「売れる」営業を効率的に育成 今注目の「セールスイネーブルメント」とは?最先端事例に学ぶ強い営業組織のつくり方

各自が能動的に動く必要がある営業部門は、活動の可視化が難しい領域だ。各営業がどのような知識・スキルを持ち、それをどう生かして行動し、その結果具体的にどれくらいの成果につなげているのか。もともと見えづらかったものが、コロナ禍により「全く見えなくなった」と、頭を悩ませているマネジメント層、経営層は少なくないだろう。先行き不透明なこの先、営業部門はどう変革するべきなのか? 今話題のセールスイネーブルメントから解決策を探る。

» 2022年01月17日 10時00分 公開
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 営業活動は「訪問しない」時代に突入した。オンライン会議ツールを使うことで、以前より打ち合わせや商談件数が増え、空いた時間を活用して自己研鑽(けんさん)に時間を割けるようになったという人もいるはずだ。しかし、そういった利点がある一方で、新たな課題も浮上している。

 各営業の活動内容や進ちょく、または顧客との関係性や抱えている課題を可視化できず、組織をどう管理すればいいのか考えあぐねているリーダー目線の課題。先輩や上司からのナレッジをうまく受け取れず自身の営業活動や成果に不安があるプレーヤー目線の課題。そして、コロナ禍で激変した顧客接点による売り上げへの影響を懸念する経営層目線の課題――細かい部分まで羅列するとキリがないほど問題は山積している。

photo 徐々にオフライン活動も戻ってはきているが、新変異株の出現もあり、まだまだ先行きは不透明(画像はイメージ、出所:ゲッティイメージズ)

 そんな中で、ジワジワと広まりつつあるのが「セールスイネーブルメント」という概念である。セールスイネーブルメントとは何なのか? そして営業課題解決にどうアプローチするものなのか? 法人営業、人事コンサルを経て、大手外資系IT企業でセールスイネーブルメント専任部隊の本部長を務めた後、セールスイネーブルメントに特化したサービスを提供するアールスクエア・アンド・カンパニーを設立した山下貴宏氏(同社、代表)に話を聞いた。

成果起点の営業育成、それがセールスイネーブルメント

 まずセールスイネーブルメントとは、端的に言うと営業パーソンを対象とした「成果を創出し続ける人材育成の仕組み、またはその方法」のことだ。

 山下氏は「直訳すると“Sales Enablement”とは『営業が何かをできるようになる』そのような意味です。では営業は何をできるようになるべきか、それは『成果を出すこと』です。つまり、セールスイネーブルメントとは、成果を出せる営業社員を継続的に排出し続けるための人材育成の仕組み、もっと要約すると『成果起点の営業人材育成』です」と話す。

今の人材育成、知識・行動・成果は地続きになっていますか?

photo アールスクエア・アンド・カンパニーで代表取締役を務める山下貴宏氏

 人材育成なら、既に定期的なeラーニングや研修トレーニングを実施している企業は多いだろうが、内容が実用的ではなかったり、知識が継続して身に付かなかったりすることも珍しくない。

 重要なのは、営業実態に即した育成コンテンツが提供されているか。知識・スキルの習得状況を可視化しているか。期待行動がとれるようになるまでのサポート体制は整っているかといった「ミクロ的観点」。そして、成果起点で育成施策が設計されているか。その上で、効果検証、改善するといった育成PDCAが機能しているか。その実現のために組織横断型でつながりを意識した人材開発の仕組み構築がなされているのかといった「マクロ的観点」。この両面から、人材育成と成果が地続きでつながっている企業は「非常に少ない」(山下氏)という。

 要因の一つは、全社共通の育成施策を担うことが多い人事部門と、実際に現場固有の育成課題を抱えている営業部門の“目的と目標の乖離(かいり)”現象だ。

 「育成施策を主導するのは、多くの場合人事部門です。しかし、数値達成のための育成施策を求める営業部門に対し、専門性や人的リソース確保の観点から人事部門が最適な育成施策を提供するには限界があります。人事部門が用意している育成施策に問題があるのではなく、企業として取り扱う育成の“テーマ”と“対象”が合致していない、営業部門において目指すべき成果と育成施策がつながっていない、その構造が障壁になります」(山下氏)

photo 育成施策は多くの企業で取り入れられているのに、“個別最適化”された施策であるゆえに、知識→行動→成果がつながっていないことが多い(出所:アールスクエア・アンド・カンパニー提供資料より)

組織的に“成果を出せる”営業を育成

 セールスイネーブルメントは、組織化して取り組むのが一般的だ。人事部門に丸投げするのではなく、営業部門や営業推進部門も連携して「セールスイネーブルメントチーム」を立ち上げることで、継続的に「成果起点の営業人材育成」プログラムを回していくのだという。

