ドライバー不足・長時間労働を解決せよ! 「AI配車システム」×「ゼンリン住宅地図」で進化する配送業務物流業界の今

» 2021年04月01日 10時00分 公開
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 EC(ネット通販)の普及により配送へのニーズが高まる一方で、物流業界はベテランドライバーの不足や高齢化、長時間労働という課題に直面している。

 そのような中、ライナロジクスとゼンリンデータコムがタッグを組んだ。

 「配車システム」の開発に20年携わる先駆者ライナロジクスは、経験不問で配車計画を立てられる「LYNA(ライナ)自動配車クラウド」を提供している。配送オーダーを入力するだけで、必要な車両台数を見積もり、AIが1台1台の配送ルートを自動検出するシステムだ。他方、ゼンリンデータコムは、物流に欠かせない住宅地図データを有する。

 2020年4月1日に業務資本提携に踏み切った両社は、これまでベテランの知見が支えていた配送業務の「ラスト1ミニット」を、効率化できるだろうか。両社トップによる対談でその答えを読み解きたい。

左から朴成浩氏(ライナロジクス代表取締役)、清水辰彦氏(ゼンリンデータコム代表取締役社長)

──配送業界が抱える課題について、どのように捉えていますか

ライナロジクス代表取締役・朴成浩氏: ECの普及などで宅配便の取扱個数が年々増えています。それに伴い、利用者のサービスに対する要求水準が上がっています。

朴成浩氏

 その一方で宅配に限らず物流業界全体で、高齢化・人手不足・長時間労働という慢性的な人的リソースの課題を抱えています。さらに企業の社会責任として、安全運行や二酸化炭素の削減といった課題もあります。

 物流に携わる企業はこのような課題の中でも、業務の効率化を進め、収益性の高いビジネスを続ける必要があります。ライナロジクスは、新人でもベテラン同様の最適な配車・運行計画を作成できるAI自動配車システムを開発し、多くの運送会社に導入していただき、実績を積んできました。

 私たちが提供するアプリケーションは、法人向けに焦点を当てて開発してきました。そのため、入り組んだ住宅地での個配には最適な提案がまだできていない、というジレンマを抱えていたのも事実です。そこで、ゼンリングループが持つ詳細な住宅地図情報と当社のAI配車システムを組み合わせることで、課題解決に向けた大きな一歩を踏み出せると考えました。

 創業以来、当社が提案してきた「ロジスティクスの現場にAIの力を」を具現化するためには、ゼンリンデータコムとのパートナーシップが不可欠でした。

ゼンリンデータコム代表取締役社長・清水辰彦氏: 2018年ごろから当社に対し、物流企業からの配車システムに関する問い合わせが多く入るようになりました。デジタル化を推進することが、人手不足などの課題解決に向けた近道であるという認識が、徐々に広がっていたのでしょう。

清水辰彦氏

 問い合わせにより「地図のスペシャリストであるゼンリン グループならば、課題を解決してくれるはず」という期待を痛感し、配車システムの開発に着手しました。しかし検証を繰り返すなかで、精度や効率化に対する現場からの要求の高さに驚かされました。これまでベテランの配車係が長い時間を費やして蓄積してきたスキルやノウハウは、アルゴリズムの導入により一朝一夕で代用できるほど、甘いものではなかったのです。

 そこで「優れた配車システムを開発している企業と提携し、当社の地図と組み合わせたシステムを構築すべき」と軌道修正しました。複数企業の配車システムを検証した結果、ライナロジクスのAIによる自動配車システムが最も優れていると判断し、こちらからお声掛けをして件の資本業務提携にいたりました。

朴氏: われわれのシステムを認めていただけたことで、ビジネスとしても、社会貢献という意味でも、大きく飛躍できるチャンスになりました。当社のAIテクノロジーを導入した「ZENRIN ロジスティクスサービス」を多くの事業者にお使いいただくことで、今後現場から寄せられる、生きた情報や膨大なデータを日々蓄積できます。それらの情報を地図の多機能化やシステムの進化に生かすことができれば、配車システムと地図情報を高度に一体化させたサービスを提供できます。

──ゼンリンデータコムから見て、コラボレーションの決め手となったライナロジクスの強みはどのような点なのでしょうか?

清水氏: 他社と比較検討した上で、システムとして全体的に優れていたというのは、先にお話した通りです。ただ、それだけではありません。ライナロジクスは、配送システムに携わって20年という経験から、事業者ごとに異なる事情を把握し、要望に沿ってカスタマイズしている点が強みでした。

 また、SaaSとしてクラウド環境で提供しているので、配送事業者からすると、ブラウザが動作するPCやスマホとインターネット環境があればすぐにでも導入可能です。オンプレミスや専用クライアント環境の構築といった特別な準備が不要なので、初期費用を抑えてスピーディーな本番運用ができる点も魅力でした。

ライナロジクスが提供する配車システムのUI。クラウド環境からデバイスごとに適した情報を確認できる

──ネットには、無料の地図やルート検索サービスも存在します。ゼンリンの地図データとはどのような違いがありますか?

