新人が「即戦力」に? 人手不足とオペレーターの不安を解消する、ニューノーマル時代のコンタクトセンター向けAIソリューションとは複雑化する業務、深刻化する人手不足

デジタルシフトによる業務の複雑化とともに、人手不足にも悩むコンタクトセンター。最近ではリモート化の機運も高まっており、対応すべき課題が山積している。そんな中で活用したい、業務効率化とともに新人教育にも効果を発揮する、AIを駆使したソリューションとは?

» 2020年11月18日 10時00分 公開
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 新型コロナウイルスの感染拡大を機に、一気に日本企業へデジタル化の波が到来している。デジタルトランスフォーメーション(DX)という言葉の認知も広がっており、さまざまな業種で、これまでのアナログな業務を見直し、効率化して変化の激しい時代に備える必要性が出てきている。加えて、テレワークが普及したことで働き手が点在し、人材教育なども従来のやり方を刷新する機運が高まってきている。

 そんな中で活用したいのが、富士通が提供している「FUJITSU AI Zinrai Contact Center Knowledge Assistant」だ。Contact Center Knowledge Assistantは、コンタクトセンター向けのソリューションで、人工知能(AI)を駆使し、オペレーターと顧客のやりとりをテキスト化し、効率的なナレッジ検索を可能にするもの。やりとりをリアルタイムでテキスト化でき、問い合わせに対応したナレッジを即座に検索できることから、問い合わせ対応の効率化や、人材教育への活用など、さまざまな現場で導入が進んでいる。

 そこで今回は、AIを活用したコンタクトセンター業務改革プロジェクトを展開し、そのプロジェクト内でContact Center Knowledge Assistantを一部導入し、効果測定を行っているWOWOWコミュニケーションズに、Contact Center Knowledge Assistantのメリットや一部導入による効果などの話を聞いた。

コロナ禍、「ステイホーム」で負担は増えた?

 WOWOWコミュニケーションズは1998年に設立し、コンタクトセンター事業などのコミュニケーション領域をメインに展開している。もともとはWOWOWが行っていた会員向けビジネスを、放送事業や編成業務に注力していく中で分社化するニーズが高まり、事業部門から独立する形で創業した。

 WOWOWは国内だけで280万近いTV契約数を抱えており、WOWOWコミュニケーションズはこうした契約者からの問い合わせだけでなく、新たに加入を希望する見込み客からの問い合わせ対応を中心に、顧客分析やWebサイトの制作、デジタル広告、EC、旅行業など幅広く手掛ける。また、会員向けビジネスを手掛けるWOWOW以外の企業からもアウトソーシングを引き受けている。「90億円ほどある売り上げのうち約半分はそうした外販事業が構成しています」と、運用本部第3事業部長でContact Center Knowledge Assistantを活用したAIのプロジェクトマネジャーを務める小川範芳氏は話す。

WOWOWコミュニケーションズ運用本部第3事業部の小川範芳部長。AIを活用したコンタクトセンター改革のプロジェクトマネジャーを務める

 新型コロナウイルスの感染が拡大する中で、「ステイホーム」が呼びかけられたこともあり、多くの人が「自粛生活」を余儀なくされた。その中で、娯楽を求めてWOWOWの加入件数が伸び、結果的にコンタクトセンターの負担が増えたのでは――とも考えられるが、「意外とそうでもなかったのが実際のところです」と話すのが、同部運用課長で、運用企画部運用企画課の課長代理も兼任する櫻井渉氏だ。スポーツイベントや音楽イベントなど、従来「目玉」だったコンテンツが新型コロナの影響で中止・延期になったことが理由として挙がった。

 ただ、もともとコンタクトセンターへの問い合わせで新規契約希望者が占める割合は3〜4割ほど。コロナ禍の中で新規契約希望者からの問い合わせはそこまで増えなかった一方で、残りの6割超を占める既存契約者からの問い合わせは増加傾向にあり、その中で契約者との距離が縮まったと感じているという。

同社第3事業部運用課の課長で、運用企画部運用企画課の課長代理も兼任する櫻井渉氏。コンタクトセンターへContact Center Knowledge Assistantを導入するフェーズでの責任者を務める

