ニューノーマル時代の新たな働き方として、場所を問わずその時々の業務を最も効率的に行える環境で行う「ハイブリッドワーク」が浸透する一方、急速に広がったテレワークや在宅勤務によってさまざまな課題が浮き彫りになっている。その1つが「コミュニケーション不全」によるものだ。
従業員が分散勤務になったことで時間当たりの作業効率が上がった半面、これまでオフィスという同じ空間で働き、顔を合わせていればこそできていたちょっとした相談や雑談をするのが難しくなった。
内閣府が発表した調査(※1)によれば、テレワークのデメリットとして「社内の気軽な相談・報告が困難」(38.4%)「画面を通じた情報のみによるコミュニケーション不足やストレス」(28.2%)などが上位に挙げられている。Web会議やビジネスチャットツールを活用して、どこにいても効率的に業務上の情報共有はできるものの、コミュニケーション不足による心理的な不安が生産性に悪影響を及ぼしかねない状況だ。
実際、ITmedia ビジネスオンライン編集部が人事担当者向けに実施した読者調査(※2)でも、コロナ禍で支障が出ている人事業務として、4割近くが「社員のエンゲージメント向上・維持」に支障があると回答。また、担当者の2割以上が「研修の実施」が難しいことを挙げている。研修の効率的な運用と社員の帰属意識の醸成に人事担当者が課題を感じていることが明らかになった。この春から始まる新人研修やOJTを、テレワーク環境を維持したまま効果的に実施するにはどうすればいいのか頭を悩ませている担当者も多いだろう。
こうした「従業員の働きぶりが見えづらい」ことで顕在化した課題を解決するものとして注目されているのが「仮想オフィス」だ。現在、多くの企業がクラウドやSaaSを駆使して業務を行い、オンライン上で情報共有やコラボレーションを実施している。いわばオフィスという概念が“デジタルワークスペース”にシフトしつつあるが、こうした従業員の業務状況を仮想空間に再現し、一緒に働いているという“一体感”を作り出すことで、気軽なコミュニケーションを生み出すのが狙いだ。
富士ソフトが自社開発した仮想オフィス「FAMoffice」も21年6月のリリースから約半年で134社に採用され、2万IDが利用されるなど、同様の課題を抱える企業から多くの引き合いがあるという。
富士ソフトの石田氏は「FAMofficeの最大の強みは、オフィスにいるかのように回りの様子が視覚的に把握できること」と話す。
「Web会議ツールを使ったコミュニケーションは今では日常的な風景ですが、部下や同僚などチームメンバーの業務状況を一目で把握することはできません。一方、FAMofficeは、相手がいま忙しい状況なのか、困っていることはないか、仮想空間のアバターで見えるようになるので、適切なタイミングで声がけができるようになります。テレワークが常態化し、チームとのつながりを感じづらい新卒社員や中途社員にとっても、『上司や先輩が自分の働きぶりをきちんと見てくれている』という感覚は、従業員エンゲージメントの向上にもつながります」
FAMofficeは、Webブラウザで指定のURLにアクセスするだけで、社員が仮想空間上に“出社”できる仮想オフィスツールだ。アバターを通してチームが働いている状況を一望できるため、テレワークの課題として挙げられる孤独感に陥ることもなく、メンバーがどこにいても、同じ業務に取り組むチームとしての一体感を得やすい。
また、単なる見た目だけでなく、機能面でも偶発的なコミュニケーションが起きやすい工夫が凝らされている。例えば、ちょっとした思い付きや雑談をするためにWeb会議ツールを使うのはハードルが高いが、FAMofficeでは話しかけたい相手のアバターに自分のアバターを重ねるだけで、本人の顔がアイコンとして表示され、簡易的なWeb会議(3人まで)を始めることができる。TeamsやZoomなどのWeb会議ツールと比べてビデオ映像がアイコンとして小さく表示されるため、顔を出す抵抗感も少ない。まさにオフィスで立ち話をしているかのような感覚だ。
