コロナ禍を起因とする消費者ニーズの変化を受け、顧客接点のデジタル化に伴うCX(カスタマー・エクスペリエンス)の向上は重要な経営課題の1つとなっている。急増するオンラインの問い合わせに対応できなければ、顧客満足度が低下し、競合他社への乗り替えにつながる可能性もある。
オンラインの問い合わせに対して抜け漏れをなくし、重複などの無駄を排除して効率的かつ素早く対応するためにはどうすればよいのか。Excelやメールボックスでも問い合わせを管理することはできるものの、複数人で対応状況を共有することは難しい。そこで注目されているのがWebフォーム作成・管理サービスの「formrun」だ。
同サービスは豊富なテンプレートから用途にあったフォームを30秒で作成できるだけでなく、問い合わせの対応状況や進捗をダッシュボードで管理できるのが特徴。オハヨーバイオテクノロジーズでは、自社のECサイトでformrunを活用している。具体的な活用方法について、同社でコミュニケーション領域を担当し、PRから広告、カスタマー対応まで幅広く活躍する玉井氏に話を聞いた。
オハヨーバイオテクノロジーズは2017年、食・住・教育・レジャー・ITなどさまざまな事業会社がある日本カバヤ・オハヨーホールディングスのヘルスケア領域を担う新規事業子会社として創業した。「食を通じて健康寿命の延伸に貢献する」をミッションに、ロイテリ菌を使用したサプリメントを国内で販売している。
2017年の創業当初、同社が関わる最初の商品である「ロイテリヨーグルト」(オハヨー乳業より発売)のブランドサイトが立ち上がったものの、問い合わせページは作れていなかった。そこで、同社はシステムエンジニアの勧めで、まずは無料で使えるFREEプランを使いformrunを導入することとなる。
同社のカスタマーサポートは東京本社のほか、電話対応を担う別拠点の合計2拠点があり、それぞれ1名ずつが専任で在籍する。東京本社では社員も含めてサポートに当たるが、メンバーは少人数かつ関係者が組織をまたいでいる。そのため、チーム内での管理のしやすさは必須条件だった。つまり、直感的に操作でき、顧客対応時や運用時に抜け漏れをなくす体制を構築できるツールであること。さらに「対応の漏れ」や「ダブり」をなくし、チーム間で対応状況をリアルタイムに確認できる方法を探した結果、formrunが最適なツールだったのだ。
formrunの使い方は、あらかじめ用意されているテンプレートを選んで、必要な項目をクリックして追加するだけ。コードの知識は一切不要で、30秒あればデザイン性の高い問い合わせフォームを誰でも簡単に作成できる。また、問い合わせへの対応状況が一目で把握でき、誰が何を対応しているのか分かりやすい。オハヨーバイオテクノロジーズでも一度触ってみれば問題なく利用できたため、今は有料プランに変更しformrunを継続している。
問い合わせフォームから届いた質問は、自動的に「カード」として蓄積される。さらに同社の本社とは離れた別拠点にあるカスタマーサポートでは、入電した内容を1件ごとにformrunのカードに入力していく。問い合わせに関してはエスカレーション対応を採用しており、電話や問い合わせフォームで直接対応するスタッフが同社の社員に判断や指示を仰ぐこともある。
エスカレーション対応が必要な問い合わせは、カードのステータスを「対応依頼」に変更。社員がそれに返信を加え、ステータスを戻すという形を取っている。
1日の問い合わせ件数は50件前後。「ロイテリ菌」は口内で悪玉菌の働きを抑える乳酸菌としてテレビなどでも注目を集めている。同社が企画・販売するサプリメントの購入層は50代以上が全体の半数を占めることから、Webでの操作に慣れていないカスタマーも少なからずいるため、「細かい内容でも、お電話で丁寧に承っています」と玉井氏は話す。
「他にも、医薬品ではなく健康食品として販売しているため、薬との飲み合わせは大丈夫か、持病などへの影響がないかなど、健康面を気にされる方もいらっしゃいます。『子どもがなめても大丈夫か』といった使用上の質問から、ポイント制度に関する質問まで多岐にわたりますね」(玉井氏)
質問は幅広い内容で日々大量に届くため、同社では効率的に回答できるよう、formrunのメールテンプレート機能を使って約80ものテンプレートを活用している。また、formrunは検索機能を搭載しており、名前やメールアドレスで検索すれば過去の問い合わせ内容をすぐに参照できる。「以前にいただいた質問を踏まえて回答できるので便利です」と玉井氏は話す。
