「24時間、戦え――ません」! 変わる日本の労働観と今必要な「新しい就業管理」体制を勤怠管理のプロに聞く

働き方が大きく変わる中で、企業もまた、かつて常態化していたハードワークを見直すべき段階にきている。リモートワークとオフィスワークが混在するハイブリッドワークが推奨される今、顔が見えない従業員の勤怠管理をどう「健全に」保てばいいのか? 勤怠管理システム開発を続けて35年、クロノスに聞いた。

» 2022年05月20日 10時00分 公開
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 かつて、「企業戦士」という言葉があった。会社の命令に従い、身を粉にして働くビジネスパーソンを兵隊に例えた表現である。今聞くと非常識な話だが、バブル期まではそれが常識であり、実際に「24時間、戦えますか」というCMコピーが流行になるほど、限界まで働くことが暗に美徳とされていた時代が確かにあった。

 それから30年以上が経過し、2022年の今、日本の労働観は大きく変わった。18年7月には「勤務間インターバル制度」導入に向けて国が動き出し、19年4月には労働基準法や雇用対策法を始めとする労働法の是正が行われた、いわゆる「働き方改革」がスタート。その約1年後に新型コロナウイルスによるパンデミックに見舞われたことで、働く場所が変わり、同時にワークライフバランスの見直しが重視されるようになっている。

 しかし、時代が変わるときには新たな課題がつきものだ。ここでいえば、それは昨今、多くの企業が頭を悩ませている「勤怠管理」である。

リモートワークで見えない“頑張りすぎ”従業員に要注意

 新しい働き方としては、現在「ハイブリッドワーク」が推奨されている。オフィスのほか、自宅、またはカフェなど、仕事に合わせて効率化を図れる場所を自ら選び働くワークスタイルのことだ。

 しかし、リモートワーク中の従業員の勤怠管理は難しい。コロナ禍に突入した約2年前は、上司が部下の状況把握に過敏になり、監視するような言動をとる「リモハラ」が問題視されたが、「逆に働きすぎてしまう長時間労働化も顕著です」。そう指摘するのは、あらゆる規模・業種の勤怠事情を見てきたクロノスの営業部 東京営業所で所長を務める向功太郎氏だ。

photo クロノスで、営業部 東京営業所所長を務める向功太郎氏。取材はオンラインで実施した

 「例えば、土日祝日が休みの会社で、頻繁に月曜日に遅刻をする、急な休みを申請する従業員がいたとします。これは一見、休み明けのゆるみや、休日をつなげて休暇を取得する、ある意味ノーマルな状況に見えます。しかし、勤怠状況を細かく見ていくと、実は平日の時間外労働が常態化しており、メンタルに不調をきたしている従業員であったという例もあります」(向氏)

 もちろん、リモートワークという環境を悪用し「仕事をサボる」従業員も発生しないとは限らない。どちらにしても、リモハラと受け取られるような形で監視下におくのは、指導に効果的とはいえないだろう。そこであらためて考えたいのが、時代に合わせた「新しい就業管理」体制構築と、そのための意識改革である。

就業管理の新常識とは? 過重労働から従業員を守るためにできること

 「新しい就業管理」体制を構築する上で最も重要なのは、リモートワーク下における健全な勤怠管理だ。

 「19年の労基法改正により、『月の残業時間は45時間まで』『超過できるのは年6回まで』と長時間労働が法律で縛られました。しかし、リモートワーク中は遠慮なく仕事をしてしまう人が一定数出てきます。これはメンタル不調のほか、上限規制を超える従業員が続出することによる内部統制の“ゆるみ”にもつながりかねません」(向氏)

 向氏が推奨するのは勤怠管理システムを使い出退勤を正確に記録し、かつ「警告を出す」ことだ。具体的には、勤怠記録をもとに「今月使える残業時間」「45時間を超過しそうである」といったアラートを勤怠管理システム上で鳴らす。こうすることで、長時間労働を未然に防げて、さらには従業員の意識改革にもつながる。

 加えて、PCの動作ログを取得することも有効な手段だという。PCログをもとに出退勤時間とPC稼働時間の乖離(かいり)を把握することで、「退勤の打刻後も働く人」に注意を促せるようになる。ここで間違えたくないのは「管理」と「監視」の違いだ。実は連日残業続きでキャパシティオーバーであるにもかかわらず、勤怠管理システム上では問題がないため誰も気付かない、本人もSOSを出さない。これでは、改善策を打つ機会も得られない。

 「あってはならないことですが、退勤の打刻をさせてから仕事を命じる――そのような上長がいたとしても、PCログのようにごまかしがきかないデータがあれば、企業は従業員を守れます。健全な就業管理によって、優秀な人材が流出したり、何より従業員の健康状態を損なったりしないよう努めることは企業の責務であり、同時に自社ブランドを守ることにもなります」(向氏)

労務のデータ活用も加速 クロノスPerformanceとは?

