デジタルマーケティングの新潮流 最新事例にみるコンテキスト広告とクリエイティブの可能性

» 2020年12月18日 10時00分 公開
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 適切な広告を適切な対象に届ける――ネットの普及を背景とした高度なターゲティングは、マス広告に代わる新しいマーケティング手法を生み出した。しかしその一方で、消費者の属性やWeb閲覧履歴、購買履歴などの外部データを活用する方法は、個人情報保護が叫ばれ、法規制の動きが加速するなかで継続が難しくなりつつある。

 デジタルマーケティング業界がサードパーティーデータに依存しないターゲティング広告の開発に取り組むなか、より効果的な手法として注目されているのがコンテキスト解析型広告だ。消費者が表示したWebページの内容を解析し、その文脈に合わせて広告を配信するコンテキストターゲティングは、次世代広告として急速に評価を高め、成長しつつある。

 画像と文章を解析する独自のAI技術でコンテキスト広告市場をリードするGumGum(ガムガム)の栗田美香氏と、GumGumの広告プラットフォームを活用しているエースコンタクトの瀧澤克秀氏、マーケティングサービス事業を手掛けるCDGの山下哲弘氏に、コンテキストターゲティングの魅力や可能性について聞いた。

独自AIでWebページの内容を理解し、最適な広告を表示する次世代広告

 2008年に米国・カリフォルニアで設立されたGumGumは、独自AIによる画像解析や言語解析のテクノロジーを持つ米国の会社だ。コンテキストターゲティングという新しい広告サービスを提供し、北米フォーチュン企業(Fortune 500:フォーチュン誌が年1回発行する総収益ランキング上位500社)の8割以上で利用されている。現在は米国、欧州をはじめグローバルに拠点を構え、17年には日本にも進出している急成長企業だ。

 日本ではこのコンテキストターゲティングを武器に、報道系メディアやポータルサイト、専門誌などからなる180以上のWebサイトと提携し、月間50億PVを超える広告配信ネットワークを形成している。

 コンテキストターゲティングの特長は、今まさにユーザーが開いている記事の内容に関連した広告が表示される点にある。例えば、ユーザーが旅行の記事を読んでいれば観光地や宿泊先に関する広告が表示され、デジタル一眼レフの記事を読んでいればデジタルカメラや写真撮影・アートに関連する広告が表示される。ユーザーの興味関心を捉えつつ、個人の閲覧履歴や購買履歴といった外部情報に依存しない。

GumGumのAI解析エンジン

 これまでのターゲティング広告であれば、冷蔵庫の商品サイトを閲覧した読者が車の記事を読んでいるときに、(冷蔵庫を購入済みであるにもかかわらず)冷蔵庫の広告が表示される可能性もあったが、記事に集中したいユーザーにとって、すでに興味を失った広告はノイズになってしまう。コンテキストターゲティングであれば、記事と広告の関連性が高いため、こうした違和感を受けにくく、注意をひきやすい。第三者機関のSPARK NeuroとGumGumが共同で行った調査(引用:A NEUROANALYTIC STUDY OF CONTEXTUAL AD EFFECTIVENESS)によれば、記事の文脈と関連性の高い広告は、低い広告と比べて、2.2倍の高さで記憶に残りやすいことが分かったという。

 「Webページや記事の内容にふさわしくない広告を出さない、ということは、広告の効果を高めるだけでなく、広告主のブランドを守るという点でもメリットがあります」とGumGumの栗田氏は説明する。

GumGum アカウントエグゼクティブの栗田美香氏

 「現在、日本の配信ネットワークはポータル系やビジネス、ライフスタイル、ビューティー、エンタメ、スポーツ、テクノロジー、自動車などを含む幅広い文脈カテゴリーをカバーしていますが、ただ広いだけではありません。日本国内の提携サイト数は200ほどで米国に比べればまだ小規模です。しかし、コンテキスト広告には良質なコンテンツを配信しているパブリッシャーが重要です。配信ネットワークをただ大きくするだけでなく、質を担保するよう慎重にネットワークを拡大しています」(GumGum 栗田氏)。なお、17年に日本でローンチした同サービスだが、すでに200社を超える企業で利用実績があるという。

記事と広告の奇跡のコラボ!? SNSで話題になった広告の舞台裏

 独自AIで記事の文脈を理解し、適切な広告を配信するというターゲティング手法で急成長中のGumGumだが、その強みはCookieに依存しない新たな広告プラットフォームというだけではない。

 東日本を中心に83店舗を展開するコンタクトレンズ販売のエースコンタクトは、GumGumを利用したコンタクトレンズのインタラクティブ広告で反響を呼んだ。その内容は、記事下にオーバーレイする形でメガネが表示され(メガネのフレームが記事の一部を隠す)、スワイプすると「全部見えた方が楽しい」と表示される、コンタクトレンズの利点をうたったもの。コンテキストターゲティングによって、AIがコンタクトレンズやメガネに関する内容だと判断した記事にこの広告が配信されることから、読者との親和性が非常に高く(例えば、メガネが曇らないマスクの付け方、といった記事に表示される)、記事に掲載された写真の犬がちょうどメガネをかけているように見える“奇跡のコラボ”も生まれ、一時SNSで話題になった。

