日本コカ・コーラが見据える茶系飲料市場の未来図 「綾鷹カフェ 抹茶ラテ」大ヒットの要因を語るなぜ今、“お茶”がアツイのか?

2021年、コカ・コーラ、ジョージアなどで知られる清涼飲料市場の先導的企業である日本コカ・コーラは、コロナ禍で世の中が変容する中、「お茶市場でもリーディングカンパニー」を目指すことを宣言した。消費者ニーズに柔軟に対応するべく、同社が取り組む“お茶”変革――その一年間の取り組みを振り返ると同時に、日本コカ・コーラが見る茶系飲料市場の今後に迫る。

» 2022年01月19日 10時00分 公開
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 コロナ禍により自粛生活が続いたことで、清涼飲料市場にも大きな変化が起きている。“おうち時間”の増加で今まで以上に自宅で容器入り飲料を飲む機会が多くなったほか、健康意識の高まりから機能性茶や健康茶を好む人も増えている。競争激しい清涼飲料市場においては以前より、各社が「止渇性」だけではない“個性”を追求した飲料開発に取り組んでいたが、時流の変化を受け、また新たな“変革”が求められている状況だ。

 そんな中、変容する消費者ニーズに対応しブランド強化を図るため、「お茶」カテゴリーにこれまで以上に注力しているのが日本コカ・コーラである。清涼飲料市場のリーディングカンパニーが描く、新たな「お茶」市場開拓のビジョンとはどのようなものなのか。

日本コカ・コーラが見る、コロナ禍で起きた「5つの変化」とは?

 コーヒー、ティー、スポーツ&ウォーターカテゴリー事業本部長の小林香予氏(マーケティング本部)は、「コロナ禍においては5つの軸で消費行動に変化が起きた」と分析する。

 1つめは「節約意識とプチ贅沢」。経済活動に抑制がかかり、収入面の不安から節約意識が色濃くなった。同時に、外出自粛の影響で在宅時間が長くなり、自宅で“プチ贅沢”をする機会が増加した。

 2つめは「自衛意識」。健康や免疫への関心が高まったことで、心身ともにヘルスケアを見直す人が増えている。

 3つめは企業への「信頼」。コロナ禍で各国の対応に違いが出たことが影響してか、企業に対しても、ヘルスケアやSDGsをはじめとした社会貢献活動に注力しているのか――消費者の目は厳しくなっている。

 そして4〜5つめは「家の多機能化」と「デジタルマインドの向上」。リモートワークが浸透したことで、自宅が「仕事を終えて帰る場所」から「一日中いる場所」へ変化した。家の多機能化が進むと同時に、在宅時間が増えネットの利活用も加速。社会全体がデジタルシフトし、ITリテラシー問わずECチャネル利用者が増えていることは周知の事実だろう。

顧客ロイヤリティを高める、素早い戦略

 日本コカ・コーラはこれら5つの軸を強く意識し変革に取り組んだ。例えば、1つめに挙げた消費行動の変化では、家庭内消費の向上と節約意識の高まりから、近所のコンビニがスーパーと同じような役割を担うようになった世情をいち早くキャッチ。コンビニでも家庭内消費向けに950mlサイズを用意した。さらに、ちょっとした贅沢欲求を満たしたい人に向けて、「綾鷹カフェ 抹茶ラテ」や「ファンタ」の「プレミア」シリーズ、「コスタコーヒー」などプチ贅沢ニーズを捉えた製品を充実させてきたという。

 2つめの自衛意識という観点では、ダイエットニーズ一辺倒の機能訴求だったトクホ・機能性飲料市場に向けて、日本で初めて記憶力と血圧にWではたらく新製品「からだおだやか茶W」を2021年2月に発売。「からだすこやか茶W」という脂肪と糖分にWではたらくトクホと同じ「Wではたらく」シリーズとして、健康習慣のベストパートナーを目指している。

photo 小林香予氏

 3つめについては、信頼してもらえる企業として、SDGsの面からもオンラインチャネルを中心にラベルレス製品を発売。小林本部長は「いずれはラベルレス製品の市場をリードしていく会社でありたい」と展望を語る。

