オフィスの在り方が問い直されている今、フリーアドレスに注目が集まっている。フリーアドレスにはオフィスコスト削減やコミュニケーションの活性化といった利点がある。一方で、誰がいつ出社しているか、どこにいるのか分からないという悩みや、感染症対策が難しくなる、いつも同じ席に座る習慣が付くなどの課題も生じる。そこで、これらの課題を解決してフリーアドレスを活用する方法やツールを紹介する。
コロナ禍でテレワークと出社を混ぜたハイブリッドワークが普及するなど働き方が変わる中、オフィスの在り方にも変革の波が押し寄せている。出社人数の減少に伴ってオフィスを縮小したり、サテライトオフィスを契約したりといった動きが加速している。
オフィス改革の中でも注目が集まっているのが「フリーアドレス」だ。部署ごとに従業員が座る席を指定した固定席ではなく、オフィス内なら誰がどこに座ってもいい自由席を設けることで、コミュニケーションの活性化などを狙う。
フリーアドレスは1990年代に外資系企業を中心に盛り上がったが、日本企業には根付かなかった。しかしコロナ禍でフリーアドレスを検討する企業が増えていると話すのは、フリーアドレスに対応した座席管理ツール「YourDesk(ユアデスク)」(以下、YourDesk)を提供するサイオステクノロジーの杉本卓氏(UI/UX・HR Tech Service Line 執行役員SLヘッド)だ。
今回は、フリーアドレスのメリットを最大限に享受するための方法を杉本氏に解説してもらった。
これまで一般的なオフィスでは、部署ごとに座席をまとめた“島”があり、上司の目が届く範囲で仕事をしていた。しかしテレワークが浸透すれば、こうした座席配置の意味は薄まる。
一方で、従業員が固定席を持たず、ノートPCなど必要最小限の道具を抱えてオフィス内を移動して、日ごとに好きな席で仕事をするのがフリーアドレスだ。
ハイブリッドワークで出社人数が減れば従業員全員分の座席を確保する必要もなくなるため、オフィスを縮小できる。こうしたオフィスの模様替えや引っ越しに併せてフリーアドレス導入を検討する企業が多い。
杉本氏は、多くの企業がフリーアドレスに期待する効果としてコミュニケーションの活性化を挙げた。隣の席に座る人が毎回変わるため、普段は話さない他部署の人と喋りやすくなる。こうした部署の垣根を越えたコミュニケーションは新たな気付きを得たり、アイデアを創出したりすることにつながる。
オフィスを縮小することで賃貸料金を安く抑えられるだけでなく、座席移動の際に持ち運ぶ荷物を減らそうという心掛けがペーパーレス化を後押しするなど、企業のコスト削減にも寄与する。座席が決まっていないので、組織変更や従業員の異動にも柔軟に対応可能だ。
座席に私物を置かなくなるため、オフィス美化という意外な効果もある。「今日は窓際で外を眺めながら働こう」など、見える景色が異なれば気分転換にもなる。
杉本氏は、フリーアドレスの導入について企業規模の大小を問わない点も強調する。オフィス面積が広い大企業ではコスト削減の効果も大きく、かつ組織規模が大きくなるほど薄くなる他部署とのコミュニケーションを増やす狙いがある。従業員が少ない企業は社内の活性化をメインに見据えている。
魅力的なフリーアドレスだが、当然デメリットもある。例えば「誰がどこにいるか分からない」という問題だ。今までそばにいた同僚や上司、部下の行方が分からず部署内のコミュニケーションが減り、従来の人事マネジメントに支障が出る恐れもある。
さらに、いつも決まった席に座る習慣が付いてしまうことも往々にしてある。「フリーアドレスを続けていると座席の固定化が進んで『あの人はいつも同じ場所に座っている』という状態になってしまい、メリットを生かしきれないといった事態も起こり得ます。部長が座った席の周りに部署のメンバーが自然と集まって、結局は部署ごとに固まってしまった事例もあります」(杉本氏)
フリーアドレスを導入した場合、従業員がどこの席で仕事をしているのか分かりづらい。ハイブリッドワークを実施しているなら、従業員が会社にいるのか自宅にいるのかも把握する必要が出てくる。
「フリーアドレスを導入した企業では、用事がある人を常に探し回ったりホワイトボードやカレンダーツールに予定を記入したりして居場所を管理することも多く、手間が増えて困るといった声を聞きました」(杉本氏)
「Excel」上にオフィスのフロアマップを描いて居場所を入力したり座席予約をしたりして、随時更新をしていく企業もあるという。
従業員がどこにいるのか把握するのに苦労していた企業が導入を進めているのが、サイオステクノロジーが提供する座席管理ツールのYourDeskだ。Webブラウザ上でオフィス内の座席予約や居場所の登録などが可能。オフィスのレイアウト図の上に、誰がどこに着席しているか表示するので視覚的にも分かりやすい。テレワークにも対応しており、「誰が出社か、誰がテレワークか」を一覧で確認可能だ。
