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» 2021年09月30日 10時00分 公開

カシオ計算機に見た、発展し続ける企業の条件 新時代を築く多角的な制度改革とは?

働きやすい環境づくり、そして人材開発は、この先の企業成長において欠かせない最優先タスクである。しかし、緊急事態に急かされたような突貫工事では、社員のエンゲージメントが低下し、結果的に企業競争力低下を招きかねない。では、時代に先駆けて制度改革に取り組み続け、成功への道を切り開いた企業は、どのような施策を打ってきたのか? カシオ計算機に話を聞いた。

[PR/ITmedia]
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 新型コロナウイルスが猛威を振るい始めてから、早くも1年半が経過した。いまだ収束の兆しが見えない中で、企業経営や働き方ルールの刷新は、「待ったなし」の状態が続いている。

 そんな中で、コロナ禍以前より、多角的に人事制度改革に取り組むことで「活力ある職場づくり」そして「チャレンジ精神旺盛で活気のある人材開発」に挑戦し続ける企業がある。カシオ計算機だ。

 設立から約65年。長い歴史を持つ同社が、時代に先駆けて人事改革に尽力する背景にはどのような事情があるのか? 制度の詳細と合わせて話を聞いた。

新たな3つの制度を導入 「保守的」からの脱却を図る

 「働き方改革で組織を活性化」と口に出すのはたやすいが、実行するには多大なエネルギーを消費する。それは歴史を積み重ねて、規模が大きくなった企業ほど顕著になるはずであり、カシオも例外ではない。かねてより自主性を重んじる会社ではあったというが、「人事制度においては、それが具現化し切れていない部分があった」と、同社で人事部長を務める吉岡俊幸氏は改革前を振り返る。

photo カシオの働き方、キャリア自律支援をリードする人事部長の吉岡俊幸氏

 「人事制度は、どちらかというと保守的でした。しかし当社には、カシオとして“世にないものを創出していく”という最大のミッションがあります。そのためには、働き方を抜本的に見直し、柔軟な発想を引き出す必要がありました」

 そこで2019年の人事制度改定で打ち出されたのが、「在宅勤務」「時差Biz」「セルフBiz」という3つの制度だ。

 もともとカシオでは、勤務時間は8時50分〜17時30分、オフィスワークでスーツ着用という一般的なワークスタイルが根付いていたが、コロナ禍の前から在宅勤務に着手し、今では出社率4割以下を達成しているという。また、時差Bizにより定められた時間内で断続的な勤務が可能となり、セルフBizによって時期を限定せず、TPOに合わせたカジュアルな服装が許容されるようになった。

photo 今では、PCのほかスマートフォンも全社員に支給。社内システムへもスムーズにアクセスできる環境を整えているという。コミュニケーション不足の課題も、各上長がオンライン会議などを活用して密に部下と連携することで解消しているといい、「出社率が低い部門でもストレスチェック結果が良いケースが散見される」と吉岡氏は話す

 ちなみにセルフBizには、「たかが服装」と侮れない効果もある。キャリア研修業務等を担う高橋宏日氏(人事部 人事戦略グループ)は、「1日を通してリラックスして仕事ができるため、業務効率にも寄与しています。上長もカジュアルな服装で出社するため、若手からは『コミュニケーションを取りやすい』といった声も多く、多方面で効果が出ています」と話す。

年代別に最適化したキャリアサポート

 「在宅勤務」「時差Biz」「セルフBiz」は、いわば“働くインフラ”構築。カシオでは、その上に人材開発を強化することで、総合的な人事改革に取り組んでいるという。その代表的な制度が「キャリアサポート制度」だ。

photo 人事部 人事戦略グループの高橋宏日氏

 これについて高橋氏は「会社に依存したままでは自身のキャリア形成に迷いや遅れが出るかもしれない。人生100年時代を考えれば、リスキリングも考慮して『自律的キャリア形成』が必要である――そのようなメッセージを発信するものとして取り組んでいます」と制度の狙いを説明する。

