新型コロナウイルスの感染拡大によってビジネス環境は大きく様変わりした。多くの企業が毎日オフィスに出社する従来の働き方からテレワークへ移行し、Web会議やビジネスチャットツールを駆使したワークスタイルは今や一般的なものとなっている。この流れはコロナ収束後も「ニューノーマル」として定着していくだろう。
その一方で、こうした新しい働き方による弊害も出ている。その最たるものがコミュニケーションにおける課題だ。例えば、目的の明確な会議や報告会であれば遠隔会議でもなんら問題はないが、抽象的なアイデアを話し合うような場では、対面コミュニケーションに勝るものはない。これまではオフィスのちょっとしたスペースで行われていた創発的なコミュニケーションの機会も失われている。
また、対面コミュニケーションの頻度が下がることで、社員エンゲージメントの低下にもつながりやすい。入社以降、在宅勤務で一度も出社したことがない新卒社員のオンボーディング施策で頭を悩ませている人事・総務担当者も多いだろう。
生産性や業務効率化の観点から、今後もリモートワークが当たり前の働き方として定着することに疑いはないが、前述の課題を考慮すると“オフィス不要論”のような極端な施策に舵をとるよりは、オフィスとリモートをうまくバランスさせたビジネス環境を目指す企業が増えるはずだ。
ニューノーマル時代において、オフィスとリモートを使い分けるハイブリッドワークが浸透すれば、リアルな空間としてのオフィスに求められるのは“コミュニケーションハブ”としての機能だろう。こうした視点でオフィス環境を考えると、どのようなファシリティが必要になるだろうか。
2021年3月にパナソニックが実施した「今後のオフィス・働き方の実態環境」の調査によれば、今後も継続したいオフィス環境として「空気環境の整備」「コミュニケーションのサポート」「ウェルネス環境の整備」が挙げられたという。対面コミュニケーション回帰でオフィスの再デザインが求められつつも、空調や換気設備の充実など快適な空気環境への関心が高まりつつあることが見てとれる。昨今は感染防止としてのソーシャルディスタンスや“3密”の回避が求められているが、ニューノーマル時代のオフィスづくりを目指す総務部門は、これらの点を考慮する必要があるだろう。
こうしたビジネス環境の変化を受けて、コミュニケーションを活性化させる空間づくりを目指したユニークなオフィスファシリティ「エアリーソリューション」がパナソニックから登場した。オフィス内のミーティングエリアや商談スペース、店舗の待合スペースなどに後付けで設置できる設備で、上部のルーバーから排出する気流によりブース内の空気を浄化する仕組みだ。また、各種センサーによって設置エリアの空気環境や利用状況を可視化し、定期的なレポーティングによってオフィス環境を改善するヒントを得られる。
快適なオフィス空間の効用は、コミュニケーションの促進や社員のモチベーションアップだけではない。経営課題としてきちんと社員の健康に配慮していることは、昨今、健康経営銘柄が注目されているように、自社のブランディングにも大きく貢献する。オフィスの風景を見れば、来社した顧客や採用面接にきた求職者の印象も大きく変わるはずだ。
エアリーソリューションは、強力な気流によって毎分1万2000リットルの空気を浄化するとうたっているが、実際にどのような効果があるのだろうか。金沢大学理工研究域フロンティア工学系の瀬戸教授に話を聞いた。
瀬戸教授は微粒子システム研究グループで教鞭をとる傍ら、日本エアロゾル学会の理事も務めており、厚生労働省(新型コロナウイルス感染症厚生労働省対策本部)がまとめた換気指針においても、微粒子工学の専門家の立場から意見具申している。
エアロゾルは気体と微粒子の混合気体を指す。会話やくしゃみなどで発生する飛沫や花粉、PM2.5、たばこの煙などが分かりやすい例だろう。この対策として、マスクの着用やディスタンシングは周知の事実だが、これは飛沫の拡散を防ぎつつ、漂う飛沫が自然落下する距離を考慮したものだ。
しかし、発声に伴って口から出た飛沫の水分が空気中で蒸発し、飛沫核が残った非常に微小なエアロゾルは、重力で落下することはなく空気中を漂い続けると瀬戸教授は指摘する。また、最近は透明なアクリル板によってエアロゾルの拡散を防ぐ対策もよく見られるが、「隔離の点では有効ですが、効果的な換気を行わないとそのエリアの濃度が高まってしまう恐れもあります」と話す。
それではエアロゾルの拡散を防ぐためにはどのような対策が有効なのか。そのカギはダウンフローにあるという。
「ダウンフロー(上から下への気流)を人工的に作り出すことで、エアロゾルの沈降速度を高めるのが有効です。模擬飛沫発生装置を使った実験では、ダウンフローの有無でエアロゾルの拡散に大きな影響があることが分かりました。これは対面だけでなく、隣に座るような距離の近い場合でも同様です。上から下に向かって流れる空気の壁に遮られて、エアロゾルが床面まで落ちるイメージですね。また、床面まで落ちたエアロゾルは液体状であれば床に付着して強固に結合しますので、完全とはいえませんが、再び吸気中に舞うことは想定しづらいと思います」
こうした研究結果からも、「エアリーソリューションのようにダウンフローを発生させる設備はエアロゾルの拡散防止に一定の効果が見込める」(瀬戸教授)と太鼓判を押してくれた。
瀬戸教授はエアリーソリューションのような設備は、急激な環境変化によって生活様式や商習慣が大きく変わる中で、さまざまな可能性があると話す。
「昨今は対面接触が制限され、オンラインのような新しい形でのコミュニケーションに取って代わられています。それに応じて価値観や考え方も変わってきていますが、日本人的といいますか、対面コミュニケーションを好む方もいますし、実際に対面でしか伝わらないこともあります。その際に安心できるオフィス環境を企業としてどう用意していくのか、という解の1つになるでしょう」
「また、生産性向上の視点においても、空間ソリューションの可能性は大きいと考えています。例えば、ミーティング中にセンサーで顔を認識して、心地よい風を送ったり、森林の中にいるようなさわやかな香りを出したりといったように、空間そのものをクリエイティブな場所に変えていく。もちろん、オフィスに限らず人間の活動を活性化するなど、さまざまな場所で活用できると思います」
ビジネスシーンごとにリアルとオンラインを使い分ける新しい働き方への備えとして、従業員の健康に配慮しつつ生産性高く働ける環境をどう用意するか。ニューノーマルに対応するオフィス環境の構築は喫緊の経営課題といえる。時代の先を見据えたオフィスのアップデートを検討する経営層や総務担当者は、先端テクノロジーによってこれらの課題解決を目指した「エアリーソリューション」に注目してはいかがだろうか。
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アイティメディア営業企画/制作:ITmedia ビジネスオンライン編集部/掲載内容有効期限:2021年11月18日