 山下氏の前職は、まさにそのセールスイネーブルメントチームの部門長であった。セールスイネーブルメントという概念を専任チームで自社に導入し、施策運用することで、営業部門の成果が上がっていくのを実際に見てきたという。

 「サービスとして外部にノウハウを提供していたわけではありませんでしたが、『自社の営業部門も支援してほしい』という取引先の声も少なくありませんでした。当時セールスイネーブルメントは、日本ではまだニッチな領域。しかし、自身の実務やお客さまの声を通して高い有用性を感じていたため、多くの企業、営業組織が持つ『育成と成果のつながりが見えない』その課題解決を支援したいと考え、アールスクエア・アンド・カンパニーを立ち上げセールスイネーブルメントに特化したサービスの提供に踏み出しました」

包括的な営業育成支援セールスイネーブルメントの手厚い内容、具体的な進め方とは?

 では実際に、セールスイネーブルメントでは何をどうすればいいのか。プログラムの全体像を見てみよう。

 「セールスイネーブルメントプログラムのポイントは、『成果につながる(=Enableする)ステップ』に即して組み立てられているという点です。営業現場で使える知識/スキルを得るための『トレーニング』、行動変容をサポートする『コーチング』、より効果的・効率的に動くための『ツール/ナレッジ』、これらに一貫性を持たせてプログラムを提供し、結果として成果につながったのかをデータで検証するサイクルを実現させます。

 トレーニングは明日にでも使える実践的なものでなければならないことはもちろん、学んだことを実際に活用できなければ意味がありません。そのため、マネージャーを通して行動を管理し指導をするコーチングは欠かせませんし、そのマネージャーの育成や、提案資料など営業活動に役立つツールやナレッジがチーム内で共有されていることも必要です。

photo アールスクエア・アンド・カンパニーが考える、セールスイネーブルメントにおける4つの柱「トレーニング」「コーチング」「ツール/ナレッジ」「システム」(出所:アールスクエア・アンド・カンパニー提供資料より)

 そして、これらセールスイネーブルメントプログラムの中身や進ちょく、効果を『システム』で可視化します。全体を俯瞰で見ることで、各営業の現在地、成果だけでなくプロセスにおける不足部分を常に確認でき、効果的かつ計画的に“次の一手”を打てるようになります」(山下氏)

まずはフレームワークを構築し、育成サイクルを整える

 同社では、上記で挙げたセールスイネーブルメントプログラムの構築、実行支援を「プロフェッショナルサービス」、システムをクラウドサービス「Enablement App」として提供している。

 プロフェッショナルサービスは、「営業組織の課題分析からセールスイネーブルメントプログラムの構築、実行支援やデリバリー」を担う部分だ。具体的には、まず組織として達成すべき「成果」を定義し、成果達成のために必要な営業の「行動要件」を抽出、現状とのギャップから深掘りしていくべき「知識」や「スキル」を整理して、組織ごとのスキルマップを生成。そのスキルマップを基にして、各現場に最適化されたトレーニング、コーチング、またツールやコンテンツ開発・提供を行う。

 同時に、各営業の現在地を定量的に図るアセスメントも実施しつつ、どう育成できたか、成果につながったかを検証する。これまで難しかった育成の投資対効果がデータで可視化されるため、効率的に成果を上げ続ける営業人材育成の仕組みが実現する。

 「ただプログラムをつくって提供するだけではなく、お客さま固有の営業の流れ――例えば、事業ゴールを踏まえた営業改革テーマの取り扱いや注力したい営業指標の整理、SFAなどのツールをどう活用すればいいかといった部分まで、包括的にご支援しています。

 先に述べた通り、成果目標を持つ営業チームの動きと、育成施策を担う部門の動きが乖離しているのは望ましくありません。セールスイネーブルメントチームの立ち上げやメンバーをどう構成するのかはお客さまのご判断ですが、私たちが “営業組織がどうあるべきか”や“営業・営業マネージャーが今何をすべきか”を言語化したり、必要となるコンテンツを提供したりすることで、組織で共通認識を持てる環境をつくり出し、育成施策の展開に貢献できればと思います」(山下氏)

photo 営業チームの現状、達成したい成果をヒアリングした上でセールスイネーブルメントチームを支援。一気通貫で営業育成施策に取り組む。なお、同社のサービスは2020年8月7日に「営業人材開発支援システム、営業人材開発支援方法、および営業人材開発支援プログラム」の名称で特許取得済みだという〈特許第6746184号(P6746184)〉(出所:アールスクエア・アンド・カンパニー提供資料より)

 トレーニングの中身は、eラーニングや同社による講義(オンライン/オフライン)、またテキストなどだというが、ポイントは「企業ごとに抱える成果目標、営業課題と、コンテンツをすり合わせた上で育成プログラムが提供される」点、そして「既存のプログラムはデータを基にコンテンツを見直し続ける」点にある。「どうして今、このトレーニングに取り組む必要があるのか」の理由が明瞭であれば、メンバーにとっても実践的な学びとなり、知識・スキルの習得意欲もおのずと高まるというものだ。

