便利な裏にもリスクあり 法律の要件緩和が進む「ペーパーレス化」の失敗しない対応法ラストチャンスかも?

ペーパーレス化を巡り、2022年に施行予定の改正電子帳簿保存法、23年に導入予定のインボイス制度を前にして、いよいよ「ラストチャンス」ともいえる状況となっている。さまざまな要件緩和が進む一方で、落とし穴も潜むペーパーレス化・デジタル化だが、どう対応すれば「失敗」しないのだろうか?

» 2021年06月09日 10時00分 公開
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 1998年に「電子帳簿保存法」が制定され、それとともにペーパーレス化への大号令が下ったものの、実際にはなかなか進まなかった。ただ、2020年に新型コロナウイルスの感染拡大と、それに伴ったテレワークの浸透で、「共有しにくい」「複数人で同時に見ることが難しい」といった紙ベースの業務に潜む課題が大きく指摘されるようになった。

 それでも、いまだ「ハンコを押すため」「保管されている資料を確認するため」といった理由でテレワークせずに出社するというナンセンスな事態も散見するのはなぜだろうか。

電子帳簿保存法が制定されても、なぜペーパーレス化は進まなかったのか

榎本貴氏(大塚商会デジタルドキュメントプロモーション課)

 「ほとんどの書類はWordやExcelなどで作られているにもかかわらず、結局、それを紙に印刷し、電子データと紙の両方を保存している企業が多いです。とても非効率なだけでなく、テレワーク推進によるオフィス移転・縮小を考える中で、そうした紙書類の保管場所をどうするのか、という問題も浮上しています」と指摘するのは大塚商会の榎本貴氏(デジタルドキュメントプロモーション課)だ。その大きな要因の一つとして挙げられるのが、日本企業に根付く“ハンコ文化”だという。それは社内の承認フローだけの話にとどまらない。

 

 「例えば請求書類にしても、Excelや、その他の何らかの会計システムで作った上で、結局、そこに印を押さなければならないフローを持つ企業は多いですよね。建築や製造業で使用する図面類も、印がなければ正式なものとして扱ってもらえないケースがあります。せっかくデジタルで図面を作成しているのに、紙で出力し、印を押して渡しているような状況なのです」(榎本氏)

 この問題は、21年9月に予定されているデジタル庁の設立に伴い、デジタル改革関連法案が国会を通過した際に大きな話題となったことは記憶に新しい。ところが、日本人の感情に刻み込まれた、ハンコ書類に対する絶対的信頼性や心理的安心感はそう簡単には薄れそうにもないと榎本氏は指摘する。

高すぎた「デジタル化」のハードル

 ペーパーレス化・デジタル化を阻んでいた要因は他にもある。榎本氏によると、国税庁の方針と電子帳簿保存法の意図が必ずしも合致していなかった点に課題があるという。

 「基本的に、税務署に申請をしなければ、会計書類は紙で保存されることが求められます。例え会計システムで仕訳した帳簿でも紙で出力されることが求められ、また、紙で受領した請求書なども業種や規模に関係なく、全ての法人において7年間の保存義務があったのです。これでは、大きな企業であれば、会計書類だけでも相当な量の紙が社内に保管されることになります」(榎本氏)

 せっかく電子帳簿保存法が制定されても、そこに明記されたハードルの高い条件により、思うようにペーパーレス化・デジタル化が進まなかったというわけだ。他にも次のような条件があったという。

 「例えば、スキャンで書類を電子化したら、スキャンした人とは別の人がチェックをする必要があったり、領収書を受け取ったら3営業日以内に撮影しなければならず、その期限が過ぎた場合は紙で保存しなければいけなかったり、そうした厳しいルールもありました。大手ならまだしも、中堅企業でそういった管理体制を敷くのは難しく、それであれば、今までのように紙で保存しておけばいい、という結論に至る企業も多く見受けられました」(榎本氏)

今度の改正で、今度こそペーパーレス化・デジタル化が進む?

 ところが、国会で法案が通過し、22年1月に施行される予定の改正法では、これらの課題が一気に解消されるという。

 「今回の改正では、スキャンした書類を別の人がチェックしなければいけないというハードルや、領収書を最短の場合で3営業日以内に撮影しなければいけないといった決まりが取り払われ、厳しい要件がほとんどなくなりました。納品書や領収書、請求書、見積書など、受け取った証憑をスキャンして、紙をすぐに捨てられるようになる予定です」(榎本氏)

 ただ、電子保存の要件が緩和される一方で、規制が強化される部分もあるという。例えば今回、電子帳簿保存法において初めて罰則規定が明記された。要件通りに保存していない場合は国税関係書類として見なされなかったり、修正申告による過少申告加算税や重加算税の額も上がったりするのだ。アメとムチの両方を用意することで、遅ればせながら国も本気でペーパーレス化・デジタル化を浸透させるという狙いなのだろう。

インボイス制度の導入も、ペーパーレス化・デジタル化を後押し

 電子帳簿保存法の改正だけでなく、23年10月に導入が予定されている「インボイス制度」にも注意が必要だ。インボイス制度とは「適格請求書発行事業者制度」のこと。「適格請求書発行事業者」として事業者を登録し、発行された番号を請求書に記載しないと、仕入税額控除が認められないというものだ。