 そして、4つめ「家の多機能化」を意識し開発に取り組んだというのが、21年に新たに発売したフリーズドライ型の飲料「ワン・ツー・キューブ」だ。水やお湯で溶かして飲む飲料品として、Amazonにて昨年5月にテスト販売をスタート。同社らしいエッジの効いた新製品はたちまち反響を呼び、「容器入り飲料でない製品としては平均よりはるかに高い売り上げを記録した」(小林本部長)という。

 最後5つめ「デジタルマインドの向上」に向けては、公式アプリ「Coke ON」が活躍。ダウンロード数は、国内最大規模の3000万超。国民の4人に1人はアプリを通してコカ・コーラ社とつながるようなプラットフォームになっているといい、デジタルシフト推進にも抜かりはない。

 以上のように、大きな社会変化にも柔軟に対応し、成果を出し続けた日本コカ・コーラ。その中でも21年の爆発的ヒットにつながったのが、「綾鷹カフェ 抹茶ラテ」と「やかんの麦茶」である。

お茶カテゴリーをけん引した2大ヒット「綾鷹カフェ」「やかんの麦茶」

 21年3月、同社は「お茶カテゴリー戦略発表会」でお茶カテゴリーのさらなる強化を発表した。「お茶市場でもリーディングカンパニー」を宣言した結果、昨年はお茶カテゴリーにおける売り上げが昨対比で2桁近い成長となっている。

「あの綾鷹が」――意外性の裏に隠れた、マーケティング戦略の妙

 その成長の中心軸となったのが、同社の緑茶ブランド「綾鷹」の新シリーズ、「綾鷹カフェ」の第一弾「綾鷹カフェ 抹茶ラテ」である。昨年3月に発売したところ、あまりの人気に発売から約1週間で出荷停止となり、7月に再販売。その後も勢いよく売れ続け、出荷本数は11月時点で1億本を突破した。直近1年における抹茶系飲料市場で売上No.1※1となり、情報誌や専門誌では大賞を受賞、ヒット番付にもランクインするなどの快挙を成し遂げた。「綾鷹」ブランドを担当する助川部長は、「想定以上の結果を得られた」と笑顔を見せる。

※1 インテージ SRI+調べ 抹茶系飲料(抹茶乳飲料+液体茶(抹茶フレーバー))市場 2020年10月〜2021年9月 累計販売金額

photo 助川公太氏

 「自社のお茶カテゴリーでの出荷停止は経験がなく、過去にも例を見ない大きな売り上げを記録した。その影響で取引先にご迷惑をおかけしたことを申し訳なく思うが、これまでにないレベルの大ヒットといっていいのではないか」(助川部長)

 ヒットの裏には、「SNS」「マーケティング」「美味しさ」と3つの要素がある。「綾鷹カフェ」は20〜30代のカフェに親しみのある世代をターゲットにしていたが、SNSを通じて10代にも注目された。アレンジレシピや他の抹茶ラテと飲み比べした感想などが多数投稿され、インタラクティブな会話が相乗効果を生み話題を呼んだ。「今までとは違う売れ方を体験でき勉強になった」と助川部長は振り返る。

 小売流通からは、あらためて「綾鷹」ブランドを総合的に評価する声も多かったという。王道感のある定番お茶ブランドの「綾鷹」と、意外性のある「ラテ」を掛け合わせることで、最大瞬間風速と継続性を生み出したという見方がなされた。

 しかし、ヒットの根本にあるのは「美味しさ」だと助川部長は断言する。「綾鷹カフェ」では、京都の老舗茶舗「上林春松本店」とスペシャルティコーヒー専門店「猿田彦珈琲」が監修に入り、同社の独自技術を用いた製造ラインで本格的な味わいを実現した。

 「『美味しくなければ継続して楽しんでもらえない』、これが弊社の製品全てに通じる思想だ。徹底した美味しさを軸に、スパイスを加えていくのがマーケティングのチャレンジである。意外性だけでは安心感がなく、定番感だけでも話題にならない。そこをうまく掛け算したことが消費者や得意先からも評価されたと感じている」(助川部長)

