通信統括部長の小和瀬浩之氏と、前職はヤンマーの取締役CIO(最高情報責任者)を務め、現在は特定非営利活動法人CIO Lounge理事長の矢島孝應氏。モデレーターはBox Japan代表取締役社長の古市克典氏が務めた。

 現在、新型コロナウイルス(COVID-19)の影響でビジネス環境は大きく変化している。例えば、これまで「紙の書類のデータベース化」は、現場の課題の1つと捉えられがちだったが、新型コロナによって急きょ在宅勤務が進んだことにより、稟議・決裁業務が止まったり、決算のための経理業務が滞るなど、経営上の大きな問題として浮き彫りになっている。こうした古い業務フローを起因とする課題がさまざまなところで噴出している状況だ。

 しかし、日本の多くの企業は「もったいない精神」でレガシーシステムを持っている場合が少なくない。小和瀬氏は「日本の製造業の最大の欠点は、大きなIT投資をしないこと。部分的な仕組みを変更するだけでは、どうしてもレガシーに引っ張られ大きな改革ができません」と警鐘を鳴らす。

 IT変革が進まない原因の1つに、経営とIT部門のギャップもある。経営は新しいテクノロジーを使えばどう変革できるかが理解できていない。一方、IT部門やベンダーはテクノロジーを熟知しているが、それを経営や経営の目指す方向性にどう生かせばいいのか分からない。CIOが取締役の一員になっていないことも問題だ。

 こうした現状を変えるために「経営者も含めて、社員全員のITリテラシーを高めていくべき」と矢島氏。「前職のヤンマーで去年、『全員SE化』という方針を出しました。これはプログラミングをやれということではなく、ITリテラシーを上げろということ。自分が使うITなのだから、その道具を知らなければトッププロにはなれません」。

 社員は道具(IT)を作る必要はないが、道具の特性を知る必要はある。人材の場合、人事が人を配属したらその部門が責任を持って育成するが、ITの場合はいつまでも情シス部門が面倒を見るように言われてしまう。矢島氏は「人も情報も同じ。経営者は“自分が扱うものは自分のもの”という意識で育てていく必要があります」と語る。

 小和瀬氏、矢島氏が共通して訴えたのが「今こそIT部門が主役の時代」だということだ。これからは、IT部門がもっと経営を知り、経営に飛び込んでどんどん提案していかなければならない。その際は分かりやすい言葉を使い、動画を見せるなどもし、ITに詳しくない経営層にも伝わる努力も必要だ。経営とIT部門が協力し合えば、企業のITを活用した変革が大きく前進するだろう。

日本企業がIT変革を進めるには

 一方、現場でIT変革を主導する3社の“若きITリーダー”が、これからの企業の中でITが果たす役割と“あるべき姿”についてディスカッションを繰り広げたのが「ITリーダーズトーク」だ。同セッションでは、ヤフーのシステム統括本部 情報システム本部で本部長を務める廣瀬正則氏と、日清食品ホールディングスの情報企画部次長である成田敏博氏、LIXIL理事 デジタル部門 デジタルテクノロジーセンター長の安井卓氏が招かれた。モデレーターを務めたのは、ワークスタイル改革をはじめ幅広い分野のプロジェクトに参加するケンブリッジ・テクノロジー・パートナーズCOOの白川克氏。

 企業がIT変革を推進するにあたっては、まずIT部門がやるべきことを見つけ出さなければならない。そこで安井氏が大事にしているのが現場の声だという。

 「一番重要なのは経営方針です。その経営方針と現場のギャップを見つけ出すために、現場の話を聞き、そこからニーズを見つけてアイデアを得ます。事務の仕事内容はなんとなく分かっていても、工場や研究所の業務はイメージできない。そんなときは、現場との対話の機会を作るようにしています」(安井氏)

 現場の声を拾うだけでなく、3人とも他社の事例を参考にしているという。廣瀬氏は「バックオフィスが使うツールに関しては、業種による違いはなくなってきています。使い方の正解を自分たちで探すより、他社の事例を解釈して参考にしています」と説明する。

 業種によるツールの違いがなくなっていけば、他の業界や企業でも自分の知見を生かせるようになる。成田氏は「コロナ禍の影響により、物理的に出社せずにリモートで働くことが一般的になりました。こうした環境下で、今後は個人が一組織のみに所属するのではなく、自社で得た知見を副業等を通じて他の組織でも生かす機会が増えていくのでは」と予測する。これまでは難しかった異業種や他の企業からの客観的視点を生かすことで、プラスαが出せるようになる、というわけだ。

