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» 2020年10月14日 10時00分 公開

クラウドネイティブのプロが対談:なぜ、DXの第一歩が踏み出せないのか クラウドの“真の価値”を理解し、閉塞状況を打破せよ

[PR/ITmedia]
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 多くの企業がデジタルトランスフォーメーション(DX)の実現を目指し、AI・IoTなどデジタル技術の活用に乗り出している。しかし必要な環境・プラットフォームを自前で一から構築していては、膨大なコスト・時間がかかる。技術的なハードルも高く、自ずとパブリッククラウドのPaaS(Platform as a Service)を利用することになる。

 とはいえ、クラウドの重要性を重々承知していながら、導入や活用がなかなか進まない企業も少なくない。閉塞状況を打破するには、まずクラウドの“真の価値”を正しく理解する必要がある。

 そこで重要なキーワードが「クラウドネイティブ」だ。近年、耳にする機会が増えてきたが、どんなコンセプトなのか。導入時の課題は何か。日本で数少ないクラウドネイティブのプロフェッショナル集団「オルターブース」の小島淳代表取締役と、日本マイクロソフトの平岡一成氏(クラウドソリューションアーキテクト)が語り合った。

photo 左から日本マイクロソフトの平岡一成氏(クラウドソリューションアーキテクト)、オルターブースの小島淳代表取締役=Microsoft Teamsによるオンライン取材で撮影

なぜ今「クラウドネイティブ」が必要なのか?

平岡氏: 人によって言葉の定義がまちまちなようにも思いますが、小島さんはクラウドネイティブというコンセプトをどのように捉えていますか?

小島氏: クラウドネイティブという用語自体は、米国の非営利団体「Cloud Native Computing Foundation」の活動に端を発し、現在では本来の由来を超えた広い意味で使われています。特に「コンテナ」や「マイクロサービス」といった先進技術を使って構築したシステムのことをクラウドネイティブと呼ぶことが多いようですが、当社はもう少し広い意味で捉えていて、「クラウドでしか実現できないシステムやアプリケーション」をクラウドネイティブと呼んでいます

平岡氏: オンプレミスでも実現できることは、クラウドネイティブとは呼ばないということですか?

photo オルターブースの小島氏

小島氏: はい。例えば、IaaS(Infrastructure as a Service)で仮想化基盤を構築してアプリケーションを動かすような仕組みは、確かにクラウドを使ってはいますが、オンプレミスでも十分に実現できます。私たちの定義に従えば、これはクラウドネイティブではないということになります。より具体的にいえば、PaaSのメリットを最大限に生かして作られたシステムのことをクラウドネイティブと呼んでいます

平岡氏: クラウドネイティブなシステムが求められている背景には、どんな理由があるとお考えですか?

小島氏: さまざまな要因があると思いますが、最も大きいのはコスト削減だと思います。オンプレミスのシステムをそのままIaaS上に載せ替えるだけでは、運用コストは減るどころか、長期的な観点だとむしろ増える可能性があります

 一方、PaaSのフルマネージドサービスを利用すれば、自前でインフラやOS、ミドルウェアの運用監視を行う必要はほぼなくなりますから、システム運用管理に掛かる人的コストを大幅に減らせます。

 当社のクライアント企業の例を挙げます。かつて自社のオンラインサービスをオンプレミス環境で運用するのに人件費を含め毎月500万円ほどを掛けていましたが、サーバレス技術をベースにしたクラウドネイティブ構成に移行したところ、わずか6000円ほどにまで削減できました

平岡氏: すごい事例ですね。私はかつて、クラウドを全く導入していない会社に勤めていたのですが、オンプレミスシステムの運用管理業務が過酷でモチベーションもなかなか上がらず、会社を辞めていく部下も少なくありませんでした。PaaSを活用したクラウドネイティブな環境なら、そうした煩雑な運用管理業務からエンジニアが解放されてより創造的で価値の高い仕事に取り組めるようになるので、エンジニアのモチベーション向上にもつながるでしょうね。

photo 写真はイメージです=提供:ゲッティイメージズ

なぜ、日本ではクラウドネイティブの導入が思うように進まないのか?

平岡氏: 日本では、既に一部でクラウドネイティブの価値は認識されているものの、まだまだその重要性が広く知られているとはいえません。それ以前に、そもそも自社システムのクラウド化に手こずるケースが後を絶ちません。

小島氏: 私が実際に見聞きしてきた範囲内では、セキュリティの課題がクラウド移行の障壁になっているケースが実に多いですね。オンプレミス環境で採用していたセキュリティの仕組みを、そのままクラウドに移行した結果、過剰で的外れなセキュリティ対策になってしまうケースが散見されます。

 また、多くの日本企業の組織はピラミッド型の構造になっていますが、一般的にマイクロサービスはそうしたピラミッド型の組織とは相性が悪いといわれています。このこともクラウドネイティブが浸透しない一因だと思います。

 さらに、古い技術を使ったレガシーシステムにも要因があります。老朽化して動かなくなってしまえば、否応なく新しいプラットフォームに移行せざるを得ないのですが、日本のIT産業はどうも“過保護”の傾向が強く、ユーザー企業の要望があれば古い仕組みでも無理やり動かそうとしてしまいます。その結果、本来はとっくに刷新すべきレガシーシステムであっても、ベンダーやメーカーが何とか手を打ち、塩漬け状態で動かし続けてしまいます。こうした傾向も、海外と比べてクラウド導入で後れを取っている一因だと思います。

photo 日本マイクロソフトの平岡氏

平岡氏: 日本企業のデジタル化が遅れている原因の一つとして、システム開発の内製化がなかなか進まない点を挙げる人もいます。海外企業、特に米国企業は、自社内に優秀なITエンジニアを多く抱えて、情報システムの企画や開発、運用のほとんどを自前で行うのが主流です。それによって自社の業務ニーズに即したシステムを迅速に設計・開発したり、開発と運用がシームレスに連携したDevOpsを実現できたりします。近年、こうした方法を見習っている日本企業もありますが、まだほんの一部にすぎません。