システム上でセールスイネーブルメント状況を可視化

 プロフェッショナルサービスで構築されたフレームワークはEnablement App上で確認できる。ベーシックなスキルマップやアセスメント、営業知識・スキル習得に関わる動画コンテンツは標準でプリセットされており、そこに各社に最適化されたコンテンツを掲載するなどのカスタマイズも可能だ。また、セールスイネーブルメントを推進する上で欠かせない、マネージャーによるメンバーコーチングのサポート機能も実装されている。

 同社におけるセールスイネーブルメントとは、CRMやSFAなどのツールを導入する、トレーニングを実施するだけでは実現できなかった営業育成課題の解決のために生まれたサービスだ。日々専門性に磨きをかけ続けているプロフェッショナルサービスと今後も機能拡張を見据え成長し続けるEnablement Appは密接に関係しており、セールスイネーブルメントを推進する上でさらなる相乗効果を発揮するだろう。

 山下氏は「コンテンツ配信だけなどシステムのみで完結するスタイルは、私自身の経験上でも成果につながりにくいんです。やはりトレーニングもコーチングも、直接的なアプローチで営業の方々の行動を変えていく。そのためには、コンサルタントのような動きもしますし、トレーニングやツール開発もします。ミックスでご提供してこそ、体系的なセールスイネーブルメント定着に寄与できるのではないかと考えています」と話す。

photo Enablement Appの画面イメージ。このように、各営業のスキルマップや進ちょくを可視化し、効果的な育成施策を継続的に回していける(提供:アールスクエア・アンド・カンパニー)

 Enablement Appでは、営業メンバー別のスキルマップ画面が用意されており、営業マネージャーは部下のスキルアップの進ちょく管理や育成コーチングを進めることができる。メンバーは、得意不得意や成長度合いを把握し、最適なタイミングで必要なトレーニングの受講も可能となる。またスキルマップの変化やアセスメント結果、コーチングログなどのデータを、セールスイネーブルメントチームの管理者とマネージャー間で共有することも可能だという。

複雑化する営業活動 セールスイネーブルメントサービスが生み出す効果とは?

 「eラーニングだけで知識が増えた、行動にも成果にもつながったのであればその施策はそれで十分」だと、山下氏は話す。しかし、特にエンタープライズなど営業活動が複雑化している場合、結局はアドホックな取り組みに終わり継続的な受注につながらない。また、一部のハイパフォーマーに依存し安定した組織運営ができていないといった課題を持つ営業部門も多い。

 「今までは何とか回っていたものも、コロナ禍で各営業の活動、成果、顧客接点などはさらに見えなくなりました。営業組織や営業のアプローチを抜本的に見つめ直し、新たな施策をもって売り上げにつなげていく。セールスイネーブルメントはまさにそのための土台であるといえます」(山下氏)

セールスイネーブルメント事例 凸版印刷が実感した営業実践PGMの成果

 実際に、ビジネス環境が大きく変化した昨今、機会創出が容易ではなくなったことに加えて、複雑化する顧客課題にどう対応していくべきか、変革の必要性を感じていたという凸版印刷は、2020年12月〜21年9月にかけてセールスイネーブルメントサービスを導入。営業の機会創出に向けた活動内容を見直すことで、顧客の潜在課題を想定し、新たな需要を創出する取り組みに挑戦した。

 結果、顧客接点強化を果たせたほか、的確かつ手厚い営業活動が評価され顧客の新規開拓も前進。Enablement Appにより可視化することで、課員は成長具合を、上司はマネジメントによる部下の行動変化を日々確認できるため、学びや指導のモチベーション維持にも高い効果を感じているという。

 以下の動画では、凸版印刷が具体的にセールスイネーブルメントにおいてどのような取り組みを実施し、成果につなげたのか、山下氏のインタビューを通して具体的な流れが紹介されている。ぜひ確認してほしい。

営業改革におけるセールスイネーブルメントが企業の生産性を高める

 DXの波は営業部門のマネジメントにもおよんでいる。しかし、デジタル化できているのはあくまで業務効率化のための手段が大半であり、アールスクエア・アンド・カンパニーが提供するセールスイネーブルメントソリューションのように、“人”を対象とした領域にまで踏み込めている企業はまだ少ない。

 「セールスイネーブルメントは『成果起点の人材育成』に基づくシンプルな概念ではありますが、最終的には営業組織全体の生産性向上に寄与するアプローチであると、私たちは確信しています。先の見えないビジネス環境下で、営業スタイルをアップデートしなければならないという課題感を持つみなさまには、ぜひ一度、セールスイネーブルメントの合理性が生み出す効果を体験していただきたいですね」(山下氏)

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アイティメディア営業企画/制作:ITmedia ビジネスオンライン編集部/掲載内容有効期限:2022年2月8日