 また、過去の取り組みを振り返ることも重要だ。今は5年前と比べてテクノロジーが大きく進化している。ゴールへのアプローチはよくても、思想が追い付かなかった部分もあるだろう。過去に失敗した取り組みだとしても、今のテクノロジーで他社が実現できている場合もある。以前の取り組みを振り返り、今ならどうできるかを考えてみるのもよいだろう。

 IT活用の有用性を認識しながらも、IT変革においては多額の初期投資が必要であると考えている経営陣は多い。さらに、SaaSのような現代の投資は費用対効果をはっきり示すことが難しい。そんなとき、IT部門は経営陣をどう説得すべきなのだろうか。

 「むしろSaaSの導入は楽です」と明るく語るのは安井氏だ。「SaaSは初期投資が安いので、まず社内の少人数で使ってもらえば、使い勝手や効果をデータとして取ることができます。事前予測にはあまり意味がありません」と説明する。トライ&エラーや無駄なコストを最小限に抑えられるアジャイルの時代になっているのだ。

 クラウドが盛んに使われるようになる以前は、ツールを導入する場合はパッケージで、しかもそれを動かすインフラも含めて、選定、調達、購入、そして運用する必要があったが、サブスクリプションで提供されることが多いSaaSなら、まずは試してみて、うまく運用できなければやめてしまう、という選択が可能だ。独自開発したツールとは違い、SaaSであれば他社が使っているケースを参考にできるので、課題を予見できる可能性も高い。経営陣に提案する際は、このようなクラウド時代のSaaSならではのメリットも強調すべきだろう。

 3人に共通していたのは、経営陣とのコミュニケーションがよく取れていることだ。成田氏によると、日清食品グループではCIO戦略プレゼンが定期的に行われており、IT部門と経営陣のコミュニケーションの場が確立されているという。「プレゼンでは最新の技術動向などの情報共有も行われており、中長期的な取り組みについて合意形成しやすい仕組みができています」と内情を明かす。

 一方、廣瀬氏の所属するヤフーは定期的なプレゼンの場はないものの、直上長が執行役員となっているという。話が必要な場合は、その上長から直接経営陣に説明してもらえる組織体制となっている点が強みだ。

 安井氏が経営陣にプレゼンする際は、「小難しい説明では経営陣に理解してもらえないので、『LINEと同じように使える』など“ユーザー視点”での説明を心掛けています」とコツを語る。また、他社も使っていることを伝えると、安心して決裁できる部分もあるので、他社の情報を武器として使っているという。

他者や他社と“仲間”を作ることが重要

 各社の情報システムのキーパーソンである廣瀬氏、成田氏、安井氏が共通して語ったのは「仲間を作ることが大事」だということだ。社外に仲間がいて積極的に情報交換ができれば、他社の事例をうまく自社での説得材料に生かすこともできる。新たな業務改善のアイデアも見つかるだろう。

 それと同じく、社内にも仲間を作ることが重要だ。社内には同じような志を持っている人が必ずいる。そうした仲間は、必ずしも同じ部門、部署の中だけではないのだ。異なる部署、さまざまな現場にいることだってある。そんな仲間を見つけて声をかけ、一緒に変えていくことが成功の秘訣だと語られた。部署の垣根を越えて、全社横断的に課題を分析し、解決策を提示できるのは、全ての従業員をサポートするIT部門ならではの役割ともいえるだろう。

 CIOトークでは、IT部門が主役の時代であること、経営部門とIT部門の歩み寄りが必要であることが何度も強調された。今やITは全ての業務に関わる必要な経営基盤であり、「道具」である。経営陣はその道具について学び続けなければならないし、IT部門は経営陣がスムーズに理解できるように説明をする努力が必要だ。そういった意味では、CIOトークでもITリーダーズトークでも経営部門とIT部門が同じ目的を目指す“仲間”になるような取り組みやコミュニケーションが重要であると訴えている。

 ウィズコロナのニューノーマル時代に生き残れるかどうかは、IT部門が経営陣と共にどこまで他部門と連携し、さらには企業の枠組みを超えた他者と手を取り合い、IT変革を進められるかにかかっているといっても過言ではない。新時代の波に乗ってピンチをチャンスに変えられるかどうかは企業の取り組み次第なのである。

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提供:株式会社Box Japan
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia ビジネスオンライン編集部/掲載内容有効期限:2020年9月30日