業務の複雑化・人手不足で求められていた業務効率の改善

 コンタクトセンターの効率化については、新型コロナの感染が広がる前から徐々に効果測定を進めていた。

 近年、コンタクトセンターを巡ってはデジタル化による顧客との接点が多様化し、電話以外のチャネルも集約して対応する必要が生じるなど、オペレーションの複雑化が課題になっている。「これまでやっていた、人が人に教えて、人間だけで業務を完結させる形には、限界が出始めていました」と小川氏は振り返る。

 また、どの業態にも共通する課題ではあるが、生産年齢人口の減少による人手不足もコンタクトセンターを悩ませている。コンタクトセンターはいわゆる労働集約型の業務であり、「人がいてナンボの仕事」と小川氏は話す。複雑化し、求められるオペレーションが増大する一方で、現場ではオペレーターが足りない。さらに、人手が足りないことから新人の育成などにかけられるリソースも限られてしまう――といった負の連鎖に見舞われてしまっていた。

 WOWOWコミュニケーションズでも、当然こうした課題に直面していた。AIの学習や現場へのフィードバックなどを担当する第3事業部運用課の森末崇之スーパーバイザーは「以前はBS放送のみのコンテンツ提供でしたが、今ではさまざまなチャネルでWOWOWを視聴することができます。こうした中で、お客さまからの質問内容も多岐にわたるようになり、コンタクトセンターに求められる知識量やサービスの質をこれまで以上に高める必要性が出てきています」と話す。また、人手不足の中で新人オペレーターのレビューをする時間がなかなかとれなかったり、採用する人材も年齢層が上がってきたりもしており、これまで以上に分かりやすく、スピーディーに新人を教育する必要性が高まっていた。

第3事業部運用課の森末崇之スーパーバイザー

 こうした中で、WOWOWコミュニケーションズではコンタクトセンターの高度化やデジタルマーケティングの強化などを経営課題に据え、AIを活用した「企業優位性の創出」、デジタルチャネルとコンタクトセンターを融合してデジタルマーケティングや顧客接点を強化する「(コンタクトセンターの)高度化・機能強化」、投資効果を生み出す「雇用安定化・業務効率化」の3つを目的として、2019年に効果測定を開始することとなった。

選定の決め手となった、2つのポイント

 AIを活用してコンタクトセンターの課題を解決するソリューションはいくつも存在するが、中でもContact Center Knowledge Assistantを選定したポイントはどこにあったのだろうか。

 選定ポイントの1つ目として、小川氏は「コスト」面での課題解消を挙げた。

 WOWOWコミュニケーションズは以前にもAIソリューションを活用した業務改善を図ったことがあった。当時改善しようとしていたのは別の課題だったが、非常にコストがかかった割には期待したような効果が出ずにプロジェクトが停滞してしまった。

 そこで、自社の業務に最適化され「地に足の着いた」(小川氏)コストで実現できるAIソリューションを探すことに。中でも、スモールスタートで段階的に検証を積み上げていくという提案(効果測定)があった、Contact Center Knowledge Assistantに行き当たったという。

 また、2つ目のポイントとして、以前より同社のCRM関連を富士通が支援していたことも挙げられた。以前の経験から、WOWOWコミュニケーションズではコンタクトセンターを改革するに当たり、まず地道な現場の効率化でコストを回収しつつ、一定程度の効果が見えてきたら、データを活用してマーケティングを高度化する――という数段階のステップに分けてプロジェクトを運用していく方針へ変更していた。CRMとともにコンタクトセンターのソリューションも富士通のものを採用すれば、コンタクトセンターで得た顧客の対話データと、CRM上の情報などを統合することで、マーケティングの高度化ができると考えたという。

効果測定で見えてきた「新人教育」面の効果

 現在、WOWOWコミュニケーションズでは札幌事業所のオペレーター15席で、Contact Center Knowledge Assistantを利用。主に「新人教育」の面で活用しているという。効果測定で見えてきた導入効果には、どういったものがあったのだろうか。

 第3事業部運用課札幌センター長で、札幌事業所におけるContact Center Knowledge Assistantの実運用責任者を務める綿貫貴之氏は、従来と比較して「2割程度」の効果が出ていると話す。「これまでの座学やロールプレイング、OJTを経て現場に立つまでと比較して、新人1人につきおおむね2割弱の時間が削減できています。新人だけでなく、OJTで指導する担当者の時間も、同程度の効果が出ていますし、時間が削減できることで、人件費の面でもいい効果が生まれています」(綿貫氏)

