コロナ禍を起因とするビジネス環境の急激な変化により、テレワークをはじめ新しいワークスタイルへの対応が企業に求められるようになった。今や大手企業のみならず、中堅・中小企業でもデジタルシフトやデジタルトランスフォーメーション(DX)の重要性が増している。
そのためには、セキュリティを保ちながら社員がクラウド上で快適に業務を遂行できる「クラウドファースト」な基盤構築が必須だ。しかし、そのノウハウがない企業が自力でクラウド化を実現し、デジタルシフトするのは難度が高い。
多くの中小企業が抱えるこの課題に対し、地域に根ざした手厚いサポートで支援してきたのがNTT東日本だ。同社は国産クラウドストレージを開発する「ファイルフォース」と協業し、テレワーク環境を実現する最初のステップともいえるクラウドストレージ「コワークストレージ」を提供している。
中小企業におけるクラウド化の現状や、ファイルフォースとのパートナーシップについて、NTT東日本営業推進本部で主に地域の中小企業へのサービス導入に携わる木下氏と川下氏に話を聞いた。
テレワークの浸透によって、デジタルシフトに対する注目度は中小企業でも高まっている。木下氏は「全国の企業共通で『どこでも働けるのは大きな価値』という認識が生まれている」と分析する。
「例えば、東北地方など車通勤がメインの地域は、通勤電車で密になるリスクが低いなどのさまざまな要因により、テレワークの実施状況には地域差があります。しかし、テレワークが新たな働き方の1つとして認められたことにより、コロナ禍とは関係なく、働きやすさを求めた結果として、中小企業でも取り入れられるようになったと感じています」(木下氏)
好きな場所で自由に働ける環境を実現するには、いつでもどこでも安全にデータにアクセスできるクラウド環境が欠かせないが、多くの中小企業ではその検討前の段階で二の足を踏んでいるのが現状だ。中小企業の現場を第一線でサポートする川下氏は、その背景として「中小企業が抱えるデータ運用の課題は2つある」とみる。
1つ目は現状のオンプレ運用にかかる時間的・金銭的コストだ。オンプレミスで社内のファイルサーバを安全に運用するには、データのバックアップや保守が必要になる。データ容量が増えればHDDやNASの増設が必要となり、そのための時間的コストが発生する。また、扱うデータ量にあわせて柔軟に容量を変えていくこともしづらい。事業を続ければ続けるほど保守運用の負担は大きくなってしまい、新しい仕組み化の検討に着手する時間的余裕を確保できない。
もう1つはクラウドサービスの導入における金銭的コストだ。ビジネス向けのクラウドストレージサービスは、法人向けプランで1ユーザー当たり月額1200円〜2000円の価格帯が多く、数十人規模の中小企業であっても全社員用のファイルサーバ用途での導入は負担感が大きい。
「一例とはなりますが、オンプレ運用でもサーバ導入に200万円、7年リースで月額2〜3万の支払いがかかることを考えれば、オンプレにしろクラウドにしろコスト面がネックとなるのは自然な話だと思います」(川下氏)
とはいえ、テレワークだけでなく、BCP(事業継続計画)対策としてもクラウドストレージサービスは有用だ。そのためにも、「リーズナブル」で「高セキュアな環境」で「IT専任担当者のいない企業でも使いこなせる」サービスがほしい――そういった要望に応える形で生まれたのが、NTT東日本のコワークストレージだ。
コワークストレージは、従来のファイルサーバと同様の操作感をクラウド上で実現する次世代型のファイル管理サービスだ。分かりやすくストレスのないUIだけでなく、組織で管理しやすい中央集中管理のコンセプトや、柔軟な権限設定を特長とし、ユーザーは従来のオンプレ環境から違和感なくクラウド環境へ移行できる。
このコワークストレージの要素技術としてNTT東日本が採用しているのがファイルフォースが提供するFileforceだ。Fileforceは高信頼・高セキュリティな国産クラウドストレージであることを大きな強みとしている。外資SaaSはデータセンターが海外にあり、データレジデンシー(保管場所)のセキュリティリスクに対する懸念もあるが、Fileforceはデータ保存先と開発から運用までのプロセスを全て国内に限定した安心・安全なサービスとなっている。このFileforceにNTT東日本の回線を活用したアクセス環境を組み合わせることでコワークストレージならではのより強固なセキュリティが実現した。
NTT東日本がベンチャー企業であるファイルフォースをパートナーに選んだきっかけは、とある営業所内で中小企業の顧客ニーズから「Fileforceを商材で扱えないか」と検討したことだったという。その後、検討を進める中でユーザーフレンドリーで高品質な国産サービスとしてNTT東日本本社のサービス企画部門の目にとまり、顧客ニーズの高まりもあったことから単なる再販商材というだけでなく、両者のシナジーを生かした自社ブランドでの商品化に向けた協業が始まった。