SNSで話題になったエースコンタクトのインタラクティブ広告

 同広告を仕掛けたエースコンタクトの瀧澤克秀氏は、コンタクトレンズの価格訴求に終始するこれまでの広告ではなく、ブランディングを重視した広告を模索していたという。

 「当社の場合、最初の顧客接点はオンラインなのですが、EC販売をしていないので最終的にはお客さまに店舗へ来ていただく必要があります。これまではいかに安さをアピールするかを考えてきましたが、例えば、キャンペーンで30%オフ、といった広告を出しても店舗へ足を運んでもらう動機としては弱く、点が線になりづらいと感じていました」と瀧澤氏は話す。

エースコンタクト 戦略本部 営業戦略部 マーケティング課 課長の瀧澤克秀氏

 「そこでエースコンタクトのブランド価値を上げるための広告コンテンツをCDG様と検討するなかで、文脈と広告の関連性が高いGumGum様をご提案頂き、実施につながりました。実はGumGum様との取り組みは2回目で、今回はCDG様と相談しながらクリエイティブを制作しています。特にGumGum様との取り組みで最も魅力に感じたのはリッチな広告クリエイティブでした」(瀧澤氏)

 GumGumの栗田氏は「GumGumはAIを活用した広告配信ネットワークだけでなく、社内に制作部門を抱え、広告主さまと密にやりとりをしながら目的に合わせたクリエイティブを作り上げる点が強みです。クライアントによっては、完成した広告を入稿していただくケースもありますが、私たちのテクノロジーを核にした広告という意味で、効果の高いクリエイティブを一緒に作っていくことを検討してほしいと考えています」とアピールする。

 また、企業のプロモーショナルマーケティングを手掛けるCDGの山下氏も、Cookieを使ったターゲティングが厳しくなりつつある状況のなかで、コンテキストターゲティングには大きな可能性を感じているという。

 「Appleが先駆けてCookieの利用を制限し、Googleもこれに続くなど従来のターゲティング広告の精度は大きく落ちると予想されます。こうしたなか、特定の記事を読むユーザーは、その関連商品に対して感度が高い状態にある、という前提に立ち、適切な広告を表示できるのは大きなメリットです。いわば車のメディアに車の広告を出すような“純広告”に近い考え方ですが、それよりもさらに細かい粒度で、記事や文脈まで解析できるのは、ブランドセーフティの観点からも有用でしょう」(山下氏)

CDG 事業推進本部デジタルマーケティング部 デジタルマーケティング課の山下哲弘氏

 なお、今回の取り組みでは、3社によるオリエンの実施から、クリエイティブを制作して実際に配信されるまで、14営業日以内で完了したという。「GumGum様がインハウスで制作部門を抱えているのも短期のスケジュールを実現できた理由だと思います」(山下氏)

コンテキストターゲティングとカスタムクリエイティブがGumGumの強み

CTRは10倍以上 好意的な反応が多くブランド向上に貢献

 それでは広告の効果はどうだったのだろうか。瀧澤氏によるとCTR(広告のクリック率)は、従来に比べて10倍以上。視力の矯正を求める顧客層をターゲットにキーワードを設定し、それらに合致する記事内容に広告を配信するコンテキストターゲティングの効果を実感したと話す。

 「店舗で働いているスタッフから、『広告を見たというお客さまがいらっしゃいました』『楽しい広告ですね』と伝え聞くこともあり、認知拡大につながっていると感じています」と瀧澤氏。「これまで(広告について)お客さまの声を聞く機会がなかったのでモチベーションも上がりましたし、社内での評価も高く、マーケティング部門としての成功体験になっています。コンタクトレンズの需要期は3月から4月、新生活のシーズンですので、メガネや視力といった文脈以外でも効果は期待できます。記事を見てニーズが高まるタイミングで広告を打てるGumGumの強みを生かしていきたいですね」

 CDGの山下氏も「通常のWeb広告はユーザーの行動とかみ合わないこともあり、ネガティブな反応も多いのですが、今回のGumGum広告はSNSで話題になったように好意的な意見も散見されました」と指摘。「今後コンテキストターゲティングの需要が広がり、配信ネットワークが拡大して出稿メディアがさらに厚くなり、ポストCookie時代のメジャーな広告になれば」と期待を込める。

 ユーザーの行動を追跡してつきまとうように出される“不快な”広告ではなく、ユーザーの関心に合わせて適切な情報を提供するコンテキスト広告は、いわば昔ながらの場面に適した広告であり、だからこそ広告の本質をついているといえるかもしれない。

 GumGumの栗田氏は「将来的には、長期的にコンテキスト広告を実施することでデータを分析し、間接的な文脈(一見無関係に見えるが商材の親和性が高い文脈)も考慮してペルソナを再設計しながら広告の効果を上げていくといったこともできると思っています」と語る。

 「一口に文脈といっても、トレンドの移り変わりで、例えば1年前とは異なる結果になることもあります。そうした変化をリアルタイムで把握し、知見を提供していくことが今後のチャンレンジになるでしょう。もちろん、配信ネットワークも拡大し、今後3年で現在の3倍以上の規模を目指しています。私たちが提供するコンテキストターゲティングは、広告主、パブリッシャー、そして広告の受け手である消費者の全ての方にメリットのある仕組みです。デジタルマーケティングの新しい手法として是非注目していただければと思います」(栗田氏)

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提供:GumGum Japan株式会社
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia ビジネスオンライン編集部/掲載内容有効期限:2020年12月24日