テレビなどのメディアで取り上げられた際は、一時的に問い合わせが急増することもある。しかし、formrunを活用することで、問い合わせ対応の抜け漏れや二重送信などの間違いを防ぎ、効率的かつスムーズに対応できているという。
問い合わせに迅速に対応するだけでなく、その後問い合わせ内容をデータとして活用する動きも忘れない。同社では毎月末、月ごとにどのような問い合わせ内容が多かったか、CSVファイルでステータスごとに出力し分析している。
商品を定期販売する企業にとって最も重要なのは、解約の申し出を減らすことだ。同社は解約の申し出が月に何件あったかを即座に集計することで、問い合わせ対応の改善に生かしている。玉井氏は「データをもとにトークを見直した結果、お届けスキップ、ポイント活用などの機能をご存じないお客さまも多く、お電話でご案内することでお客さまのご要望が叶うこともあり、解約のお申し出を減らすことができています」と振り返る。
また、解約の手続きをカスタマーサポートに依頼した消費者には、後から解約手続き完了のお知らせとともに、formrunで作成した利用後アンケートのリンクをメールで送付している。
解約の理由が明らかになれば、根拠のある改善案を打ち出せるようになり、次のアクションにつながる。カスタマーサポートは単なる顧客対応の窓口ではなく、その後の顧客満足度やファン化につながる重要な情報を収集する部門ともいえるのだ。同社ではこの通知をMicrosoft Teamsと連携させることで、素早い改善に役立てているという。
19年11月にECサイトをリニューアルした際は、いろいろと機能を増強するカスタマイズを行ったことで意図しない表示などの問題が出た。すると、カスタマーサポートにはサイトへの質問や改善案などフィードバックが続々と届き、サイト改善の一助になったという。
問い合わせ対応で役立つformrunだが、それ以外にもさまざまな用途に応用できる。
「弊社は定期購入を継続されているお客さま向けに不定期にイベントを開催していますが、その募集フォームや事務局の問い合わせフォームもformrunで作っています。テンプレートを活用すれば5分〜10分でできるので便利ですね。メールボックスの役割とフォームとしての機能を一緒に使える点も役立つポイントです」(玉井氏)
また、同社はEC以外に店頭向けの卸販売も行っており、商品を取り扱う店舗の方に商品を試してもらい、そのフィードバックをアンケートフォームで集めたり、販売先の店舗の方にサンプル希望フォームのリンクを渡してサンプルの送付先を入力してもらったりと、取引先とのやりとりでもformrunを使用している。20年の秋には、formrunに新たに回答集計機能が搭載されたため、玉井氏も積極的にこの機能を活用していると話す。
「これまではフォームにある程度データが集まった上で、時間をかけて自分でグラフ化しレポートを作る必要がありました。しかし、今は集計途中の状態でもformrunですぐにグラフ化しメンバーと共有しています。弊社はコロナ禍により週4日のリモートワークに移行しましたが、共有画面上でそのままグラフを見せて、快適に情報を共有できるようになりました。今まで以上に情報共有のハードルが下がりましたね」(玉井氏)
同社のように、formrunはカスタマーからの問い合わせだけでなく、キャンペーンの募集や取引先へのアンケートなど、さまざまな業務で活用できる。しかし、formrunと同様の、デザイン性が高く機能的なものを社外のWeb制作会社に依頼すれば、年間で数十〜数百万円ほどのコストはかかるだろう。formrunであればローコストかつ、追加料金なしでフォームを複数作成できる。従来のフォーム制作にかけていたお金は他の投資へ回すことが可能となる。
消費行動のデジタルシフトやニューノーマルへの対応として、企業はますますオンラインのCXを重視すべき時代になっている。一方で、IT人材不足やコスト面から効果的な取り組みができていない企業も多い。そうした意味においてもformrunは全ての企業の心強い味方になってくれるはずだ。
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アイティメディア営業企画/制作:ITmedia ビジネスオンライン編集部/掲載内容有効期限:2021年6月15日