「当社は古くから日本のインフラを支えてきたこともあり、営業ネットワークが地域に張り巡らされていて、光回線から複合機やPCまで、お付き合いのある中小企業が非常に多いのが特徴です。この、地域に根ざした営業が強みだからこそ、ヒアリングを通じて現場のニーズを拾い上げ、新たな商材を作ることができたといえます。導入後にお客さまのもとへお伺いする機会も多く、導入だけではなく『しっかりと使いこなす』ところまでサポートできるのも当社の強みです」(木下氏)
コワークストレージは「クラウドサービスの民主化」を目指し、価格の安さにもこだわっている。一部機能を制限する代わりに、前述の一般的なクラウドストレージの5〜7割程度に価格を抑え、手の届きやすいサービス設計にした。100GBプランであれば5アカウントで月額2750円(税込)、1アカウント当たり550円から始められる。さらに、30日間の無料トライアルも実施中だ。
技術力が高く、国産の安心感がありながら、使いやすさと安さを兼ね備えたバランスのよいコワークストレージは、唯一無二の日本らしいクラウドサービスといっていいかもしれない。経営者や担当者が心配する、バックアップやデータ管理の負荷も減らし、クラウド化に二の足を踏む日本の中小企業にとって福音となるはずだ。
2021年4月のリリース後、中小企業を中心に導入数は右肩上がりだ。川下氏はコワークストレージを「中小企業の経営層にこそ使ってほしいテレワークツールだ」と実感している。
「経営者はたくさんの業務を抱えており、従業員がやり残した仕事を休日出勤して片付けたりするケースが少なくありません。建築業、板金業、修理業などの会社であれば、顧客からの急な見積もり依頼のために、休日の予定を返上して出社することもあるそうです。そんなときに、BCP対策も兼ねてコワークストレージをご提案すると『この価格でテレワークが実現できるのか』と喜んでいただける機会が多いですね」(川下氏)
安全なテレワーク環境が実現すれば、急な案件にも余暇の予定をキャンセルすることなく、出先で自分のPCから対応できるようになる。もちろん、平日の働き方も変わる。例えば、毎回現場に行って見積もりを取るのではなく、社内外の特定ユーザーのみがセキュアにデータへアクセスできる「プロジェクトフォルダ」に現場の写真を共有してもらうことで、タイムリーに見積もりを出せるようになる。現場に出向く必要がなくなるので交通費や移動の時間を削減でき、1日で対応できる営業件数も増やすことが可能なため、業務効率化に加えて売り上げ増にもリアルに貢献する。
「以前は現場に行くことも価値の1つでしたが、コロナ禍で価値観の変容があり、現場に行くことが全て“善”という考え方ではなくなりました。一方で対応の早さや丁寧な情報共有へのニーズは高まる一方のため、コワークストレージならそういった顧客の価値観に対応できるという点が、引き合いの多い理由の1つだと感じています」(木下氏)
今や中小企業の経営者においても、働くことが価値の中心だった時代から、仕事と両立して趣味や家族、地域のコミュニティーと関わる時間を大切にして人生を歩んでいこうという考えにシフトしてきている。特に中小企業がもたらす影響は地域へのインパクトが大きい。「だからこそ、NTT東日本は中小企業と力を合わせ、地域全体を盛り上げていこうと考えている」と木下氏は語る。
「コワークストレージの『コワーク』は『協働』という意味です。このようなご時世ですが、守るべきはソーシャルディスタンスではなく、ただの“フィジカルディスタンス”だと考えています。人と人、企業と企業のつながりという価値は変わらずに残っていて、離れていても一緒に働ける環境は、このご時世だからこそ大事にしなければいけません。個々の価値観を大事にしながら柔軟に働ける環境を提供する、それがひいては地域活性化につながるのであれば、中小企業の働き方改革を展開していく意義があると考えています」(木下氏)
テレワークを社長自ら実現し、社内外の人と心地よく協業できる環境は、本当の意味での企業価値を生み出すDXにつながる。DXにはいくつかのフェーズがある。働き方を変える「守りのDX」で生産性を向上し、将来的には事業拡大など「攻めのDX」につなげるのが正攻法だ。前述した営業案件増加による売り上げ増など、中小企業にとっては即効性の高い業績効果も期待できる。そのファーストステップとして、クラウドを中心とした情報活用の基盤構築が重要となる。
変化の激しい時代に強靱な企業へと生まれ変わるため、さまざまな業界でDXを推進することが求められている。その足元を固め、持続的な成長を支えるには、社内外にまたがるコラボレーションの土台となるコワークストレージが強固な基盤となるはずだ。大きな飛躍につながる第一歩として、社長をはじめとする経営者やシステム責任者から、まずは30日の無料トライアルでテレワークや「コワーク」を意識した新しい働き方にチャレンジしてみることをおすすめする。
NTT東日本 営業推進本部 営業部 パートナー第二営業部門
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アイティメディア営業企画/制作:ITmedia ビジネスオンライン編集部/掲載内容有効期限:2022年3月10日