コロナ禍で小売業の「ECシフト」は一気に広がった。経産省の調査によると、2020年の日本国内におけるBtoCのEC市場規模は12.2兆円に到達。前年比21.7%の成長率となった。
主に実店舗で販売してきた中小の小売業にとっても、オンラインによる販売チャネルは、物理的な距離を超えて顧客と直接関われる重要な手段になりつつある。コロナ禍で消費者行動のオンライン化が進み、小売業のECシフトがさらに重要になるなか、中小企業はどのようにして生き残ればよいのか。
その解の1つが、中小企業も使えるECサイトだ。なかでも、Amazon以外の事業者が販売できるプログラム「Amazonマーケットプレイス」は、すでに国内約16万社の中小規模の販売事業者が利用し、Amazonで商品を販売している。
Amazonが多数の事業者に支持される理由は、初期費用を抑えながら、ECに必須の物流オペレーションなどに関する一部業務を簡単に代行依頼できる仕組みにある。Amazon自身も中小企業支援を積極的に推進しており、関連事業に多額の投資を続けている。
10月5日、6日には、中小企業支援を目的とした「Amazon ECサミット2021」がオンラインで開催され、オープニングスピーチにはアマゾンジャパン社長のジャスパー・チャン氏が登壇した。また、ヤマト運輸とアマゾンジャパンの対談では、中小企業を支援する新サービスについての概要が明らかになった。
全世界においてAmazonマーケットプレイス事業の流通総額は年々増加している。日本でも数年前、販売事業者による流通総額がAmazonの直販事業の規模を超えた。直販の印象が強いAmazonだが、意外なことに中小規模の販売事業者が半数以上を占めるオンラインストアになっているのだ。
「Amazonの成長戦略の中心にあるのがカスタマーエクスペリエンス(顧客満足度)です。品ぞろえ、価格、迅速な配送などの利便性の3本柱でカスタマーエクスペリエンスの向上を目指しています」(チャン氏)
Amazonの成長戦略において重要なのは会員制プログラム「Amazonプライム」だ。Amazonプライム会員は、ショッピングやエンターテインメントなどに関する特典やサービスの活用に加え、「お急ぎ便」などの迅速で便利な配送特典を追加料金なしに無制限に利用できる。
そして、販売事業者がそのお急ぎ便を提供する上で鍵となるのが、「フルフィルメント by Amazon」(以下、FBA)である。これによりAmazonが24時間365日体制で、商品の在庫管理から受注、梱包、配送、カスタマーサービスまでトータルで代行。事業規模やEC、物流の専門知識の有無を問わず、簡単な出品登録などの手続きとAmazonフルフィルメントセンター(物流施設)への納品により、Amazonで販売でき、お急ぎ便への対応も可能となる。
ECでの問題は、注文数の増加に比例して、在庫管理や梱包・配送作業にかかるコストも大きくなることだ。売上が立つほど、より多くの業務時間と人的資源がかかってしまうため、EC化を目指す上でこうした課題解決に悩む中小企業は多い。
しかし、FBAを利用すれば、物流と顧客対応に関連する業務をAmazonに一括して任せられるようになる。事業者は配送業務とカスタマーサービスを心配することなく、商品作りや仕入れ業務に集中する環境を構築できるのだ。その利便性が支持され、日本国内では8万社以上の中小規模の販売事業者がFBAを利用している。
「AmazonはFBAに投資しており、物流施設であるフルフィルメントセンターを日本国内20カ所以上に設け、その一部では最新のロボティクスを導入しています。Amazon独自の配送ネットワークにも投資することで、置き配などのサービスを実現しています」(チャン氏)
また、Amazonは「Amazon ECサミット2021」で行われたヤマト運輸との対談で、新たな配送サービス「マーケットプレイス配送サービス」を年内から開始すると発表した。ヤマト運輸が提供する宅急便、宅急便コンパクト、ネコポスの配送サービスを、両社の提携により実現した特別運賃で提供する。Amazonに出品している販売事業者であれば、事業規模にかかわらず、手続きなしで自社出荷の商品を特別運賃で配送できるようになる。
例えば、「マーケットプレイス配送サービス」では同一地域内、宅急便60サイズであれば1箱あたり436円(税込)から配送できる。当該サービスの前月の利用箱数に応じて運賃は3段階あるが、サービス提供当初は全ての販売事業者に期間限定で同一の配送方法における最も割安な特別運賃を適用するキャンペーンも実施予定だ。
アマゾンジャパンは「特にECビジネスを展開する中小規模の販売事業者さまにとっては、出荷コストの低減分の経済的資源を品ぞろえの拡充をはじめとする販売戦略にお役立ていただけるようになる」と期待を寄せる。
ヤマト運輸の長尾社長は、「コロナ禍でEC化が動き始めたが、日本では諸外国に比べてまだ伸びる可能性のある領域」とEC化に商機を見る。物流業界は人手不足への対応が課題となっているが、ヤマト運輸はECに特化した配送パートナーネットワークの構築、コンビニ受け取りの展開や宅配ロッカーの設置などによる受け取り方法の多様化などを進めキャパシティー拡大に対応してきた。さらにコロナ禍を機にニーズが高まった非対面での受け取りが可能な「置き配」にも注力しているという。
「当社の強みである全国6万人のセールスドライバーはお届けだけでなく、200万社を超える中小企業をはじめとする法人のお客さまの総合窓口を担っています。中小企業のみなさまがより良いビジネスを展開できるよう、セールスドライバーや日本全国4000カ所の営業拠点などの経営資源を活用して、物流の最終工程だけでなく、上流領域まで含めて付加価値を提供していきたいと考えています」(長尾氏)
日本政府はポストコロナの新しい社会作りを見据え、DX(デジタルトランスフォーメーション)を推進している。現在は大企業を中心に徐々に移行が始まっているが、近い将来、中小企業においてもデジタルシフトが求められるようになるのは間違いない。社会の移り変わりが激しいなかで、その変化にいち早く対応できるかどうかが、ビジネス拡大の鍵となるのは明白だ。
しかし、中小企業が一からECサイトを構築し、自分たちで運用していくにはさまざまなリスクがある上、コストもかかる。Amazonは日本への投資に積極的で、2010年から19年までに総額2.7兆円を投資。金額は年々増加しており、19年には6000億円以上を日本に投資している。この規模の投資を続けられる企業は、国内大手でもそうないだろう。
だからこそ、すでにある充実したECサイトを活用し、初期投資を抑えながら小さく始めるほうが確実だ。実際に、コロナ禍にあっても多くの中小企業がAmazonを通じてビジネスを成長させている。
Amazonは中小規模の販売事業者を支援する取り組みを加速させている。6月のプライム会員大感謝祭「プライムデー」の直前には「中小企業応援キャンペーン」を開催し、昨対比で約2倍の販売事業者が参加した。日本のプライムデーでは、中小企業が大半を占める販売事業者による販売個数は約1100万個に及び、48時間の時間枠では販売事業者の売上が過去最大になったという。
また、Amazonは東京商工会議所へ入会し、独立行政法人中小企業基盤整備機構が運営するEC活用支援パートナー制度へも登録している。ECシフト時代をピンチではなくチャンスと捉えている中小の小売事業者は、Amazonの各種サービスを活用し、ビジネス拡大につなげてみてはいかがだろうか。
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アイティメディア営業企画/制作:ITmedia ビジネスオンライン編集部/掲載内容有効期限:2021年12月10日