ビジネス環境が大きく変化している今、国内ではデジタルシフトが急速に加速し、事業規模や業種を問わずDX(デジタルトランスフォーメーション)が求められている。しかし、その一方で社内にDXに明るい人材がいなかったり、リソースがなかったり、そもそもDXの前段階となるデジタライゼーションから始める必要があったりと、現場はさまざまな問題を抱えている。
これまではSIerに丸投げするという選択肢もあったが、近年はビジネス環境の変化が早く、外注に依頼し、ウオーターフォールで開発していては変化に素早く対応できない上、膨大な開発コストもかかる。とはいえ、SaaSのパッケージアプリでは自社の業務にフィットしないケースも多い。潤沢なリソースを持たない企業にとっては、DXを推進したくても足踏みせざるを得ない事情がある。
多くの日本企業が抱えるこの課題を解決するのが、ノーコードツールのForguncyだ。ExcelライクなUIが特徴で、コーディングの知識がなくてもExcelファイルを作る感覚で業務システムを構築できる。外注依頼に比べると最小限のコストで、ほしいアプリを手軽に内製できるようになる。
どのようにしてForguncyを活用し、DXの推進につなげていくのか。DX成功のための「3つのステップ」とともに、各企業での事例を紹介しよう。
DXとはデータやテクノロジーを活用して、新たな価値を生み続けるビジネスを確立することだ。そのためには前段階として、業務のデジタル化が必須となる。社員全員がデジタル化に意識を向け、データが蓄積されていく環境を構築することがDXを実現させる第一歩となる。
それに成功したのが、鹿児島で足場工事などを請け負う有限会社平組だ。仮設工事や足場の組み立てといった「専門工事」では数百人の作業員が関わるが、これまでは作業員の手書き日報を手集計して工事費を算出していた。
その後、Excel処理に変更したものの、作業員が事務所のPCで入力するため順番待ちが発生。1日あたりの人件費も入力された日報を見ながら手集計する必要があった。そこで、タブレットからの入力に変更するなど改善を繰り返した結果、正確なデータでコストを把握し、適切な経営判断ができるようになった。
しかし、一部に紙業務が残っていたこと、Excelファイルが派生して完全なデータの一元管理が難しくなったこと、データが増えるごとにExcelの動作が重くなること、ファイルを削除してしまう危険性があったことを考慮し、基幹システムの自社開発を決心。パッケージソフトでは専門工事の工程に適していなかったことから、Forguncyの導入を決めた。これまでシステム開発の経験は皆無だったが、Forguncyのパートナー企業の導入支援も受けながら、「専門工事」の実態に即して案件全体を一貫して管理できるシステム開発に成功した。
新たな基幹システムは業務効率化や生産性の向上につながった。一度入力したデータは次回以降選択式で入力されるため、データの表記ゆれや計上の誤りがなくなり、チェック作業と集計ミスもなくなったという。さらに、打ち合わせ時には社に持ち帰るのではなく、その場ですぐデータを確認し回答を出せるようになり、迅速かつ適切に経営判断を下すことが可能になった。システム上で見積もりがそのまま受注案件になるよう設計したため、問題だった現場判断による見積もり外作業が減り、追加工事として請け負うかどうかをすぐに協議できるようになった。
同社が評価するForguncyのメリットは、「とっつきやすさ」と「汎用性」。Excelに近い操作性なので、プログラミングの知識やスキルがなくとも取り組みやすい。業務を知る人がシステム構築に関われば、より現場業務にフィットするシステムとなる。その結果、社内全体でデジタライゼーションが進み、これまで散らばっていたデータが蓄積され、DXの推進につながっていく。デジタル化を歓迎する社内風土になれば、システム開発に興味を持つユーザーの発掘も可能となるとなるだろう。
DX成功のための第2ステップは、「データ連携によるDXの種の発見」である。DXを進める際にネックとなるのが、部門や拠点ごとにサイロ化してしまっているシステムだ。そこを連携できれば、部門内に閉じていたデータをかけ合わせ、新たな価値創出につなげられる可能性がある。分断されていたデータの一元化に成功したのは、徳島県で青色LEDを製造する日亜化学工業だ。
以前は部門や拠点ごとに製品型番にひもづく情報が分散し、製品情報を横串で見ることができていなかった。やむを得ずExcel VBAでデータ集約していたが、ニーズに応じてマクロが増加し、使い分けが複雑化。その背景にはコスト面のほか、部門ごとにシステムが部分最適化しており、製品マスターがそれぞれに存在していたり、要件の違いが生じたりする事情があった。
そこで、開発コストを抑えつつ、同社で使っていたSQL Serverへのアクセスが容易なノーコードツールを探し、Forguncyを採用。各システムの製品マスターを整理するところから始め、テンポよく開発を進めていった。