「夏の飲み物」イメージを払しょく 通年飲みたい新しい麦茶を確立

 そして21年お茶カテゴリーの、もう一つの主役が「やかんの麦茶」だ。近年は止渇系ニーズの高かった夏だけでなく、日常的な水分補給や食事のお供として麦茶の飲用シーンが拡大。カフェインレスの安心感もあり、子供から高齢者まで幅広く飲用する機会が増加しており、近年麦茶市場の成長は著しい。こういった背景もあり、コカ・コーラ社は満を持して昨年本格参入したという。

photo 山腰欣吾氏

 その結果、4月の発売以降、半年で総出荷本数2億本を突破。過去3年間で発売された同社の新製品としては最速の売れ行きを記録した。担当の山腰部長は「昨年の飲料市場における新製品として最大級のヒットになった」と胸を張る。

 特徴は、やかんで煮出したような本格的な麦茶の味わいだ。「綾鷹カフェ」同様、素材や製法にこだわり、独自の高温煮出し製法を採用した。また、浅葱色(あさぎいろ)ののれんを使用した視認性の高いパッケージを採用し、季節を問わず手に取りやすいデザインに仕上げている。

 テレビCMやSNSでの継続的なプロモーションも功を奏した。冬場に入ってから、Twitterや店頭POPでは温めて楽しむ飲み方を提案。止渇用だけではない麦茶として支持を得ている。

 「ブランドとしては素朴さと温かみを提案している。麦茶といえば喉が乾いたときにゴクゴク飲むイメージだが、『やかんの麦茶』はホッと一息つきたいときや、リラックスしたいときにも飲んでいただくことが多く、新たな飲用シーンを広げることに成功した」(山腰部長)

 「綾鷹カフェ」「やかんの麦茶」はコロナ禍で増加した“おうち時間”を充実させる存在として大ヒットを記録した。「綾鷹」ブランドでは他にも「茶葉のあまみ」「ほうじ茶」「濃い緑茶」など5種類を展開し、緑茶の中でもさらに細分化・多様化する消費者ニーズに応え続けている。

 「日本茶はコーヒーや紅茶と同様、無糖だけではない味わいを展開できる、もっと可能性のあるカテゴリーである。『綾鷹』は“伝統と革新”をテーマに、伝統を守りつつも新しいことにチャレンジしていく姿勢で開発を進めていく。『綾鷹カフェ 抹茶ラテ』を“第一弾”と銘打っている通り、22年以降もさらなる『綾鷹カフェ』のシリーズ展開を考えているのでぜひご期待いただきたい」(助川部長)

同じ健康訴求でも競合せず良いシナジーを生み出せたワケ

 加えて、先述した「Wではたらく」シリーズも、「からだおだやか茶W」が純増に貢献する形で二桁以上の伸長を見せたという。しかし、既存の「からだすこやか茶W」も新製品の「からだおだやか茶W」も機能性茶のブランド。競合することはなかったのだろうか。それについて山腰部長は以下のように話す。

 「『Wではたらく』シリーズは、機能やシーンに合わせて飲み分けられることが特徴だ。『からだすこやか茶W』は、脂肪にも糖にもWではたらく日本初※2の“Wトクホ(特定保健用食品)”として『毎日、どんなランチにも』という訴求効果もあり、“食事に飲むトクホ”というイメージを確立できた。コロナ禍による健康意識の高まり、在宅時間の増加で自宅での食事回数が増えたことも伸長の大きな要因だろう。

※2 2つの保健の用途(脂肪の吸収を抑える、糖の吸収をおだやかにする)をもつ清涼飲料水の特定保健用食品として、日本で初めて許可・販売

 一方で『からだおだやか茶W』は、『名前を思い出せない』『血圧測定の結果が思わしくない』といった方へストレートに訴求することで、40代以上の購入者が約80%という想定通りの層を開拓できた。普段、食事の際は脂肪と糖を気にして『からだすこやか茶W』を手にしている方でも、記憶力と血圧も気になるのであれば『からだおだやか茶W』も飲んでみようという、すみわけが自然となされたことで、競合することなく良いシナジーを生み出せたと考えている」

 「からだすこやか茶W」と比較すると、「製品認知や、機能特徴の認知・理解はまだまだ」(山腰部長)だという「からだおだやか茶W」。しかし、約90%が脂肪対策製品だというトクホ・機能性表示食品のお茶市場の中で、記憶力と血圧を手軽にサポートするという個性は際立っている。山腰部長は、「新しい機能性茶として、継続的に育成していきたい」と語気を強める。

十分売れているド定番ブランドもあえてリニューアル、その意図は?

