“デジタル人材に頼り切り”からの卒業――全社員がデータサイエンティストになれるノーコードAI構築の可能性とは?

発展目覚ましいデータサイエンス分野において、広く企業へ導入が進んでいるのがAI(人工知能)である。人材マネジメントやOCRなど多様なツールに導入されているAIだが、実は「自分で作り、業務に活用できる」ことを知っているだろうか? AI・機械学習の第一人者であり、ヒューマノーム研究所でAI構築ツールを開発する瀬々潤氏に話を聞いた。

» 2021年12月08日 10時00分 公開
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 日々、AI技術の活用事例がニュースの見出しをにぎわせている。医療では病気の早期発見に、店舗では混雑予報に、最近ではAIを使った自動運転もめずらしい話題ではなくなった。

 AIといえば、人に代わって自動的に、いろんな作業をしてくれるもの――というざっくりとした認識を持っている人も多いかもしれない。ビジネス分野では、AI-OCRのように既にツールに組み込まれているものとして触れる機会が多くなったが、では「AIを自分で作る」と聞いてどんなイメージを持つだろうか。

photo 東京大学の助手、お茶の水女子大学や東京工業大学の准教授として教鞭を執り、産業技術総合研究所人工知能研究センターの研究チーム長も務めた経験を持つ瀬々潤氏

 「『AIは完成したツールとして買って使うもの』、今でも多くの人はそのような認識だと思います。しかし、AIは買うのではなく『自分で作って活用するもの』。このように考えると、ビジネスは一気に加速するはずです」。そう語るのは、ヒューマノーム研究所の代表取締役社長、瀬々潤氏だ。

 まだ「機械学習」という言葉が定着していなかった学生時代から東京大学大学院で研究に明け暮れ、産業技術総合研究所の研究チーム長まで務めたという機械学習の第一人者に、AI構築がもたらすビジネスの未来について聞いた。

「AIを構築する」って、つまりどういうこと?

 そもそも「AIを構築する」とは、正解となるデータを収集して計算機に学習させることで、人を介さず学習・判断できる=AI技術を使ったシステムモデル(AIモデル)を作ることを指す。では、自社でAIを構築する利点とは何だろうか?

 「例えば製造業では、機器の故障が収益損失に直結するため、その手前で部品を交換するなどのリスクヘッジが重要です。多くの現場では、専門家や熟練社員が“暗黙知”で対応していますが、それでは担当者への依存が激しい上、ナレッジ共有がしづらく教育に時間もかかります」(瀬々氏)

 そこで活躍するのがAIだ。上の例では、機器に取り付けたセンサーデータを基にAIモデルを作ることで、大量の過去の履歴を基にして誰でも「故障予測」ができるようになるという。専門家や熟練社員に代わりAIが判断を提示することで、経験の浅い新入社員であっても正確に対応できるというわけだ。

 飲食や小売業でいえば、見込み客の予測などが可能になる。瀬々氏は、「顧客リストデータを基に各店舗が独自のAIモデルを作成することで、各店舗の状況に合った見込み客を予測できるようになります。メルマガ配信をする際には、見込み客のみへ効率的に送信できるため成果が出やすくなりますし、“迷惑な配信”を防げるためCX(顧客体験)も損ないません。何より、業務効率化により営業やマーケティング戦略などにリソースを割けるようになり、企業成長に寄与します」と話す。

 このような、“ちょっとしたAI活用”を全て外注に頼っていては、導入費用が膨大になる上、管理コストも肥大化する。しかし自社でAI構築ができるようになれば、使いたいタイミングで使いたいものに、人手では実現できない予測データ分析を取り入れられるようになる。まさにミニマムにAI活用のスタートを切れるというわけだ。

AI構築に立ちはだかる「ITリテラシー」という名の障壁

 瀬々氏は、自社におけるAI構築は「誰でも作れること」が重要だと話す。これは、デジタル人材が潤沢である企業も同様だといい、重要なのは「全社員がデータを扱うリテラシーを持つということ」(瀬々氏)だと主張する。

 「実際にAI予測に利用したいデータを所有しているのは各部署の社員です。ITチームと各部署の社員、双方のデータ解析に対する理解がかけ離れていると、連携がうまくいかずにAIモデル構築に使うデータを正確に収集できません」(瀬々氏)

