新型コロナによって対面での接触が避けられるようになり、コミュニケーションのオンライン化が加速している。それに伴い、スマートフォンだけでなくPCやタブレットなどのデバイスも同様に、いつでもどこでも場所を問わず通信できるLTE内蔵モデルが注目されている。また、モバイルルーターでは、キャリアの制限を超えて安定した通信が行える「クラウドSIM」を搭載する製品も普及しつつある。
クラウドSIMは利用場所での最適なキャリアの電波を利用できるため、ビジネスや旅行での海外訪問時に国際ローミングよりもコストを抑えられることから人気が広がった。また、山間部や離島、リゾート地など特定のキャリアしか利用できないようなエリアでも、キャリアを気にせず通信が行えるというメリットがある。
とはいえ、気軽に旅行ができる状況ではないコロナ禍では、クラウドSIMの出番はなさそうだ……と思うかもしれないが、実は意外なところにニーズがあるという。この7月に、クラウドSIMを採用した国内初(※)の10.1型タブレット「CLOUD AiR-WiFi(ATab-1)」を発売したAIR-U代表取締役の田中社長に話を聞いた。
AIR-Uは通信事業全般を展開する新進気鋭の企業だ。インバウンド・アウトバウンド向けのプリペイドSIM事業や、訪日外国人向けのモバイルルーターレンタル事業、自社での帯域運用など幅広く手掛ける。また、「CLOUD AiR-WiFi」を中心とした法人向け再販提供サービスや、自治体や文教分野でのネットワーク環境導入支援といったクラウドSIMを活用した事業が好調だ。
しかし、コロナ禍ではインバウンド向けプリペイドSIMの販売数が激減。「国内の全空港で販売していたため、販売数9割減と大きな打撃を受けました」と田中氏は振り返る。ただしその一方でテレワーク需要が盛り上がり、同時期に全く別の市場が立ち上がった。そこで、訪日向けサービスを国内のテレワーク需要向けに大きく転換したと話す。
「一番需要が多かったのは、大学生や専門学校生といった学生マーケットです。コロナ禍で学校がオンライン授業に切り替えたので、自宅にネット回線がない学生がクラウドSIMやプリペイドSIMを使うようになりました。学校側が端末を用意して学生に配布する動きも生まれ、インバウンド消失分を十分に穴埋めするほどの販売数を維持できました」
また、地方自治体や学校がタブレット端末の一斉導入をすすめる中で、データ通信とデバイスが一体化した、より簡素化したサービスの要望が多くなっていた。
従来のタブレット端末はWi-Fiルーターで接続するか、SIMを別途手配する必要がある。小中学校では生徒向けにタブレットを配布する事例が増えているが、多くは学校内のWi-Fiを接続して使っている。
しかし、自宅でタブレット端末を使って宿題をする際、世帯によっては自宅にネット環境がない場合があり、学習機会に不公平な環境が生まれていた。さらに、小学生の親を中心に、子どもが今どこにいるのか、タブレット端末で位置情報を確認したいという声も挙がるようになった。
クラウドSIM搭載のタブレット端末であれば、タブレットと別にSIMを手配する手間はなくなる。リーズナブルな価格で希望容量をニーズに合わせ提供できる、GPSで子どもの位置情報も把握できる。ネット環境のない世帯でも、等しく自宅で勉強できる環境を作ることが可能だ。これまでのタブレット端末であった問題が大きく改善されることから、ATab-1は発売前から「すでに学校や自治体で一部導入が決まっていました」と田中氏は明かす。
CLOUD AiR-WiFi(ATab-1)は7月に発売されたばかりの新製品だ。ATab-1はクラウドSIMを内蔵するので、日本国内はもちろん、海外134の国や地域で自動的に最適なネットワークへ接続できる。物理SIMやWi-Fiルーターの面倒な手配は不要で、手軽かつリーズナブルにデータ通信を利用可能だ。そして特筆すべきはテザリング機能。ATab-1はタブレット利用以外でも最大5台までその他デバイスの同時接続が可能となっている。
タブレット端末の画面サイズは10.1型で、800万画素のアウトカメラと200万画素のインカメラを搭載しているので、テレワーク環境でのビジュアルコミュニケーションに必要な機能は十分備えている。
OSはAndroid 11、CPUはQualcommのSnapdragon 662を採用。USBはType-Cポートで、最大128GBまで対応可能なmicroSDスロットも搭載した。重量は570gと軽く、バッテリーは通信接続時で15時間持続するため、モバイル用途にも最適だ。「一般的に市販されているAndroidタブレット端末に見劣りしない、高精度なスペックを用意しました」と田中氏は胸を張る。
Bluetooth 5.0にも対応するため、外付けキーボードやマウスをワイヤレスで接続できる。10型前後のタブレット端末はカバーなどのアクセサリー類も充実しているため、ユーザーは拡張性の高い使い方ができるようになっている。
特筆すべきは、必要なアプリがプリセットされた状態で使い始められることだ。ATab-1にはZoomやGMS(Google Mobile Service)などがすでにインストールされているため、GmailやGoogle Chrome、Google Driveなどビジネスに必要なアプリに素早くアクセスできる。導入初期に起こりがちな現場の混乱を最低限に抑え、生産性を下げることなく、導入後すぐに使い始められるのがメリットだ。
テレワークや在宅勤務が普及したとはいえ、小売(店舗)や製造、建設といった業種は現場での業務が前提となるため、かえって本社とのギャップが広がってしまっている。今後は現場ベースでも業務のデジタルシフトや、非対面コミュニケーションの準備が求められるようになるだろう。
そこでクラウドSIM搭載のタブレット端末が役に立つ。Web会議や動画視聴などの用途のため、より大容量で利用できる通信環境の構築を依頼されるケースも多く、業務に支障が出ない通信環境を社員に提供したいという企業の導入が急増している状況だ。ATab-1であれば、こういったマーケットの変化をチャンスに、再販提供としてビジネス展開することも可能にしている。
飲食店へのタブレット設置も増えているが、「その場合は店舗内のWi-Fiを使うため、クラウドSIMでの通信をなしにした導入が多い」と田中氏は説明する。デバイスのみ購入したいというニーズに合わせて、クラウドSIMの有無を選べるのもうれしいポイントだ。そして端末を購入後にクラウド通信の希望があった場合などは、簡単な操作で後付けによる通信の付帯も可能となっている。
コロナ禍で世の中を取り巻く環境は大きく変わり、さまざまな業務がデジタルシフトした。感染拡大が落ち着いたとしても、オンライン上のコミュニケーションが完全なリアルに戻ることはないだろう。だからこそ、場所を問わず自由に使える製品はこれからさらに求められることになるはずだ。
「ニューノーマル時代においては、従業員が自由かつ安全に働ける環境を用意するのは経営課題の1つとなります。そんな新時代に適応し、世界のどこにいてもハイブリッドに使える製品として作ったのがこのATab-1です」
日本初のクラウドSIM搭載タブレットという野心的な製品だが、コミュニケーションがオンラインに移行しつつある今、世界中どこでもキャリアの垣根なく利用できるATab-1の価値は大きい。特に、現場の最前線で働く従業員のDXを推進したいと考えるなら、機動力の高いATab-1が力になるはずだ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
提供:株式会社 AIR-U
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia ビジネスオンライン編集部/掲載内容有効期限:2021年8月5日