 これまでであれば、新人がデビューするまでに平均して1カ月ほどかかっていた。また、管理者がフォローするためには、コンタクトセンター内を歩き回り、何か問題が起こっていないかをチェックしていたという。

音声認識とナレッジ検索を組み合わせ、人材教育にも効果を発揮するContact Center Knowledge Assistant

 Contact Center Knowledge Assistantを導入したことで、何か困ったことがあった際にはいきなり上司に聞くのではなく、Contact Center Knowledge Assistantを参照するというフローを構築でき、こうした課題が解消され始めている。現在、Contact Center Knowledge Assistantが対応している新規契約対応などのナレッジは700件ほどだという。

 「新人オペレーターでも、これまで以上に正確な対応ができるようになっています」と綿貫氏は話す。何か困りごとがあっても上司が忙しかったり取り込み中だったりする場合には、アドバイスをもらいづらい。結果的にミスとなってしまったり、オペレーターのメンタル面へ悪影響を及ぼしたりすることもありそうだが、Contact Center Knowledge Assistantを参照すればよい形になったことで、上司の手が空くタイミングを待たずにスピーディーに問い合わせへ対応できるようになった。また、職場にまだなじみきれていないことから声を上げたり質問をしづらかったりする新人でも容易に疑問を解決できるようになり、スキル向上やミスの減少だけでなく「安心感」の面でも効果を発揮している。

今後の課題は「音声認識」と「利用率」の向上

 一方で、利用し始めることで見えてきた課題もある。「対応できるナレッジをどのように充実させるかという点は当初から意識していましたが、音声認識の精度向上という点は、まだ試行錯誤を続けている最中です」(櫻井氏)

 効果測定によって得られた「2割削減」という効果については、「ある程度の効果が出ており、導入のメリットは感じています」(櫻井氏)とする一方で、KPIとして設定している「オペレーターの利用率」「問題解決率」「顧客からの質問に対する正答率」といった指標を改善するために富士通と工夫を重ねている。

 「こちらが抱える課題に対して、いつも富士通さんには対策をいただき、助かっています。オペレーターの利用率が伸び悩んだ際に、より利用しやすいよう、検索操作をさらに簡略化した機能を提案していただきました。こちら側が気付かないポイントからアドバイスをいただけたことが特に印象に残っています」と森末氏は振り返る。

 現在は札幌のコンタクトセンターでのみContact Center Knowledge Assistantを利用しているが、今後は沖縄にあるセンターにも導入を検討しているという。WOWOWコミュニケーションズが運営している中には、研修だけで2カ月を要するセンターもあるといい、効率化に大きな期待を寄せる。また、新人のオペレーターは現在「新規契約」を中心に対応しているが、今後は他の問い合わせにも対応できるよう、FAQの質と量を充実していく考えだ。

 とはいえ、しばらくはKPIの向上に注力していく方針だという。「やはり、使ってみて便利だ、とオペレーターに感じてもらうことが利用率の向上につながると考えています。そのため、まずは設定したKPIを満たすように、富士通さんと改善を重ねていく考えです」(櫻井氏)

「密」なコンタクトセンター、リモート化にも活用

 コンタクトセンターは、多くの人が一堂に会し電話対応をする“密”な環境にあるため、新型コロナの感染を防止する上で、リモート化の機運も高まっている。

 WOWOWコミュニケーションズのコンタクトセンターではまだセキュリティ上の問題などからリモート化が本格化していないが、「有事にリモートに切り替えて業務を継続する」という観点から、今後の移行も検討しているという。

 コンタクトセンターだけでなく、あらゆる業種でリモート化が進んでいる。一方で、目の前に上司がいないことから、何か困りごとがあった際に相談しづらい、という問題も生じてきている。Contact Center Knowledge Assistantを活用すれば、コンタクトセンターがリモート化した際の新人教育にも役立てられそうだ。

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提供:富士通株式会社
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia ビジネスオンライン編集部/掲載内容有効期限:2020年12月12日