三菱重工、グループ経営を推進するため「POSITIVE」を導入 「将来的には、国内の全グループ企業へ展開」その狙いは?

多様なHRテックの活用が進む中、人事情報における一元管理の重要性が高まってきている。グループ企業や、拠点ごとに異なるシステムを使うことによる業務の煩雑化。その結果、低下する作業効率。その打開策として今、注目を集めているのが、電通国際情報サービスが提供する統合HCMソリューション「POSITIVE」だ。本記事では、大所帯でありながら実際にPOSITIVEを導入し、グループ各社の人事システムを一元化した三菱重工業の事例を基に、その有用性に迫る。

» 2022年03月03日 10時00分 公開
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 DXの重要性が叫ばれ続ける今、HRテックが盛り上がりを見せている。HRテックとは、人事管理や給与管理、就業管理など人事部門の業務を支援するテクノロジーツールのことを指す。

 人事部門には、変動の激しい法改正や制度改定に対応できる柔軟性が必要だ。昨今では、ダイバーシティ&インクルージョンを推奨する流れもあり、従業員の多様化も進んでいる。HRテックに頼っていても、いや頼っているからこそ複雑に絡み合う人事システムを整備し、適切に人事管理を行うのは容易なことではない。

 そんな中で、レガシーな人事システムを思い切って刷新、グループ各社のシステムを一元化することで抜本的な人事業務プロセスの見直しを図ったというのが、三菱重工業(以下、三菱重工)だ。いったいどのような課題を抱え、どう解決に至ったのか? 話を聞いた。

複雑な人事情報を柔軟に管理し、グループ経営を推進したい

 全世界に400以上の拠点を構え、約8万人の従業員が働く三菱重工グループ。2021年10月、三菱重工を含む国内8社の共通人事システムとして導入されたのが、電通国際情報サービス(以下、ISID)の統合HCMソリューション「POSITIVE」だったという。

photo 左から、井上英理香氏(MHIパーソネル 事業戦略推進部 システム推進グループ)、寺田康広氏(MHIパーソネル 事業戦略推進部 企画グループ)、弘田和之氏(三菱重工業 人事労政部 連結人事グループ 主席部員)

 三菱重工では、これまで、外資系ERPを独自にカスタマイズした人事給与システムと、主に従業員が各種申請時に利用する自社開発の周辺システムを使用してきた。自社独自の規程に細かく対応させることで利便性が高く、使いやすいものになっていたものの、結果的に非常に複雑で改修やメンテナンスに手間がかかっていたという。また、グループ会社は、三菱重工とは異なる人事給与システムを使用していたため、システムもプロセスも各社バラバラという状態が続いていたそうだ。

photo 今後は、他のソリューションとも連携し、POSITIVEをさらに活用していく。向こう3年で対象を国内グループ20社程度に拡大し、将来的には約60社の国内グループ会社全てに導入したい」と話す、弘田和之氏(三菱重工業株式会社 人事労政部 連結人事グループ 主席部員)

 「これでは効率が悪い、グループ経営を推進する上でも支障がある、ということで、18年に現在私が所属している連結人事グループが立ち上がりました。ちょうどその頃、既存システムのサポート終了予告があり、業務プロセスを抜本的に見直していました。同時にシステムに関しても、もっとシンプルでメンテナンスしやすくコストを抑えられるものに入れ替え、グループで一元化しようということになったのです」

 こう話すのは、三菱重工 連結人事グループ 主席部員の弘田和之氏だ。同氏は、他にもグローバル化やダイバーシティへの対応が急務だったと説く。

 「以前の三菱重工は、新卒での一括採用が主な採用の窓口でした。ところが近年は、キャリア採用がグンと増えてきた。さまざまな経歴やバックグラウンドを持つ人が入社するようになり、人事管理が複雑になってきたという背景もありました。これに対応するためにも、多様な制度や複雑な人事情報を柔軟に管理できるような新しいシステムが必要でした」(弘田氏)

 このような課題を解決するため、約2年かけて業務プロセスの見直しを行いつつシステムを検討していったという同社。当初はグローバルでの活用を考え外資系のソリューションを中心に検討していたというが、のちに運用のしやすさを重視して、国内のグループ各社には国内の商慣習や法令に合った、POSITIVEの採用を決定した。