 AIとは、収集して学習させる――そのデータを出し入れするための“箱”のようなもの。ITチームが作成したものを各部署に共有してみんなが利用する、という従来のツール作成と違って、AI構築は“作ったら渡すだけ”という一方通行が成り立たない。かかわる全員が「AIとは、機械学習とは何か」をしっかり理解していなければ、前進しない世界なのだ。

photo 一部の人間が詳しいだけでは必要な情報が現場から上がってこず、AIの精度も上がらないまま。「結果として構築したAIモデルが使われない」(瀬々氏)という失敗につながることも少なくない

 とはいえ、デジタル人材と、非デジタル人材が共通言語を持つのはハードルが高い。今は、リスキリングによって内部でデジタル人材を育成するという動きもあるが、体力と気力のある企業でなければ実行に移すのが難しい。そこで、「誰でも使える」「AIを広く業務に活用できる」ものとして誕生したのが、ヒューマノーム研究所のノーコードAI解析ツール「Humanome CatData」だ。

AI入門に適した使用感で、人が集まり“結合する場所”へ

 Humanome CatDataは、人を選ばない操作性と本格的なAI構築機能が最大の特徴。企業だけではなく「学生に機械学習を学ばせる教育目的として、中高や大学にも導入が進んでいる」という瀬々氏の言葉からも、AIの入門ツールとして支持されている様子が伺える。

photo Humanome CatDataの画面イメージ。一般的なAIツールに見られるようなダークな配色は避け、あえてポップな色合いに。良い意味で「ビジネスっぽくない」「ひと目見たとき、ITに明るくない人にも興味を持ってもらえる」ように、優しいデザインを意識したという

 一風変わった名前は、OSの一種であるUNIXやLinux、そこで使われるコマンド「cat」から採用されているという。catの意味は「結合する」。

 「デジタル人材と、非デジタル人材同士ではAI構築がうまく進まない。これは私自身、機械学習の研究を進める上で感じ続けてきたことです。しかし、みんなで一緒に見てつながり合えるような共通プラットフォームを中央に据え、それを“共通言語化”することで、話が広がり新しいアイデアに発展したり、コミュニケーションが進んで作業スピードが速まったりといった経験もまた、数多くしてきました。

 AI構築のために『データを結合する』だけではなく、ITの知識や経験、能力に関係なく多くの人が集まり『話やアイデアが結合する』場所へ。そのような役割への期待を込めて、Humanome CatDataを開発しました」(瀬々氏)

 「まずは勉強目的で、多くの現場で気軽に使ってみてほしい」という意図で、基本機能をほぼ全て使うことができる無料プランも用意された。有料プランも、従量制が多いというAIツールの中では珍しい月額制(税込9800円)。これは、「実際にAI構築をする際、どれくらいの時間ツールを使わないといけないのか、導入前は想像しづらい」(瀬々氏)ことによる配慮だ。

 操作は全てブラウザ上で行えるため、リモートワーク下であっても導入後はすぐに利用でき、かつどれだけ使っても料金は固定。この導入のしやすさも、他のAIツールにはない大きな魅力といえる。

 では実際に、Humanome CatDataではどのようなことができるのだろうか。

AI構築フローの煩雑さを解消 極限までシンプルな操作へ

 Humanome CatDataでは、ノーコードにより複雑なプログラミング不要でAI構築を行えるほか、非デジタル人材でも簡単に扱えるよう、さまざまな工夫が凝らされている。その一つが、オールインワン仕様だ。

photo Humanome CatDataなら、AI構築に必要となる処理を一気通貫で行える

 AI構築には、AIで何がしたいのかという「課題設定」をしてから、関連する「データ(ExcelやCSVといった表データ)収集」を行い、「データ前処理」「データ可視化」「AI・機械学習」「評価」を経て「AI活用」に進む、という一連のプロセスがある。Humanome CatDataは、このデータ収集〜活用までを一気通貫で行うことで、典型的なデータサイエンスの流れを短時間かつシンプルに実現。AI構築のハードルを大幅に下げているという。

 一般的に、ノーコード系のツールを用いてAIを構築する際は、AIツールのほかBIツールを併用することが多い。データ収集や可視化はBIツールで、前処理や機械学習はAIツールで、といった役割分担をするためだ。