 また「綾鷹」と並んで、近年幅広いシリーズ展開に取り組んでいるのが「紅茶花伝」ブランドだ。紅茶飲料市場は、カフェでの紅茶ブームやタピオカブームを背景に19年に急成長し、コロナ禍においても堅調に推移している。

photo 既に多くのファンを抱えるブランドも、積極的にリブランディング

 「紅茶花伝」は昨年リブランディングされ、ブランドロゴとパッケージデザイン、広告コミュニケーションを刷新。看板製品の「ロイヤルミルクティー」や「クラフティー」シリーズに加え、「紅茶花伝 無糖ストレートティー」を発売した。既に定番の容器入り紅茶としてファンは多かったが、さらに幅広い層に受け入れられる紅茶ブランドへと進化を遂げつつある。

 「『紅茶花伝』のチャレンジは、普段あまり紅茶飲料を飲まない方々に、いかに手に取っていただきファン層を広げられるか。そのためには、全体として素材とひと手間にこだわった上質な美味しさという『紅茶花伝』ならではの価値をしっかりと伝えていく必要がある。今年は発売30周年を迎えるので、節目の年にふさわしいマーケティング活動に取り組む予定だ。“紅茶の総合ブランド”として、日常の中で気分に合わせ選べる存在にしていきたい」(山腰部長)

 他にも、日本コカ・コーラの鉄板お茶ブランドといえば「爽健美茶」もある。同ブランドも21年5月にリニューアルし、ブレンド茶として同社が注力するお茶ブランドの一つだ。

 ブレンド茶ならではの独特の風味には根強いファンが多く、「自宅では作れない複雑な味わいが継続的に消費者から評価されている」(山腰部長)が、「クセがあり飲みにくそう」という先入観を持つノンユーザーも少なくなかった。

 山腰部長はリニューアルの背景について、「苦手意識を持っていた方でも、一度飲んでいただくと『こんなに飲みやすかったのか』という気付きを得ていただけることが多い。そこで、より多くの方に手に取ってもらうため、従来の風味を損なわない範囲で味を改良。さらに広告メッセージでも『こんなに飲みやすかったっけ!?』という発見、驚きをストレートに表現した」と話す。

目標を大きく超えた、「お茶市場でもリーディングカンパニー」元年 さて22年は?

 機能性茶の「からだシリーズ」、フリーズドライ型飲料「ワン・ツー・キューブ」も含めて、各セグメントで新規顧客の獲得を目指す。そのためには、競合や同社の他カテゴリー同士で限られたパイを奪い合うのではなく、消費者の潜在ニーズに“気付く”ことが重要だ。「その上でロイヤルユーザーの育成に取り組み、ファンとして指名買いする人を増やしていきたい」と山腰部長は前を見据える。

 最後に小林本部長は「お茶カテゴリー戦略発表会」を通してチャレンジに取り組んだ21年を振り返り、「すごく手応えがあった」と評価した。

 「日本の清涼飲料市場ではお茶カテゴリーが最も大きく、セグメントも多い状況にある。その中でトップとなるには、緑茶、機能性茶、ブレンド茶、紅茶、麦茶全てのセグメントで強いブランドを持つことが重要だ。21年はその全てでチャレンジした年だったが、消費者に受け入れていただき、『総合お茶ブランドの会社となって一番を目指していく』という意味では、目標を大きく超えるレベルで達成できたと確信している」(小林本部長)

 消費者のニーズは多様化し、カテゴリーで選ぶ時代ではなくなってきている。同社ではニーズを大きく「嗜好性」「健康感」「止渇性」と3つに定義し、今後もカテゴリーを横断して訴求していく方針だ。

 「お茶かコーヒーかではなく、味わいやシチュエーションによって選択が変わってくる今、どのようにしてその選択肢に入っていけるかを訴求していく必要がある。この考え方を進化させながら、『お茶市場でもリーディングカンパニー』の宣言通り、22年以降も総合的に提案していきたい」(小林本部長)

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提供:日本コカ・コーラ株式会社
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia ビジネスオンライン編集部/掲載内容有効期限:2022年2月14日