 「数多くの請求書を扱う企業では、相手の適格請求書発行事業者登録番号が合っているかどうかを照合するのは難しく、今後は、紙でやりとりしている企業であってもデジタル化が求められるはずです。つまり、電子で請求書を発行できなければ取引を避けられる可能性があるということです」(榎本氏)

「紙だから安全」は誤解

 こうしたペーパーレス化・デジタル化の機運が高まる一方、データ改ざんや漏えいを不安視する声も聞かれる。この点に関して、榎本氏は次のように指摘する。「そもそも電子データの場合、全てログが残るので、コピーした人や閲覧した人が分かることが多いです。また、近年は数多くの改ざんを防ぐ仕組みができています。例えば電子帳簿保存法では、公的な機関に認定されたタイムスタンプの付与が要件になっています。暗号化してPDFの中に埋め込み、その時間から改ざんされていないことを証明するもので、このPDFを改ざんするためには暗号を解き明かす必要があります」

便利さの裏にあるさまざまなリスク対応、大塚商会にお任せあれ

 改正された電子帳簿保存法施行の前に、機器をそろえて運用方法を考え、ペーパーレス化・デジタル化を推し進める必要があることは十分に理解できた。電子帳簿保存法、そしてインボイス制度の導入によって企業のペーパーレス化・デジタル化が一気に進むことは間違いなく、まさに今がラストチャンスともいえる状況だ。

 これに伴いスキャンの重要性が高まっていくだろう。その一方で、データ改ざん、漏えいなどさまざまなリスクに目くばせしながら、さらに法改正の中身までキャッチアップする必要があるとなると、自前でやみくもに進めるには一抹の不安がある。そこで活用したいのが、大塚商会が提供する数々のソリューションとコンサルティングサービスだ。

 スキャナ保存を導入してペーパーレス化・デジタル化するメリットとしては、「テレワークを推進できる」「データとしてシステム上で一元管理できる」というものがあるが、一方で「事務処理規程の見直し」「法的要件を満たしているかの厳密な確認」などが求められる。

 スキャン後に捨てられる書類がどれなのかや、法的要件については特に注意が必要で、大塚商会ではこうした点に関してもコンサルティングしているという。多くの企業が過渡期にある現在、紙とデジタルが混在する顧客に対して、優先順位をつけて順次、無理なく切り替える提案を行っている。例えば、企業規模に合わせ、スキャナなどのハードだけでなく、ファイル管理を行うアプリケーションの導入から、運用についてのコンサルティングにも対応している。

マルチベンダーだからこそ、きめ細かな提案が可能

 ペーパーレス化・デジタル化に際しては、スキャンした書類データだけでなく、ワークフローシステムや文書管理システムなど、さまざまなシステムを活用していくことも求められる。この点、大塚商会には「マルチベンダー」という強みがある。

 「当社はマルチベンダーとして、多くのメーカー製品を組み合わせて提案することができます。さまざまな規模や温度感の企業様がある中で、きっちりと実情をヒアリングし、最適な機器選定をサポートします」と榎本氏は話す。

 もちろん、大塚商会以外にも、マルチベンダーを自称する企業はある。しかし、その多くは、実際には自社製品を推し、他社製品のサポートをなかなかできないという事情がある。その点、大塚商会は自社製品をほとんど持ち合わせていないため、あくまで公平な目で機器を選定し、提案できるという。

 「基本姿勢として、自社でサポートができる製品をメインに販売し、トラブルにもしっかり対応しています。さらに中堅、小規模事業者様に対しても、きめ細かな提案を行っているのが特徴といえます」(榎本氏)

システムからコンサルティングまで、まるごと頼れるのが大塚商会の強み

まずは「検索する件数の多い書類」から対応を

 ちなみに、ペーパーレス化・デジタル化を進める際のポイントについて聞いたところ、榎本氏は次のように答えてくれた。「ペーパーレス化の際にはどうしても『枚数が多いもの』、例えば納品書などが優先される傾向にありますが、私たちは『検索する件数の多いもの』から手を付けることをおすすめしています。納品書は扱うことこそ多いですが、検索するケースは意外と多くありません。一方、請求書は過去の書類を引っ張り出してやりとりをするケースが多いので、ここをデジタル化すればとても便利になるはずです」

 今後、デジタル改革関連法も含めて、数多くの規制緩和が進んでいくことが予想される。ペーパーレス化・デジタル化も進んでいくことは間違いないので、それを見据えた上でシステムを入れていく必要があるだろう。

 その一方で注意も必要だ。「例えば、正しく法的要件を理解していなければ、新たにシステムを導入したにもかかわらず、実は書類保存の要件を満たしておらず、また新たなシステムを購入しなければならない――といった事態にもなりかねません」と榎本氏は話す。先行きが見通せない時代、そしてペーパーレス化・デジタル化は、かかる手間・コストが膨大な領域であるからこそ、プロである大塚商会に頼ってみるのもよいかもしれない。

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