 同社が展開する勤怠管理システム「クロノスPerformance」と、残業の申請・承認クラウドサービス「X'sion(クロッシオン)」は、まさにそのような「新しい就業管理」に大きく貢献するものだ。両サービスのすみわけを最初に整理すると、クロノスPerformanceはバックオフィス部門がメインに扱う勤怠管理システムで、勤怠データが集約された「大元となるシステム」(向氏)。そしてX'sionは、上長やその部下といった各従業員が扱うもので、勤怠確認のみならず、オプションを追加していくことでWeb打刻、残業や有給申請、グループウェアなど幅広い使い方ができる。

photo 勤怠管理システム「クロノスPerformance」と、申請・承認クラウドサービス「X'sion(クロッシオン)」。X'sionは、クロノスPerformanceと連携して機能する

 詳細について向氏は「X'sionは、クロノスPerformanceのWebオプションという位置付けです。例えば製造業や医療・福祉業など現場仕事が多くWeb打刻が難しい場合は、クロノスPerformanceのみをご導入いただくケースもあります」と話す。なお、その際の打刻にはICカードをかざすことで出退勤を記録できるタイムレコーダー「テレタイム」シリーズが用意されている。または、表計算ソフトで勤怠を記録し、CSV形式でクロノスPerformanceに読み込ませることも可能だという。

 クロノスPerformanceでは、勤怠や有給管理ができるだけではなく、部門や役職ごとに「働き方の傾向」を分析したりなど、蓄積した勤怠データをフル活用して働き方改革に役立てられる。簡易な操作でグラフィカルなグラフ表示ができるため、ITリテラシーに左右されることなくバックオフィス担当者が扱えることも魅力だ。

photo 残業時間を一覧表示することで過重労働者を把握(左図)したり、分析により部門や役職ごとに「働き方の傾向」を分析(右図)したりできる

 対応する外部連携サービスも豊富。給与ソフトとひも付けられることはもちろん、PCログ取得ツールのデータを読み込ませ、先述したような出退勤時間とPC稼働時間の乖離を分析することもできるというから拡張性は高い。

X’sion併用で実現 “企業全体で”目指す勤怠管理の意識改革

 単体利用もできるクロノスPerformanceだが、「X'sionとあわせて使うことで双方の機能を120%生かせる仕様になっている」と、向氏はいう。

 例えば、過重労働を防ぐために「警告を出す」。これに該当するのは、クロノスPerformanceの「残業抑止アラート」機能だ。設定した“アラートライン”を基準とし、各従業員の勤怠傾向から、1カ月間の残業時間を予測。ラインを超過するかどうかを判定し警告を出す「予防アラート」のほか、実際に超過した場合は再度「結果アラート」を通知することもできる。

 このままでは「バックオフィス部門が、アラートを受け取るたび各従業員に伝える」という手間が発生するが、X'sionを併用すればクロノスPerformanceのアラートを各従業員へ直接通知可能となる。従業員がX'sion経由でWeb打刻をする際、または残業申請をする際に、アラートラインを超えそうであれば自動的に警告できるため、バックオフィス部門の負担が軽減するだけではなく、従業員に「働きすぎ」への気付きを促せる。

ALTALT クロノスPerformanceのアラート(左図)を、X'sionに通知(右図)することができる

 「アラート機能を持つ勤怠管理システムの多くは、『お知らせに一覧表示するのみ』です。しかしX'sionであれば、従業員へ直接通知できるほか『残業申請時』『出勤の打刻時』など通知するタイミングも設定できるので、より働き方改革を徹底できます」(向氏)

 X'sionの「タイムカード」画面上からは、従業員自身で勤務データや申請データなどを確認できるが、ここにもクロノスPerformance上の勤怠の修正履歴や集計データが自動的に反映される。向氏は、「打刻漏れや申請中の届け出がある状態で、勤怠記録を確定させる『月締め』処理を勝手に行われてしまい、労務や総務側で二度手間になるケースは多々あります。X'sionは、締める前に完了させなければならないタスクを『タイムカード』経由で従業員へ通知できるため、全社を巻き込んで適切な勤怠管理習慣を定着させることができます」と話し、企業全体で「新しい就業管理」体制を築く必要性を説く。

グループウェア機能と勤怠管理をひも付けてさらに便利に

 そのほか、X'sionは「スケジュール」「設備予約」「回覧板」「アンケート」など、多様な機能を追加でき、ハイブリッドワーク環境を支援するものとしても有用だ。スケジュールや設備予約機能を使うことで、従業員間で予定を共有できるほか、会議室などの空き状況もオフィス外から確認できる。在宅勤務、出張、出勤――といった個人ステータスも一覧表示できるので、互いの状況をリアルタイムで把握可能だという。

photo X'sionは、ワークフロー(申請承認機能)やスケジュール・設備予約のほか、さまざまなオプションにより機能を拡張できるのが魅力

 「X'sion上で有給申請を行うと、自動的にスケジュールに反映されるといった連携機能も備えています。グループウェアと勤怠管理システムが別ツールの場合、申請承認後にスケジュールへ記入する必要がありますが、X'sionであればその手間もありません。ほかにも、出張申請をするとやはり自動的にスケジュールに反映され、さらに出張先といった詳細も従業員間で確認できます」(向氏)