小島氏: 日本企業は伝統的に、システム開発作業のほとんどを外部のベンダーに丸投げしてきたので、内製開発に必要な技術力や体制、カルチャーなどが醸成されてきませんでした。特に「テックリード」の不在は深刻です

 テックリードとは、高い技術力や豊富な知見をもって社内の技術者たちを率いていける人材を指します。そんなテックリードがいないことを嘆くお客さまが多くいらっしゃいます。そこで当社のメンバーがお客さまのプロジェクトにテックリードとして参画し、システムアーキテクチャを整備したり、現場のエンジニアの相談に乗ったりしています。

クラウドネイティブ導入の強力な援軍「KOSMISCH」

平岡氏: オルターブースさんではそうした人的な支援サービスの他にも、独自に開発したツールを使ってお客さまのクラウドネイティブ導入を後押しされているそうですね。

小島氏: 「KOSMISCH」(コーズミッシュ)というサービスです。お客さまのレガシーシステムをクラウドネイティブ化するためには、まず既存システムとクラウドネイティブとの間のギャップを洗い出して、移行時にどこでどのような課題が生じるのか把握しておく必要があります。そのためにはソースコードの中身を詳しくチェックする必要があり、人手に頼ると膨大な手間が掛かります。そこでツールを使って自動化すれば、効率よく移行できると考えたのです。

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平岡氏: 具体的にはどのような機能を提供しているのでしょうか?

小島氏: 既存システムのASP.NETのソースコードを読み込んで自動的に内容を解析し、これを.NET Coreのクラウドネイティブ構成に移行する際に「どの箇所でどのような課題が生じ、それらをどうやって解決すべきか」を判断してレポートにまとめ上げます。それも単に機械的に判断しているのではなく、これまで当社がMicrosoft Azureについて蓄えてきた知見を基に定義した「PaaSアーキテクチャのベストプラクティス」に照らし合わせて判断しています。

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平岡氏: なるほど、クラウド移行プロジェクトのテックリードの役割を、ある程度代行してくれるようなイメージですね。

小島氏: その通りです。当社がこれまで数多くのクラウド移行プロジェクトで蓄積してきた知見がそのまま反映されていますから、当社のメンバーがテックリードとしてお客さまのプロジェクトに参画した場合と同じく、コード品質の確保や生産性向上などに貢献できます。現在は「KOSMISCH Monolith」(モノリス)というツールを使ってこうしたサービスを実現していますが、近く「KOSMISCH Designer」(デザイナー)というツールも新たに提供を始める予定です。

平岡氏: 新しいツールは、どんな機能を備えているのですか?

小島氏: ツールが提示する質問に対し、ユーザーが回答していくだけで、その場でニーズに適したクラウドネイティブのアーキテクチャを提案します。例えばECサイトをクラウドネイティブで構築したい場合、ECサイトのカテゴリーの中に用意されている質問に1つずつ回答していけば、答えるたびに適したアーキテクチャが自動的に生成されます。たとえ自社に高度なスキルと知見を持つテックリードがいなくても、適したアーキテクチャを簡単に導き出せます。

サービス黎明期から一貫してAzureのソリューションに取り組む

平岡氏: オルターブースさんのこうしたサービスの利用者には、どのような企業が多いのでしょうか?

小島氏: 以前は、クラウドを通じて自社サービスを展開しているスタートアップ企業のお客さまが多かったのですが、現在はDX実現を目指す大手企業のお客さまが大半を占めています。特に、大規模なレガシーシステムを抱えている製造業のお客さまが多いです。そうしたお客さまに対してMicrosoft AzureのPaaSを使ったソリューションを提案し、実績を積み重ねた結果、日本マイクロソフトさんからパートナーアワードの表彰を3度いただきました。私自身もかつてはMicrosoft MVPとして、現在はMicrosoft Regional DirectorとしてMicrosoft製品・サービスの啓蒙活動に携わっています。

平岡氏: 2010年にWindows Azure(Microsoft Azureの前身)が登場して今年でちょうど10年目になるのですが、小島さんには当時のβテストから携わっていただき、以降も一貫してAzureのソリューションに深く関わっていただいています。これだけ長くAzureにコミットしていただいているパートナーさまは、日本国内に片手で数えるほどしかいないのではと思います。

小島氏: Windows Azureは初めて登場したときから、他のパブリッククラウドとは違って明確にPaaSを志向していた点が魅力的です。以来「アプリケーションエンジニアにとって最も魅力的なクラウドサービス」と感じていました。最近ではKOSMISCHのハンズオンセミナーを月1回のペースで日本マイクロソフトさんと共同で開催しています。普段ASP.NETやC#で開発をされている方なら誰でも参加できますから、興味を持たれた方は気軽に参加いただければと思います。

Microsoft Azureを活用したシステム・SaaS開発 徹底解説セミナー

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 本セミナーシリーズでは、Webアプリケーションのソースコードを解析し、パブリッククラウドを実行環境とするアプリケーション構成への改善提案レポートを提供するサービス「KOSMISCH」をご紹介します。

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提供:日本マイクロソフト株式会社
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia ビジネスオンライン編集部/掲載内容有効期限:2020年10月20日

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