事前のレクチャー会とフィージビリティスタディでよさを実感

 「どのソリューションを導入するかについては、実はかなりギリギリまで迷っていた」と話す弘田氏。POSITIVE導入の決め手になったのが、「約1カ月に及ぶ全20回のシステムのレクチャー会」と「半年間かけて行ったフィージビリティスタディ」だったと振り返る。

photo 寺田康広氏(MHIパーソネル株式会社 事業戦略推進部 企画グループ)は、「グループ会社の人事情報を横断して見られるようになった」ことを喜ぶ。「シンプルでメンテナンス性が高く、これまで800本ぐらいあったアドオンを40本程度まで減らせた」(寺田氏)点も大きな成果だ

 「外資系のソリューションを意識しながら先に業務プロセスの見直しを進めていたということもあり、当初は『新しいプロセスを、本当にPOSITIVEに載せることができるのだろうか?』と少し不安に思っていました。それで、無理を言ってレクチャー会をやっていただいたのです。それでもまだちょっと不安があるねということで……。次に半年間、フィージビリティスタディという形でテスト環境を作ってもらい、ISIDの支援を受けながら、実際にシステムを触り、自分たちが想定しているプロセスを実現できるか確認していきました」(弘田氏)

 本プロジェクトの推進メンバーであり、三菱重工の人事労務業務を担うMHIパーソネルの事業戦略推進部 寺田康広氏、井上英理香氏も「実際に説明を受け、触ってみたことでイメージが湧いた」「人事部の社員だけでなく、事業会社の現場社員でも直感的に使えるインターフェースに魅力を感じ、不安が払拭された」と話す。

 こうした経緯を経て、20年の1月にPOSITIVEの導入が決定し、そして21年10月、まずは三菱重工を含む国内8社のグループ会社でPOSITIVEを本格稼働させることとなった。

グループ横断で人事情報が閲覧でき、業務工数も半減

 本格稼働が始まってから約2カ月経ち、実際に使ってみた寺田氏は「グループ会社の人事情報を横断して閲覧できるところや細かな設定ができる柔軟性がよい」ことに驚いたという。

 「グループ会社の管理職が三菱重工側の社員情報を検索して見られるようになったり、三菱重工側からグループ会社の社員の情報が確認できるようになったりして、とても便利だと感じています。

 また、例えば、当社ではグループ会社間も含め、人事異動が比較的多くあります。POSITIVEでは異動情報も管理できますし、グループ会社を横断する異動の際にも、1つの処理で必要な情報を出向先や転籍先の会社に引き継げるため、人的な登録ミスも低減され、登録内容のチェック作業など大幅な業務効率化につながっています。豊富な機能と柔軟性のおかげで、これまで800本くらいあったアドオンを40本程度まで減らすことができ、非常にシンプルでメンテナンス性が高く、コスト削減効果の高い仕組みになったと感じています」(寺田氏)

photo 井上英理香氏(MHIパーソネル株式会社 事業戦略推進部 システム推進グループ)。「1カ月に及ぶレクチャー会や半年間のフィージビリティスタディで、実際に画面を触れたのがよかった。人事だけでなく現場社員でも使えるインターフェースだと感じた」と笑顔を見せる

 井上氏は、ISIDのサポートについて次のように話す。

 「分からないことや、やりたいことが出てきたときなど、ISIDの方が細かく対応してくれました。また、従来のシステムからPOSITIVEへのデータ移行、これが膨大な量でかなり大変だったのですが、ISIDが強力にリードしてくれて、本当に心強く頼りになりました」

 人事システムの刷新によって、業務工数を約50%に圧縮することに成功し、「現在稼働している8社で言えば、約4年で投資回収ができると思う」と弘田氏。最後に、今後のPOSITIVEの活用に向けて、こう締めくくった。

 「何よりグループに共通の人事基盤ができたことがうれしいですね。グループ各社からも、『三菱重工と同じシステムを導入できて安心感が増した』という声が上がっており、一体感の醸成に寄与してくれているように思います。今後は、他のソリューションとうまく組み合わせつつ、さらに活用し広げて行く考えです。向こう3年で対象を国内グループ20社程度に拡大し、将来的には約60社の国内グループ会社全てに導入したいと思っています」

導入事例 会社概要

社名 三菱重工業株式会社

本社所在地 〒100-8332 東京都千代田区丸の内三丁目2番3号

設立 1950年(昭和25年)1月11日

資本金 2656億円(2021年9月30日現在)

売上高 9167億円(2020年4月1日〜2021年3月31日、単独/日本会計基準)

従業員数 連結:7万9974人、単独:1万4553人(2021年3月31日現在)

事業内容 エナジー、プラント・インフラ、物流・冷熱・ドライブシステム、航空・防衛・宇宙

※記載情報は取材時(2021年11月)におけるものであり、閲覧される時点で変更されている可能性があります。予めご了承ください

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