高精度&予測モデルの自動チューニングのAI需要予測により人手不足や食品ロスの解消、在庫適正化を実現

リテール業界では、コロナ後を見据えた対応はもとより、ライフスタイルの多様化や少子高齢化などコロナ以前から山積していた課題の解決も急務だ。変化の時代を勝ち抜くために、リテールの経営に有効な分析手法として、需要予測が注目を集めている。従来の需要予測は、精度や運用面に課題があったが、富士通の独自技術による機械学習を活用したAI需要予測は、高精度とともに自動チューニングによる精度維持を実現。人手不足の解消、廃棄ロス・機会ロスの削減を図り、リテール企業の持続的成長に貢献する。

» 2022年01月21日 10時00分 公開
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人手不足、嗜好の多様化、廃棄ロス・機会ロスなど
勘や経験に基づく判断では対応が難しい時代に

 少子高齢化による人手不足、消費者嗜好の多様化・商品多品種化、少量生産・ライフサイクルの短期化、廃棄ロス・機会ロス削減など、リテールの経営で考慮すべき課題は多岐にわたる。これまでの人の判断だけでは、変化のスピードに対応しきれないと認識しているリテール企業も多いのではないだろうか。

 食品ロスへの対応もリテール企業の重要なテーマだ。日本政府は、2019年に公表した「食品循環資源の再生利用等の促進に関する法律」(食品リサイクル法)の基本方針において、食品関連事業者から発生する事業系食品ロスを、2000年度比で2030年度までに半減させる目標を設定。また近年では、SDGs(持続可能な開発目標)への対応は企業にとって社会的使命であると同時に、消費者にとって小売業を選ぶ際の判断軸の1つになりつつある。

 今後、人材確保の難しさに加え、事業環境の急速な変化への対応や考慮すべき社会課題が複雑化する中、リテールビジネスの起点となる「店舗」のイノベーションに不可欠となっているのがデジタル活用であり、その一例として、今、注目を集めているのが、データ分析による需要予測だ。熟練した担当者でさえ、最適な発注や適正な在庫確保は難しく、需要の読み誤りによる廃棄ロス・チャンスロスが日々発生している。さらに担当者の経験とノウハウに依存するため、業務が俗人化し特定の担当者に負担が偏りがちになる。

 需要予測データに基づき発注業務を自動化することで、廃棄ロス・機会ロスや人材不足を解消し魅力的な店舗づくりに向けて人材リソースの有効活用が図れるであろう。しかし従来の需要予測は、精度と運用の面に大きな課題があった。

AIにより需要予測の概念が変わる
高精度と自動チューニングによる精度維持を実現

 需要予測で利用する予測モデルはさまざま存在するが、唯一万能な予測モデルは存在しない。そのため、従来は予測対象の特性に合わせてモデルを選択し利用していた。ただし、この「モデル選択型」は、選択したモデルが得意とする対象以外の精度が低く、異なる観点で予測したい場合には別のモデルを利用することになり、運用管理が複雑化する。

 モデル選択型の課題を解決するのが、特徴の異なる複数のモデルを組み合わせて利用する「モデル統合型」だ。1つのモデルであるかのように、いかに複数のモデルを統合し精度を高め、維持していくか。富士通研究所の技術「動的アンサンブル予測」を取り入れた「FUJITSU Business Application Operational Data Management & Analytics 需要予測SaaS」(以下、ODMA需要予測SaaS)は、機械学習により時間経過の中で、各モデルの組み合わせ比率を動的に変更し、予測モデルの最適化を図る(図1)。

 従来型の需要予測では、精度維持のために人手による予測モデルの選定とパラメータ設定が継続的に必要となることが運用課題の1つになっていた。予測モデルの選定とパラメータ設定は業務負荷の増大や、人材確保の難しさにつながることから需要予測を導入しても運用の問題で精度を維持できず、途中で頓挫するケースもあった。動的アンサンブル予測は、機械学習を利用した自動チューニングにより、予測モデルの選定とパラメータ設定を不要とし精度維持と運用のシンプル化を実現する。

 また、単にAIを導入しただけで問題が解決できるわけではないという視点も大切だ。富士通では需要予測のプロフェッショナルサービスにより、お客さまそれぞれに最適なAIの導入を支援する。お客さまとの共創によるPoC(概念実証)を実施し、業務知識と富士通の高度なデータ分析技術を掛け合わせ、予測に効果的なデータを仮説・検証する「精度向上のサイクル」をまわしていく。さらに、運用ではAIに何を学ばせるのかが重要なポイントとなる。学習データが消費者需要に関係のないノイズデータばかりでは精度の低下を招くからだ。このように、PoCにより成果を確認しながら段階的に拡大することで、費用対効果の最大化が図れる。

(図1)動的アンサンブル予測の概念

動的アンサンブル予測で業態の異なる店舗の客数を予測
人的予測の2倍の精度向上、廃棄ロス削減にも貢献

 近畿、東海を中心に、スーパーマーケット、ショッピングセンターなど160店舗を展開するオークワは、発注のベースとなる客数予測の精度に課題を抱えていた。従来、同社の客数予測は、各店長が独自の勘と経験に基づき策定する日割予算額を昨年の客単価で割ることで算出。店長個人の能力や経験値によって品質の差が生じていた。また、日割予算額はキャンペーンなどへの対応で変更する必要があるのだが、店長は日々の業務に追われており、ほとんど変更されることはなかった。

 発注業務は、店舗の利益に大きく影響する。同社は、客数予測の精度向上と店長の負担軽減を実現するべく、151店舗を対象にODMA需要予測SaaSのPoCを実施。本サービスはSaaSでの提供のため、PoCやスモールスタートが実施しやすいことが決め手となった。

 PoCでは、動的アンサンブル予測によりAIが最適な予測モデルを統合することで、業態が異なる各店舗の客数予測を可能にした。その結果、人的予測の平均誤差率9.3%に対し、ODMA需要予測SaaSの平均誤差率は4.7%と約2倍の精度向上が図れた。同社と富士通による共創型のPoCにより、店舗ごとに過去2年間の実績に加え、客数に影響する気象やキャンペーンなどのデータを活用し、機械学習により精度を高めていった成果だ。

 2019年3月に、同社は全160店舗を対象にODMA需要予測SaaSと既存の自動発注システムの連携を開始。重要なポイントは、客数予測が個々の店長の能力に依存することなく、全店で高い精度を実現している点である。また、客数予測の精度向上により自動発注システムの精度を高めることにつながり、廃棄ロスや機会ロスの削減に貢献している。

大きな変動にも人手を介さずAIが需要を予測
企業と社会の持続的発展に貢献

 リテールDX(デジタルトランスフォーメーション)では、発注や計画に欠かせないAI需要予測は機軸の1つとなる。持続的社会の発展に貢献し、先の読みにくい時代を勝ち抜くために、リテール企業における動的アンサンブル予測「ODMA需要予測SaaS」が担う役割と重要性は、今後一層高まっていくだろう。

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提供:富士通株式会社
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia ビジネスオンライン編集部/掲載内容有効期限:2022年1月30日

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