清水氏: ゼンリンの地図データには、「Door to Door」という考え方で収集した情報があります。

 通常の地図だと、調べることができるのは、目的地とその周辺の道路状況や建造物の位置関係までです。しかし当社では、家の玄関やビルの入口の位置、あるいはビルの入居テナントやそのうち何が目標物になりやすいか、という情報をデータとして備えています。これにより、配送車がどこまで近づき、どこに停車して、玄関や入り口までは徒歩でどのルートを通ればよいのかが分かります。

 Door to Door情報は、毎日約1000人の調査員が街を歩き、目視で住宅やビルの情報を集めているからこそ実現した、ゼンリンならではのものです。

Door to Door情報を併せ持ったゼンリンの地図では、配送に適した情報が細かく確認できる

朴氏: 配送事業者向けのサービスは、単に地図やルート探索を提供すれば良いというわけではありません。Door to Door情報を持つゼンリンの住宅地図と組むことで、特に要望の高い個別配送の場面でも、当社の配車システムを生かすことができるようになりました。

 例えば、地図上の緯度経度座標という形で目的地が特定できても、路地など入り組んだ奥に配送先の家があると、システムが判断したルートが使えなかったり、想定以上の時間がかかったりすることがあります。そのため「デジタルよりも、ベテランの知識」という声をいただくこともありました。しかし、経験不足の新人を現場に投入せざるを得ないこともあります。この経験不足を補ってくれるのが、Door to Door情報を持ったゼンリンの地図情報です。

 20年10月に提供を始めた「ZENRIN ロジスティクスサービス」では、配車・運行計画・配送予定をAIが自動で作成する当社のシステムと、Door to Door情報を持った住宅地図の連動が実現しました。これにより、個別配送をメインとする事業者の方にも、AI配車システムによる効率化をより実感していただけるようになりました。

──今後、ライナロジクスとゼンリンデータコムの取り組みは、どのような形で進化していきますか?

清水氏: われわれが目指すのは、各事業者が実務で抱えている配送ニーズのより細かい部分にまでしっかりと対応できるシステムを作ることです。 例えば、交差点の右折事故を避けるために、左回りを主体にしてルート探索してほしいという要望も寄せられています。あるいは、貨物の積込み方法や配送地域にあわせて所要時間を考慮した配車・配送計画を自動で作成してほしいという希望もあります。このような、個別の要件に対応してこそ、多くの事業者に受け入れてもらえるサービスとなります。

朴氏: 逐次変化する街の状況にシステムとして対応するため、現場の運行管理者やドライバーからの投稿情報を集約しています。投稿情報の真偽を効率的に調査し、データとしてシステムに反映するために共同で研究を行っており、特許も申請中です。

 この仕組みをブラッシュアップすることで、新人ドライバーでも安全に、しかも迅速に配達できるシステムを構築できると確信しています。そしてその先には、人間ではないものが配達する、自動運転・自動配送の未来も訪れるでしょう。

清水氏: さらに、配送業務は気象条件に左右される部分があります。気象情報サービスが提供するデータと配車システムが連携することで、配車運行計画に気象条件を反映させることも可能になります。

 あくまで未来の話ですが、配達先の在/不在が事前に分かればより一層、効率化できます。そのために例えば、電力会社と提携し、電気の使用状況を分析することで在不在を判断するという仕組みも可能です。もちろん、個人のプライバシーに関わるセンシティブな話なので、運用上の厳格なルールを決めることは必要ですが、配送システムの可能性を考える一つの例として、このようなことが考えられえます。

──最後に、ロジスティクス業界に携わる人々にメッセージをお願いします

清水氏: “モノを運ぶ”というアナログなことが主軸の業界ですが、デジタルを縁遠いものと敬遠しないで、一度試してみていただきたいです。

 配車台数は同じままで、配送件数を増やし売り上げ増加につなげた事例は多くあります。反対に配送件数をキープしたまま、配車台数を減らすことも可能です。コスト削減だけでなく、余った台数を別のビジネスに転用することができるかもしれません。現状、多くの事業者がわれわれのサービスを導入し運用しています。この事実こそが、導入後に良い結果が得られることの証左だと考えています。

朴氏: 世界を見渡しても日本ほど、安全・安心に荷物が届く国は他に知りません。それぞれの事業者は、自社の業務に対し、高い意識を持ち、特筆すべきノウハウを蓄積しています。それだけでなく、個々のドライバーの質が高いことも誇るべきです。

 ただ、少子高齢社会に突入し、企業としての社会責任も問われる時代です。これまでと同じ方法でビジネスを続けていくことは、次第に難しくなっていきます。このような時代の節目において、デジタルは大きな武器になります。

 「LYNA(ライナ)自動配車クラウド」と「ZENRIN ロジスティクスサービス」は、PCとインターネット回線があれば、ITが得意でなくても直感的に操作できます。どちらも無料の試用期間があり、導入することでどのような効果が見込めるのか、事前にシミュレーションして検討できます。

 一つでも多くの企業が、デジタルツールを最大限に活用することで、これからの社会という難局を乗り切っていただきたいと考えています。

朴成浩氏(ライナロジクス代表取締役)、清水辰彦氏(ゼンリンデータコム代表取締役社長)

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提供:株式会社ライナロジクス
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