 まず、全社員が対象となるのが「キャリアプラン」だ。年に一度、自分のキャリアを棚卸しする機会を設けるというもので、上長と情報を共有することで今後のマネジメントに生かすことに役立てるという。

photo キャリアサポート制度では、多様な研修機会を設ける「スキルアップ支援」も設置。上長と相談の上で受講できるというが、社員の希望に応じて新たなスキルを習得できる場を用意することで、自律性を育てる

 30歳、40歳、49歳の社員に向けて「キャリア研修・面談(希望制)」も実施する。「年齢に応じて起こり得るライフイベントは変化します。その上で今、どのように準備をするべきか、同世代でグループディスカッションをしながら考えます」(高橋氏)。

 特に働き盛りの40代は自分の経験を振り返るタイミングを見逃しがちだといい、周囲の意見を基に自身の課題を整理する機会は貴重だという。実際に参加者からは好評で、子どもの進学や親の介護といったイベントが差し迫っている年齢だけあり、「立ち止まって考える、いい機会をもらえた」という声が多い。

個を尊重し、価値創造の芽を育てる

 「副業」「兼業」制度の導入にも踏み切った。副業はカシオ以外に雇用契約を締結しない制度、兼業は50歳以上の社員に限定したものではあるが、カシオ以外に雇用契約を締結する制度になる。吉岡氏は、副業・兼業について「社内でも賛否両論あった」としつつ、以下のように話す。

 「社員のキャリアを考えたとき、当社での雇用や仕事だけに縛られることなく幅広い可能性を考えていくことには、大きな意味があります。また、外の世界に踏み出すことで当社に還元されるシナジー効果にも期待ができます。そういった思いから、一石を投じる意味で導入しました」

 キャリアサポート制度には「ジョブチャレンジ」も含まれる。端的にいうと、社内公募で希望職種へ異動できるというものだ。入社3年未満の社員は対象外だが、上長の許可は不要だという。「ジョブチャレンジ」は60歳以上のシニア社員も利用できる点がユニークだが、その理由はなんだろうか?

photo 専門性が伴っていなくても挑戦できる機会として、過去5回実施され既に60人以上が希望職種への“社内転職”を叶えている

 「シニア社員は今までの経験を会社に還元していくものという考え方が一般的ですが、中には『新たなチャレンジをしたい』というアグレッシブな方もいます。経験や年齢に縛られることのない自己実現、それを会社として支援したいという思いを制度に反映しました」(高橋氏)

 兼業やジョブチャレンジに代表される、50歳以上の社員へのサポートは「セカンドキャリア支援制度」として提供されている。豊富な知識、経験を持つ熟練社員たちが、仕事人としてこの先どのような道を進むべきか、共に考え選択をサポートする形だ。カシオに残るも、兼業を通して外に踏み出すも「制度を通して考え、本人の自発的な選択を一番に尊重する」と、吉岡氏は話す。

 「ただ何となく会社に残る、辞める――では、社員のためにも会社のためにもなりません。当社が指す人材開発に年齢は関係なく、何歳であっても目的や意欲を持って働き続けていただきたい。人事制度を通して、経営資源である“人”の価値を最大化することは、これから先の企業競争に勝ち抜いていくためにも欠かせません。社員それぞれの創意工夫を引き出し、価値創造につなげることで、カシオがより拡大発展していく――そのような未来を目指し、今後も改革を進めます」

 人材開発については実験的なところも多く、「まだ発展途上」だというカシオ。しかし、その土壌となる働きやすい環境は既に整った。あとは、制度改革で撒いた種が、どのような変化の芽となって企業成長へつながるのか。進化し続けるカシオから、今後も目が離せない。

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提供:カシオ計算機株式会社
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia ビジネスオンライン編集部/掲載内容有効期限:2021年10月13日