「クラウドじゃ心配」? オンプレ運用環境も用意

 なお、X'sionはクラウド提供となるが、クロノスPerformanceはクラウドとオンプレミスを選べる。向氏は「クロノスPerformanceには、勤怠管理の根幹となるデータが保存されているため『クラウド利用は不安』という企業さまもいます。そのため、クロノスPerformanceはオンプレで、X'sionはクラウドでとハイブリッド利用を可能とし、不安なくお使いいただける環境をご用意しました」と話す。

 もちろん、クラウド版となる「クロノスPerformanceクラウド」であってもセキュリティ対策は万全だ。クラウドセンターは24時間365日の監視体制で守られており、データセンターに送信するデータも全て暗号化にて処理。運用休止時間帯にバックアップ処理も行うといい、「ビジネスを止めることのない、クラウド提供を実現している」(向氏)というから安心だ。

千差万別の勤怠ルールに「カスタマイズなし」で対応

 また、勤怠管理システムを導入する際、悩ましいのは「自社固有の勤怠管理ルールがある」ケースである。オーバースペックにならず、自社の働き方にぴったり適合するシステムに出会うのは難しい。しかしクロノスは、「カスタマイズを一切せず、希望通りの勤怠システムを提供し続けてきた」(向氏)という。

 「実際に10法人があれば10通りのご要望をいただきます。しかし、そのつどカスタマイズをしていれば当然コストがかさみます。そこで弊社では、標準機能を厚めに、なおかつ設定により柔軟に仕様変更できることを重視して、サービス提供を行っています」。向氏はそう話し、笑顔を見せる。

 例えば、飲食店であれば「土日祝日の17時以降は時給100円アップ。かつ年末年始は19時から200円アップ」「6時間経ったら45分の休憩時間を入れる」といった細かな勤怠管理ルールが設けられていたりする。または、オフィスワークであれば「休日出勤の支払いは2カ月後に回す」「振替休暇の取得に、この申請をひも付ける」といったように、オーダー内容は千差万別だ。

 そこでクロノスPerformanceでは、さまざまな要望に応えられるよう「導入時にしっかりヒアリングして、インストラクター同席のもと希望に適したシステム設定支援を行う」(向氏)のだという。

 「汎用性のない勤怠管理をご希望される企業さまが多いため、設定処理はそれだけ複雑です。ですので、弊社ではインストラクターを務めるパートナー企業を全国に配置して、徹底した導入支援を行っています。基本の勤怠管理はもちろん、最終的に給与ソフトにつなぐ最初から最後まで、必要となる設定をお客さまと一緒に整えていきます」(向氏)

 導入後、新たに設定を変えたい場合は、再度インストラクター(有償)を派遣して対応するケースもあるというが、現在は設定画面をリモート操作することで、多くの場合サポートセンターのみの対応で済むという。これは、バックオフィス部門のハイブリッドワークを促進していく上でもありがたい対応力だろう。

ブラック企業、社畜、サービス残業……これらを死語にするために

 残業時間の管理や打刻といった事務的な作業は、「仕事で結果を出しているのだから、多少ファジーでもいいだろう」と軽んじられがちだ。しかし、向氏は「もうそのような時代ではないことを、再認識する必要がある」と注意を促す。

 規定残業時間を超えるほど業務に没頭する――仕事熱心な人材は企業にとって頼もしい限りだ。しかし、従業員は機械ではない。替えが利くと言わんばかりに無理をさせ、「働くヒトを大切に」できない企業が成長し続けられる時代は、この先もう訪れないだろう。

 「働き方改革関連法を筆頭に、さまざまな立場の従業員が、より働きやすくなるような法改正は今後も継続して出てくることが予想されます。そのような世の中にあって、勤怠管理システムはより柔軟な働き方に対応していくことが必要であると、われわれは考えています。

 クロノスは、勤怠管理にのみ注力してきたという、国内でも珍しいメーカーです。それだけに、いち早く法や制度改正には対応してきたという自負があり、同時にこの先も時代に適したサービスをご提供できる自信があります。現在、“勤怠管理にひと筋35年”と自社では謳っていますが、現状に甘んじることなく製品成長に努めることで、50年後、100年後にも『働くところに、クロノスがある』と言っていただけるよう精進していきたいですね」(向氏)

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アイティメディア営業企画/制作:ITmedia ビジネスオンライン編集部/掲載内容有効期限:2022年5月31日