 しかし実際には、機械学習に回して予測結果が未熟であればデータ収集や可視化に戻るなど、「AI構築の際は、この作業を何度も繰り返す」。瀬々氏はそう説明し、「ならば一連のプロセスを一つのツールに集約させた方が、作業が煩雑にならないと考え、オールインワン仕様にこだわりました」と、狙いを話す。

 なお、ここでいう「前処理」とは、機械学習に回す前にデータの中身を整理することを指す。例えば顧客リストの男性だけ、10〜20代だけのデータを使って予測を立てたいといった場合は、絞り込みをした上で機械学習へと回す必要があるが、これも前処理に含まれる作業だ。

 Humanome CatDataでは、データに欠損値がある場合、画面上で該当箇所を表示することで削除したり、補完したりできるという。加えて、上で例に挙げた絞り込み処理も、全てマウスだけで操作が可能。データを読み込むと自動的に値に合わせた円グラフや棒グラフなどが生成され、チェックボックスを操作して性別を絞り込む、スライダーを動かして年齢幅を絞り込む、といった前処理は片手だけで完結するという。

photo スライダーやチェックボックスを操作するだけで、前処理を行える

 データ解析において、前処理は地味な作業であるものの、実はAI構築全体の6〜7割を占める重要なプロセスである。なぜならAIが学習する「正解のデータ」を整える作業であり、AIの“頭の良さ”を左右するためだ。そのキモとなる前処理操作を極限までシンプルなものに落とし込んでいる点にも、「誰でも使える」AI構築ツールへのこだわりが見て取れる。

自分で“育てる”AIモデル 時流や業務に柔軟に対応

 前処理が済んだデータは、可視化して中身を確認し、問題がなければ機械学習に回して実際にAIモデルを作成する。

 Humanome CatDataで利用可能な機械学習の手法にはいくつか種類があり、詳細な違いは割愛するが「SVM」「Random Forest」「LASSO」「Neural Network」など代表的な手法を選択できる。学習が完了すると評価に移り、問題がなければ作成したAIモデルを使った活用(予測)へ進めるといった流れだ。具体的には、何かを予測してほしいデータを、作成したAIモデルに適用することで自動的に結果を得られる――そんな環境が整う。構築したAIモデルの具体的な活用例は、同社が作成するnote「ワクワクから始めるAI・データ解析(7.AI予測編)」に記録されているペンギンの例が分かりやすいので、ぜひ参考にしてほしい。

photo テーブルの結合画面イメージ

 なお、有料プランであれば「AutoML(自動化された機械学習)」機能によりさらに操作を簡略化したり、複数のテーブル(読み込んだデータ)を結合し、より複雑な条件のもと機械学習を行ったりもできる。

 「テーブルの結合」とは、例えば、工場で機器の故障予測をしたい場合、機器に取り付けたセンサーデータからだけではなく、気象情報との関係性も予測に組み込みたいなら、センサーデータのテーブルと、気象情報のテーブルを結合するということだ。その結果、過去の動作履歴に加えて、その日の天気がどう故障に影響するかといったより解像度の高い予測結果を得られるようになる。こういった複数データの結合処理は、「一般的にBIツールにはあるがAIツールでは珍しい機能」だと瀬々氏は話す。

 なお、作成したAIモデルが未熟であれば、データ収集や可視化、または前処置といったプロセスに戻る必要があるとは先述した通りだ。面倒に聞こえるかもしれないが、これは日々変化するビジネス環境に応じて、最適なAIモデルを自らの手で“育てていける”ということでもある。

 今まで手作業で、または経験と勘に頼ることで正確性を欠いていた業務の精度を各段に上げられるだけではなく、時流や固有の業務に合わせて柔軟に、しかも誰でも簡単に改良して活用し続けられる。これが、AIによってビジネスを加速させることができるHumanome CatDataの真価といえるだろう。

 AIは買うものではなく、自分で作って活用する時代へ。営業も経理も総務も、部署に関係なく全従業員がデータ分析、機械学習によって日々業務をアップデートする。Humanome CatDataのようなノーコードAI構築ツールにより、これからはそんな“個のDX”が、企業成長のエンジンとして機能する時代になるのかもしれない。

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提供:株式会社ヒューマノーム研究所
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia ビジネスオンライン編集部/掲載内容有効期限:2021年12月23日