型番情報を一元管理する「プロダクトナンバリングシステム」の開発時間は40時間程度。製造プロセスに必要な情報にアクセスしやすくなっただけでなく、要望に応じてアジャイル開発でどんどん改善していった。Excelライクに使えるため、簡単な要望であれば1時間以内で対応できるようになったという。コロナ禍でワクチン接種のアプリを急きょ開発しなければならなかったときも、Forguncyを使ってわずか1日で開発したというから驚きだ。
Excelのマクロは開発担当者が変わるとブラックボックス化しやすいデメリットがあるが、Forguncyでは属人化を防ぐ機能が備わっている。例えば、スクリーンショット付きの画面仕様書やデータベースのテーブル情報などの自動生成機能。システムアップデートも自動で反映されるため、仕様書の手動更新が不要になり、確実に後任者に引き継げる環境を構築できる。
基幹システムと各部門のデータを連携し、一元管理できるようになれば、業務改善だけでなく経営戦略にも役立つ。今までは手動で集計した過去のデータから判断していたところを、経営層が基幹システムからリアルタイムに情報を得ることで、包括的な最新データからの迅速な経営判断ができるようになる。データドリブンでの経営戦略が可能になれば、DXの実現まではあと一歩だ。
第3ステップではいよいよDXの実践となる。DX推進のために重要なのはPDCAサイクルの高速化だ。変化の早い時代に成長を続けるビジネスを作るためには、ニーズの変化に即応する形でPDCAを回していく業務基盤の構築が不可欠となる。
今までは基盤システムを改修しようとすると、SIerなどの外注先に改修依頼をかけるしかなかった。それでは時間もコストもかかってしまい、市場の変化に対応できない。その点、Forguncyなら情シス部門が現場の声をヒアリングしながら、どんどんシステムを改善していける。例えば、千葉県で印刷業を営む共進ペイパー&パッケージは、短期間で業務管理用のWebアプリ開発に成功した。
同社は印刷事業者向けに、小ロット多品種の印刷を受注生産するサービスをWeb上で提供している。案件は最短1営業日でこなす必要があり、依頼は1日最大5000件にも達するため、見積もり作業や進捗管理は現場の大きな負担となっていた。そこで、サービス利用者向けに、印刷データの入稿や進捗状況が管理できる受注管理システムを構築するため、ノーコードで柔軟かつスピーディーにWebアプリを構築できるForguncyを採用した。
同サービスはスモールスタートの新規事業だったので、SIerへの外注は考えていなかった。以前、B2Cの受発注システムをスクラッチで開発した経験があり、新規事業に同様のコストをかけることは大きなリスクがあると判断したのだ。一方、Forguncyであればスモールスタートで始められ、改修コストもほとんどかからない。
担当者はアプリ開発経験がなかったものの、導入支援パートナーのサポートを受け受注管理システム開発に着手。利用する顧客企業の担当者に開発途中のモックアップ画面を見せながらシステムを説明し、フィードバックを受けながらUIを改善していった。顧客を巻き込んでPDCAを回していくと同時に、顧客のサービスに対する理解が深まる機会にもなった。
Webアプリ開発後は、アミューズメント系店舗を展開する企業の販促物の受発注WebアプリにもForguncyを活用。各店舗の店長が直接システムにログインし、その店舗で必要な販促物を印刷発注できるようにした。画面デザインは分かりやすさを重視し、直感的に操作できるようForguncyの機能を使ってデザインしていった。
個別企業に向けた販促物の受発注アプリ導入後は、30%以上の業務効率化を実現。メールでの煩雑なコミュニケーションがなくなり、ストレス軽減によって業務上のミスが激減した。分かりやすさにこだわったUIのおかげで、操作についての問い合わせもゼロ。今後は直営店のみならずフランチャイズ店への水平展開も検討されている。
Forguncyの強みはスモールスタートから始められて、大きな業務基盤にまでカスタマイズできる点だ。一般的なノーコードツールは操作性を重視する一方、拡張性が低いのがデメリットでもある。その点Forguncyなら、カスタマイズ性が高くやりたいことを実現できる。成長を続けるビジネスに合わせてシステムも育てていけるのが大きな強みだ。
うまく使いこなせるか不安であれば、パートナー企業の支援を活用したい。Forguncyの導入支援やサポートを受けられるだけでなく、共創によって新たな付加価値を生むことも可能だ。
DXの前段階であるデジタライゼーションから始めて、いずれは本質的なDXへの到達を描く企業にとって、Forguncyは頼もしいツールとなる。ニューノーマル時代に勝ち残り、価値創出を続ける企業を目指すなら、ForguncyはDXの第一歩として最適なツールであることは間違いない。
*メシウス株式会社は2023/11/1にグレープシティ株式会社から社名を変更しました
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