アバターに吹き出しを付けるつぶやき機能も面白い。「花粉症つらい」「おなかすいた」などその時々で思い付いたことを書いておけばコミュニケーションのきっかけになる上、相談事があって声がけしたいときにいきなりWeb会議をリクエストするのではなく、「いまちょっと時間ありますか」などワンクッション置くことでスムーズにコミュニケーションが始められる。同様のことは(機能面だけでいえば)ビジネスチャットツールやハドルミーティングで実現できるものの、“相手がその場にいる”という感覚はFAMofficeならではだ。FAMoffice上に自動販売機などの休憩スペースも設置されていて、業務外の雑談をする場を明示しているのも面白い。
なお、4人以上のミーティングはフロア上に用意された「会議室」を利用することで実現できる。こちらは一般的なWeb会議ツールと同様に画面共有が行えるほか、参加者が資料に同時に書き込める資料共有機能も用意されている。
FAMofficeの基本機能をいくつか紹介したが、こうした“一体感”の演出は入社したばかりの新人や中途採用の社員に有用だ。コロナ禍をきっかけに働き方が大きく変わったことで、企業によっては採用面接から研修、配属まで一緒に働くチームメンバーとはリアルで一度も会ったことがないというケースも多いだろう。
すでにしっかりとした信頼関係が築かれており、互いの業務内容を把握していれば、急な在宅勤務でもなんとか対応できるが、OJT(On the Job Training)のような実際の業務を通じて指導するようなケースでは、都度コミュニケーションが発生するためWeb会議ツールは不向きだ。また、OJTでは指導者と新人の間でコミュニケーションが閉じてしまいがちで、チームの状況が見えづらいビジネスチャットツールだけでは、他のチームメンバーがサポートに入るのも難しい。何よりチームにジョインしたばかりで心理的安全性が十分ではない新人にとって、忙しい(かどうかも分からない)先輩社員に声をかけるのはハードルが高い。
「こうした問題を解決できるのがFAMoffice」だと石田氏。「普段から業務開始のあいさつや、オープンなつぶやきで一緒に働いているチームの雰囲気を感じ取れますし、新人に対して教育担当者以外も状況が把握しやすくなるため、担当者が別件で手を離せない場面でも、待たせることなく適宜フォローに入ることができます。新人だけでなく、十分なコミュニケーションが行われているかどうか、指導する側の状況を把握したい上司にとっても有用でしょう」
なお、テレワーク下で若手社員のフォローに課題を抱えていたある建設会社では、FAMofficeの導入によってコミュニケーション頻度が増えたそうだ。具体的には、打ち合わせスペースに「話しかけてよい」状態の管理職や先輩社員を常駐させ、若手社員が気軽に話しかけられる環境を用意した。テレワークが常態化してから入社した新卒や中途社員にとっては、業務上の疑問をすぐに解決できる場があるのは心強い。同社では今後、部署を超えて自由に集えるスペースを設けることにより、若手社員同士の交流促進にも期待しているという。
FAMofficeは、ユーザーのフィードバックをもとに今後もさまざまな機能追加や改善が行われていく。現場のニーズに即したアップデートが随時行われていくのもSaaSアプリケーションの利点だろう。
ニューノーマル時代のワークスタイルとして場所を問わない働き方が“当たり前”の状況になるなか、「これまでオフィスという同じ空間で働くことによって自然と培ってきた社風や互いの信頼感、チームの一体感がビジネス環境の急激な変化で失われつつある」と石田氏は指摘する。
「昔から一緒に働いていた同僚であればまだ影響は軽微かもしれませんが、OJTの例で挙げたように、新卒社員にとっては社会人という未知の領域で、かつ全く新しいコミュニティーに属すること自体が大きなストレスになります。こうした状況で自分しかいない部屋で仕事をしていると、立ち位置も分からないまま『ここは自分の居場所ではない』と判断してしまいかねません。帰属意識の低下だけでなく、離職につながるケースもあるでしょう。これは業務上必要な情報共有や1on1でのコミュニケーションだけでカバーするのは難しい問題です。普段から会社やチームがどんなことを考え、どう働いているのかを見せること。同じチームの一員として受け入れていることを言葉を交わさなくても分かる状況を作ることが重要です。働く人の“顔”が見えづらくなった現在のワークスタイルでコミュニケーションに課題を感じている企業は、ぜひFAMofficeをご活用いただければと思います」
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