YourDeskを使えば、従業員の居場所を探す苦労はなくなる。しかし新しいツールを導入するとなると、従業員の負担が増えるので反発を招くかもしれない。「使う人に無駄な手間をかけないよう、YourDeskは極力迷わず直感的に使えるように工夫しています」(杉本氏)
YourDeskはサイオステクノロジーのHR TechやUI/UX事業を扱う部門が手掛け、画面の見やすさや使いやすさにこだわった。座席を指定して着席/予約する操作は最短2クリックで完了する。
社内のID管理システムと連携したシングルサインオンにも対応し、余計なアカウントを増やすこともない。FeliCaやMIFAREといったICチップ入りの社員証を読み取ってログインすることもでき、利用時の面倒な手順を省いた。
管理者目線でも導入のしやすさに力を入れている。オフィスの図面を読み込んで座席登録をするため、YourDeskのシステムに合わせてレイアウト変更をするといった無駄な労力を割かずに済む。
導入のハードルを下げる決定的な要素が料金設定だ。YourDeskは月額制で初期費用は0円。さらに一定のアカウント数までなら無料で機能制限なしで使える。一定のアカウント数を超える場合でも1アカウント当たり月額100円(税別)で契約可能。シングルサインオン、Googleカレンダー連携、Microsoft Office 365(Outlook)カレンダー連携など各種オプションはプラス50円で利用できる。
フリーアドレスは誰がどこに座ったのかを把握しにくいため、新型コロナ対策をどうするか悩む企業からの相談も多いと杉本氏は話す。YourDeskは席の「間引き設定」をしたり、座席の利用率を表示したりする感染対策機能もある。万が一、オフィス内で新型コロナの陽性者が出ても、座席の利用履歴をさかのぼれば濃厚接触者の追跡も手軽になる。
いいことずくめのツールだが、座席管理なら類似製品は他にもある。YourDeskの最もユニークな特長は、フリーアドレスの大きな課題である「結局いつも同じ席に座る」状況を打開する機能が備わっていることだ。
いつも同じ席に座っている――こんな座席の固定化を避けるためにはどうすればいいのだろうか。突然だが、小学校に通っていたときを思い出してほしい。在学中に一度は「席替え」を経験しただろう。最初は名簿に沿った席順で新年度を迎えて、しばらくしたらくじ引きで席を入れ替える、ある種の“行事”だ。席替えした後は、新しい友達ができて、クラスメイトとの交流が増えたはずだ。
この、席替えと似たことをYourDeskで行えるのだ。YourDeskの前身はコクヨが2009年に提供を始めた「Office DARTS」(オフィスダーツ)というサービス。名前の通り、ダーツのようにランダムで座席を指定する。
着席する日時を選んで「ランダム」ボタンを押すと、座席を自動で選んでくれる。「窓際」「ディスプレイ付き」「パーテーション付き」など条件の指定も可能。選ぶ手間や心理的な負担が減り、毎回同じ席に座りがちな人でも座席を変えやすくなる。
YourDeskは抽選ではなく自分で席を指定したり、部署単位でエリアを区切ったりと利用時の柔軟性も確保している。
実際にOffice DARTSを導入して社内活性化の効果があった企業もある。ホームセンターを運営するPLANT(福井県坂井市)は、20年にフリーアドレスを採用したが座席の固定化が課題だった。本社のリノベーションを機に、21年3月にOffice DARTSを導入したところ部署を越えた交流や対話が生まれた。「今日は誰と隣り合うか」という高揚感からフレッシュな気持ちになり、仕事のモチベーションアップにつながっているという。
コロナ禍で出社する意味やオフィスの在り方が問い直されている。しかし杉本氏はオフィスがなくなることはないと考えている。「オフィスは拠点です。その存在は、会社への帰属意識と密接に結び付いています。今後、多様な働き方と組織としてのよりどころのバランスを取った姿が当たり前になっていくと思います。さらに仕事できる場所であればどこでもいい、というカルチャーが育っていくと考えています」(杉本氏)
こうした見通しを踏まえて、YourDeskでもサテライトオフィスやワーケーションを行う旅行先などを登録できるようにするといったアップデートを検討している。座席管理だけではなく、多様な働き方を支援するツールにしたい考えだ。
安価で手軽にフリーアドレスを成功させたいと考えるなら、YourDeskの導入を検討してはいかがだろうか。
Office DARTS(オフィスダーツ)は、コクヨ株式会社の登録商標です。
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提供:サイオステクノロジー株式会社
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia ビジネスオンライン編集部/掲載内容有効期限:2022年3月17日